今後登場する新しいワクチン
1.五種混合ワクチン(ゴービック、クイントバックス)
2.肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス)
3.RSウイルスワクチン(アレックスビー)
1.五種混合ワクチン(ゴービック、クイントバックス)
●予防接種の内容
四種混合ワクチン(テトラビック、クアトロバック)に、ヒブ抗原成分を加えた五種混合ワクチンで、百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオ、ヒブの抗原を含みます。
●予防する病気
百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオ、インフルエンザb型(ヒブ)感染症の発病を予防します。
●接種の方法
四種混合ワクチンと同じスケジュールです。生後2ヶ月から1回0.5mlを20日以上あけて3回(1期初回)、さらに6ヶ月以上の間隔をあけて、0.5mlを1回接種します(1期追加接種)。
接種は上腕に皮下注射するか、大腿に筋肉注射をします。
2023年8月29日、厚労省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会「ワクチン評価に関する小委員会」は、5種混合ワクチンを定期接種化する方針を了承しました。
4種混合ワクチンにヒブワクチン成分を加えた、5種混合ワクチン(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン)の「ゴービック水性懸濁注シリンジ」(阪大微生物病研究会)は2023年3月27日に製造承認されました。
さらに、「クイントバック水性懸濁注射」(KMバイオロジクス)も2023年9月25日に製造承認されました。
2.肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス小児水性懸濁注シリンジ)
●予防接種の内容
2023年4月10日に発売された、15種類の肺炎球菌血清型に対応した、新しい肺炎球菌結合型ワクチンです。
バクニュバンスは、肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンであるニューモバックスとは異なり、プレベナー13と同じ、肺炎球菌の殻の部分を精製し、免疫が高まるよう、ジフテリア毒素を結合させて作られた、結合型肺炎球菌ワクチンです。
4月10日に高齢者の肺炎球菌感染症の予防ワクチンとして承認、販売されました。さらに、小児の侵襲性肺炎球菌感染症にも使用できることになりました。
任意接種として、結合型肺炎球菌ワクチンであるプレベナー13の代わりに接種することができます。
●予防する病気
15種類の肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症を予防します。
一方、プレベナー13は13種類の肺炎球菌(血清型1、3、4、5、 6A、 6B、7F、9、14、23F)の感染症を予防します。バクニュバンスはプレベナー13には含まれていない、22F、33Fの2つの血清型に対しても有効です。
MSD:「バクニュバンス」パンフレットより
プレベナー7(PCV7:7つの肺炎球菌血清型を含む)の導入によって、侵襲性肺炎球菌感染症は激減しました。(上図)
その後、プレベナー13(PCV13:13の肺炎球菌血清型を含む)に変更され、侵襲性肺炎球菌感染症はさらに減少しましたが、今なお一定数の患者が発病しています。
これはPCV13がカバーしている肺炎球菌以外の血清型の肺炎球菌が、病気の原因になっているためと考えられます。バクニュバンスは22F、33Fの2つの血清型にも効果があり、侵襲性肺炎球菌感染症の減少が期待できます。
●接種の方法
小児では、プレベナー13と同様に、生後2ヶ月から27日間以上の間隔で3回接種(1期初回)、さらに1期追加接種として60日間以上の間隔をあけて、もう1回接種します。接種は、1回0.5mlを上腕に皮下注射、または大腿に筋肉注射で行います。
定期接種になれば選択したいワクチンですが、任意接種の扱いになるため、当クリニックでは定期接種であるプレベナー13の接種を優先します。
3.RSウイルスワクチン(アレックスビー筋注用)
●予防接種の内容
2023年8月28日に、厚労省の専門家部会で製造販売が了承されました。
60歳以上の高齢者のRSウイルス肺炎の発病予防、重症化阻止に効果があります。
認可されれば、任意接種となります。
●予防する病気
高齢者のRSウイルス肺炎の予防したり、重症化を防ぎます。子どもは接種の対象となりません。
また、新生児のRS感染を予防するため、妊婦へ接種する新しいRSウイルスワクチンの開発も進んでいます。
いずれにしろ、高齢者用ワクチンのため、小児科専門医療機関である当クリニックではアレックスビーの接種は行いません。
NHK:RSウイルス感染症のワクチン 日本国内初承認へ 対象は60歳以上