シナジス注射について
Ⅰ.シナジスとは
シナジスは一般名を「パリビズマブ」といい、RSウイルスに対するモノクローナル抗体(RSウイルスのみを標的に、これに接着し、このウイルスの増殖を防ぐ免疫物質)です。(RSウイルス感染症)
シナジスを注射することによって、体内に侵入したRSウイルスの増殖は抑えられ、RSウィルス感染症の重症化を防ぎます。
Ⅱ.シナジスの適応
RSウィルス感染症にかかると、特に重症になる危険性がある、次に挙げた赤ちゃんが接種の対象となります。(シナジスは高価な薬剤のため下記のお子さまのみ、保険診療として負担なく注射することが認められています。)
①在胎週数28週以下で生まれ、RSウィルス流行時に12ヵ月以下の赤ちゃん
②在胎週数29~35週で生まれ、RSウィルス流行時に6ヵ月以下の赤ちゃん
③過去6ヵ月以内に、気管支肺異形成症(BPD)など呼吸障害の治療を受けたことがあり、RSウィルス流行時に24ヵ月以下のお子さま
④重い心臓病を持った、RSウィルス流行時に24ヵ月以下のお子さま
⑤免疫不全を伴った、RSウィルス流行時に24ヵ月以下のお子さま
⑥ダウン症候群の、RSウィルス流行時に24ヵ月以下のお子さま
Ⅲ.シナジスの接種スケジュール
投与は9月から、RSウィルス感染症の流行が終わる4月まで、月1回、大腿前外側部に筋肉注射を行います。
Ⅳ.対象となる方へ
RSウィルス感染症にかかると、かなりの確率で細気管支炎という肺炎になり、入院することになります。また、入院まで至らなくても、高熱が続き、ぜいぜいがひどく、お子さまは大変苦しみます。
在胎34週から36週で生まれたお子さまで、シナジス注射を受けられていない方が、ときどきいらっしゃいます。おそらく、出産した病院でシナジス注射のことをお聞きになる機会の無いまま、退院されたものと思われます。
この34~36週で少し早く生まれた赤ちゃんをLate Preterm baby(後期早期産児)と呼び、出生体重がたとえ2500g以上あったとしても、様々な未熟性が残ったまま、生まれてきたため、RSウイルス感染症にかかってしまうと重症化しやすいといわれています。
出産された病院でシナジス注射を特に勧められなかったお子さまでも、在胎週数29~35週で生まれ、RSウィルス流行時に6ヵ月以下の赤ちゃんには、当クリニックはシナジス接種を強くお勧めいたします。シナジスを受けていれば、重いRSウィルス感染症(肺炎)を防げるからです。
特に、兄弟の多い方や、保育園に入園されているお子さまには、シナジス注射は必須と考えます。
また、シナジス注射を受けているが、接種を行っている大学病院が遠く1日がかりになってしまうため、毎月通うことに大変ご苦労されている方も、当クリニックで少ない負担でシナジス接種を続けることができます。昨シーズンも何人かのお子さまに、シナジス注射を行いました。
シナジス注射をご希望のお母さまは、一度お子さまを連れて、当クリニックにご相談にいらしてください。