鈴木博の医療-子育て政策の提言と実現状況

Ⅰ.予防接種



ロタウイルスワクチン

ロタウイルスワクチンの重要性と接種費用助成の意義を毎回区に要望しました。

その結果、ついに2016年(平成28年)7月、ロタウイルス接種費用の半額助成が実施されることになりました。


2012年(平成24年)第4回定例会 ロタウイルスワクチン接種費用助成に関する一般質問部分(2012.11.22)

最後に今なお助成のないワクチンとして、ロタウイルスワクチンについて、お伺いいたします。

ロタウイルス胃腸炎は突然の嘔吐で始まり、1週間近く激しい嘔吐と白色の水のような下痢が1日に数十回も続く、乳幼児の重い感染性胃腸炎です。激しい嘔吐、下痢のため、脱水になる危険が高く、 けいれんも起こします。脳炎・脳症も起こし、日本の小児の急性脳炎、急性脳症の原因の第3位を占めています。

現在日本では年間80万人の乳幼児が小児科を受診しており、これは就学前の子どもの2人に1人がこの病気のために小児科外来を受診しているという計算になります。また、8万人が脱水やけいれんのため入院しており、これは就学前の子どもの15人に1人が入院している計算になります。ロタウイルスは感染力が強く、便や吐物から手指を介して移ります。便1gには数億から数兆個のウイルスが含まれているといわれ、0.01mlの下痢便で1万人を感染させるといわれています。アルコール消毒では感染を防げず、塩素系の漂白剤のみが感染防止に有効です。

そのため、毎年春先には保育園、幼稚園でロタウイルス胃腸炎は大流行します。

これを予防するために登場したのがロタウイルスワクチンです。現在、2種類のワクチンが使用可能ですが、効果はほぼ同等と言われています。ロタウイルスワクチンの効果は、脱水で入院する重症ロタウイルス胃腸炎を92%減らし、すべてのロタウイルス胃腸炎に対しても79%発病を予防するといわれています。

しかしロタウイルスワクチンの最大の問題は、子宮頸がんと並んで、1回接種費用がきわめて高額なことであり、このワクチンを2回接種するのに3万円近くの接種費用がかかります。子宮頸がんワクチンは接種費用が公費補助のため無料のところが多く、 本区でも半額助成があるため、ロタウイルスワクチンの高さは群を抜いています。

本年4月から渋谷区が東京23区として初めて、ロタウイルスワクチンの公費負担を始めました。2種類のロタウイルスワクチンのいずれでも、17500円を2回まで補助を行っています。品川区でもほぼ乳児全員のワクチン接種により、たとえば2500人の感染性胃腸炎の患者が1/5に減り、250人の入院患者が20人ほどに激減するのです。

2~3ヵ月の赤ちゃんをかかえた若い母親が、小児科の受付で2万~3万円の接種費用を支払っている光景は異常だと思います。それが現在品川区の小児科受付で日常みられる光景となっているのです。

ぜひ、品川区でもロタウイルスワクチンの公費補助を検討されることを強く望みますが、区のご見解はいかがでしょうか。(2012.11.22)


2014年(平成26年)第3回定例会 ロタウイルスワクチン接種費用助成に関する一般質問部分(2014.10.23)

子どもに必要なワクチンが次々と定期接種、任意公費助成の対象となり、ロタウイルスワクチンのみが取り残されました。

ロタウイルス胃腸炎は、ほぼすべての乳幼児が5歳までに感染します。その症状は、1日に数十回にも及ぶ激しい白色の下痢と嘔吐が1週間近く続き、脱水やけいれんを起こし、入院する例もあります。 日本でも年間80万人が外来を受診し、うち38万人が入院しています。脳炎などの原因にもなります。ロタウイルスワクチンは、入院が必要な重症ロタウイルス胃腸炎を90%減らし、ロタウイルス胃腸炎全体に対しても79%、発病を予防するといわれます。 ロタウイルスワクチンの問題は、接種費用が高額なことで、総計3万円近くの費用がかかります。

しかし、平成25年の厚労省のロタウイルスワクチン中間報告書をみると、ロタウイルスワクチン接種率は全国平均で 45%、東京都は65%、品川区もほぼ同じぐらいと推定されています。

多くの品川区民が、ロタウイルス胃腸炎の恐ろしさをしっかり認識し、我が子のために高額な接種費用を負担し、ワクチンを進んで受けられている姿に深い敬意を表するとともに、品川区の担当者もこの事実をしっかりと受け止めてほしいと思います。しかし、保護者の中には、高額な接種費用のために、接種をあきらめた方も少なくありません。私も直接、何度もお聞きしました。親の経済力のちがいで、お子さまが希望するワクチンが受けられないことは悲しいことです。

品川区の子育て世代の支援のために、高額なロタウイルスワクチンの接種補助を、ぜひご検討いただきたいと考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。

ロタウイルスワクチンの補助が実現すれば、品川区は子どもに必要なワクチン全てを助成している、子育て支援の最先頭に立つ、 輝かしい自治体となります。ぜひ、ご検討をお願いしたいと思います。(2014.10.23)


2015年(平成27年)第3回定例会 ロタウイルスワクチン接種費用助成に関する一般質問部分(2015.9.18)

まず、平成26年第3回定例会に引き続き、 ロタウイルスワクチンの接種費助成について、お尋ねいたします。

ロタウイルス胃腸炎は、ほぼすべての乳幼児が5歳までに感染する、感染性胃腸炎の一つです。1日に何十回にも及ぶ水のような白色下痢便と、 繰り返す激しい嘔吐が1週間近く続きます。病児保育でロタウイルス胃腸炎の赤ちゃんを預かると、部屋中にツーンと鼻をつく悪臭が立ち込め、ロタの子がいることがすぐわかるほどです。

日本では年間80万人が外来を受診し、うち38万人が 脱水症や難治性のけいれんなどで入院していると推定されています。

このロタウイルス胃腸炎を予防するロタウイルスワクチンは、現在2種類あり、いずれも入院が必要な重症ロタウイルス胃腸炎を90%減らし、 軽症も含めたロタウイルス胃腸炎全体に対しても79%発病を予防すると報告されています。

平成2311月からロタウイルスワクチンの接種が始まりました。平成2511月に公表された、厚労省の「ロタウイルスワクチン作業班中間報告書」によれば、 ワクチン接種率は全国平均で45%、東京都は65%、品川区も同じぐらいと推定されています。

ロタウイルスワクチンは接種費用が高額で、2回接種の1価ワクチン、3回接種の5価ワクチンはともに総計3万円近くかかります。そのため、希望はしているのに接種をあきらめるご家庭も少なくなく、親の経済力のちがいで、お子さまが希望するワクチンが受けられないことは悲しいことです。

ロタウイルスワクチンの接種費用の補助を再度強く要望いたします。

保健所長よりロタウイルスワクチンの接種費用助成は、財政負担も大きいことから、国の審議会の検討の結果等を注視する、 というご答弁をいただきました。 現在品川区が接種費用の助成を行っているB型肝炎ワクチンが、来年度より定期接種となり、区の接種助成が終了することなど状況は変化しています。

ロタウイルスワクチンの接種費用助成が実現すれば、品川区は東京23区で、渋谷区に次いで、B型肝炎ワクチン、ロタワクチン、おたふくワクチンと、子どもに大切な3つのワクチン全てを助成する自治体となるのです。

ぜひ、ロタウイルスワクチンの次年度よりの接種助成を再度強く要望いたします。 区のお考えはいかがでしょうか。(2015.9.8)


2016年(平成28年)第3回定例会 ロタウイルス接種費用助成実施後の一般質問部分(2016.9.23)

いよいよ本年7月から、ロタウイルスワクチンの接種費用の半額助成が始まりました。 私のクリニックの患者さんからも、「接種費用が大幅に安くなって、とても助かります」という声が多数聞かれます。ロタウイルスワクチン接種費用助成は品川区が先進的に始めた事業であり、この事業によって、品川区の子どもたちがロタウイルス胃腸炎の激しい下痢、嘔吐から解放されるものと期待されます。

ロタウイルスワクチンの接種費用半額助成の進捗状況について、ご報告をお願いいたします。 (2016.9.23)


B型肝炎ワクチン

B型肝炎ワクチンの重要性と接種費用助成の意義をまた、毎回区に要望しました。

その結果、ロタウイルスワクチンに先立ち、2014年(平成26年)4月、接種費用の半額助成が実現しました。



2013年(平成25年)第4回定例会 B型肝炎ワクチン接種費用助成に関する一般質問部分(2013.9.23)

最後にB型肝炎ワクチンについて、再度お尋ねいたします。
本年6月の共同通信の配信ニュースでは、B型、C型肝炎による死者がアジア地域で急増し、2010年の死者は当初の予想を超える140万人以上になりました。危機感を持った、世界保健機関(WHO)は、エイズウイルスと同様に、肝炎対策に対しても本格的に取り組む方針を明らかにしました。 B型、C型のウイルス性肝炎に関連する死者は約144万人で、HIVとほぼ同数、結核やマラリアの死者数を上回ったそうです。

世界肝炎連盟は、日本を「B型肝炎ワクチンの定期接種が義務化されていない数少ない国の一つだ」と名指しで指摘し、さらに、B型肝炎が近年性交渉によって若者の間で感染が広がっていることに懸念を示しました。
我が国と同じ、限定されたワクチン接種selective vaccinationを行っていたノルウェーでは、1998年に性感染によって、B型肝炎が流行しました。 今、日本の多くの子ども達はB型肝炎ウイルスに、無防備で集団生活をしています。一刻も早く対策を急がなければなりません。


B型肝炎ワクチンを接種すれば、ほぼ100%、B型肝炎は防げるのです。 区はこのような世界の情勢について、いかがお考えでしょうか。(2013.9.23)


2016年(平成28年)第3回定例会 B型肝炎ワクチン接種費用助成実施後の一般質問部分(2016.9.23)

B型肝炎ワクチンについてお伺いいたします。

品川区では、平成26年4月から他の自治体に先駆けて、B型肝炎ワクチンの接種費用の半額助成を行ってきました。ようやく国も重い腰を上げ、 平成2810月から、B型肝炎ワクチンは定期接種となります。 ところが、B型肝炎の定期接種の対象年齢は1歳までですが、厚労省の発表によると、 平成2641日生まれの乳児からが、 新しい定期接種制度の対象となるのだそうです。 だとすると、1歳未満のB型肝炎対象者のうち、定期接種として実際にB型肝炎ワクチンを受けられるのは、 平成28年10月1日の時点で、生後5か月までの児ということになります。 6 か月以上1歳未満の乳児は、定期接種の対象者であるにもかかわらず、定期接種として、接種を受けることができません。

これは非常におかしな話です。 そのため、品川区は独自の救済処置として、平成27年10月3日から平成28年3月31日までに生まれた児に対し、 任意公費接種として接種費用の全額補助を行うと公表しました。任意接種の時は半額3000円だった助成が、定期接種と同じ全額助成となります。 生後6か月以上の乳児が定期接種からこぼれてしまう事態に、ほとんどの区が何の対策も打ち出さない中で、 この決定は高く評価されるものと思います。

また、B型肝炎ワクチンが定期接種になる話を聞いて、年長児を持つ保護者の方から、 B型肝炎ワクチンを任意でも受けた方が良いか、ご質問を受ける機会が増えました。


質問いたします。 今回のB型肝炎ワクチン接種の救済処置の意義と、その周知方法について伺います。また、時に外来でお母さまから質問を受ける、 B型肝炎ワクチンの年長児への接種について、区のご見解はいかがでしょうか。
(2016.9.23)




流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ワクチン

B型肝炎、ロタウイルスと、次々と任意接種の接種費用の助成が達成されました。

現在、問題になっている、おたふくかぜの後遺症であるムンプス難聴を発生させないために、おたふくかぜワクチンの2回接種助成について、区に精力的に働きかけを行っています。


2017年(平成29年)第3回定例会 おたふくかぜワクチン接種費用助成拡大についての一般質問部分(2017.9.22

平成2995日、日本耳鼻咽喉学会は、全国5600の耳鼻科医療機関に調査を行い、平成272015)年から2年間に、流行性耳下腺炎の後遺症である難聴(ムンプス難聴といいます) の発生数の調査結果を公表しました。その結果は、336人に難聴が残り、うち高度の難聴が261人、両耳の難聴が14人で、人工内耳、補聴器を使用する人もいたそうです。年齢分布では、10歳未満が151人、10代が69人で、若年者が半数以上65%を占めていました。この子たちはもしもおたふくかぜワクチンを接種していれば、 難聴にならずに済んだ可能性が強く、本当に残念です。

平成1941日から品川区は、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンの接種費助成を始めました。この当時はまだ予防接種の重要性が、社会的にあまり認識されておらず、予防接種といえばその効果よりも副作用を声高に問題にする一部の風潮もあり、この決定は大英断でした。

それから8年たち、水痘ワクチンは定期接種になりましたが、おたふくかぜワクチンは依然、任意接種にとどまったままです。我が国は先進国で唯一、おたふくかぜワクチンの定期接種を行っていない国になってしまいました。

品川区の流行性耳下腺炎の患者報告数と、予防接種助成件数をお示しください。

昨年は全国的に流行性耳下腺炎が流行しました。残念ながら、品川区でも患者が増えたようです。おたふくかぜワクチンは1回接種で患者90%、2回接種で99%患者が減少するといわれています。昨年の経験だと、おたふくかぜワクチン1回接種では残念ながら、小流行を防げませんでした。

おたふくかぜに発病することは、難聴のリスクを増すことになります。そのため、おたふくかぜワクチンが定期接種化されるまで、MRワクチン同様、1歳、5歳の2回接種が適当と考えます。

おたふくワクチン接種費助成を1回から2回に増やすことを提案いたします。すでに中央区が2回接種助成を始めています。品川区もぜひご検討をお願いしたいと思います。(2017.9.22)


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