平成24年(2012年)品川区議会厚生委員会 行政視察


 2012年10月23日(火)から3日間、品川区議会厚生委員会は、愛知県刈谷市、名古屋市、大阪府貝塚市に行政視察を行いました。

 日を追って、視察の報告を行います


1.刈谷市行政視察

 視察第1日目の10月23日(火)、厚生委員会委員はJR品川駅に集合し、新幹線でまず愛知県を目指しました。三河安城駅で乗り換え、刈谷駅に着きました。

 愛知県刈谷市は人口15万人、自動車産業の頂点、トヨタ自動車の城下町で、デンソーやアイシンなどトヨタグループの本社ビルが集まっている所です。

 視察を行った、「おかし工房パンドラ」はこの街のショッピングセンター跡地にあり、知的障害者や精神障害者の作業員が、洋菓子を製造したり、販売している、就労継続支援A型の事業所です。

 まず、工房を見学し、その後お店に立ち寄りました。プロのケーキ作りのパティシエから指導を受けたというクッキーやケーキは素晴らしい出来で、個人や企業から注文が絶えないというお話でした。また、香りのよい石鹸も店内に置いてありました。

 その後、この施設を運営する、NPO法人パンドラ会の岡部扶美子代表理事からいろいろとお話を伺いました


 就労A型の施設のため、障害者の方は数年で就労移行していくため、安定した作業員を確保するのが大変なのだそうです。また、この施設のお菓子は福祉で売るのではなく、一般市場でも通用する味と品質にもこだわっているのだそうです。

 また、一時経営危機になったときに地元のマスコミが記事として取り上げてくれたことにより、注文が増えたこと、そのため宣伝を重視しているそうです。また、理念に共鳴する地元の企業が社内販売を認めてくれたことも売り上げの安定につながったというお話でした。

 岡部理事から、就労施設は経営的に大変。だからといって、すぐに公費の援助が欲しいとは思わない。あくまで、自立して頑張る。お金をもらうのではなく、お金を払いたい。障害者でも税金をおさめるようになりたい。というお話を聞いたときは、非常に感動して、体が震えるようでした。

 その日は名古屋まで戻って、名古屋市に宿泊しました。



2.名古屋市行政視察

 10月24日(水)はまず、名古屋駅から東山線、名城線を乗り継いて、名古屋市役所に行きました。市役所内で、名古屋市健康福祉局の担当の方から、「名古屋市ひきこもり地域支援センター」の運営について、お話を伺いました。

 ひきこもりとは、さまざまな要因の結果として、社会参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外の交遊など)を避けて、原則6か月以上にわたって、家庭にとどまり続ける状態をいうようです。

 「名古屋市ひきこもり地域支援センター」は、ひきこもりのご本人や家族の方を対象に、専門の臨床心理士の資格を持つ相談員が相談に応じたり、教育、福祉、保健、医療など、さまざまな関係機関の情報を発信したり、家族の会を開催したりしているそうです。

 名古屋市にはひきこもりが約4500人、趣味の時しか外出しない準引きこもりが約9000人いるそうです。

 ただ、担当者のお話を聞いていると、なかなか実際のかかわりは難しいようです。ひきこもりの中には精神疾患を発症している人もいて、この人たちには医療的ケアが必要になります。担当のかたのお話を聞いていて、ひきこもりの人にどのような支援が本当に必要なのか、もう一度その原点に戻って、よく検討してみなければならないと強く感じました。


3.名古屋市行政視察-急性期認知症病院

 次に訪問したのは、名古屋市認知症疾患医療センター「まつかげシニアホスピタル」です。

 まだ病院は建設中のため、隣接する建物のラウンジで医師、事務の方からお話を伺いました。この認知症疾患医療センターとは、保健医療、介護機関等と連携し、認知症の鑑別診断、急性期の治療、専門医療相談などを行う事業なのだそうです。

 ただ、まだ病院もできていないため、その活動と評価は今後の課題だと思いました。


 お話を聞いた後、名古屋駅に戻り、新幹線で新大阪に移動し、大阪市内で宿泊しました。


4.貝塚市行政視察

 行政視察最終日の10月25日は、大阪府貝塚市に移動し、市内の木島幼稚園の視察を行いました。

 この木島幼稚園は、「無限の可能性を秘めている乳幼児期に」「どの子も伸びる教育」を目指し、障害児を積極的に受け入れて保育を行っている幼稚園で、ここの自閉症の卒園生の記録なども出版されています。

 この幼稚園は、漢字教育、英語教育、リトミックなどを積極的に幼児教育に取り入れ、また自閉症児にTEACCHプログラムという障害児教育を行っていることでも有名です。
 私も一度実際にTEACCHプログラムが行われている教育現場を見学したいと思っていました。

 訪れてみると、木島幼稚園は規模が大きい幼稚園で、大勢の園児が元気に過ごしていました。絵本の音読をしたり、リトミックをしたり、習字をしたり、国旗や都道府県のフラッシュカードなどの授業が行われていました。

 かなり高密度の授業が、コマ割りで続きますが、子どもたちはみな活発に授業に加わり、楽しんでいるように見えました。しかし、このような教育内容は、ハイレベルであるものの、親の評価もはっきり二分するだろうと思いました。

 障害児の園生も数人見かけましたが、他の児と遜色なく、活動に溶け込んでおり、先生方もしっかりお世話をしていました。TEACCHプログラムは日常的に行われているわけではないようで、視察した日には行っていないというお話で、見学でなかったのが残念でした。

 有名な幼稚園で視察希望が絶えないようで、当日も私たち品川区厚生委員会の視察団のほかにも、他の議員の視察団も見学されていていました。

 視察終了後、貝塚駅で今季の行政視察は終了し、視察団は解散となりました。私はただちに東京に戻り、クリニックで診療を行いました。


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