毎日新聞「予防接種特集記事」について

毎日新聞家庭欄の「予防接種」の特集記事に当クリニック長のコメントが掲載されました。

 当クリニックの予防接種に対する考え方と取り組みの詳細は、鈴の木版予防接種のすべてをご覧ください。一言、「中立」派と「反対」派の言い分にコメントさせていただくと、

 まず、水ぼうそうやおたふくかぜは事情が許しても許さなくても、上手にかかるなどという芸当はできません。どうやったら「上手にかかる」ことができるのか、その方法をこの先生に聞いてみたい気がします。また、予防接種は別に「うそ」の免疫をつけるわけではありません。「上手にかかる」という意味が症状が軽く、そして本物の免疫をつけるという意味なら、この先生の言っていることはまさしく予防接種そのもののことではないでしょうか。
 
 ワクチンを接種することが個人の免疫系や地球の生態系をかく乱するというのなら、この「小児科医」は自信を持って、すべてのワクチンを否定すべきです。「やむをえない」(?)ワクチンは(しぶしぶ)やる、というのは人間のエゴではないのですか。今なおポリオで死亡している多数の発展途上国の乳幼児に対するWHOのワクチン勧奨キャンペーンにも、当然この方は生態系を乱すから行うべきではない、と断固反対行動を起こすべきでしょう。

 この記事の文末の「予防接種について保護者はよく勉強するべきだ」というコメントには大賛成です。しかし、それは客観的に予防接種の功罪を検証すべきだということであり、予防接種を一方的に罵倒する偏向した雑誌を発行している、自称「小児科医」のプロの運動家にこのようなセリフを語らせたのはこの記事の中立性をそこなう、重大な汚点だと思います。取材された記者の方は誠実で良心的な方だったのに、毎日新聞は何故このような記事構成にしたてたのでしょうか。

2005年3月9日毎日新聞朝刊第16面


鈴木博業績集に戻る