鈴木博の医療-子育て政策の提言と実現状況

Ⅲ 子育て支援施策




1.病児保育

2012年第4回定例会の一般質問以来、繰り返し繰り返し、品川区の病児保育事業の充実と拡大を、区に要望してきました。

この7年間、私の病児保育に関する考え方と、区に対する要望は一貫しています。

①病児保育所の増設
②医療的ケアの必要な児も預かれるセンター的な大規模病児保育施設と、地域に散在する開業医療機関が運営する小規模病児保育室のネットワークの構築
③病児保育は、勤労子育て家庭の就労支援だけでなく、在宅子育て家庭をも対象とした、子育て支援として位置付ける

このような要望について、7年間、区と質疑応答を繰り返してきました。当初は「病児保育は2か所で足りている」と頑なだった区の態度も、担当者と論議を進めるうちに、次第に理解を示していただけるようになり、子ども子育て計画の進捗等もあり、病児保育の増設の取り組みが現在進められています。そして、平成30年度には2施設、平成31年度にも2施設、新たに病児保育所が開設される予定になりました。

私も区の施策に最大限協力し、病児保育事業の推進に注力しています。


2012年(平成24年)第4回定例会 病児保育に関する一般質問部分(2012.11.22)

 次に、病児保育についてお尋ねします。

 今回のアンケートでは、病児・病後児保育の拡充を望む声が数多く寄せられました。
 病児保育所とは、保育園児・幼稚園児が病気になったとき、働くご両親のかわりに病気のお子様を預かる保育施設です。また、病後児保育所とは、病気の回復期で安静が必要なお子様を預かる施設です。

 現在品川区では、医療機関併設型の病児保育所が2か所、病後児保育室が区立保育園3か所と私立保育園1か所の計4か所で開設されています。なぜ病児保育が必要か。それは、お子様が病気になったときに保育所・幼稚園では預かってもらえないからです。園の立場からすれば当然のことでありまして、感染症の子どもを預かれば集団保育の中で感染症が蔓延することになります。

 そのため、お子様が病気になったときに、病気のお子様を預かり、保護者のかわりに看病し、保育するのが病児保育所です。病児保育は、医師の診察・管理のもとで、看護師・保育士が保育看護を行います。病児・病後児保育事業で品川区の委託を受けている2か所の病児保育所を利用する場合、利用料金は1日2,000円です。定員は合わせて8名です。これが品川区の保育園児5,468名、幼稚園児3,949名の受け皿になっているのです。

 小児科医会のアンケートでも、これだけ要望のある病児保育所の数に関して、1医師会に1か所、すなわち品川区医師会地域で1か所、荏原医師会地域で1か所、合わせて2か所にとどめるというお話をお聞きしました。また、平成24年度の事務事業評価結果一覧でも病児・病後児保育委託事業の評価はBであり、一定程度のニーズがあることから、現行水準で実施するとされています。


 品川区の担当者が病児・病後児保育は現状でよいとお考えなら、どのような調査によってこの病児保育の施設数が適切だという結論になったのか、ぜひお伺いしたいと思います。


 病児保育は必要悪であり、看護休暇が自由にとれるようになれば必要なくなる存在だという意見を耳にします。しかし、看護休暇が自由にとれる時代になり、自宅で病気のお子様のお世話ができるようになっても、子育てに不安がある保護者はお子様の看病に一喜一憂するに違いありません。離乳食のつくり方やベビーマッサージですら育児サービスとして実際に子育て支援事業として立ち上げているのに、病気の子どもの看護の仕方の実地の援助がないのはなぜなのでしょうか。
 病児保育は、お子様が病気のときに実際に育児に慣れていない親に病気の看護を実際に学んでいただく、親育て、子育て支援サービスとしても発展させていくことができるものと期待されます。

 
病児保育事業は就労支援のみでなく、親育て・子育て支援事業としても重視するべきと考えますが、区のご見解はいかがでしょうか。

 そのために、病児保育所を大崎、荏原、大井、品川の各エリアに点在させ、病気のお子様が必要なときに利用できる安心の子育てセーフティネットワークを構築されることを切に望みます。

◯子ども未来事業部長答弁(金子正博君) 
 私からは、子育て支援に関するご質問にお答えします。
 
 次に、特別保育事業のうちの、特に病児保育についてですが、区としましては、子どもが病気のときには親が看護するものとの考え方から、やむを得ず仕事が休めないときのための就労支援として病児保育を実施しているところです。

 
近年の利用実績を見ますと、定員8人を充足している日はほとんどなく、需要には対応できていると考えております。

 病気の子どもの自宅での看護の仕方につきましては、保健センターで実施している母親学級のテキストに掲載しております。また、お子さんが生まれてからは、乳児期前期母親学級や乳幼児健診の中で説明をしております。

 さらに、地域の母親グループや児童センターからの依頼により、子どもが病気になったときの自宅での対処の仕方、受診の目安などのお話を出張健康学習として行っており、今後も機会をとらえて対応してまいりたいと考えております。

 これらのことから、
病児保育については現在のところ2か所を維持していく考えでございます。

◯鈴木博君再質問 
 それぞれお答えありがとうございました。1点だけ再質問させていただきます。

 今の金子部長の病児保育は、今の利用実数がこのぐらいだから足りているというご説明だったんですが、ご存じのように病児保育というのはキャンセルが多くて、実際の利用と潜在的なニーズはあまり一致しないのではないかと考えております。実際の利用の人数が何人だから足りているというのはちょっと根拠が弱いのではないかという気もいたします。
 その点の補足のご説明をよろしくお願いいたします。

◯子ども未来事業部長再答弁(金子正博君) 
 鈴木議員の病児保育についての再質問にお答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、病児保育そのものはやむを得ず仕事を休めないときのための、いわばセーフティネットとして、私どもも用意しているものでございます。

 ニーズに関しましては議員からご意見がありましたけれども、実際のところ、そういった
ニーズには今のところ対応できていると考えているわけなんですが、今後に向けましては、今後ともさまざまな保育に関する調査をしてまいります。その時点時点で適切にそれを分析し、対応についても検討してまいりたいというふうに考えてございます。



2014年(平成26年)第3回定例会 病児保育に関する一般質問部分(2014.10.23)

 第1に、病児保育についてお伺いします。

 計画案には病児保育の整備も盛り込まれています。先ごろ実施された品川区子ども・子育て支援事業計画の策定に伴う意向調査の速報版によれば、「病児・病後児のための保育施設等を利用したかったか」という質問に、3歳未満で57.9%、3歳以上で49.4%の保護者が「利用したい」と回答しています。

 平成24年の第4回定例会の一般質問で紹介した荏原小児科医会での病児保育のニーズが高いというアンケートの調査結果が裏づけられたデータと考えます。

 しかし、第1回子ども・子育て会議の議事録によれば、「病児保育の施設数は現行の2か所のままとし、定員を現在の4名から6名に増員する方向で検討する」と保育課長が発言されたようです。

 
2名ずつの定員増で対応できるとお考えの根拠をまずお伺いします。

 NTT東日本関東病院や東芝病院などに病児保育を併設した院内保育所の開設を働きかけてはいかがでしょうか。これらの病院は品川区にあり、スペースもスタッフもそろっており、院内保育所は事業所内保育施設として補助を受けることも可能です。多摩地区の8自治体が開設している公立昭和病院のように病後児保育を受け入れている事例もあります。

 
ぜひご検討お願いしたいと思います。

◯区長(濱野健君) 
 私からは、まず病児保育に関するご質問にお答えを申し上げます。

 品川区子ども・子育て計画の策定におきましては、事前に子育て世帯を対象としたニーズ量調査を行いました。このニーズ量調査の結果でありますけれども、どこの自治体でも同じ傾向でありますけれども、特定の項目で実績値と大きく乖離するものがございます。

 この病児保育に関する項目も同じでございますが、子ども・子育て会議の意見を聞きまして、このニーズ量の補正を行いました。そして、その補正値をもとにして確保方策を考えたところでございまして、
既存施設の定員増による対応が考えられるとしたものでございます。

 しかし、いずれにいたしましても、この確保方策というものは、平成27年度以降、実績値等に基づいて毎年度再検討していくものでございますので、ご提案の内容につきましては、再検討の際の検討項目の1つとさせていただきたいと考えております。


2014年(平成26年)平成25年度決算特別委員会民生費 病児保育に係わる部分(2014.11.7)

◯鈴木(博)委員  
 よろしくお願いいたします。成果報告書136ページ、138ページの病児保育、病後児保育についてお尋ねしたいと思います。

 136ページには、病児保育2カ所で延べ691人、病後児保育1園で延べ700人と記載されています。現在、区委託の病児保育は、武蔵小山のサンタハウスこどもクリニックのチャイルドサンタと、東大井の酒寄医院のまちかど保健室しながわの2カ所で行われています。また、病気の回復期の子どもを預かる病後児保育施設は4園あり、1園は私立どんぐり保育園RESTで、あと3園は区立の西五反田保育園どるふぃんと清水台保育園ラベンダーと西大井保育園ウエストエンゼルです。

 
まず、平成24年度、平成25年度のそれぞれの病児・病後児各施設のお預かりの実績をお示しください。

◯竹田保育課長  
 実績のお問い合わせでございます。

 まず、病児保育につきましては、平成24年度が2施設の合計が延べ271名、平成25年度が691名となっております。平成24年度が少し少ないのは、1施設が平成24年8月から開設した影響でございます。

 それから、病後児保育でございますが、平成24年度の4施設の合計が1261名、平成25年度が1107名となっております。

◯鈴木(博)委員  
 それぞれの各施設のデータはございますか。

◯竹田保育課長  
 まず、病後児保育のほうでございますが、西五反田保育園は平成24年度が304名、平成25年度が250名。清水台保育園は平成24年度が105名、平成25年度が80名。西大井保育園は平成24年度が113名、平成25年度が77名、どんぐり保育園が平成24年度が739名と平成25年度が700名でございます。

 それから、病児保育でございますが、平成24年度は、酒寄医院が83名、サンタハウスこどもクリニックが188名。それから平成25年度は、酒寄医院が28名、サンタハウスこどもクリニックが663名でございます。

◯鈴木(博)委員  
 病児保育の預かり人数が、平成24年度から平成25年度にかけて、271人から691人に急増していることで、1施設、チャイルドサンタのほうが8月から開設したためだと、今、理由をお示しいただいたのですが、私が聞くところによれば、ある病児保育所では定員4名以上では受けてはいけないと言われて、定員いっぱいまで予約をとっても当日のキャンセルが多く、定員割れが日常的だとお聞きしましたが、そのような問題は現在どのように検討されているのでしょうか。

◯竹田保育課長  
 両施設とも4名の定員で、今、運営しているところでございます。子どもを預かる課題としましては、先ほどもちょっと申し上げたのですが、非常に病状が変わりやすいということで、キャンセルが多い。

 それから、保護者も早くから預かってくれるところを確保して安心したいという、ちょっと大人とは違った特性がありますので、子どもの特性として一定程度キャンセルが多いというのは仕方ない部分もあるものだと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 先日の一般質問でも触れましたが、先ほど実施された品川区子ども・子育て支援事業の策定に伴う意向調査の速報版によれば、病児・病後児のための保育施設を利用したかったかという質問をして、3歳児未満の保護者では776人中の57.9%が、3歳児以上の保護者では779人中の49.4%が利用したかったと答えています。271人から691人に利用者が急増して、今のお話だと今年度もサンタハウスのほうはすごく多いみたいなのですが、これは潜在的なニーズが強いから種々の対応策を越えて利用者が急増したというような点では、区のお考えはいかがでしょうか。

◯竹田保育課長  
 品川区子ども・子育て会議のニーズ調査によりますと、非常に大きなニーズがあるというところが数字で表われているところでございます。ただ、その数値が、全国的な傾向なのですが、ちょっと実態と乖離しているところもございますので、品川区子ども・子育て会議のご意見を聞いたところ、若干の補正が必要だというご意見をいただいているところでございます。
 今後の確保方策としましては、実績値を毎年検討しまして、毎年度再検討していきたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 実際私のところでも、区の病児保育所を利用できなかったという保護者の一部は、民間の病児保育業者に流れています。病児保育所は、量ではなく数を増やすべきだと思います。

 6月12日に開催された第1回品川区子ども・子育て会議でも病児保育事業は議題に上り、ニーズ量と今お話があった実績で乖離があるため、補正を行うと決められたようです。また第1回品川区子ども・子育て会議の議事録を読むと、病後児保育の利用の待機数もカウントしてよいのではないかという意見も出たようです。

 たびたび問題になるのはキャンセルですが、例えば次のようなケースを考えてみます。

 「夕方、子どもが熱を出した。明日はどうしても仕事を休めないので、病児保育を予約した。
 かかりつけの診療所で薬をもらい、早く子どもを休ませた。明日は仕事を休まなくてもすみ、一安心した。
 翌日になったら熱が下がって、子どもは元気に登園できた。病児保育は利用せず、キャンセルした。
 でも、熱が下がらなければ病児保育に預けることができるので、安心して過ごせた。
 ありがとう、品川区。病児保育の予約ができて良かった。」


 このような、おそらく何百例もあるだろうキャンセル例というのは、立派な病児保育の利用者ではないでしょうか。
 
しかし、現在の利用実績では、このようなケースは利用者の中にカウントされません。病児保育はいつでも必要なときに利用できる存在であるからこそ、安心なのです。

 現在、2施設、最大8名枠の病児保育所が、品川区の保育園児7279名、幼稚園児4173名、計1万1452名の受け皿になっているのです。
 第1回品川区子ども・子育て会議で述べられた実績とニーズから、ニーズ量を補正し、算出することについての意義をもう一度お尋ねします。

◯竹田保育課長  
 委員が例としてお出しいただいたケースですが、そういったこともたくさんあろうかと思います。

 実際にお預かりしなかったとしても、保護者の方に、明日はいざとなったら預けられる、という心の安心感で子育て世帯をサポートしている部分というのも、たくさんあると思います。今後もキャンセルがあった場合はどういうケースなのか、ということを十分に分析していきながら、今後のあり方を考えていきたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 現在、保育園・幼稚園ではここ数年、特定の感染症が爆発的に大流行しています。その原因の一つとして、病気の子どもが急性期に、あるいは治らないうちに登園していって、園内に感染症を持ち込むケースが多いからです。

 そして、
実際に発病した子どもたちというのは、保育園の部屋の一室で親が来るまでずっと待つことになります。子どもたちの幸せとは何なのか、また品川区子ども・子育て会議でも述べられていた、誰のために何のために一番大事なことなのかという点をしっかりと踏まえて、病児・病後児保育事業の今後のご検討をよろしくお願いしたいと思います。



2016年(平成28年)第3回定例会 病児保育に関する一般質問部分(2016.9.23)

 まず、病児保育についてお尋ねします。

 病児保育所とは、保育園児などが病気になったとき、働く保護者のかわりに病気の子どもを預かり、医師の管理のもとで、看護師、保育士が保育看護を行う施設です。なぜ病児保育が必要なのか。それは、子どもが病気のときは保育所で預かってもらえないからです。感染症の子どもを預かれば、保育所の中は感染症が蔓延することになります。

 「品川区子ども・子育て支援事業計画の策定に伴う意向調査」速報版によれば、「病児・病後児施設等を利用したかったのか」という質問に、3歳未満の園児の保護者では57.9%、3歳以上の園児の保護者では49.4%が「利用したかった」と答えています。

 現在、病児保育所は足りていません。したがって、病児保育所に預けることはできません。そのため、小児科の現場から見ていると、今、保育現場では、熱があっても、下痢をしていても、親は子どもを保育所に預けに行きます。保育所側は子どもの症状に応じてお迎えを要請しますが、その間、病気の子どもは保育所にとどまることになります。保育所の一角に熱を出している子どもたちがごろごろと横たわって親のお迎えを待っているという光景は、今では珍しくなくなりました。その結果は、保育所における感染症の大流行です。

 品川区の病児保育所で今必要なのは、数を増やすことです。そして、しっかり医師が管理できる施設です。病児保育所はいつでも必要なときに利用できる存在であるからこそ、安心なのです。そして、それが健康な園児を守ることにもつながるのです。

 
ぜひ、病児保育所の増設を要望いたします。区のご見解を伺います。


◯区長答弁(濱野健君) 
 私からは、子育て支援についてお答えをいたします。

 初めに、病児保育の増設についてですが、子ども・子育て計画では平成29年度から2名の定員拡大を予定しており、現在、委託医療機関と協議を進めているところでございます。

 今後、子どもが病気で集団保育が難しい場合でも、子育てと就労を両立させたいという保護者ニーズが高まると見込まれますので、地域バランスに配慮した実施医療機関の確保に向け、品川・荏原両医師会に協力を求めてまいります。

2017年(平成29年)平成29年度予算特別委員会民生費病児保育に関する部分(2017.3.10)

◯鈴木(博)委員  
 そのための施策の中核が、切れ目のない子育て支援を目指すしながわネウボラネットワークの構築であり、さらに強力に進める待機児童対策であり、きめの細かい在宅子育て支援であり、もっとも子育て家庭が熱望している病児保育の充実だと考えます。以下、病児保育としながわネウボラネットワークについて質問いたします。

 病児保育は多様な保育サービスの一つに位置づけられておりますが、平成20年に行われた内閣府の少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査でも、「待機児童解消のため保育所の数と定員を増やす」の64.9%に次いで「病児・病後児保育の充実」は54.7%で第2位にあり、延長保育、一時保育、休日保育、夜間保育などに比べてはるかにそのニーズが高いということがデータ上明らかになっております。

 現在、児童が発熱等の急な病気になった場合、集団保育は困難であって、保護者が家庭において看護できない場合の受け皿として病児病後児保育というものは位置づけられております。病児病後児保育に対する区の認識はいかがでしょうか。

◯佐藤保育課長  
 病児保育等に対する区の認識でございますが、当事業が必要な親がいる一方で、親が病気の子どもを見守れる社会環境の整備も必要であると考えております。区としては病気のときはご家庭で見ていただくというのが基本でございますが、保護者の就労支援という面でニーズが高まっているという認識はございますし、品川区子ども・子育て計画上もそのようになっております。

◯鈴木(博)委員  
 基本は保護者が看護休暇をとり、病気の子どもの看護に当たるのが本筋だというのはそのとおりだと思います。看護休暇が取得しやすくなるなど、社会の生き方、これの変化を働きかけるということも非常に大切な施策だと思います。

 ところが、現実には近年家庭での親の看護の仕方について、病気の子どもを見ることができなくなっているという例にたびたび遭遇します。
 背景には、単身家庭の増加、価値観の多様化、生活レベルの二極化、自殺者、精神疾患罹患率の増加などの社会的な変化もあります。また、育てにくい子どもが増えています。親意識の希薄な親も激増しています。一昔前では当たり前だった子どもの世話が自分ではできない親が増えています。

 子どもが嘔吐しても、茫然として、全く手が出せない親を診察室で見かけます。誰かに子どもの世話をしてもらう、子どもより自分のほうが大切だという意識の親もちらほらと見かけるような現実になってきました。

 そのため、子どもが一旦病気になると、親子関係、家庭環境は直接的な危機になります。不安定な社会、子育て環境が劣悪化している状況の中で、思いどおりにならない、予測できないことが起こると不安や恐怖を引き起こす、子どもや保護者が激増している今だからこそ、きちんと親子を受け入れて、身体的にも精神的にも社会的にも子どもを守り、親を支えるトータルケアが行えるセーフティーネットが必要と考えています。それが病児保育です。

 病児保育に関しては、平成29年度定員を4名から8名増加させる施策が品川区のほうで決まりました。長年病児保育の充実を求めてきた要望の一部が実現したものとして高く評価しております。

 しかし、定員を増やすことは利用者も増えるがキャンセルも増えるということになります。平成26年度の決算特別委員会で私が求めた病児保育のキャンセルを利用者として取り扱うように再度要望したいと思いますが、区のご見解はいかがでしょうか。また、病児保育を就労支援だけではなく子育て支援として位置づけるというこの考え方に対しては、区のご見解はいかがでしょうか。

◯佐藤保育課長  
 委員ご指摘のとおり、病児保育事業においてはキャンセルが多いというのは大きな課題でございます。区の事業におけるキャンセル数は各医院でカウントをとっていないため把握しておりませんが、国の調査によりますと、全体の約25%がキャンセルされているとのことです。キャンセルの方を利用者として扱う件も含めまして、この課題については解決に向けての検討が必要だと考えております。

 また、2点目の子育て支援の側面でございますが、まず特別支援のお子さんが平成26年から比較すると約90人、今年度250人いらっしゃいます。また、子育てに悩んでいるお母さんが多数いるというのも保育園から聞いております。総合的な子育て支援の検討が今後より必要になってきているという認識でございます。

◯鈴木(博)委員  
 病児保育は定員を増やすだけではなくて、施設を増やすことを目指していただきたいと思います。
 病児保育は身近に点在し、いつでも必要なときに利用できる存在であるからこそ安心であり、セーフティーネットとして頼れる子育て支援の施設になると思います。

 病児保育をやりたいという志のある意欲的な医療機関は必ず存在しておりますし、今までミスマッチで見つからなかったかもしれませんが、これからもおそらく出てくると思われます。ぜひそのような申し出があった場合は、区としても前向きに対応してほしいと要望したいと思いますが、区のお考え、立場はいかがでしょうか。

◯佐藤保育課長  
 まず、来年度、品川区子ども・子育て計画5年間の中間年を迎えることもありまして、各事業の実績等の点検を行う予定です。この中で病児保育についても委員の皆様にいろいろなご審議をいただく予定です。

 また、
今後の病児保育施設の増設についてですが、現在ある2施設だけでは区内全体を網羅しているとは言えないと考えております。区内の保育ニーズの高まりだけではなく、保護者の就労支援、委員ご指摘の社会状況の変化、国が事業の推進を求めていることもございますので、またさらには国等の補助金もあります。施設整備の相談等があった場合は、話を聞いていきたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 前向きなご答弁、非常にありがたく、心強いと思います。今後とも品川の母と子のために施設の整備をよろしくお願いいたします。



2017年(平成29年)第3回定例会 病児保育に関する一般質問部分(2017.9.22)

次に、病児・病後児保育についてお尋ねいたします。

 病児保育は多様な保育サービスの一つに位置づけられています。平成20年に行われた、内閣府の少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査でも、「待機児童解消のため、保育所の数と定員を増やす」に次いで、「病児・病後児保育の充実」は第2位であり、「延長保育の充実」、「一時保育の充実」、「休日保育の充実」、「夜間保育の充実」などより、はるかに高いニーズが示されました。

 現在、子どもが急な病気になったとき、集団保育が困難であって、保護者が家庭において看護できない場合の受け皿として、病児・病後児保育は位置づけられています。子どもが病気のときに保護者が看護休暇をとり、子どもの看病をすることは基本だと考えます。そのため、看護休暇を取得しやすくするなど、社会の働き方改革も非常に重要です。

 それでは、看護休暇が取得され、親が子どもの看病ができるようになれば、解決なのでしょうか。近年、病気の子どもの看病をできない親が増えています。自宅で病気の我が子の看病をしようにも、何をしたらよいかわからない親が増えているのです。そのため、子どもが一旦病気になると、親子関係、家族関係が直接的な危機になるケースも見られます。

 きちんと病気の親子を受け入れ、身体的にも精神的にも社会的にも子どもを守り、親を支えるトータルケアが行えるセーフティネットが求められています。病児保育こそ、その役割を担う存在だと確信します。

 
病児保育を就労支援という観点だけではなく、子育て支援施設として位置づけるべきと考えますが、区のご見解はいかがでしょうか。

 平成29年度、病児保育施設の1施設の定員増加は、長年、病児保育の充実を求めてきた要望の一部が実現したものとして、高く評価いたします。しかし、病児保育所は、いつでも必要なときに利用できる存在であるからこそ安心なのです。品川区の病児保育所で今必要なのは、医師によりしっかり管理された施設の数を増やすことです。

 
病児保育所の増設に対する区の見解、取り組みをご説明ください。

 また、病後児保育所は、病気の回復期の子どもを預かる施設です。病気の回復期に限定されているため、利用者は多くありません。平成26、27、28年の利用人数は、事務事業概要によれば、836人、829人、590人と減少し続けています。利用者からは病児保育との違いがわかりにくいという声もあるようです。

 
病後児保育所の現状について、ご説明をお願いいたします。

 病後児保育所は思い切って廃止し、条件の整ったところは病児保育所に転用する。そして、公設民営の病児保育所を開設し、幅広い病児を受け入れる。

 また、昭和大学病院、NTT東日本関東病院など、基幹病院に事業所内保育所と併設の形で病児保育所の開設を働きかける。

 従来の診療所併設型の病児保育所は施設を増やし、地域ごとに展開し、軽症な病児を受け入れる。

 
このような病児保育の充実こそ、子育て家庭の熱望に応える施策と考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。

◯子ども未来部長答弁(福島進君) 
 私からは、子育て支援についてのご質問のうち、病児・病後児保育等についてお答えいたします。

 まず、病児保育ですが、区では、子どもの看護は保護者が行うことを基本と考えており、就労支援の観点から、保育園等の在園児を自宅で看護することが困難な場合に、医療機関で病児保育を行っています。

 病児保育事業の在宅子育て世帯への活用につきましては、さまざまな課題がありますので、今後の研究課題とさせていただきます。

 病児保育所の増設については、
子ども・子育て計画で定めているニーズ量から、増設が必要な状況ですので、今後も開設を進めてまいります。なお、平成30年4月から新たに病児保育室を大井2丁目に1施設開設する予定です。

 病後児保育の現状ですが、乳幼児の病状は不安定なこともあり、看護師が対応する病後児保育ではなく、医療機関に併設している病児保育を希望する保護者が増え、病後児の利用は減少傾向にあります。

 病後児保育施設の廃止と病児保育のネットワーク構築については、利用者のニーズ等を調査し、検討してまいります。



2017年(平成29年)平成28年度決算特別委員会歳入 病児保育に関する部分(2017.10.2)

◯鈴木(博)委員
本日は、病児・病後児保育事業について、一般質問に引き続きお尋ねいたします。

 まず、病児・病後児保育事業についてお伺いいたします。現在、品川区が4園で行っている病後児保育事業について、保育園保護者の間で認知度が低いこと、骨折など、利用できる疾患が限られていることにより、利用者が減少し続けている状況を一般質問で取り上げました。

 
病後児保育事業の現状を区はどのように把握・分析されているのでしょうか、質問いたします。

◯佐藤保育課長  
 病後児保育の関係でございますが、平成28年度実績は590件で、前年度から239件減っております。乳幼児の病状は不安定なこともあり、医療機関併設型の病児保育を希望する保護者が増えているという影響から、病後児の利用が減っているという認識でございます。

◯鈴木(博)委員  
 病後児保育所だけではなく病児保育所を保護者が希望しているという現状分析は、私たちも共通しているところであります。そのために、病後児保育所を廃止し、思い切って病児保育所に転用するという提案をさきの一般質問で行いました。

 
今後の病後児保育事業について、区はどのようにお考えでしょうか。

◯佐藤保育課長  
 委員ご指摘のとおり、病後児保育のほうの需要は減少傾向にありますので、今後の事業展開につきましては、子ども・子育て会議の中で十分検討してまいりたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 今ある資源を有効に活用し、病児保育所の増設を希望する区民のニーズに応える1つの方策として、ぜひご検討をお願いしたいと思います。

 9月の文教委員会で、病児保育所の新設の報告がありました。病児保育所の新設は、かねてから我が会派が繰り返し熱烈に要望してきたものです。今回の病児保育所新設を歓迎し、担当の方々のご努力に敬意を表したいと思います。

 早速、9月23日の日経新聞でも「品川区に病児保育」と報道されていましたが、新しい病児保育所開設に至る経緯について、ご説明をお願いします。

◯佐藤保育課長  
 病児保育所開設の経緯でございますが、最初のご相談は平成29年2月にございまして、そのときは場所が決まっていませんでしたので、区の姿勢と、ぜひ区内にというお話をさせていただきました。

 その後、6月に、急に場所が決まったということでお話をいただきまして、その時点で国や都の補助金の申請期間が過ぎておりましたが、補助金を取らなければなりませんので、国や都のほうに強く要請しまして、今回、補助金の目途が立ちましたので、補正予算で計上させていただいたところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 いろいろご苦労さまでした。昨年の既存病児保育所の定員増員に次いで、新たに1施設が開設されることになり、病気の子どもに対する品川区の保育行政の取り組みを高く評価いたします。
 子ども・子育て計画の検討を踏まえて、今後の病児保育所の増設計画についてご説明をお願いいたします。

◯佐藤保育課長  
 今後の増設の関係でございますが、現在の子ども・子育て計画では、約2,500ほど枠がまだ足りない状況であります。
 今回、平成30年4月から1施設開設いたしますが、まだ足りませんので、今後も医師会等と協議しまして、地域バランスを考えて計画達成に向けて努力していきたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 さまざまな医療機関とも協議しながら、今後も病児保育の増設に向けてご努力をお願いしたいと思います。

 病児保育所は、病気の子どもを預かるという点で、通常の健康な子どもを預かる保育所とは大きく性格が異なります。まず、預かり中に病状の急変も起こり得るし、事故が起こる可能性も高いです。また、子どもが健康な状態でないため、親とその保育内容に関してトラブルも起こりやすいと言われています。

 
直接的には委託施設と利用者の間の問題になると思いますが、区はどこまでかかわるのか、あるいはかかわることができるとお考えでしょうか。

◯佐藤保育課長  
 施設開設の前の段階では、これまでの医師の経歴や熱意、動機等を確認させていただき、医師会等と情報を共有させていただきます。

 開設後につきましては、利用状況等の報告を医療機関からいただくのとあわせて、随時、意見交換をさせていただき、よりよい制度に向けて、見直しできるところは見直していきたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 病気の子どもが心身とも療養し、病気から早く回復できるように、区として必要な部分に関しては、子どものために、親と施設の両方にかかわるようお願いしたいと思います。




2018年(平成30年) 平成30年度予算特別委員会民生費 病児保育に関する部分(2018.3.9)

◯鈴木(博)委員  
 よろしくお願いいたします。

 病児保育は、多様な保育サービスの一つに位置づけられていますが、平成20年に行われた内閣府の子育て助成の意識調査でも、保育所の数と定員を増やすことに次いで2番目に要望が多く、子育て家庭のニーズが非常に大きい保育事業です。

 私のクリニックには、特別養子縁組の親子が何組か受診されておりますが、保護者の方に今一番してほしい支援は何かとお尋ねしたところ、病児保育だと即答されました。子どもが病気になったときが一番大変だとそのお母様はおっしゃっておりました。きちんと病気の親子を受け入れ精神的にも身体的にも社会的にも子どもを守り親を支えるトータルケアを行うセーフティーネットが必要とされています。

 病児保育こそ、その役割を担う究極の子育て支援なのだと一貫して訴えてきました。

 2月の文教委員会で中延に新規開設する民設民営の保育園の1階部分に病児保育室を併設するという報告を受けました。この決定を高く評価いたします。

 まず改めて品川区の病児保育の取り組みやその必要性についてのご認識について、ご答弁をお願いいたします。

◯佐藤保育課長  
 病児保育の必要性等についてでございます。区といたしましては病気のときにはご家庭で見ていただくことが基本と考えておりますが、一方、保護者の就労支援という面で委員ご指摘の子育て助成の意識調査や、子ども・子育て計画のニーズ調査等の結果から病児保育の需要が高い状況であると認識しております。

 区としての取り組みですが、子ども・子育て計画に目標値を明記いたしまして、病児保育施設の新規開設に向けてさまざま調整・検討を進めているところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 品川区の病児保育施策で今一番必要なのは、医師がしっかりと管理した施設を増やすことです。病児保育所がいつでも必要なときに利用できる存在であるからこそ、安心なのです。

 9月補正で大井地区に新しい病児保育施設を整備する費用が計上されました。この病児保育施設の整備計画のその後の推移はいかがでしょうか。

◯佐藤保育課長  
 9月補正でご審議いただきました病児保育施設の件でございますが、医療法人が病児保育の開設に当たりまして確保しておりました管理医師が急に辞退の申し出をしたため、ほかに担える人材がいないかを探してもらうなど、運営事業者と開設が可能か調整を続けてきました。

 当該医療法人では人材の確保が困難な状況であるため、現状では残念ながら予定していた4月開設は難しい状況ですが、今後も引き続き働きかけてまいります。

◯鈴木(博)委員  
 なかなか大変な事態になっているようです。病児保育の開設は大変ですので、4月は無理だとしてもなるべく早い開業に向けて、保育課としても運営事業者と十分協議してご努力いただきますようお願いしたいと思います。

 また、東大井の病児保育室が3月31日付で閉鎖すると、その医院のホームページに告知されておりました。この経過についてもご説明お願いいたします。

◯佐藤保育課長  
 病児保育事業を行っていた医療機関の閉鎖の件でございますが、長年病児保育に貢献していただいておりましたが、大井地区に開設の予定があったこともありまして、年度末で閉じる予定でこの間の調整をしてきました。

 以前から本来業務がお忙しく、地域医療で地元に貢献されているところを、区が無理を言ってこの間続けてきていただいた経過もありますので、今年度で閉鎖するというのは、さまざまな状況から致し方ないかと考えているところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 今お話のこの診療所はもともと内科であることと、高齢者の地域包括ケアシステムの構築でも、現在区に多大な貢献をされているので、病児保育室の閉鎖に関してはやむを得ないものとして了解いたしました。

 ただ、大井地区の病児保育施設の開所もおくれているということなので、区の構想する今後の病児保育施設の開設の見込みについてはいかがお考えでしょうか。


◯佐藤保育課長  
 今後の病児保育の開設の見込みでございますが、現在南大井地区に調整中の医療施設がございます。詳細がより明確になりましたら、また補正予算でお願いして、年度内早い時期の開設を目指したいと今は考えております。

 また、来年度中延に新設する保育園と併設をいたしまして病児保育を実施する予定もございます。今後も医師会等と連携して病児保育の拡充に努めてまいりたいと思います。

◯鈴木(博)委員  
 病児保育はキャンセルが多いこと、病気の子どもを施設まで連れていかなければならないことなどを考えあわせると、1施設の定員数を増やすよりも、かねて要望し、今もお話があったように施設を分散して数を増やすということを目指していただきたいと思います。

 病児保育施設はネウボラネットワークと同じように、身近に点在し、いつでも必要なときに利用できる存在であるからこそ、安心で頼れる究極の子育て支援施設となるのです。病児保育をやりたいという意欲的な医療機関は今後も手を挙げてくると思われますので、ご希望があれば区としても前向きな対応をお願いしたいと思います。

 また、医師会も社会貢献として病児保育へのかかわりを考えています。両医師会ともしっかりと連携して、病児保育の質・量の向上を図り、品川区の子育て支援の輪が大きく広がることを希望して、次の質問に移ります。


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