発熱のケア編        2024.1.3

ホームケア編にも発熱についての解説があります。あわせて、お読みください(こちら→ホームケア・発熱をどう考えるか


●そもそも病気の時に発熱するのはなせ?(4か月)

赤ちゃんがウイルスや細菌などの病原体に感染すると、多くの場合熱が出ます。

この現象(症状)は病原体の侵入に対抗して、脳の視床下部にある体温調節中枢が体温を上げるように命令を出すためです。

そうすることによって病原体が繁殖が妨げられ、体の免疫反応も強化されます。つまり、発熱自体は悪いことではなく、体が病原体と闘っている証拠なのです。


●熱で脳に影響は?(5か月)

発熱を伴い、脳に深刻な影響を与える病気は確かにあります(たとえば、脳炎など)。しかし、脳に対する影響は熱が直接の原因になるわけではなく、病原体そのものが脳に侵入したり、病原体の影響で脳が腫れたりすることによるためです。

赤ちゃんが発熱すると高熱になりがちですが、熱だけで脳がダメージを受ける心配はありません。


●熱がある時に大切なケアは?(6か月)

熱がある時は、体温が上昇して赤ちゃんは暑く感じています。

赤ちゃんが快適に過ごせるよう、水分をとらせましょう。室温や着る物、寝具などを調節して、暑すぎず寒すぎずになるよう、気を配りましょう。熱を無理に下げる必要はありません。

発熱は体の防御反応ですし、熱を下げたからといって病気が治るわけではありません。


●発熱の時の受診の目安は?(7か月)

意識がなく呼んでも反応がない、40℃以上の熱があり、ぐったりして活気がない、水分を受け付けず、顔色が蒼白の時は、至急受診を考えましょう。生命の危険もあり、救急車を呼んでも構いません。生後2か月未満で39℃以上の熱がある時も同様です。

一方、機嫌や顔色、食欲などがそれほど悪くなければ、通常のクリニックの診察時間帯に受診下さい。


●熱がある時の寝具・着る物は?(8か月)

熱の出始めは悪寒がするので温かくしますが、ほどなく熱が上がりきれば、今度は暑くなります。掛け布団やパジャマはいつもと同じか、薄い物に変えたり、1枚少なくしたりして、涼しく快適に過ごせるようにしましょう。

汗をかくと病気が早く治るというのは俗説です(おばあちゃんなどから時々聞くことがあるかもしれません)。厚着をさせたり、布団を何枚も掛けたりすると、かえって熱がこもり体温が上昇して、赤ちゃんは余計苦しむことになります。


●主な症状が発熱の時、水分補給は必要?(9か月)

嘔吐や下痢がなく、発熱が主な症状の時も水分補給は必要です。

熱が高いと呼吸が速くなり、呼気とともに多量の水分が出て行きますし、皮膚から蒸発する水分も増えます。このように気が付かないうちに水分が蒸発することを〝不感蒸泄(ふかんじょうせつ)〟といいます。

水分不足に陥らないよう、母乳・ミルクに加え、時間や回数にこだわらず、水分をこまめに十分与えましょう。


ただし、嘔吐や下痢がなく、母乳・ミルクを普通に飲めていれば、深刻な脱水症になることはまずありません。嘔吐や下痢がない時は、飲ませる物に特に制約はなく、ふだん飲んでいる物を与えて構いません。

湯冷まし、麦茶、果汁、乳児用イオン飲料などを飲ませてあげればいいでしょう。


●熱がある時の離乳食は?(9か月)

赤ちゃんも病気の時は食欲が落ちます。食欲がなければ無理に食べさせず、水分補給を十分に。食べられないのはせいぜい3~4日ほどです。栄養不足になる心配はありません。

一方、食欲があるようなら、離乳食を与えまることは問題ありません。ゼリーやプリン、ヨーグルトなどのどごしのいい物が食べやすいでしょう。母乳・ミルクはいつも通り欲しがるだけ飲ませます。


●熱がある時のお風呂は?(9か月)

37.5℃以上の熱がある時は入浴を控えます。お風呂は体力を消耗するからです。

ただし、赤ちゃんは新陳代謝が盛んですし、熱が出た時は汗をたくさんかきます。清潔を保つため、お湯で絞ったタオルで体を拭いてあげるとよいでしょう。


お風呂再開は、熱が下がれば入浴しても大丈夫です。最初はシャワーでさっと体を洗い流して上げましょう。


●冷却シートや水枕を使うと効果がある?(10か月)

冷却シートの解熱効果はありませんが、ひんやりして赤ちゃんが気持ちが良くなることも場合によっては期待できるかもしれません。

赤ちゃんが嫌がらなければ、首の付け根やわきの下、太ももの付け根など太い動脈が走っているところを冷やしてあげるとよいでしょう。嫌がるようなら、無理に冷やす必要は全くありません。


●発熱した時のお散歩・外出は?(10か月)

熱はそれなりにあっても、あやすと笑い、寝かせるとはい出るほど元気なこともあります。けれども、お散歩・外出は控えなければなりません。これから症状が悪くなる可能性もありますし、他の子に病気をうつす心配もあります。熱がある間は家の中で静かに過ごしましょう。熱が下がって1日たち、ぶり返さないようなら短時間のお散歩から再開を。


●解熱剤を使う目安は?(か月)

解熱剤は、38.5℃以上の高い熱で、赤ちゃんが辛そうなら使っても良いでしょう。解熱剤の最大の効果は、「親の安心」だといわれています。

熱を無理に下げる必要はありませんが、高熱で元気がない、眠れないなどの時は、熱を下げた方が体力の回復に役立つと思われます。6時間以上あければ、1日2回まで使用できます。

逆に言えば、高熱でも元気なら使う必要はありません。


●小児科で処方された薬の使い方は?(11か月)

当クリニックは、解熱剤やせき止めのように症状を緩和する薬、抗ウイルス剤や抗生剤のように病原体を取り除く薬などを処方しています。

前者は症状が治まったら止めて構いませんが、後者は一定期間使う必要があり、不完全な使い方だと病気が治りきらず、ぶり返したり悪化したりする心配があります。

当クリニック医師の指示をきちんと守って使って下さいね。



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