鈴木博の医療-子育て政策の提言と実現状況

B 感染症対策


2019年、中国武漢市で新型コロナウイルス感染症が発生してから3年、ようやくコロナパンデミックは終了しつつあります。2019年から3年間、品川区議会厚生委員会委員長として、品川区のコロナ対策の最前線で活動してきました。3年間の新型コロナウイルス感染症対策の取組と活動を報告いたします。




2.新型コロナウイルス感染症対策

 新型コロナウイルス感染症の感染対策とコロナワクチンの対応について、区の担当者と質疑を通じて情報を共有し、品川区の感染対策を進めました。



2022年(令和4年)令和4年度予算特別委員会補正予算 新型コロナウイルス感染症対策に関する部分(2022.3.2)

◯鈴木(博)委員
 本日は、補正予算書47ページの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金から、子どものコロナウイルスワクチンについてお伺いいたします。

 昨日来、小児科のクリニックには、小児のコロナワクチンについての問合せが殺到しています。一昨日、品川区の多くのご家庭に、区から小児用コロナワクチンの接種券が届いたためと思われます。それを受け取ったご家族からの相談のお電話が、クリニックにひっきりなしにかかっているのが現状です。

 本日はまず、今月から開始されることになった、小児用コロナワクチン事業についてお伺いいたします。

 2019年12月、中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症は、オリジナルの武漢株、アルファ株、デルタ株、そして今回のオミクロン株と変異を繰り返し、世界的大流行が今なお続いています。新型コロナウイルス感染症の最大の流行国のアメリカでは、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、小児の患者も激増し、2021年11月末までに小児の感染者数は600万人を突破、うち5から11歳の内訳は190万人でした。アメリカ疾患予防管理センター(CDC)によると、これまでに新型コロナウイルスが原因で入院した5から11歳のアメリカの患者は8300人で、うち94人が死亡しています。これは全米の5から11歳の死因の、実に第8位となっているのです。さらに新型コロナウイルス感染症の流行中、学校に登校できなかった子どもは全米で100万人以上に上り、小児神経科の受診率も3割も増加したと、アメリカ在住の日本人小児神経科医は報告をしています。

 アメリカにおける小児のコロナ感染の増加に対し、アメリカ疾患予防管理センターは、2021年11月に、新型コロナウイルスワクチンの接種年齢を5歳以上へ引き下げ、5から11歳の小児のワクチン接種を始めました。アメリカ以外でも、カナダ、フランス、イスラエルは、小児に対するコロナワクチンの接種を推奨し、イギリス、ドイツでは、リスクのある児に対し、コロナワクチンの接種を推奨しております。

 翻って我が国においても、3月から小児のコロナワクチンの接種が始まることになった経緯について、まずご説明をお願いいたします。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 お答えいたします。

 我が国におきましても、新型コロナ感染者の中で、小児の感染者は激増いたしました。感染者全体に占める小児の割合、増加しました。2022年1月の新規感染者では、全体のおよそ4分の1が10歳代以下という統計も、厚労省のホームページから拾うことができます。区でも同様の状態で感染者が増えておりました。

 その中、我が国でも、2022年1月21日に、5から11歳を対象とした小児用新型コロナワクチンが薬事承認をされまして、接種が始まることとなりました。

◯鈴木(博)委員  
 諸外国、西欧の諸国、アメリカに引き続いて、日本でも子どもにおいて新型コロナウイルスの流行がだんだん増えているという現状が、今お話を伺って理解できました。

 我が国においては、第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の質疑を踏まえ、しかしながら、小児用コロナワクチンは特例臨時接種の対象とし、接種についての努力義務は課されないことになりました。

 これはオミクロン株の子どもに対する感染者数、重症化率がまだ増加中でまとめ切れていないこと、また、ワクチンの発症予防効果、重症化予防効果についても、デルタ株では明らかに認められましたが、オミクロン株についてはデータがまだ集積中でまとめられていないことなどが理由とされました。

 接種を行わないご家庭のお子さまが差別されないように、十分な配慮が必要であるとともに、接種を希望されるご家庭のお子様も、スムーズに接種できる体制を構築しなければなりません。その前提として、正しい情報が適切な方法で区民に提供される必要があります。

 既に子どものコロナワクチンについて、真偽入り交じった情報が錯綜し、一方的な根拠のないワクチンを否定するフェイク情報も、ネット上では洪水のようにあふれているのが現状です。区の責務として、小児用コロナワクチンに対する正しい情報の提供を、どのように進められるおつもりなのか、お伺いいたします。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 小児の接種につきましてですが、まず、その5歳から11歳の小児接種につきまして、区としては、各ご家庭で接種のご判断をしていただきたいというふうに考えてございます。そのために、各ご家庭で判断をするために必要な客観的な情報の提供が不可欠と考えておりまして、例えば厚生労働省が作成いたしました、A4、4ページにわたる「5歳から11歳のお子様と保護者の方へ 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」というパンフレットがございますので、そうしたものを接種券の封筒の中に同封いたしまして、送付をいたしました。

 また、同じチラシを区のホームページにも現在掲載をしております。このほか、必要な情報を必要なご家庭に正しく提供できるように、情報の中身はもちろんのこと、提供方法についても、他区、他自治体のホームページも参考にしながら、様々研究をしていきたいというふうに考えております。

◯鈴木(博)委員  
 しかしながら、接種券を受け取り、同封されている資料を読んでも、判断に迷うという患者の声が多いことも事実であります。ワクチンを接種するしないのご家庭のご判断は、それぞれ最大限尊重されるべきと考えます。しかし、少なくても子どものコロナワクチンについては、医学的に正しいファクトに基づいた情報を、入手しやすく、丁寧で分かりやすい形で各ご家庭に最大限に提供することを、区としてもぜひ真剣にご検討していただきたいと切にお願いするところです。根拠のないデマ情報にあおられて、十分な根拠がなく決めてしまうことは、お子さまにとってもご家庭にとっても不幸なことです。

 例えば昭和大学病院や東京品川病院、東邦大学医療センター大森病院などの感染症の専門家に、分かりやすく子どものコロナウイルスワクチンについての講演や、平易な説明パンフレットの情報提供などをご依頼できないものでしょうか。過去、福島原発事故の後、区の主催で放射能に関する講演会を数回開催した事例もあります。

 また、多くのご家庭に届くような情報提供の手段を、ホームページ掲載や接種券の資料同封以外にも、様々に検討するべきではないでしょうか。例えば、教育委員会に協力いただいて、各学校でコロナワクチンに対する分かりやすい詳しい資料を配布するとか、子ども育成課に協力をいただいて、児童センターに各種の資料を置くなど、このようなことも検討すべきと考えますが、区のお考え、取組はいかがでしょうか。

 先ほどの質疑でも、何人かの意見から学校でのコロナワクチンの資料配布について質疑がありましたが、それこそ学校の養護教員の出番ではないかというふうにも考えますけれども、養護教員のような人的なパワーも使って、これに対する取組なども、教育委員会のご見解としては、ご検討としてはいかがでしょうか。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 東京品川病院、それから東邦大学医療センター大森病院などの感染症の専門家等の先生方のご講演につきましては、可否について、今後先生方とご相談の上、検討してまいりたいというふうに考えております。

◯有馬庶務課長  
 児童・生徒へのワクチン接種については、保護者の同意を得ることが重要だということは通知にも書いてあります。そのような意味では、学校全体、教員全てがその理解を深めることが必要だと思いますが、特に保護者からの相談を受ける養護教諭については、このワクチン接種について正しい理解を得る必要があると思いますので、校長会を通じて、またさらに周知は進めていきたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  コロナワクチン接種券を受け取り、いろいろ悩み、心配されている多くの区民の保護者と子ども本人に、区としても最大限親身に寄り添っていただきたいと心からお願いしたいと思います。そのためにも、子どものコロナワクチン接種に対しては、保健所だけでなく、教育委員会、子ども未来部も含めて、全庁で対応することを強く要望したいと思います




2022年(令和4年)令和4年度予算特別委員会歳入 新型コロナウイルス感染症対策に関する部分(2022.3.3)

◯鈴木(博)委員  
 よろしくお願いいたします。本日は、予算書、91ページ、新型コロナウイルスワクチン接種負担金から、昨日に引き続き、子どもの新型コロナウイルスワクチン接種事業および新型コロナウイルスワクチン3回目追加接種事業についてお伺いいたします。

 まず、小児の新型コロナウイルスワクチンの実施について引き続きお伺いいたします。

 ファイザー社製コロナワクチンコミナティ筋注、5歳から11歳用は筋肉注射で行います。我が国では、長らく小児のワクチンは皮下注射がほとんどで、シナジスとHPVワクチン以外は、小児において筋肉注射は行われてきませんでした。そのため、子どもの上腕三頭筋への筋肉注射にあまり経験がない医師もいらっしゃると思われます。接種部位とされる小児の上腕三頭筋への筋肉注射について、トラブルなく円滑に進めるために、両医師会や昭和大学などの医療関係者と、打合せとか注意喚起等は実施されているのでしょうか。まずお尋ねいたします。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 小児接種に関してでございます。打合せは、両医師会、それから薬剤師会とはもちろんのこと、昭和大学の小児担当とも実施をしておりまして、先日は、集団接種2会場、荏原保健センターと品川保健センターの会場の下見にもご同行いただきました。今後も定期的に打合せを実施いたしまして、接種を希望する区民の方が少しでも安心して接種できるようにしてまいります。

 また、筋肉注射に関してですが、2月25日に厚生労働省より動画が配信されております。こちらは速やかに両医師会に情報提供いたしました。

◯鈴木(博)委員  
 課長ご説明のとおり、厚生労働省もYouTubeで小児の筋肉注射手技の動画を上げていますが、筋肉注射は固定が大切な手技なので、十分な配慮が必要です。その上、子どもは注射をするときに嫌がったり暴れたりする事態が日常茶飯事です。子どもの接種には、子どもが安心できる接種の環境や雰囲気づくり、子どもの接種に慣れたスタッフの介助など、接種の体制づくりには万全の準備が要求されます。

 小児のコロナワクチン接種には、子どもを安心させ、勇気づけながら接種を行わなければならないこと、問診の結果次第では、ワクチン接種を辞退する保護者が出てくることも当然想定され、1バイアル10人分のワクチンが余る可能性もあり、使い残しが出ないようにワクチンの在庫管理を緻密綿密に行わなければならないことなど、通常の他のワクチンやコロナワクチンに比べ、小児用コロナワクチンの実施医療機関の負担は桁違いに大きなものがありますので、区からの十分な援助が望まれると思います。

 一方、小児用コロナワクチンは、12歳以上に用いる、いわゆる普通のコロナワクチンと比べて、副反応はむしろ軽いと評価されており、心筋炎の発生もほとんどない、まれだと報告されています。しかし、他の小児用のワクチンに比べると、注射した部位の痛みとかだるさ、頭痛、接種した部位の赤み、筋肉痛、寒気、発熱など、コロナワクチンと同じような反応は、むしろ頻度は高いと想定されます。かかりつけ医で接種した場合は、このような症状が出現したときに、ある程度かかりつけ医で対応することが可能ですが、夜間に急に症状が出たような場合や、集団接種後の副反応発現時には、誰が、どのように、どこで対処するのでしょうか。区の対策をお知らせください。

 副反応が出現したとき、マニュアルどおりの対応だけではなく、保護者からの個別の相談に応じることができるような、きめ細かい相談に応じることができるような経験豊かなスタッフが配置された相談窓口の存在は、区民の安全のため、ぜひ必要と思われますが、区の体制はいかがでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 接種後のフォローについてでございます。委員ご指摘のとおり、かかりつけ医で接種した場合に関しましては、かかりつけ医で対応していただけますよう、現在、調整しているところでございます。

 コロナワクチン接種で副反応が出た際に往診する体制は現在とれておりません。

 夜間を含めた診療時間外での対応でございますが、東京都が開設いたしましたコールセンターであります東京都新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターが、現在、24時間対応でございまして、こちらは小児のワクチン接種の副反応に対しても対応できることは確認しております。このコールセンターは、看護師、それから保健師が対応するものでございまして、緊急時の相談が可能なものでございます。区としても、ホームページを通じまして、東京都新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターの周知は進めているところでございます。

 その他、集団接種会場など、かかりつけ医以外での接種で副反応が出た場合、相談、それから対応してもらえるよう、昭和大学病院の担当医の方と現在調整を進めているところでございます。

◯鈴木(博)委員 
 ワクチン接種後の副反応を心配されている保護者も多いことから、何かあったときに、相談したいときに対応できる窓口を確保しておくことが非常に重要ですので、区としてしっかりした体制づくりを強くお願いしておきたいと思います。

 次に、コロナワクチンの3回目の追加接種、ブースターショットについてお伺いいたします。

 昨日もコロナワクチン3回目追加接種について活発な質疑が行われましたが、3回目接種の立ち上がりはやや鈍いようです。2回目の接種後6か月を過ぎると、急速にワクチンの発病予防効果、入院予防効果が低下するため、3回目接種が間に合わなかった高齢者が、現在、非常に増加しており、入院も増えている状態です。このような高齢者は、コロナ肺炎、コロナにより肺炎になって重症化するのではなく、基礎疾患が悪化して、介護とか、治療とか、管理に難渋する例が多く、今、医療逼迫の1つの原因となっています。そのため、3回目のワクチン接種が急がれています。

 モデルナワクチンは人気がないと言われますが、モデルナワクチンは武田薬品が国内で製造しているワクチンでありまして、これは国産品です。また、1回目、2回目の副反応が強かったので、3回目、モデルナワクチンを忌避する考えの方、思いの方もいらっしゃいますが、3回目のモデルナワクチンは半量になっているため、いろいろ検討の結果では、副反応もファイザーと同程度に抑えられていることが既に明らかになっております。このような事実を区も十分に周知して、モデルナワクチンの不人気にある程度対応することが必要ではないかと思います。

 しかし、その一方で、3回目の追加接種は、接種対象が18歳以上となっています。そうすると、1回目、2回目のコロナワクチン接種が済んでいる12歳から17歳の区民は、3回目の追加接種の対象から漏れてしまいます。そうすると、12歳から17歳の区民の方は、3回目のコロナワクチンの接種を希望しても接種することができないことになります。しかも、それに対して国から詳しい説明はありません。

 現に練馬区では、12歳から17歳の区民に、接種票を誤ってと言っていいのかどうか分からないですが、誤配付するという事例まで起きています。

 先日の厚生委員会でも問題にしましたが、この12歳から17歳の年齢層の区民がワクチン3回目の接種対象でないことの情報提供をしっかりすること、また、接種を行う医療機関への誤接種、誤ってこの年齢の方に接種をしてしまうということに関して、今現在は問題ということになっていますので、注意喚起などは行われているのでしょうか。
 また、この年齢層の3回目の接種は今後どうなるでしょうか。区の見通しを簡単にお示しください。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 12歳から17歳の追加接種についてでございます。現在、対象外となっていることについては、区のホームページにも掲載してございます。両医師会には、毎週実施しているウェブ会議等で、既に説明、周知済みでございまして、個別医療機関で予約をとる際は、年齢はもちろんのこと、接種間隔についても十分確認をしていただけるよう、依頼をしているところでございます。

 現時点では、この年齢層、薬事承認が下りておりません。18歳以上に薬事承認が下りているものでございます。大変心苦しいですが、現時点で、12歳から17歳の方の追加接種は、仮に希望があったとしても接種をすることはできませんが、今後対象になった際、体制は構築してまいりたいと考えております。



2022年(令和4年)令和4年度予算特別委員会民生 新型コロナウイルス感染症対策に関する部分(2022.3.8)

◯鈴木(博)委員  
 まず、保育所における感染症対策についてお伺いいたします。2021年12月に始まった、オミクロン変異株による第6波流行では、デルタ株以前とは異なり、区内の保育所、学校でも多くの職員や園児、生徒に陽性者が続出しました。まず、2022年1月からの第6波流行における区内保育所の職員、園児の養成者数はいかがだったのでしょうか。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 ただいまご質問いただきました、区内の保育園における新型コロナウイルスの陽性者数でございますが、令和4年1月から3月2日までの数字でございますけれども、園児が914名、職員が357名となっております。

◯鈴木(博)委員  
 既に1000名近い園児がコロナ陽性者になっているようです。今回のオミクロン変異株の特徴は、デルタ株以前の流行と比べて、家庭内感染よりも保育所、学校での感染の比重が高まったことです。保育者から保育者、園児から園児への感染も多く報告されています。このような感染様式の変化に応じて、品川区の保育所における新型コロナウイルス感染予防対策は、状況の変化に応じて何か変わった点はあったのでしょうか。
 それとも同じ基本的感染対策が継続して行われているのでしょうか。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 保育園での新型コロナウイルスに対する対応に関しましては、オミクロン株流行以前からも基本的な感染症対策の徹底というところでは、根本的な部分では対応は変わっておりません。そのような対策を引き続き、気を緩めることなく、保育園での現場で取り組んでいるところでございます。

 また、これも以前からの対応になりますけれども、園内での感染の広がりがなるべく少なくなるように、園児を小さなグループに分けて活動を行うなど、工夫を行っております。また、保育士に関しても、職員に関しても、食事の際、黙食などの対策を徹底して行っているところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 昨年の決算特別委員会でもデルタ株流行下での保育所の感染対策をお伺いしました。今のご答弁で、特にオミクロン株流行においても大きな感染対策の変更はないと理解いたしました。しかし、オミクロン株流行下で保育所における新型コロナウイルス感染症の流行の様相は大きく変わってきました。現在どこの保育所でも、新型コロナウイルス陽性の園児、職員は数名は見られます。患者にお聞きしても、「うちの保育園でも二、三名はいるみたいです」というお答えがほとんどです。

 今や新型コロナウイルス感染症はありふれた普通に見られる感染症となりました。保健所の業務の負荷の増大に伴い、濃厚接触者を特定する対応など、保育所の果たす役割は大きくなっております。現在の保育所の役割と、保育所が直面している問題点などがあれば、併せてご説明をお願いいたします。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 この間、保育園における、例えば濃厚接触者の特定に関してといったところの業務に関しては、まず保育園で、従来もそうだったのですけれど、新型コロナウイルスが発生した際に、園児や保育士の行動を確認して、保育課や保育支援課が保健所と連携を取りながら、濃厚接触者の特定を行うといった業務を保育園と連携して行っております。

 保育園での濃厚接触者に関して、保育園の影響を最小限に抑えるために保護者へ伝えるなど、保育園でも速やかな対応を行っているようなところでございます。また、そういった職員体制を整えて臨んでいるところでございます。現在、保育園の業務では、通常の業務に加えて、新型コロナウイルスへの対応という業務が増しているというようなところでございますので、区といたしましても、今後、保育園の負担がなるべく軽減されるような形で、引き続き保育課や保育支援課、あとは保健所などの関係機関と連携を取りながら対応してまいりたいと考えております。

◯鈴木(博)委員  
 オミクロン株が保育所で流行している最中、保育所では、園児、保護者、職員などに対する感染対策、自宅待機、療養と登園、職員の労務など、濃厚接触者の特定対応以外にも様々なコロナ対策が現在必要になってきていると思います。保育所が様々な課題を抱えたときに、保育課、保育支援課ではどのようなスキームで支援をなさっているのでしょうか、もう一度お尋ねいたします。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 コロナウイルスに対応するスキームというところでございます。保育園における新型コロナウイルスの感染症に対する対応、予防策に関してでございます。保育園での対応に関しても、もちろん案件によって相談内容も様々であります。そういったことを基本的には各保育園から内容を聞き取って、個別に保育課や保育支援課が保健所と連携をしながら相談をして、そういった対応を現在行っているというような状況でございます。

◯鈴木(博)委員  
 現在の保育所における感染対策としては、マスク着用、頻回な手洗い、換気が基本と考えますが、保育現場のための新型コロナウイルス感染症対応ガイドブック第3版によれば、マスクをできない体調不良児の保育・看護にはサージカルマスク、フェイスシールドなどの目の保護具の使用が推奨されております。マスク以外の用具の実際の利用状況や備品の補充などについて、現在どのような状況で行っているのか、ご説明をお願いします。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 保育園での感染症対策というところでございます。保育園では、保育士のマスクの着用はもちろん徹底して行っております。また、手洗い消毒や、定期的な換気を行っているところでございますけれども、それ以外の通常の保育というところでは、今ご指摘のありました、例えばサージカルマスクであったりフェイスシールドというところは、園児にとって触れ合いが大切ということで認識しておりますので、基本的には通常の保育の中ではしておりませんけれども、園で体調不良の園児が出た場合、例えば嘔吐してしまった場合の処理に関しては、ガウンやエプロンなど、処理をするキットを着用しながら処理を行うというようなことで、後の消毒を徹底して行っているというようなことです。

 あと様々な、必要な用品に関しては、国等の補助もございますので、そちらを活用しながら随時物品の補充というところに努めているところでございます。

◯鈴木(博)委員  
嘔吐等の処理には、あと手袋も必要だと思います。
 また、これに関連して、全国知事会が2歳以上の園児へのマスク着用を国として進めるように求めた提言が問題となりました。年少児へのマスク着用は慎重にあるべきです。日本小児科学会の提言にもあるように、2歳未満児にはマスクは必要ないし、2歳児でもマスクの着用は慎重な対応を求める意見がほとんどです。

 そもそもマスクは他人への感染を防ぐものであり、自らをウイルスから防御する効果は極めて少ない、弱いものです。日本小児科学会が指摘するように、2歳以下や自分でマスクを外すことができない子どもがマスクをつけることは、窒息、呼吸困難、熱中症のリスクがあり危険です。2歳以上の年少児でも、大人が子どもの体調に十分注意できる環境下においてのみ、マスク着用が推奨されています。昼寝のときは外すこと、子どもがマスクをいじくり回すときは不潔になり、マスク着用は不適な状態だと判断されます。特に小さい子にマスクの着用を希望する保護者もいらっしゃいますが、子どもが安全、衛生的に着用できるか、その効果も踏まえて、保育所のほうでもよく保護者と話し合うことが必要だと思いますので、その点の対応をお願いしたいと思います。

 品川区の保育所では、年少児のマスクの着用について、現在どのような対応がなされているのか、簡単にご説明お願いします。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 乳幼児に対してのマスクの着用に関してのご質問かと思います。今、厚生労働省のほうからも「保育所等における新型コロナウイルスへの対応にかかるQ&A」が、随時更新をされながら通知が来ているという状況でございますけれども、オミクロン株の特徴を踏まえた内容の追加などが行われています。その中でも例えば、一定年齢以上の子どもに一律のマスクの着用を求めることがないように、というような注意書きも書いてございます。

 区といたしましては、今、委員ご指摘のところもございますけれども、そのような国の方針の内容も踏まえて、一定の年齢以上の園児に対して、一律にマスクの義務づけを行うというような対応は行っていないというようなところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 マスクに限らず医学的根拠のない、例えば次亜塩素酸水の空中散布など、様々な、いわゆる感染策に対しても、保育所でも正しい情報提供をお願いしたいと思います。

 次に、現在のオミクロン株流行の特徴は、デルタ株以前の既コロナ感染者やコロナワクチン2回接種者でもオミクロン株によるブレークスルー感染症が多発していることです。英国健康安全保障庁、UKHSAの報告によれば、ファイザー、モデルナ社製のワクチンは、2回接種後オミクロン株発症予防効果は65%から70%ですが、5か月後には10%まで低下してしまいます。これをさらに追加接種を行うと、発症予防効果は再び60%から75%まで回復するため、コロナワクチンの3回目の追加接種、ブースターショットが必要なことです。保育所の職員に対するコロナワクチン3回目の接種の進捗状況と、接種の実施に当たり、現在問題になっている点があれば、それも併せてご説明をお願いいたします。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 今、委員ご指摘にございました新型コロナウイルスの予防策に関して、区としてもワクチン接種が望ましいと考えております。特に、保育現場で働いている保育士に対しての3回目のワクチン接種は、保育園での感染拡大を抑制するために、なるべく早くの接種が必要と捉えております。

 そこで区では現在、保健所と連携を取りまして、優先的な接種の体制を整えて取り組んでいるところでございます。全体の接種率の進捗に関しては把握しておりませんけれども、各自で優先接種枠に申込み、接種を進めているところと考えております。

 また、一方で保育園での接種の悩みというところでは、やはり一定数副反応が起こる可能性、実際に起こるというところがございます。そういったところの保育園の体制というところが少し悩みというところでございますけれども、ただ、保育園ではその辺りを見越して、なるべく同日、同園で、接種が重ならないような形の工夫をしながら、調整し、ワクチン接種を進めているというようなところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 ワクチン接種の効率的で速やかな実施を強くお願いしたいと思います。

 オミクロン株感染者が激増しており、保育者の中にも既感染者が増えています。オミクロン株既感染者は基本的にオミクロン株にはもう感染しません。このようなオミクロン株に抵抗力を持つ、人的な資源を何か有効に活用できる施策などはないものでしょうか。

 今なお保育園では、差別を防ぐという見地から、陽性者の氏名は秘匿されておりますが、既に保育所によれば、品川区民の20人に1人は感染している状況です。実際の比率はもっと多いと思われ、既にコロナはインフルエンザ並みのありふれた感染症となっています。14世紀の欧州で黒死病が大流行したときに、ペストの感染回復者がペスト患者の看病に当たったというような歴史的な事例もあります。

 コロナにかかったことは別に恥ずかしいことでも何でもありません。「私、コロナにかかっちゃった」と普通に言えるような環境が早く訪れることを熱望しております。歴史的に見て今回の新型コロナウイルスパンデミックは、既に世界で4億4500万人が感染して600万人が亡くなっています。これは5億人が感染し、1700万人から5000万人が死亡したというスペインかぜに匹敵する歴史的なパンデミックとなっています。

 保育現場では、今回のパンデミックで得られた教訓、経験をどのように今後の保育スタイルと保育所における感染予防に活かしていくおつもりか、最後に質問したいと思います。

◯初貝保育教育運営担当課長  
 今、委員のご指摘にございました、既にオミクロン株に感染したことがある方への対応というところでございます。例えば、保育園で濃厚接触者を特定するに当たって、それ以前に、新型コロナウイルス、例えばオミクロン株に感染したかどうかは、保健所と連携を図りながら、既に陽性になっているかどうかも含めて確認を取っているところでございます。また、その感染歴のある方の人的資源の活用というところで例示をいただいたところでございますけれども、オミクロン株の特性を我々もきちっと理解した上で、職員の気持ちのところであったり、あとは保育園の体制など様々な角度を踏まえて、今後どういったことができるか、慎重に研究をしてまいりたいと思います。

 また、この間、保育園では新型コロナウイルスの対応を行う一方で、愛情を持った触れ合いを大切にした保育を行うなど試行錯誤をしながら保育を行っているところでございます。このような中でも、例えばオンラインでの保護者会ということを進めているというところで新しい試みも生まれているところでございます。そのような試みは、新型コロナウイルスが収束した後でも活用できる方法と捉えておりますので、新型コロナウイルスの感染対策を通じて、様々な工夫、アイデアを実践していた、そういった経験を今後の保育の質の向上だったり、そういったところにつなげていきたいと考えております。




2022年(令和4年)令和4年度予算特別委員会衛生 新型コロナウイルス感染症対策に関する部分(2022.3.10)


◯鈴木(博)委員  
 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。

 現在流行しているコロナウイルスオミクロン変異株の特徴について、まず、簡単にご説明をお願いいたします。

◯鷹箸保健予防課長  
 オミクロン株でございますが、従来株のアルファ株、デルタ株等に比較しまして、ウイルス表面の変異がとても多くて、人間の細胞への親和性が高いため、感染力が強いということが特徴とされております。

 また、潜伏期が短く、比較的短い期間に多くの方に感染が広がるというのも特徴ですが、一方、重症化例は少なく、入院例も少ないとされております。

 ただ、感染者数が非常に多いため、単純に数だけで見ると、入院数はそんなに減っていないという辺りも今回のオミクロン株の特徴かと思います。

◯鈴木(博)委員  
 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策の中で、オミクロン株はデルタ株を含めたこれまでの新型コロナウイルスとは異なる感染症として捉えるべきであると述べています。

 病気の傾向を見ますと、従来の新型コロナウイルス感染症は、約5日の潜伏期の後に、発熱、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害などの症状が1週間ぐらい続き、その後、軽快します。感染者の20%から30%は無症状のまま軽快します。しかし、1週間を過ぎた辺りから感染者の20%は肺炎に進展し、急に呼吸の状態が悪化し、酸素が必要となり、さらに5%は人工呼吸器やエクモが必要となるような重症呼吸障害や血栓症を併発し、最終的には死亡する方も出てきます。これが従来の新型コロナウイルス感染症の経過でした。現在、在宅療養中の感染者に配られるパルスオキシメーターは、この肺炎を早期に見つけるための道具です。

 しかし、オミクロン株は潜伏期は2.8日と短く、無症状は10%にとどまります。その症状はデルタ株でよく見られた嗅覚・味覚障害は少なく、激しいのどの痛みや咳などの症状で、食べ物や水分がとれなくなったり、寝られなくなったりする患者も多いようです。数日の経過で約5%に肺炎は見られますが、多くの患者はむしろ呼吸障害以外の全身倦怠感や痛み、咽頭痛、脱水などが目立つようです。

 言わばデルタ株以前のコロナが肺コロナであったのに対し、オミクロン株はのどコロナといえると思います。

 オミクロン株の特徴は、潜伏期が2.8日と短いだけでなく、感染源として人に移す世代時間、人に移すまでの時間が約2日間と短いため、1週間の間に1人の患者が2日おきに次から次へと感染を広げ、4次感染まで引き起こします。そのために爆発的な感染が広がる。正に1月の日本の姿がこれでした。

 重症度について、オミクロンは、デルタ株よりも入院のリスク、重症度のリスクは低いと評価されています。しかし、軽症患者が爆発的に増加すると、先ほど課長がおっしゃったように、救急外来などが圧迫され、ワクチン3回目の接種が済んでいない高齢者に伝播すると、急激に入院患者、重症者が増加し、医療体制を逼迫することになります。
 現在、コロナ第6波はピークを過ぎ、陽性者は緩やかに減少に向かっておりますが、入院者数の減少は鈍いようです。また、死亡者は高止まりしています。その理由についてご説明をお願いいたします。

◯鷹箸保健予防課長  
 もともと、特に高齢者ですが、コロナ感染を理由に入院されたのですが、高齢者ということで、もともと持病があったりということで、入院を契機に持病が悪化したり、コロナ感染拡大の可能性はなくなっても、感染力はなくなっても、もともとの疾患の悪化ということで入院継続が必要な場合が多くて、なかなか退院できないまま長期間の入院に至っているというような症例が多いというふうに聞いてございます。

◯鈴木(博)委員  
 ワクチンの発症予防効果では、オミクロン株に対しては、2回接種後、約70%の発病予防効果が、6か月後には10%ぐらいまで低下してしまいます。そのため、昨年暮れから既にワクチンの効果がなくなった高齢者が品川区でも増えている状況の下で、1月に爆発的に第6波の感染爆発が始まりました。オミクロン流行下でワクチン3回目の接種が間に合わなかった高齢者の間でオミクロンに感染する人が増え、入院患者、重症者が増加しています。残念ながら品川区の高齢者の3回目ワクチン接種率は、いまだ67%弱であり、高齢者の3人に1人は重症化のリスクにさらされ続け、命の危険に脅かされていると言っても過言ではない状況です。

 高齢者のオミクロン感染は重症コロナ肺炎になるのではなくて、今お話があったように、コロナ感染によって、もともと患っていた心臓病とか腎臓病とか肺の病気、あるいは認知症などの持病が悪化することによって重症化するケースが多いと報告されています。

 さらに、本来は他の病気で入院治療が必要だったにもかかわらず、オミクロンが蔓延しているため入院時に検査をしたところ、コロナの検査で陽性が出てしまい、指定されたコロナ病棟にやむを得ず入院する高齢者も少なくないようです。最悪の場合、コロナ病棟が満床だと入院できなくなります。このような高齢者には、悪化した持病の治療とコロナの治療を同時並行に行わなければならず、しかも基礎疾患は治療を始めてもすぐにはよくならないため、入院も長期に及び、医療機関の負担は極めて大きいものになっているようです。

 また、介護や老人特有の専門的なケアも必要になります。さらに医療機関の問題として、医療従事者の子どもなどがコロナに感染し、医療従事者本人も陽性者や濃厚接触者となって自宅待機となり、スタッフが補充できないため、病棟は開いているのに入院できないケースも多発しています。そのため、新規陽性者が減っているのに重症患者数は高止まりで、死亡者が連日200人を超える状態が続いていると評価されています。

 ワクチン追加接種と並んで第6波を収束させるためには、治療薬による治療が必須です。現在使用できるコロナ治療薬の種類と品川区における投与実績をお示しください。

◯鷹箸保健予防課長  
 治療薬にはいろいろな種類がございますが、抗ウイルス薬としてのレムデシビル、リトナビル、中和抗体薬の、商品名で言うと、ロナプリーブですとか、ソトロビマブ、免疫抑制剤として昔からステロイドなどがございます。

 投与方法としては、点滴ですとか服薬、経口などがありますが、それぞれ症状や重症度に応じて使い分けることになります。

 区内の治療実績、投与実績につきましては、報告するシステムになっていないことからも、区として把握はしてございません。

◯鈴木(博)委員  
 現在使用できる経口薬としては、コロナウイルスの増殖を抑えるモルヌピラビル(ラゲブリオ)と、ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッドパック)があります。ラゲブリオは30%、パキロビッドパックが88%の入院、死亡のリスクを減少させたと報告されています。

 ただし、これらの薬は、高齢者、重い心臓病や慢性呼吸器病、肥満などの新型コロナの重症化のリスクがある患者に限られ、誰でも使用できるわけではありません。また、投与する医師も登録が必要です。

 一方、ロナプリーブ(カシリビマブとイムデビマブ)と、ゼビュディ(ソトロビマブ)という中和抗体薬の点滴治療も行われていますが、この治療薬はウイルスのとげにはりついて、ウイルスが人の体の中に侵入するのを防ぎます。やはり重症化のリスクのある軽症患者に、抗体治療ステーション、病院、ホテルなどの施設で、1泊2日の泊まり込みなどの体制で投与されています。ただし、ロナプリーブに関しては、オミクロン株には効果があまりないと言われています。

 品川区の実績を伺いましたが、残念ながら把握されていないようですので、現在の薬物療法は誰でも行える治療ではないため、今ご紹介したような治療は一部の患者に限られている点だけ確認したいと思います。

 次に、子どものコロナ患者についてお伺いします。

 子どものコロナ患者は民生費でも触れましたが、現在、陽性者が激増しています。子どものコロナウイルス患者の症状の特徴、入院した事例があったのでしょうか。お答えをお願いいたします。

◯鷹箸保健予防課長  
 子どもの陽性の場合の症状ですけれども、発熱、咳、鼻水などの症状がありますが、いわゆる風邪と区別がつかない軽症なものというふうに把握してございます。
 また、入院したという報告は、オミクロン株になってから、私どもとしては受けておりません。

◯鈴木(博)委員  
 オミクロン流行下の2022年1月以来、私のクリニックでも成人以外に、生後2か月から17歳までの子ども、大体144名のコロナ陽性患者を診察してきました。呼吸障害から見た重症度分類である中症度以上や、かなり本人がきつそうな、つらそうな症状を示した子どもは、私の診察した限り1人もいらっしゃいませんでした。

 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでも、基礎疾患や肥満を有しない50歳未満の人の多くは、感染しても症状が軽く、自宅療養で軽快していると述べています。

 ご家族にPCR検査の結果を電話でご報告するときに、結果が陽性であったとしても、保護者の方々で、子どもの病気の心配をされる方は数名のみで、ほとんどの方のご質問は、いつまで自宅にいなければいけないのですか、療養期間はいつまでですかという質問がほとんどです。重い2類相当の病気であるからこそ、検査をして隔離が必要であるはずなのですが、誰も病気の心配はせずに、いつまで隔離されるのか、隔離期間ばかりが最大の関心事になっているという、この倒錯した現状が現在の一線の診療の現場です。また、ケースを軽視する保護者の方も今は非常に増えてきています。

 高齢者に対する3回目のワクチン接種、高齢者の周辺に徹底したコロナ検査を実施することは、高齢者の命を守るため極めて重要なことです。しかし、子どものコロナ対策については、現状でよいのでしょうか。長期の閉じ籠もり、自粛生活の中で、子どもの鬱、自殺も増えてきています。

 国立成育医療センターが2021年6月に行った第6回「コロナ×こどもアンケート」を見ると、7078名の回答のうち、「コロナのことを考えると嫌な気持ちになる」38%、「最近集中できない」26%、「すぐにイライラする」28%、「夜、寝つけない」20%という結果が出たようです。

 コロナ禍で子どもたちもまた確実に今追い詰められている。季節型インフルエンザ感染症の対応と同じように、発病した子どもが複数出たら、学級閉鎖、登園停止にすればよいだけの話ではないでしょうか。ただし、現実には、既になし崩し的にこのような状態に近づいております。

 PCR検査や抗原検査を無制限に行って、症状もなく元気いっぱいの子どもをあぶり出し、親子共に自宅に閉じ込めたり、大切な授業を中止したり、学校行事を中止することが本当に意味あることなのか、小児科医として非常に疑問に思っております。

 我が国の新型コロナウイルス感染症における10代未満の死亡数はゼロ、10歳代では数名いるだけです。普通に幼稚園や学校が再開されて、普通に学校や園に通って、普通に楽しい運動会や思い出に残る修学旅行に行って、普通に実りある学校生活を楽しむ日々を品川区の子どもたちにもぜひ一刻も早く取り戻していただきたいと熱望しています。

 ワクチン接種はこのためにも有効かもしれません。症状が出る人がいたら、普通にクリニックに受診していただけばよいだけの話です。子どもがコロナになっても、小児科医がしっかり診察するから安心して過ごしてくださいというようなメッセージをご両親に送れる日が一日も早く来ることを熱望しております。

 そのためには、感染症法の新型インフルエンザ等感染症2類相当を、一刻も早く5類相当に引き下げる必要があります。この対応により、現在逼迫している医療現場はどこでも劇的に改善されます。現在、入院が指定されている入院ベッドを自由に動かし差配できるようになります。必要なケアが行える病院に転院させることも可能になります。また、発熱を理由とした受診拒否もなくなります。医療関係者も、自宅に閉じ籠もらず、自由に業務に戻ることができます。

 現在逼迫している保健所も、本来対応すべき重症とか高齢者とか基礎疾患のある陽性患者、高齢者にその業務を集中することができます。コロナ禍の異常な状態から、本来の医療体制に回帰できるのです。5類相当に引き下げられる日を私は待ち望んでおります。




2022年(令和4年)令和4年度決算特別委員会歳入 新型コロナウイルス感染症感染対策に関する部分(2022.11.8)

◯鈴木(博)委員  
 本日は、92ページ、衛生費負担金、新型コロナウイルスワクチン接種負担金から、乳幼児の新型コロナワクチンについてお尋ねいたします。

 11月からいよいよ、6か月から4歳の乳幼児コロナワクチンの接種が始まります。

 まず、品川区の6か月から4歳の接種対象者数をお示しください。また、そのスキームと具体的なスケジュールについてもご説明ください。なぜ、乳幼児コロナワクチン接種を全ての医療機関で行う個別接種で行うことにしたのか、さらに、個別接種を行う小児科医療機関数とその数についての評価について、区のご認識をお示しください。

 最後に、現在接種の続いている5歳から11歳の小児用コロナワクチンの接種率、接種数およびその評価について、参考にするために一緒にご説明をお願いします。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 まず、区の6か月から4歳の接種対象者は、およそ1万5000人いらっしゃいます。

 また、個別接種のみで行う理由でございます。この年齢のお子さんには、そのほかのワクチンを接種しに行く、かかりつけの医療機関が必ずあるだろうということがまず1つ。それから、年齢によって、もしくはお子様の体形によって接種の部位が異なること、また接種後の副反応が出た場合、的確な対応をしなければならないことなどを考慮したことによるものでございます。

 乳幼児接種のスケジュールでございますが、本日より品川区内の個別医療機関で順次、準備が整ったところから接種が始まっていくという予定でございます。

 現在、個別接種の数ですが、区内25か所の小児科の医療機関が個別接種会場となりまして、接種の体制が整えられたと、区としては考えてございます。

 また最後に、現在の5歳から11歳の接種率でございますが、こちらは20%弱ということで、全国的にも同じような数字でございます。人数にすると、およそ4000名を少し超えたところでございます。4歳以下の乳幼児接種率については、今まで高い年齢から低い年齢にかけて接種率が下がっていくことを考えると、20%を超えることはないものではないかということで現在苦慮しているところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 現在の状況を見て、恐らく乳幼児コロナワクチンの接種率は10%にも届かないのではないかというような悲観的な見込みを立てている専門家もいらっしゃいます。

 そもそもなぜ今、乳幼児コロナワクチンが必要とされているのか、まず現在の小児の新型コロナウイルス感染症の状況について少し見ていきたいと思います。

 新型コロナウイルスに感染した子どもの95%は軽症にとどまるとされていて、今でもそう信じている人もいるようです。しかし現実には、オミクロンの流行以降、感染する子どもの数が増加するに従って、相対的に患者数も増え、しかも亡くなったり重症化する子どもの数も激増しています。

 国立感染症研究所の調査によれば、オミクロン株流行後の2022年の1月から8月の、新型コロナウイルスに感染して死亡した20歳未満の41名のうち、調査できた29人の分析では、0歳が8人、1歳から4歳が6人、5歳から11歳が12人、12歳から19歳が3人でした。さらに、4歳以下の14人のうち6人は、基礎疾患がない、もともと健康な子どもでした。年少児に死亡者が激増して、オミクロン以降、急に増えてきて、しかも生来健康だった年少児も死亡するようになってきているのです。

 日本集中治療学会が、酸素投与や人工呼吸器が必要とされた中等症・重症の子どもの入院患者220名の状況や症状や年齢別発生数も調査しています。年齢別によると、1歳未満が15%、1歳以上の未就学児が43%、小学生が32%、中学生が4%、高校生が4%と、未就学児が6割を占めていました。また病名では、コロナの呼吸障害、コロナ肺炎や、多系統炎症性症候群(MIS-C)などというコロナ特有の病名から、急性脳症、脳炎、肺炎、けいれん、胃腸炎など、小児の入院病名でよく見られる病名が現在増えてきています。

 11月2日、日本小児科学会は、乳幼児コロナワクチンを推奨すると声明しました。また、10月7日、厚生労働省も厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会の答申を受けて、予防接種上の特例臨時接種に位置づけ、接種勧奨、接種義務を課しました。これは、品川区でも乳幼児のコロナワクチンの接種を勧奨する立場にあるということを意味するものと理解しています。

 乳幼児コロナワクチンについて、次に検討したいと思います。乳幼児コロナワクチンは、ファイザー社が生後6か月から4歳の子どもを対象に臨床試験を行った結果、3回接種後には、年長児や大人の臨床検査の結果と同じレベルまで抗体が上昇することが確認されました。これは、コロナウイルスに対してこの年齢でも免疫が十分成立することを意味しています。

 また、欧米などで生後6か月から4歳の子ども1100人を対象に、ワクチンを接種した子どもとワクチンを接種しない生理食塩水などのプラセボを接種した子どもの双方の感染状況を調べた結果、ワクチン接種群794人のうち、3回接種後、発病を予防する効果は、73.2%と報告されました。重症化予防については、感染した人が少ないためにデータがなかったために明らかにできませんでしたが、ほかの年齢層の臨床成績から考えると、発病予防効果以上の効果が重症予防として期待されると考えられています。

 その一方で、心配なのはもちろん副反応です。心配な乳幼児のコロナワクチンの副反応を、現在、区はどのように理解しているでしょうか。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 乳幼児の副反応についてでございます。

 厚生労働省のリーフレット等々にも記載がございますが、2歳から例えば4歳でございます。倦怠感、下痢、それから38度以上の発熱が主に見られるということが書かれておりまして、また生後6か月から1歳につきましても、不機嫌になったり、食欲不振になったり、やはり38度以上の発熱の症状が見られたようでございますが、重い副反応は認められなかったという報告がされて、記載がございます。

◯鈴木(博)委員  
 今ご説明があったように、副反応としては、2歳から4歳までは、頻度順に言うと、倦怠感、下痢、38度以上の発熱。それで、倦怠感は大体3割ぐらい、ほかは大体10%ぐらいという報告があります。生後6か月から1歳では、不機嫌、食欲不振、38度以上の発熱が見られましたが、これも順番で、大体、不機嫌が30%ぐらい、その他が10%ぐらい。この年齢では、喉が痛いなどというような症状は当然訴えることができませんので、そういう症状、咽頭痛等はありません。いずれにしても重い副反応は認められませんでした。心筋炎は一例もいませんでした。

 総じて乳幼児ワクチンの副反応の頻度は成人ワクチンよりも低く、5歳から11歳、12歳から15歳の子どもと比較しても軽かったと評価されています。これは、1つの理由として、ワクチンに含まれている免疫物質のRNAであるトジナメランが、3分の1、3マイクロしか入っていなくて、大人が30マイクロ、子どもが10マイクロなので、非常に量が少ないということも関連していると考えられます。

 生後6か月から4歳の子どもたちは、感染予防対策というのは十分にできません。

 マスクを着用することもできないし、手洗いなども十分にはできません。次に感染・流行が起きたときに、この年齢の子どもたちに一番有効で確実かつ積極的な感染予防対策というのは、ワクチン接種なのです。

 しかし、接種券と同封されて区から送られてくる、「生後6か月から4歳のお子様の保護者の方へ 新型コロナワクチン予防接種について」という説明書を見てみますと、「今回接種するワクチンはファイザー社製のワクチンです。新型コロナウイルス感染症の発病を予防します。本ワクチンの3回目接種から1か月後、免疫原性が事前に規定された基準を達成したこと、オミクロン株等に対する中和抗体価の上昇が確認されたこと等から、一定の有効性が期待されるとされています。オミクロン株流行下における3回目接種後の発病予防効果は73.2%と報告されています」というような記載があるのみです。これは簡潔過ぎて、しかも専門用語が多過ぎるため、保護者に十分、乳幼児ワクチンの大切さが伝わるか、非常に疑問を感じているところです。区としても、小さな子どもをコロナから守るために、もう少し積極的なコロナウイルスワクチンの啓発に取り組むべきだと思われますが、区の考えと現在の取組についてご説明をお願いいたします。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 現在の啓発、それから周知についてでございます。

 現在、SNS、ホームページ、また広報しながわ、それからしながわパパママ応援アプリ等々を使いまして、周知を行っております。そのほか、ケーブルテレビでも一部、ワクチンの情報を流させていただいている状況でございます。

 ただ、委員ご指摘のとおり、内容、文言については専門的であったり、保護者の方になかなかなじみがないお言葉であったり、分かりにくい部分があることも考えられますので、今後、易しい表現になるように、内容の点検、それから必要に応じた修正等々は実施してまいりたいと考えてございます。

 また、さらなる周知といたしまして、厚生労働省が作成しております乳幼児用リーフレット、また小児用のリーフレットといったものがそれぞれございます。関係所管とも連携しながら、こうしたものが保護者の方の目につくよう、行き渡るよう、そういった方法を今後検討していきたいと考えてございます。

◯鈴木(博)委員  
 区としてもいろいろご検討されているようで、ぜひ実現に向けてご努力をお願いしたいと思うのですが、一般質問でも述べましたように、保育園とか幼稚園とか児童センターへコロナの啓発のチラシを配布すること。これはもちろん国が作った簡便なパンフレットでもいいのですが、ぜひ品川区で、保護者の方がよく理解できるような、保護者の方に寄り添うような内容のパンフレットを準備して配ることを非常に期待したいと思っております。

 また、中立的な立場の講演会の開催などもいかがでしょうか。例えば福島原発の後に保健所が、中立的な科学者の方に来ていただいて、講堂で2回、講演会をやっています。講演会のように、たくさん集まるのが無理だとすると、ウェブなどオンラインでもいいと思うのですけれども、こういう講演会で、いろいろと、例えばこの近くだと昭和大学の感染症の専門家の時松教授とか、何人かの候補の方がいらっしゃると思うのですけれども、そういう方にもお声をかけて、なるべく一般の方に分かりやすいような専門家の講演会あるいは説明会というものを、ぜひ品川区としても積極的に行ったほうがいいのではないかということをご提案したいと思います。

 また、ケーブルテレビなどで、乳幼児のコロナワクチンの勧奨を行うということに関しては、非常によい取組だと思いますので、ぜひ勧奨のスポットを、特に小さなお子さんを持っている保護者の方が分かりやすいような、効果と副反応と両方がバランスよく書かれているような短時間のスポットを、ぜひ知能の全てを絞っていただいて、よく訴えられるような取組を行っていただくことを期待したいと思うので、よろしくお願いしたいと思います。これは要望といたします。

 第6波なのか、あるいは第7波の再燃。マスクをしない人が増えてきたので、感染予防が緩んでいるために、第8波ではなくて、むしろ第7波が今再燃しているというような考え方の専門家の先生もいらっしゃいます。いずれにしろ、北海道をはじめとして、コロナの感染者がまた増加し始めて、次のコロナの感染が起こるか起こらないか、今、非常にそれが危惧されているところです。

 ワクチンの接種が進んだ年齢層から感染者がだんだんと減少しており、現在ワクチンの接種ができないか、あるいはワクチンの接種が進んでいない年齢層に、次の流行は間違いなくターゲットが絞られてきて、乳幼児のコロナの感染が非常に増えてくる。もう今現在でも保育園とか小学校とか増えてきているので、先週も小学校で学級閉鎖がありましたけど、小さなお子さんをコロナ感染症と、あるいは起こるかもしれないインフルエンザの感染症から守るために、ぜひこの冬は、区の関係者の方もより一層のご努力をお願いしたいと思いまして、私の質問を終わります。   



2022年(令和4年)令和4年度決算特別委員会衛生 新型コロナウイルス感染症感染対策に関する部分(2022.11.14)

◯鈴木(博)委員  
 おはようございます。289ページ、保健予防費から、新型コロナワクチン接種について、293ページ、感染症対策事業から、新型コロナウイルス感染対策についてを順不同でお尋ねしてまいります。よろしくお願いいたします。

 まず、一般質問、歳入に引き続き、コロナワクチンについてお尋ねしてまいります。

 この図表は、令和2年8月の新型コロナウイルス感染症対策分科会に厚労省から提示された資料です。ワクチンは、生きた病原体を弱毒化させて人に接種し免疫を誘導する生ワクチンと、病原体のタンパク質を人に接種して異物と認識させ免疫を誘導する不活化ワクチンに分けられます。さらに新しく登場したメッセンジャーRNAワクチンは、ウイルス遺伝子RNAそのものの一部を人の体に注射して、人の細胞に命令してウイルスのタンパクをつくらせ、異物と認識させ、免疫を誘導する新しいタイプのワクチンです。

 これに対して、いわゆる不活化ワクチンは、病原体をばらばらにして、病原体のタンパクを人に注射して免疫を誘導するが、他の細胞に病原体をつくらせて、これを人に注射して、人に免疫を誘導するものです。コロナワクチンでは、ファイザー、モデルナのメッセンジャーRNAワクチンは下段の新しいワクチンに、ノババックスの組換えタンパクワクチンは上段の従来型の不活化ワクチンに分類されます。

 資料2をお願いします。この図表は、メッセンジャーRNAワクチンのうち、ファイザー社製の各年齢別コロナワクチンの一覧です。左から乳幼児用、小児用、成人用1価、成人用オミクロン対応2価になります。外観はもちろんですが、保存期間、希釈・充填方法、接種方法がそれぞれみんなばらばらで、しかも1バイアル6人から10人まとめて接種しなければならず、医療機関はそれぞれ誤りがないよう、細心の注意を払って接種を行っている現状です。

 本日の衛生費款別審査では、図表一番右のオミクロン対応2価ワクチンについてお尋ねしてまいります。まず、現在の2価ワクチンの接種状況、接種率についてご報告をお願いいたします。続けて、オミクロン対応2価ワクチンの接種の意義についても、あわせてご説明をお願いいたします。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 まず、接種状況、接種率についてご報告いたします。11月13日現在の品川区の2価ワクチン、いわゆるオミクロン株対応ワクチンの接種数ですが、5万1044人となっておりまして、初回接種が完了した32万2221名に対して、15.8%の接種率となってございます。

 また、オミクロン対応2価ワクチンの接種の意義でございます。こちらは、品川区に限ったことではございませんが、現在の罹患した方々の状況や報道されている事実から鑑みるに、重症化リスクを軽減するという意味で、特に高齢の方の接種にはより大きな効果があるものと考えてございます。

◯鈴木(博)委員  
 コロナ2価ワクチンは、武漢株のRNA断端にBA.1かBA.2、BA.4-5のオミクロン株のRNA断端を加えた、2つのコロナウイルスのトゲタンパクのRNAの設計図を併せ持ったワクチンです。

 その効果は、第37回厚生科学審議会によれば、2価ワクチンのほうが1価ワクチンよりも、接種後の中和抗体価の上昇による高い免疫応答が得られ、副反応については1価ワクチンとほぼ同等であったと報告されています。

 一般質問でも触れましたが、いまだにコロナに対する重症化率、死亡率の高い高齢者層では、2価ワクチンの接種による連続的な免疫増強は積極的に進める必要があり、健康推進部長のご答弁からも、区の積極的な精力的な取組が確認できました。高齢者では副反応も強く現れないため、メッセンジャーRNAワクチンが適用できると思われます。

 しかし、若年層に対しては、もともとこの集団は軽症で軽快する人が多いこと、2価ワクチンの重症化予防効果が短期間の可能性があること、生命活動の活発な若い人では、副反応も1価ワクチンと同じように強く出る可能性があることなどにより、2価ワクチンの追加接種を強く推奨する意見は少ないようです。むしろこの年齢層では、期限が迫っているワクチン未接種者に対する初回接種勧奨のほうが、より重要であると思われます。

 一般質問でも触れましたノババックス社のヌバキソビッドについて再度お尋ねいたします。ヌバキソビッドは、チョウの幼虫に感染する無害なバキュロウイルスに、コロナウイルスのトゲをつくり、遺伝子を組み込み、昆虫細胞にコロナウイルスのトゲタンパクをつくらせます。このコロナトゲタンパクを集めて精製し人に接種し、免疫を誘導させるのがヌバキソビッドです。

 メッセンジャーRNAワクチンが遺伝子のRNAを直接ばらばらにして人の体に注入するのに対し、組換えタンパクワクチンは、昆虫細胞につくらせたコロナタンパクを人に接種することになります。図表のように、接種されたウイルスのタンパクは、人の免疫細胞に取り込まれ、異物として認識され、免疫反応が起こります。北米で行われた接種、発症予防効果では、約90%と報告され、安全性にも重大な懸念は認められなかったそうです。なお、このワクチンは、現在、武田薬品が国内で製造しています。

 ヌバキソビッドは、従来型の不活化ワクチンであり、接種実績もあり、副反応も重くないこと、国内で生産しているため、十分な供給も可能です。メッセンジャーRNAワクチンではないため、遺伝子がいじられるなどというデマ情報も当てはまらず、メッセンジャーRNAワクチンのような強い副反応で寝込む人も出ません。

 十分な情報提供と接種施設が増加すれば、十分活用できるワクチンと思われますが、区のご見解はいかがでしょうか。

◯豊嶋新型コロナウイルス予防接種担当課長  
 11月8日よりノババックスワクチン、いわゆるヌバキソビッドに関する運用が変更となりました。今までは、従来ワクチンとの考え方から、3回目までの接種しかできませんでした。それが11月8日以降、オミクロン株対応ワクチンと同様の扱い方に変更されました。つまり、4回目、5回目としての接種も可能となりました。このことにより、ヌバキソビッドを接種した方が再度オミクロン株対応ワクチンとして接種することが可能となったため、一定の需要が出てくるものと推測してございます。

 現状は、区集団接種会場では扱いを縮小し、現在、品川区医師会でのみ対応していたヌバキソビッド接種を、状況によっては区の集団接種会場でも一部再開放することも念頭に置いて、現在、検討に入ってございます。

◯鈴木(博)委員  
 11月8日、厚労省は、ヌバキソビッドをオミクロン対応2価ワクチンと同様の扱いへ格上げしました。そのため、追加接種として、今課長がご答弁されたように、ヌバキソビッドの接種が可能となりました。ようやく厚労省も、ヌバキソビッドの価値に気づいたのかもしれません。

 将来的には、メッセンジャーRNAワクチンは効き目は強いが、副反応もやや強いため、高齢者用、ヌバキソビッドなどの不活化ワクチンは、効き目は劣るが、副反応も少ないため、若い成人用と、定期接種のB類、任意接種ワクチンとしてすみ分けが行われるようになるかもしれません。

 次に、新型コロナ患者に対する9月に行われた厚労省の全数報告見直しに関連して、医療現場の立場から幾つか質問させていただきます。

 9月26日、東京都福祉保健局は、厚労省の事務連絡を受けて、新型コロナウイルス陽性者用の全数報告制度を大幅に変更しました。まず、この制度の変更についてご説明をお願いします。

◯坂野保健予防課長  
 私のほうからご説明申し上げます。9月26日に全数報告が見直されまして、9月25日までは全ての症例の詳細な情報が発生届としてハーシス経由で上がってくるわけですが、9月26日以降は、特定の4類型、65歳以上、入院を要する者、重症化リスクがあって治療薬の投与または酸素が必要な者、妊婦、以上の4類型の方のみが詳細情報が来て、この4類型以外の方は全数カウントはするのですが、カウントの数だけがハーシスで報告されると変更になっております。

◯鈴木(博)委員  
 今、課長からご説明があったように、診療・検査医療機関が患者を新型コロナウイルスと診断した場合、
@65歳以上の高齢者
A入院を要する者
B重症化リスクがあり、新型コロナウイルス感染症治療薬の投与又は酸素投与が必要と医師が判断した人
C妊婦
の4類型のみが、従来通り新型コロナ情報把握・管理システム(ハーシス)の届け出の対象となり、保健所が健康観察を行うことになりました。

 この4類型に当てはまらない、それ以外の陽性者は届出対象外とされ、自宅で1週間療養し、健康観察、配食、パルスオキシメーター貸与、宿泊施設の紹介など、都の支援を希望した人は、東京都陽性者支援登録センターへ自分で登録します。療養中、体調の変化や困り事があったときは、自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京に自ら電話して相談します。また、医療機関にかかわらず、直接抗原検査キットを都から送付してもらい、検査陽性の場合は、医療機関を通さずに自らこのセンターに登録することができます。以上が、制度変更の概要です。

 しかし、私のクリニックの患者でも、発熱している3か月の乳児や、腹痛、発熱を訴える40歳代の難病である炎症性腸疾患の保護者の方は、4類型でないという理由で、ハーシスに登録できませんでした。また、ある地域では、小児科医が登録しようとしたところ、保健所のほうから、4類型ではないといって取り下げるように求められたという事例もあったそうです。そもそも医師の判断という文言がここに入っているにもかかわらず、そのような対応が一部で行われたようです。

 膨大なコロナ患者をある程度絞り込み、保健医療体制を強化、重点化を図るという触れ込みだったはずなのに、4類型以外の患者をハーシスから排除することに力点が置かれているように見えます。10月28日のバージョン3以降、さらにこの動きは強まっているように感じられます。

 日本小児科医会も9月27日に声明を出し、乳幼児や、診断時点で直ちに入院が必要でない場合でも、リスクが高いと医師が判断した児童は届出が行われるように要望を出しています。小児患者を診療する現場として当然の要望だと思います。

 保健所、医療機関の負担を減らすために全数報告の見直しが行われたと聞いています。しかし、それが患者の不利益になるようでは、本末転倒だと思われます。小児科医は、患者に負担を転嫁する形で、自らの負担を減らしたいなどとは毛頭思いません。国の制度のため、できることが限られていることは重々承知しておりますが、発生届対象外の患者への温かいお目配りをぜひお願いしたいと思いますが、区のお考えはいかがでしょうか。

◯坂野保健予防課長  
 全数報告で4類型以外の事例の場合ということでございますが、4類型以外の場合は、先ほど委員からご説明があったように、うちさぽ東京、あるいはフォローアップセンター、そちらのほうで、希望がある方はそちらからフォローが入るというスキームになっております。

 区のほうにも、フォローアップセンター、うちさぽ東京のほうから、こういう患者があなたの区にいるのですがという連絡が来ますので、できるだけ迅速に区としては対応するというところでございます。

 あと、小児の事例については、委員からもお話があったのですけれども、5番目の類型として小児を入れてはどうかという日本小児科医会からの提言もあるようでございます。小児については、できるだけこちらも迅速に対応するように対応しているところでございます。



2023年(令和5年)令和5年度予算特別委員会補正予算審議 新型コロナウイルス感染症対策に関する部分(2023.3.6)

 本日は補正予算書 P287「感染症対策事業」から、新型コロナウイルス感染症対策の類型変更と感染予防対策について、お尋ねいたします。

 政府は本年5月8日から、新型コロナ感染症の感染症法上の位置づけを、2類相当から5類へ移行する方針を決定し、現在準備が進められています。

 現在の新型コロナ感染症の流行状況を考えると、この決定は妥当だと思われますが、この決定に関して、さまざまな報道が行われ、その中には誤った内容も多く、今後の5類移行に当たって誤解や混乱、最悪の場合感染拡大も危惧される状況です。まず、政府のこの2類相当から5類に移行するという決定に対する品川区の理解と今後の対応について簡潔にご説明ください。


 ありがとうございました。
 まず、感染症法は、正式名称を「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」といい、第1条で、「この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し、必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びその蔓延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする。」と記されています。

 したがって、感染症法は感染症の予防、治療のための措置を定める法律です。その措置には、医師の届け出、患者の健康診断、就業制限、入院、消毒、交通制限など、人権制限を伴うような強制力のあるものも含まれ、そのために感染症の重大さに応じて行える措置が細かく決められています。

 それぞれの措置が行える感染症を、その重症度に応じてグループ分けし、この感染症のグループを「類型」と呼びます。現在1類から5類まで分けられています。

 1類感染症は感染力が最も強く、致死率も極めて高い、エボラ出血熱やペストなど。
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類感染症は1類ほどではないが、感染力が強く致死率も高い、SARSMARS、鳥インフルエンザ、ポリオ、結核など。
 3類感染症はコレラ、赤痢、腸管出血性大腸菌感染症など、主に消化器を冒す重い感染症、
 4類感染症は狂犬病、日本脳炎、デング熱、マラリアなど動物や昆虫が媒介する重い感染症。
 そして、5類感染症は病原性はさほど高くないが、感染力は強く、感染対策が必要な疾患で、季節性インフルエンザのほか、麻疹、風疹、梅毒、HIV、水痘、百日咳、RSウイルス感染症、ヘルパンギーナなど多くの感染症がこのグループに属します。

 さらに、2009年の新型インフルエンザ感染症のような新しい感染症が登場したため、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症という3類型が追加されました。

 現在、新型コロナ感染症は感染症法上、2類感染症ではなく、この新しい区分の新型インフルエンザ等感染症に位置づけられており、その行える措置は2類相当だけでなく、1類しかできない交通制限なども含まれ、実質1.5類相当という扱いになっています。
 この1.5類相当扱いが202358日から、5類感染症に変更されるということになります。現在、「新型コロナ感染症が、2類相当から5類になったら」という内容の報道が多く流されていますが、極めて不正確な情報が目につきます。

 いくつか指摘してみます。2類相当を5類にすれば全数報告ができなくなるという解説は全く誤っており、5類でも麻疹、風疹、百日咳は全数報告が行われています。

 また、5類になるとコロナワクチンが無料から有料になるという解説も、全くの誤りであり、そもそもワクチン接種と感染症法の類型と全く関係ありません。ワクチン接種は予防接種法で定められるものであり、5類の麻疹、風疹、水痘ワクチンはA類定期接種として全額公費で、高齢者のインフルエンザワクチンはB類定期接種として、一部公費で接種が行われています。

 また、5類になれば全ての医療機関で新型コロナウイルス感染症が診療できるようになるというのも不正確です。HIV5類感染症ですが、全ての医療機関で診療が行われているわけではないことはご承知の通りです。

 いずれにしろ、新型コロナ感染症を5類感染症に公衆衛生上の位置づけを変更しても、当たり前ですが、ウイルスそのものが58日から変わるはずはありません。相変わらず新型コロナ感染症は、高齢者、基礎疾患のある方、ワクチン未接種の人には怖ろしい、侮れない病気のままなのです。

  一番怖ろしい事態は、公衆衛生上の分類が5類に変わっただけなのに、コロナ禍が終わった。もう感染予防対策はいらないんだ。マスクも手洗いも必要ないんだ、という過剰な開放感が人々の間に横溢することであり、それをそそのかす報道が溢れることです。

 5類変更に先立ち、2023313日からマスク着用は個人の判断、と変わります。この方針変更によって、区の対応はどう変わるのでしょうか。変わらない点もあるのでしょうか。また、感染対策全般における、マスク着用の変更の影響について、ご説明ください。

 ありがとうございました。そもそもマスクの着用の意義は、会話や咳の際に飛沫、微粒子を飛ばさないようにすること(他者を感染させないこと)、 そして、空気中に漂う感染力のある微粒子を吸い込まないようにすること(自分を感染させないこと)にあります。

 新型コロナ感染症では、インフルエンザなどで行われてきた、症状のある人にマスク着用を勧める感染対策と異なり、症状の有無に関わらず、常時マスクの着用が推奨されました。その理由は、新型コロナ感染症は、発病数日間から感染力が強いこと、無症状や軽症の感染者からも感染が広まりやすいためでした。しかしワクチン接種の進展、変異株による重症度の変化、治療薬の登場、医療機関での重症コロナ患者に対する治療管理の進歩、既感染による抗体保有者の増加などにより、新型コロナウイルス感染症は軽症化し、2022524日に、政府は屋外のマスクの着用は不要であると対応を変更しました。

 そして、本年313日からマスク着用は各自の判断ということになったのです。

 しかし、感染対策上、この方針変更はマスクの着用の必要なくなったと言うことを意味するのではないことを、区はしっかりと情報提供しなければならないと考えます。

 マスク着用には、明らかな公衆衛生上の感染予防のエビデンスがあります。令和5年2月8日に開催された、第116回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに提出された「マスク着用の有効性に関する科学的知見」でも、一般人口における、マスク着用に関する78件の研究のメタ解析では、マスク着用者の週あたり感染リスクが非着用者の0.84倍に低下することが報告されました。

 アメリカ人はマスクを着用しないとよく話題になりますが、米国マサチューセッツ州のマスク着用の義務を解除した小中学校と、マスク着用の義務を継続した小中学校における、児童やスタッフの15 週間追跡した比較結果では、着用義務を解除した学校の方が、着用を続けた学校より感染リスクが、1000人あたり44.9人増えたと報告されています。

 また、やはりアメリカの研究で、マスク着用率が10%上昇すると、実効再生産数が1.0未満に落ちて、流行が3.53倍制御しやすくなるという、流行対策の一部としてマスク着用が有効であるという報告も行われています。

 したがって、313日以降もマスク着用は何ら問題なく、むしろ望ましい対応と考えます。

 現在マスクをするのは日本人だけとか、マスク着用を続けるのはただの慣れのせいだとか、日本人の周りの目を気にする同調圧力のためだとか、女性は化粧をしなくても済むからだとか、なぜかマスク着用に対する人に対してのみ、否定的な評価が垂れ流されています。

 欧米では、2020年コロナ流行時、罰則のある公権力によるmask mandate(着用義務)が行われました。しかし、もともと宗教的や文化的にマスクをつける習慣がなかったため、社会的に受け入れられず、着用義務は早々に撤廃されました。

 また、アメリカではマスク着用は「マスク戦争」と呼ばれるほどの激しい、政治的社会的対立の象徴となってしまいました。これに対し、我が国ではインフルエンザ対策でもマスク着用が推奨されてきたこと、花粉症でマスクがなじんでいた国民が多かったことなどにより、感染対策としてのマスク着用は特に大きな社会的問題を起すことなく、定着してきたのです。

 また、日本人だけがマスクをつけているわけではありません。韓国でも、シンガポールでも、台湾でも、いずれも常時着用は撤廃されていますが、マスク着用を続ける感染予防に意識的な人が多いようです。

 これに関して、ファウチ前米国国立アレルギー・感染症研究所所長は、2023123日のNHKのインタビューで、「日本は公衆衛生上の対応が相対的にうまくいった国です。日本がうまくいったのは、マスクの着用を相当しっかりと守ったからだと考えています。そして日本では、かの有名な『3密の回避』、閉鎖的な空間を避け、人混みを避け、密接な接触を避けるようにしていました。 私は、このことが感染の拡大を防ぐのに非常に重要だったと思います。ほかの多くの国では、『3密の回避』は守られませんでした。さらに、日本人はマスク着用に非常に積極的でした。というのも日本ではマスク着用が社会的に受け入れられていたからです。

 これに対して、アメリカでは、マスクをすることはあまりなく、文化的にも受け入れられることではありませんでした。 一方、日本を含むアジアでは、人々は自然にマスクをすることを受け入れていました。このことが、日本での感染対策に大きく貢献したと思います。 」と我が国の感染予防対策を高く評価しているのです。

 第115回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに提出された、「これからの身近な感染対策を考えるにあたって(第一報)」の提言でも、 「しかしながら、感染対策の実施が長期に及ぶなかで、今では過剰ともいえる感染対策や、有効性が疑問視される感染対策が続けられている場面が散見されている。これらが社会経済活動や、教育活動及び子どもの生活において、大きな制限になっていることが課題である。
 さらには、過度な負担のかかる感染対策や環境整備を強いられる事例や、実践できていない場合に周囲とトラブルになる事例も少なからずある。」と述べられています。

 私も、2022年一般質問で、受付カウンターをビニールシートで覆う、手袋を着用し続ける事などは 感染予防の効果はほとんど得られず、消毒が適切に行われなければ、かえって、感染源になる危険があること。アクリル板設置もマスクを外して会食する飲食店などでは感染対策上必要ですが、通常のマスクを着用した状態においては、 気流の流れを滞留させ、換気の障害になったり、消毒なしでは板に付いた飛沫が感染源になることなどを指摘し、区として改善と指導を求めましたが、現在の取組はいかがでしょうか。 ご説明願います。


 必要ない過剰な感染予防策は早急に改善すべきであり、さらに区の迅速な対応を求めて次の質問に移ります。

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