けいれん止め座薬の使い方
                                                   
2025.11.3
●ダイアップ坐剤とは

ダイアップ坐剤は、ジアゼパムという抗けいれん剤の座薬です。4mg、6mg、10mgの3種類あります。
体重に0.4~0.5かけた量を目安に使用します。(たとえば、10kgのお子さまなら、ダイアップ坐剤4mgを使用します)

●ダイアップ坐剤の使用方法
熱性けいれんは急激に体温が上昇する時に起こりやすいので、体温が37.5℃以上で(さらに上がりそうな時に)使います。
使用方法は、37.5℃以上の発熱に気付いたら、ただちに1回目を挿入します。そして、38℃以上の発熱が続いていれば、8時間後にもう1度坐薬を挿入します。

ダイアップ坐剤を直腸内に挿入することにより、15分後には有効血中濃度に到達し、2回投与で36~48時間は効果が続くことが明らかにされています。このように2回使用すれば、熱性けいれんはほぼ防げるといわれています。このダイアップ坐剤の使用方法は、熱性けいれんの予防法として、広く行われてきた方法でした。

しかし、最近では熱性けいれんの70%は再発しないこと、ダイアップ使用ではミダゾラムと異なり、すぐけいれんを止める即効性は無いこと、ダイアップ坐剤を使用しても、使用しなくても予後は変わらないという報告があること、ダイアップ(ジアゼパム)にはふらふらするなどの副作用があること、などから使用基準を求める声が上がり、2015年小児神経学会は「熱性けいれんの診療ガイドライン2015」を公表し、ダイアップ坐剤の使用基準(適応基準)を公表しました。

このガイドラインによる、ダイアップ坐剤の使用基準は、
まず「けいれんが15分以上続いたこと」、
さらに次の6項目のうち、
①焦点性発作、または24時間以内に反復
②熱性けいれん出現前から存在する神経異常、発達遅滞
③熱性けいれん、またはてんかんの家族歴
④12ヶ月未満の乳児のけいれん
⑤発熱1時間以内に起こしたけいれん
⑥38.0℃未満のけいれん出現
2項目以上を2回以上反復した場合にダイアップの適応を考える、とその使用が厳格化されました。

当クリニックも、基本的には1回の単純型の熱性けいれんではダイアップ坐剤は処方しません。
2回以上熱性けいれんを繰り返したお子さまについては、上記のガイドラインのダイアップ坐剤の使用基準をお母さまに説明し、使用については相談の上で決定する。という方針で対処しています。

●ダイアップ坐剤の副作用について
眠気、ふらつき、まれに興奮等がみられることがありますが、2~3時間でおさまることが多いので、心配は要りません。ふらつきなどの症状が続く場合は、一度受診して診察を受けて下さい。(ダイアップの副作用というよりは、元の病気そのものの症状の悪化の可能性も疑われるため)

●体温が37.5℃以上になったら、すぐ使用したほうがよいか?
赤ちゃんが入浴の後、食事の後、高温環境下(夏の昼間、車の中)の時に、体温が37.5℃以上に上昇することはよく経験します。そのたびにダイアップを挿入することは、実際は不可能ですし、副作用の面からも好ましくありません。
体温が37.5℃以上となり、さらにぐんぐん体温が上昇するような時に使用を考えるのがよいでしょう。

●他の坐剤との間隔は?
解熱剤の坐薬(アンヒバ坐薬など)は、ダイアップ坐剤を使用して30分以上あけてから使用して下さい。
ダイアップ坐剤とアンヒバ坐剤はお互いの吸収を抑えあってしまいます。
発熱時に熱性けいれんを頻発するお子さまは、まずダイアップ坐剤の使用を優先して考えて下さい。

●いつまで使用を続けるか?
当クリニックでは、始めてのけいれんの場合は、基本的にダイアップ坐剤を使用せず様子を見る、2回目以降のけいれんでは、条件によってダイアップ座薬を処方する、とお話しさせていただいています。(上記の説明の通り)

ダイアップの処方を始めた場合、いつまで使用を続けるかは、個別にお子さまの状態、けいれんの経過、ご家族のご希望もお聞きして、判断させていただいています。
他院でダイアップが処方されている場合は、処方された医師とご相談してください。当クリニックで投薬の有無を判断することは、処方医のお考えがわからないため、差し控えさせていただきます。


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