2016年 区議会 第3回定例会 一般質問全文

自民党・子ども未来を代表して、一般質問を行います。よろしく、お願いいたします。


1.品川区の感染症対策について

 第一に、品川区の感染症対策について、お伺いいたします。

 まず、ワクチンについて、お尋ねします。

 ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、4種混合ワクチン、水痘ワクチンが次々と定期接種となり、その結果、ヒブによる細菌性髄膜炎は年間600例の発生が平成26年にはついに0となり、水痘も定期接種化された後、年間100万人といわれていた患者数が平成25年から激減しています。

 まず、B型肝炎ワクチンについて、お尋ねいたします。

 品川区では、平成264月からB型肝炎ワクチンの接種費用の半額助成を行ってきました。

 ようやく国も重い腰を上げ、平成2810月から、B型肝炎ワクチンは定期接種となります。

 ところが、厚生労働省の発表によりますと、平成2841日生まれ以降の乳児からが新しい定期接種制度の対象となるため、331日までに生まれた生後6か月以上1歳未満の乳児は、定期接種の対象者であるにもかかわらず、無料で接種を受けることができないことになりました。

 この決定に対し、品川区は独自の救済措置として、平成27103日から平成28331日までに生まれた児に対し、任意公費接種として接種費用の全額助成を行うと発表しました。
 すなわち、現在3000円の半額助成が、定期接種と同じように全額助成となるのです。生後6か月以上の乳児に対し、ほとんどの区が何の施策も打ち出さない中、この決定は高く評価されるものと思われます。

 また、B型肝炎ワクチンが今回定期接種になることで、年長児を持つ保護者からB型肝炎ワクチンを任意でも受けた方が良いのか、ご質問を受ける機会が増えました。

 今回のB型肝炎ワクチンの品川区の救済措置について、ご説明をお願いいたします。
 また、B型肝炎ワクチンの年長児への接種について、区はどのようにお考えでしょうか。


 
第二に、ロタウイルスワクチンの接種費用助成について、お尋ねいたします。

 いよいよ本年7月から、ロタウイルスワクチンの接種費用の助成が始まりました。私のクリニックの患者さんからも「接種費用が大幅に安くなって、とてもありがたいです」 という評価の声を、多数お聞きします。

 ロタウイルスワクチンの接種費用助成は品川区が他区に先駆けて先進的に始めた事業であり、本区の子どもたちがロタウイルス胃腸炎の激しい嘔吐・下痢から解放されるものとして、大いに期待されるところです。

 
ロタウイルスワクチンの接種費用助成の進捗状況について、ご報告をお願いいたします。

 第三に、日本脳炎ワクチンについて、お尋ねいたします。

 日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに汚染されたブタを吸血し体内にウイルスを持ったコガタアカイエカから、ヒトが刺されて発病します。
発病すると、高熱、頭痛、嘔吐などの症状を呈し、患者の2040%は死亡し、4570%に神経系の後遺症を残します。

 ただし、発病するのは刺されて感染した人のうち、1001000人に1人といわれています。

 日本脳炎は予防接種の効果によって、患者数は昭和41年の2017人をピークに、平成に入ると高齢者を中心に10人以下にまで激減しました。ところが、平成18年に3歳児、21年に7歳児と1歳児、22年に6歳児、23年に1歳児と10歳児、25年に5歳児、さらに生後11か月の乳児と、患者が低年齢化するという憂慮すべき状況がおこっているのです。

 この状況に対し、日本小児科学会は平成282月、日本脳炎患者が発生した地域やブタの汚染地域の子どもは、生後6か月からのワクチン接種を考えてもよいと声明しました。日本脳炎ワクチンは3歳からが標準的な接種期間とされていますが、実は生後6か月から定期接種としてワクチン接種ができるのです。

 3歳未満の日本脳炎患者も発生していることから、品川区でも日本脳炎ワクチンは生後6か月から希望者には、定期接種として無料で接種ができるということを、区内医療機関、区民に広報すべきと思われます。区のご見解はいかがでしょうか。

 次に麻疹対策について、お伺いいたします。

 現在、麻疹が流行しています。関西国際空港や千葉県幕張のコンサート会場などで、麻疹感染者が不特定多数の人々と接触したと考えられ、麻疹の感染拡大が憂慮されています。

 麻疹は、高熱、咳、鼻汁、全身のまだら模様、目の充血などを主な症状とする、ウイルス感染症です。空気感染し感染力が強いために、患者と同じ部屋にいるだけで、未感染やワクチン未接種の麻疹ウイルスに免疫を持たない人は、ほぼ100%発病します。

 合併症は、麻疹肺炎で人工呼吸器が必要となる例もあり、重症になると死亡することもあります。急性喉頭炎や中耳炎、結膜炎もよくみられます。
 麻疹脳炎は麻疹患者の10002000人に1人の割合で発病し、15%が死亡、2040%に後遺症が残ります。亜急性硬化性全脳炎は麻疹の最悪の合併症で、感染後610年も後に10万人に1人の割合で発病し、徐々に知能低下が進行し、最後は衰弱して死亡します。治療法はありません。

 麻疹はワクチンでほぼ完全に予防することができます。

 我が国では、麻疹ワクチンの精力的な2回接種の実施によって発病患者が激減し、平成27年にはWHO(世界保健機関)によって麻疹排除の認定を受けたのでした。 しかし、今年になって土着種ではない、外国産の麻疹ウイルスが国内に持ち込まれ、ワクチン未接種者を中心に流行が拡大している状況です。

 今回の麻疹流行について、品川区はどのように流行をとらえ、対応されようとしているのでしょうか。まず、ご説明をお願いいたします。

 問題となるのが、平成19年の麻疹大流行、平成25年の風疹大流行の時にも流行の温床となった、2040代の成年男女です。麻疹、風疹の度重なる流行を抑えるには、麻疹、風疹の抗体保有率が7080%と低いこの年齢層も視野に入れた、強力な対策が必要と考えます。

 第一に、麻疹風疹混合ワクチン(以下、MRワクチンと呼びます)接種の徹底した勧奨を行うべきです。
 定期接種1期、2期の対象者は言うまでもありません。2歳から18歳のMRワクチン未接種者に対しても、本年4月から開始したMRワクチン任意接種費用の助成事業を大々的に広報すべきと考えます。

 第二に、本年度より開始された20歳からの健康診査に、風疹抗体検査を加えることを、再度提案いたします。

 その理由は、健診対象者と麻疹・風疹感受性集団が年齢的に重なっているため、 麻疹、風疹に免疫を持たない人を補足できる、またとない機会だからです。風疹の抗体検査を行い抗体陰性ならば、MRワクチンが接種できます。MRワクチンを接種すれば、風疹とともに麻疹の免疫も獲得できます。

 風疹抗体検査を20歳からの健康診査に加えること、検査項目に加えることが難しいならば、たとえば健診の連絡通知に風疹抗体検査のお勧めを同封することなども検討すべきと考えますが、区のご見解はいかがでしょうか。

 最後に麻疹の疑いがある人が、事前の連絡もなしに医療機関を受診することは非常に危険です。麻疹は空気感染するため、同じ部屋にいる抗体を持たない人はほぼ100%発病します。最悪の場合、医療機関が集団感染の場になってしまいます。実際、大阪市大病院で麻疹の院内感染が報道されました。

 麻疹を疑う症状があるときは直接医療機関を受診せず、必ず医療機関に事前に連絡し指示を受けるよう、区からも強く広報をお願いしたいと思いますが、区のお考えはいかがでしょうか。

 次に、蚊媒介感染症について、お尋ねいたします。

 リオデジャネイロ・オリンピックは終わりましたが、今のところ、ジカ熱の国内発生はないようです。 一方、平成26年、70年ぶりに国内感染例が報告されたデング熱は、媒介昆虫であるヒトスジシマカの活動が続く10月下旬までは警戒を緩めることはできないといわれています。

 平成28831日放送のNHK「ガッテン」の「人類最凶の敵!“蚊”撃退大作戦!」の番組内で、品川区の雨水マスに対する防蚊対策が紹介されていました。

 現在の品川区のデング熱など蚊媒介感染症に対する防蚊対策の実施状況につき、ご説明をお願い致します。


2.品川区の健康視察について

 第二に、「品川区の健康施策について」お伺いいたします。


 成人眼科検診について、お尋ねいたします。

 高齢化社会において、健康寿命の延伸は極めて重要な課題です。

 平成26年度の厚生労働白書「健康長寿社会の実現に向けて」では、がん、循環器疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患の四大疾病と、メンタルヘルス、ロコモティブ・シンドローム、オーラル・ケアが取り上げられていますが、視覚障害には触れられていませんでした。

 しかし、目が見えるという視覚器の健康は、健康寿命にとってきわめて大きな位置を占めていると考えます。

 特に40歳以上の日本人の20人に1人は緑内障を患っていると推定されており、その9割は特有な症状がないため、気づかれていないといわれています。しかも、緑内障は治療が遅れると最終的には視力を失い、失明します。

 そのため、緑内障検診、あるいは眼科検診として、さまざまな形で検診を実施する自治体が増えてきています。東京都下でも、大田区、目黒区、世田谷区、台東区などは、眼科検診を行っています。

 
しながわ健康プランでも視覚障害については触れられておりませんでしたが、品川区は40歳以上の視覚障害について、どのようにお考えなのでしょうか。40歳以降の眼科検診の実施を要望いたしますが、区のご見解はいかがでしょうか。


3.品川区の教育について

 第三に、「品川区の教育」について、お伺いいたします。

 まず、自殺についてお尋ねいたします。

 平成285月、本区の女子中学生2名が自殺するという痛ましい事件がありました。亡くなられたご本人、ご遺族の方には深い哀悼の意を表します。

 
まず、今回の事例について、改めて概略をご説明ください。

 平成10年以来、我が国の自殺者は年間3万人を超え、やや減少はしたものの今なお高い水準を保っています。国も平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、自殺予防は社会全体で取り組む課題だと宣言しました。

 一方、未成年者の自殺は、警察庁の統計によれば自殺全体の2%ほどです。しかし、1534歳の死因第1位が自殺というのは、G7中日本だけであり、豊かな未来を自ら閉ざし、命を絶つという「自殺に追い込まれる」悲劇は、何としても食い止めなければなりません。

 文部科学省も平成21年に「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」、平成22年「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」、平成26年に「子供に伝えたい自殺予防-学校における自殺予防教育導入の手引」を相次いで発表し、子どもの自殺予防に向けた取り組みの強化を求めているのです。

 一度自殺が発生すると、いじめがあったか、なかったかだけが問題視され、周囲の方々の心の傷をさらにえぐるような事態も起こっています。

 一般に自殺に至るには長い道程があり、さまざまな問題がだんだん積み重なって鬱積していく「準備状態」と、最終的にわずかな負荷が忍耐の限界を超えて、自殺に導く 「直接の引き金」the last strawがあるといわれています。したがって、直前の状態だけを詮索しても真に有効な自殺予防対策を導き出せるとは思われません。

 自殺を予防するには、一次予防、二次予防、三次予防の3段階の対策が必要だといわれています。

 一次予防、すなわち予防活動とは、全ての人を対象にその原因を事前に取り除き、自殺を予防するという対策です。

 「子供に伝えたい自殺予防」によれば、学校における自殺予防教育の目標は、早期の問題認識(心の健康)と援助希求的態度の育成、すなわち心の危機は誰にでも起こること、そして乗り越えていけることの自覚、 必要な時には信頼できる大人に援助を求める態度の育成、という2点だとされています。

 
生きる力を育む授業、心と体の健康づくりも、きわめて大切な自殺予防教育と思われますが、自殺に対する直接的な予防教育も重要だと考えます。
 品川区では現在、どのような自殺予防教育が行われているのか、お示しください。


 
また、いじめ、虐待も、自殺の誘発因子として重要です。自殺予防の観点から、品川区の現在の取り組みをご紹介ください。

 二次予防、すなわち危機対応とは、自殺の兆しのある人を見つけて自殺を防ごうとする対策です。

 そのためには、身近な人の自殺のサインに気づき見守りながら、支援機関に繋ぐ役割を担う、ゲートキーパーの存在が重要だといわれています。

 
現在学校現場では、どのような方がゲートキーパーとして活動しているのかご紹介ください。

 三次予防、すなわち事後対応とは、不幸にして自殺が生じてしまった後に、他の人に及ぼす心理的影響を可能な限り少なくするためのケアを言います。一般に病死や事故死に比べて、自殺は残された人々にきわめて複雑な死別反応を引き起こす、といわれています。

 自殺未遂や既遂が1件あれば、強い絆のあった周囲の最低5人は深い心の傷を負うといわれており、自殺に強く影響を受ける人たちに対するケアと支援を十分に行う必要があります。

 
品川区では事後対応として、現在どのような対応が行われているのでしょうか。

 9月10日から916日は、自殺予防週間でした。「誰も自殺に追い込まれることのない」、「かけがえのない個人として尊重され」、「生きがいや希望をもって暮らすことのできる」、品川区にするために、自殺予防対策の推進をお願いいたします。


 次に、読書についてお尋ねいたします。

 本年3月、自民党・子ども未来は福井県坂井市を訪問し、坂井市立丸岡南中学校を視察しました。

 丸岡南中学校は始業の15分前に「朝読書の時間」があり、全校一斉に15分間読書を行います。 また、この中学校は登校すると、まず図書館を通ってから目的の教室に向かいます。非常に読書を大切にしている学校、という印象を受けました。

 近年、子どもの読書離れが指摘されています。 文部科学省も危機感を持ち、読書活動は「子どもが言葉を学び感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く、生きる力を身に付けていく上で、欠くことのできないもの」と述べています。

 そして、平成14年以降「子ども読書活動 推進基本計画」を策定し、家庭における読み聞かせの推進や小・中・高校での朝読書の普及、公立図書館の整備などに努めています。

 
品川区も読書を重視しているとお聞きしました。品川区の学校や図書館における、読書推進活動についてご説明ください。

 読書離れは、言語表現能力の乏しい、抽象的で高度な思考ができない子ども群を大量に生み出します。

 その結果、読書による豊かな知識の土壌がなく、事象を深く広く掘り下げて考えることができないため、底の浅い一方的な主張に容易に引きずられる、社会風潮を生み出すことも危惧されます。

 品川区でも、思慮深い「考える葦」を育てるため、読書活動の積極的な推進をお願いいたします。


4.品川区の子育て支援施策について

 最後に、品川区の子育て支援施策について、お伺いします。

 まず、病児保育について、お尋ねします。

 病児保育所とは、保育園児などが病気になったとき、働く保護者の代わりに病気の子どもを預かり、医師の管理のもとで看護師、保育士が保育看護を行う施設です。

 なぜ病児保育が必要なのか。子どもが病気の時は保育所で預かってもらえないからです。感染症の子どもを預かれば保育所の中は、感染症が蔓延することになります。

 「品川区子ども・子育て支援事業計画の策定に伴う意向調査」速報版によれば、「病児・病後児施設等を利用したかったか」という質問に、3歳未満の園児の保護者では57.9%、3歳以上の園児の保護者では49.4%が「利用したかった」と答えています。

 病児保育所は足りていません。したがって、病児保育所に預けることはできません。

 そのために、小児科の現場から見ていると、今保育現場では、熱があっても、下痢をしていても、親は子どもを保育所に預けにきます。保育所側は子どもの症状に応じてお迎えを要請しますが、その間病気の子どもは保育所に留まることになります。

 保育所の一角に熱を出している子どもたちが、25人ごろごろと横たわって、親のお迎えを待っているという光景は、今では珍しくなくなりました。その結果は保育所における感染症の大流行です。


 品川区の病児保育所で今必要なのは数を増やすことです。そしてしっかり医師が管理できる施設です。病児保育所はいつでも必要な時に利用できる存在であるからこそ、安心なのです。そして、それが健康な園児を守ることにもつながるのです。

 ぜひ、病児保育所の増設を要望いたします。区のご見解を伺います。


 最後に、子育て支援についてお尋ねします。

 杉並区は平成19年から子育て応援券を発券しています。これは、一時保育、親子参加行事、インフルエンザワクチンなど、有料の子育て支援サービスに利用できるチケットを区が有償で発行し、 子育て家庭に配布しています。応援券を受け取った利用者は区の登録基準を満たしたサービス提供事業者のサービスの中から、自ら選択して使用し、区が応援券相当分の代金を事業者に支払うという仕組みです。

 この子育て応援券は、練馬区などでも類似のサービスが始まっています。利用希望者にチケットを配布するため、待機児童になった家庭や在宅子育て家庭でも利用できます。

 品川区では1万円のクーポン券配布を始めましたが、物品購入だけでなく、保育所やさまざまな育児サービスの利用にも使用できるようになれば、子育て家庭にとって大きな贈り物になるのではないでしょうか。


 子育て応援券の検討をお願いしたいと思いますが、区のご見解はいかがですか。



 子どもは未来であり、希望そのものです。

 さらに品川区の子どもとご両親のための、医療・子育て支援施策が大きく広がることを期待して、今年度の私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

口演草稿のため、実際の発言と異なる部分があります。