アブリスボ(RSウイルス母子免疫ワクチン)
●アブリスボとは
2024年1月18日に、厚労省の専門家部会で製造販売が了承され、2024年5月31日から「アブリスボ筋注用」として発売され、使用されるようになりました。
2025年11月19日開催の厚労省の予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会で定期接種が了承され、2026年4月1日からA群定期接種として接種されることになりました。
アブリスボは、RSウイルス感染症を予防するワクチンです。しかし、その特筆すべき点は、生まれてくる赤ちゃんのために、妊娠中のお母さまが接種するワクチンだということです。
すなわちお母さまは自分にワクチンを接種することで、自分の体内にRSウイルスに対する免疫を作り、この免疫を胎盤を介して赤ちゃんに送り、赤ちゃんをRS
ウイルス感染症の脅威から守ることになるのです。
アブリスボは母子免疫ワクチンですが、高齢者の肺炎予防としても使用されます。高齢者のRSウイルス肺炎予防には、アブリスボとともにアレックスビーというRSワクチンも用いられています。
アブリスボとアレックスビーは共にRSウイルスの感染に関係するF蛋白(融合前F蛋白)を標的とした抗体を作り出すワクチンで、アブリスボは2価、アレックスビーは1価の組換えRSウイルスワクチンです。
また、アブリスボはアレックスビーと異なり、免疫を増強させるアジュバンドなどは含んでいません。
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●予防する病気
妊婦に接種をすることで、生まれたばかりの新生児がRSウイルス感染症に罹患し、重症化することを予防することを目標としています。
RSウイルス感染症については、こちらをお読みください。
妊婦にアブリスボを接種すると、母体にRSウイルスに対する抗体が作られます。 この抗体は胎盤を通過して、胎児に移行します。そして、6ヵ月間、新生児、乳児のRSウイルス感染による肺炎、気管支炎の発症を予防したり、重症化リスクを防ぎます。(生後6カ月過ぎると、抗体レベルは低下してしまいます)
妊婦へのアブリスボ接種で、生後90日以内の乳児の肺炎の入院率は82%減少、RSウイルス感染症には57%減少し、また生後180日以内の乳児では、肺炎の入院率が69%減少、RSウイルス感染症が51%減少したと報告されています。
日本小児科学会も、2024年2月17日に「RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方」という見解を発表し、「本ワクチンは、基礎疾患のない乳児に対するRSウイルス感染症の予防に寄与することが期待されます。」と、アブリスボの妊婦への接種を評価しています。
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●副反応
妊娠中のお母さまに接種するため、ワクチンの副作用が心配になりますよね。
アブリスボの主な副作用は、注射部位の痛み(40.6%)、腫れ(10%未満)、発赤(10%未満)、また全身の症状としては、頭痛(31.0%)、筋肉痛(26.5%)関節痛、疲労、吐き気などが見られるとされますが、これは他のワクチンの副反応と同じです。
また、早産、出生時の仮死、先天奇形または異常、発達遅滞などは全て接種群とプラセボ群(アブリスボを打たなかった群)で有意差はなく、ワクチン接種による妊娠及び赤ちゃんへの有害な影響は確認されませんでした。外国の報告で妊娠高血圧のリスクが増加したという報告がありましたが、やはり有意差はありませんでした。
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●定期接種の方法
接種対象:妊娠28週0日から~36週6日の妊婦。(予診票は、保健所より2026年3月16日から順次発送されています)
接種方法:上腕に、アブリスボ 0.5mlを筋肉注射します。
接種方法:予診票を受け取ったら、まず産科の主治医から、アブリスボ接種の許可を受けとります。
予約方法:クリニック受付に電話03-3786-0318で接種予約を申し出てください。予約された日に接種を予定します。
接種当日:①母子健康手帳と記載済みの予診票をお持ちください。
②予診と接種前診察の後、アブリスボを上腕に筋肉注射します。
③接種後は他の予防接種と同様、15分間院内にて経過を見ます。体調に変化がないことを確認した後に、
ご帰宅いただきます。
接種費用:定期接種のため、全額公費負担です。
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お子さまがいる場合は、親子で接種可能です。(母はアブリスボ、お子さまは該当する小児用ワクチン)
アブリスボの接種を受けられるのは、妊娠36週6日までとなっています。しかし、たとえば36週3日にアブリスボ接種を受けて、37週5日に分娩になった場合、まだ赤ちゃんに十分抗体が移行していない状態と思われます。すなわち、アブリスボの接種後、14日以内に生まれてしまった赤ちゃんには、十分免疫がついていない可能性が疑われるのです。そのため、40週0日より早く出産が予定されている場合は、分娩予定日の2週間前までにアブリスボ接種を済ませておきましょう。
当クリニックは、アブリスボとともに妊婦のDPTワクチン接種を強く推奨しています。ぜひ、DPTワクチン接種もお考えになってください(妊娠中のDPT接種についてはこちらをお読みください)。ただし、アブリスボとDPTワクチンの同時接種は、百日咳の免疫の上がりが悪いという報告もあり、1日以上接種をずらすことをお勧めします。
アブリスボの定期接種は1回の妊娠中、1回接種できます。次の妊娠でもまた次の赤ちゃんに免疫を付けるため、アブリスボの接種は認められています。
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