生まれてくる赤ちゃんのために、アブリスボ(RSウイルス母子免疫ワクチン)を接種しましょう!
●アブリスボとは
2024年1月18日に、厚労省の専門家部会で製造販売が了承され、2024年5月31日から「アブリスボ筋注用」として発売され、使用されるようになったワクチンです。
アブリスボは、RSウイルス感染症を予防するワクチンです。
しかし、その特筆すべき点は、生まれてくる赤ちゃんのために、妊娠中のお母さまが接種するワクチンだということです。
すなわちお母さまは自分にワクチンを接種することで、自分の体内にRSウイルスに対する免疫を作り、この免疫を胎盤を介して赤ちゃんに送り、赤ちゃんをRS
ウイルス感染症の脅威から守ることになるのです。
アブリスボは母子免疫ワクチンですが、高齢者の肺炎予防としても使用されます。高齢者の RSウイルス肺炎予防には、アブリスボとともに、アレックスビーというワクチンも用いられています。
アブリスボとアレックスビーは共に、もRSウイルスの感染に関係するF蛋白(融合前F蛋白)を標的とした抗体を作り出すワクチンで、アブリスボは2価、アレックスビーは1価の組換えRSウイルスワクチンです。また、アブリスボはアレックスビーと異なり、免疫を増強させるアジュバンドなどは含んでいません。
●予防する病気
妊婦に接種をすることで、生まれたばかりの新生児がRSウイルス感染症にかかって、重症化することを予防することを目標としています。
妊婦にアブリスボを接種すると、母体にRSウイルスに対する抗体が作られます。 この抗体は胎盤を通過して、胎児に移行します。そして、6ヵ月間、新生児、乳児のRSウイルス感染による肺炎、気管支炎の発症を予防したり、重症化リスクを防ぎます。
妊婦への接種で、生後90日以内の乳児の肺炎の入院率が81.8%減少、RSウイルス感染症が57.1%減少したと報告されています。
日本小児科学会も、2024年2月17日に「RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方」という見解を発表し、「本ワクチンは、基礎疾患のない乳児に対するRSウイルス感染症の予防に寄与することが期待されます。」と、アブリスボの妊婦への接種を評価しています。
●副反応
妊娠中のお母さまに接種するため、ワクチンの副作用が心配になりますよね。
アブリスボの主な副作用は、注射部位の痛み、腫れ、発赤、また全身の症状としては、頭痛、関節痛、疲労、吐き気などが見られるとされますが、これは他のワクチンの副反応と同じです。
また、早産、出生時の仮死、先天奇形または異常、発達遅滞などは全て接種群とプラセボ群(アブリスボを打たなかった群)で有意差はなく、ワクチン接種による妊娠及び赤ちゃんへの有害な影響は確認されませんでした。
●接種の方法
妊娠24週~36週の妊婦の上腕に、1回0.5mlを筋肉注射します。当クリニックは妊娠28週~36週の接種を推奨いたします。
まず、産科の主治医から、アブリスボ接種のご許可を受けて下さい。その上でクリニックで鈴木医師から詳細な説明を受け、接種の日時を決めていただきます。
クリニック受付で予約を取り、予約日に接種を行います。
・アブリスボ筋注用は取り寄せが必要なワクチンです。
・接種のご予約後のキャンセルはできかねますので、ご了承ください。(体調等により、ワクチン取り寄せ後の予約日変更は可能です)
・接種後は他の予防接種と同様、15分間院内にて経過を見ます。体調に変化がないことを確認した後に、ご帰宅いただきます。
接種費用は、33000円です。(残念ながら、区からの接種費用助成は実現していません)