鈴木博の医療-子育て政策の提言と実現状況

Ⅲ 子育て支援施策




2.しながわネウボラネットワーク



2015年(平成27年)第3回定例会 に関する一般質問部分(2015.9.18)
 子育て支援についてお尋ねいたします。

 少子化対策は、待機児童解消のための保育施設の整備だけにとどまるものではありません。「地域における、切れ目のない妊娠・出産支援の強化」をさらに発展、定着させるためには、産婦人科医、小児科医、かかりつけ医などが、保健師、ソーシャルワーカー、助産師等と連携し、ネウボラネットワークの核となって活動することが、子どもの健やかな成長と子育て中の親の心身の健康を支援することに大きく寄与すると考えます。

 
現在検討中の、しながわネウボラネットワークに、ぜひ医療の視点を加えるよう望みますが、区のお考えはいかがでしょうか。

◯区長答弁(濱野健君) 
 私からは、品川区の子育て支援施策についてお答えを申し上げます。
 
 次に、ネウボラネットワークについてでありますが、現在、庁内の検討委員会を立ち上げ、支援の仕組みの全体像や関係機関の連携等について検討を行っております。関係機関といたしましては、医療機関も想定をしております。今後、ネットワークの構築に向けまして、医師会等のご意見を伺いながら進めてまいります。




2017年(平成29年)平成29年度予算特別委員会民生費 ネウボラネットワークに関する部分(2017.3.10) 2017-03-10

◯鈴木(博)委員  
 次に、しながわネウボラネットワークについて質問いたします。

 2016年から本格的にスタートしたしながわネウボラネットワークの事業内容の説明と、現在の相談件数の実績についてご説明をお願いします。

 また、新しく始まったしながわネウボラネットワークの事業と、品川区が従来きめ細かく行ってきた子育て支援のさまざまな施策の関係はどうなのか。利用者、区民の方が戸惑うことはないのか、その点のご説明もお願いします。

◯高山子ども育成課長  
 それでは、私のほうからネウボラネットワークの説明をさせていただきます。

 しながわネウボラネットワークは、全ての妊産婦と子育て家庭に対しまして、妊娠、出産、育児にわたり切れ目のない支援を行い、安心して生み育てられる地域社会をつくる、こういったことを目的としておりまして、今年度本格的にスタートを切ったものでございます。

 一つには、身近な場所で必要な人に必要な情報、サービスを届ける相談の仕組み、そして連携の仕組みということと、もう一つは新たな事業構築ということが中心になってまいります。
 主な事業の中身としましては、相談事業ということで3つの保健センターで実施しております妊産婦の面接、そして児童センター5つで行っております子育てネウボラ相談事業といった2つの相談事業、そして産後家事・育児支援事業、産後ケア事業といったところが今年度の新しい事業ということになっております。

 お尋ねの子育てネウボラの相談件数につきましては、昨年の12月までの9カ月間の実績で申しますと713件の相談を受け付けているところでございます。そして、既存の事業との整合性という部分ではございますが、これまで品川区は母子保健や子育て支援に関する多様な施策を推進してまいりましたが、これまでの取り組みを踏襲しつつ、全ての妊産婦、子育て家庭に対する新たな事業ということで、これまでの事業とそしてこれまで少し至らなかった部分については新規事業を構築する中で、重層的に子育て支援の施策を拡充していくと、そのような意味合いでございます。

◯鈴木(博)委員  
 そもそもネウボラネットワークの語源になっているフィンランドのネウボラというのは、1920年代にフィンランドがロシア帝国から独立した後、非常に乳幼児の死亡率が高かったために、フィンランドの小児科医であるアルヴォ・ユルッポという先生が看護師、保健師などとともに始めた母子保健活動が出発点になっています。
 これが1994年に制度化されて、現在ほとんどフィンランドの100%近い母子が産前・産後利用する子育て助言の機関として、今その評価が確立しております。  

 ネウボラというのは、家事・育児ヘルパー事業、産後ケア、宿泊とか日帰り事業を品川区も始めておりますが、これも母親支援として非常に必要なことです。
 しかし、行政の部署間の活動が、切れ目なく行われるということではなくて、子育てを実際に行っている家族、母親、子ども、そしてご家族の方が切れ目ない支援、助言が受けられることが極めて大切だと思います。

 それに関して、国のほうでは子育て世代包括支援センターの構想というのはありますが、これと品川区のネウボラの関係はどうなのかということを伺いたいのと、現在のしながわネウボラネットワークは5カ所のみですが、他の児童センターでも相談事業は行われています。
 この関係と将来のネウボラについて、要するに常に利用できて温かい雰囲気で何でも助言をしてくれていろいろ相談に乗ってくれるネウボラおばさんがいる、そのネウボラの相談所というのを増やしていく、そのような計画はあるのかどうか、将来の見通しについても一言ご説明お願いいたします。

◯高山子ども育成課長  
 2点のお尋ねでございます。
 1点目の子育て世代の包括支援センターとの関係ということでございますが、こちらのほうでは妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談や支援をワンストップで実施する、そういったものを総称するもので、国の関係者の説明を伺う限りは、必ずしもこの1つの建物で行うものをいうわけではなくて、いわゆるそういったサービスの総称をいうというふうに確認しております。

 品川区におきましては、3つの保健センターと子ども育成課、この4カ所がその役割を担っているという認識でおります。と申しますのは、こちらの4カ所がネウボラ事業の中核的な働きをしているという意味で言えば、2つの事業は1つの組織一体となって実施しているということかと思います。

 それから、児童センター5つで実施しております子育てネウボラ相談事業ですけれども、児童問題相談員という相談事業を始めるに当たっての前身となる仕組みがございまして、これが5つの児童センターで平成27年度まで実施していたものです。
 この5つの児童センターでの相談の取り組みを平成28年度からは子育てネウボラ相談員という形で進めているところでございます。



2017年(平成29年)第3回定例会 ネウボラネットワークに関する一般質問部分(2017.9.22) 

 欧州では、フランスやフィンランドなど、子育て施策を強力に行うことにより、合計特殊出生率を1.2から1.8まで引き上げた国もあります。そのための施策が切れ目のない子育て支援をめざす、しながわネウボラネットワークの構築であり、さらに強力に進めていかなければならない待機児童対策であり、きめの細かい在宅子育て支援であり、最も子育て家庭が熱望している病児保育の充実だと考えます。
 以下、順にお尋ねいたします。

 まず、ネウボラネットワークについてお伺いします。
 母子保健法の改正により、平成29年4月から「子育て世代包括支援センター」( 法律上は「母子健康包括支援センター」 )を市区町村に設置することが、努力義務となりました。さらに、「ニッポン一億総活躍プラン」において、平成32年度末までに「子育て世代包括支援センター」を全国展開することが目標とされました。

 品川区においては、平成28年から、全ての妊産婦や子育て家庭を対象に、妊娠・出産・育児の切れ目のない支援体制によって、子どもが産み育てやすい環境をつくる、「しながわネウボラネットワーク事業」が本格的にスタートしました。

 しながわネウボラネットワークの事業内容の説明と現在までの事業実績をお示しください。

 信頼をつなぐネウボラ相談員は、事務事業概要によれば、保健師、看護師、保育士などが、相談、情報提供、関係機関の紹介、サポートプランを作成するとあります。

 高度な専門性が要求されると思いますが、相談員はどのような研修を受けるのでしょうか。
 児童センターと保健センターのネウボラ相談員の連携はどのように行われるのでしょうか。
 また、しながわネウボラネットワークにつながる医療機関、関係機関とのネットワークづくり、取り組みと進捗状況はいかがでしょうか。

 それぞれご説明をお願いいたします。

◯区長答弁(濱野健君) 
 私からは、子育て支援についてのご質問にお答えを申し上げます。


 次に、ネウボラネットワークの事業内容ですが、全ての妊産婦と子育て中の保護者に身近な相談の場を提供するほか、産後ケア事業や子育て情報の発信を中心に展開をしております。

 昨年度の相談実績ですが、保健センターの妊産婦ネウボラは妊娠届け出数の約7割に当たる3,194名、児童センターの子育てネウボラ相談は1,092名で、今年度も前年の同時期を上回る相談実績で推移をしております。

 次に、相談員の研修ですが、妊産婦ネウボラ相談員は、妊娠中の母体や心の変化、疾病を持つ妊産婦への対応等の研修を、子育てネウボラ相談員では、臨床心理士の資格を持つスーパーバイザーが相談員の資質向上を図っております。さらに、相談員会議を開催するなど、情報交換と相互の連携に努めております。

 医療機関とのネットワークづくりにつきましては、保健センターが、医療機関との連携により、産後の育児に不安を持つ母親に対して出産直後から支援しているほか、必要な方には産後ケアを紹介するなど、関係機関との連携に取り組んでおります。



2017年(平成29年)平成28年度決算特別委員会民生費 ネウボラネットワークに関する部分(2017.10.5)

◯鈴木(博)委員
 次に、しながわネウボラネットワークについてお伺いします。これは先ほど我が会派の横山委員からも質問があったのですが、重ならないようにしてご質問します。

 しながわネウボラネットワーク事業は、区民のご家族ごとに1人のネウボラ相談員が寄り添い、切れ目のない相談と助言、必要な場合は専門機関につなぐ、品川区の子育て支援事業の中心になり得る事業だと考えます。

 まず、現在の事業内容についてご説明をお願いいたします。特に評価が高い事業などがありましたら、合わせてご紹介ください。現在、5カ所で行われている子育てネウボラ相談員による子育て相談の相談件数の推移と、その相談内容についても簡単にご紹介ください。

◯高山子ども育成課長  
 しながわネウボラネットワーク事業のお尋ねでございます。

 しながわネウボラネットワーク事業は、平成28年度より全ての妊産婦、子育て家庭に対する妊娠、出産、育児の切れ目ない支援により、子どもを安心して産み育てられる社会の構築といったことを目的として立ち上げたものでございまして、中核となる事業としましては3つほどございます。

 1つは相談事業、そして産後ケア事業、それから情報発信といった3つの大きな柱のもと、事業展開をしているものでございます。
 この中でも評価の高いものをご紹介させていただきますと、午前中の質問の中にもございましたが、産後家事育児支援ヘルパー事業が利用件数そのものは多くはないのですけども、非常に高い評価をいただいているところでございます。
 昨年度は、事業の構築に当たって見込みました件数を下回るようなものではあったのですが、今年度、この8月までの5カ月間の実績で申しますと30人の申込者の方、331時間というご利用ということで、既に昨年度を上回る勢いでこの利用が進んでいるところでございます。こういったものがさらに利用されるよう普及と、それから使いやすさという部分を追及してまいりたいと考えております。

 次に、利用者の反応としましては、産後の6カ月間という非常に体が厳しい時期でもございますので、産後の一番しんどい時期につくっていただいた料理で、心も体も癒やされたなどの意見でございますとか、あるいは育児の不安などを話すだけで気持ちの整理ができた、といった率直な感想などをいただいているところでございます。

 そして、ネウボラ相談事業の相談件数の推移を昨年1年間の数値で申しますと、ネウボラ相談員5人の年間の受付件数が1092件ということで、児童センター25館で受付けている総合的な件数2229件のうちの1092件ということで、48%の割合でございました。

 これは今年度に置きかえますと、7月までの数値で申し上げますが、児童センター25館全体の相談受付の約8割を、ネウボラ相談員の方がお受けしているというような状況もございまして、徐々に相談事業が定着し、そして適切に相談につながっているという認識でおります。

◯鈴木(博)委員  
 詳しいご説明、ありがとうございました。

 産後家事育児支援や産後ケア事業など、ネウボラの新規事業が、ますます使いやすいように改変しながら、今後とも発展することを期待します。
 
 また相談事業についてです。ネウボラ相談事業が、5カ所のネウボラセンターで行われていますが、他の児童センターでも子育て相談が現在行われています。
 これらの相談の違いと、将来子育てネウボラ相談にこれらが統合されていくのか、ネウボラ事業がどの程度、並行している他の事業と合わさっていくのかについて、今後の見通しを簡単にご説明をお願いします。

◯高山子ども育成課長  
 現在、児童センター5館で実施しております子育てネウボラ相談員の相談と、それから他の館との違いということでございますが、この5館につきましてはいわゆる保健師、看護師、教員などの免許を持った方が専門的な相談をお受けするといった部分がございます。

 その他の館につきましては、児童センターで勤務しております、児童指導員という専門職、その職員が子育てひろば事業の中で相談をお受けしているというところで、館の相談室の設置などというような物理的な違いに加えまして、資格を持った方がいらっしゃるというところに違いが
あろうかと思います。

 こういったものとの統合という意味で申しますと、現在は5館にとどまっておりますそういった相談が、いずれ定着した後には、その他の館にも増やしていければというような思いでおりますので、相談事業の一層の普及と、適切に相談につながるような相談員のスキルアップ、そういったものも同時並行で進めてまいりたいと考えております。

 そしてネウボラ事業との統合という点で申しますと、現在、立ち上げました平成28年度の新規事業につきましては、これまで産前・産後の部分で手薄だった事業について、新たに事業構築をして、そのすき間を埋めるというところを中心に展開しているところでございます。

 このネットワーク事業を広げていく中で、既存の事業との住み分けでありますとか、きちんとした定義づけなどは順次図っていく中で、ネットワーク事業全体像を見てまいりたいというふうに考えております。

◯鈴木(博)委員  
 今後、しながわネウボラネットワークが相談実績を見ながら拡大していくことは、品川区民とご家族にとって大きな育児支援になると期待されますので、ますますの発展を期待しております。

 ところで、現在国が進めている子育て世代包括支援センターの構想と、品川区のネウボラネットワークの関連についても簡単にご説明ください。

◯高山子ども育成課長  
 現在、国が進めております子育て世代包括支援センターでございますが、国への報告の上では、私ども子ども育成課の児童相談係と、そして3つの保健センターの部門を合わせました4カ所が子育て世代包括支援センターという位置づけでございます。

 このセンターの役割としましては、妊産婦、乳幼児等の状況を継続的・包括的に把握し、妊産婦や保護者の相談に保健師等の専門家が対応するとともに、必要な支援を調整、そして関係機関での連携を図っていく、そのようなものがこのセンターの目指す姿かと考えております。

 そういった意味で、現在保健センター、そして私ども子ども未来部のほうで進めておりますこうしたネウボラネットワーク事業そのものが、国の目指すところの子育て世代包括支援センターの動きと合致しているものというふうに考えているところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 ありがとうございました。既に高齢者医療・介護では、地域包括ケアシステムにより区内の多職種連携が進んでいます。ネウボラは切れ目がない相談とつなぎの事業です。
 ネウボラ相談員が必要と感じたときに、医療機関、関係機関につなげるようなネウボラネットワークこそ、多職種連携、顔の見える関係が必要なのではないでしょうか。
 小児領域における多職種連携の組織づくりが必要だと考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。

◯高山子ども育成課長  
 現在、事業を進める中で、例えば助産師会の協力でありますとか、東京保健医療大学などといった区内の医療関係の方々とも随時手を携えながら、事業を円滑に進めさせていただいているところでございます。
 ネットワーク事業の広がりを堅実に、着実に進める中で、区の持ち合わせない資源とも有機的に連携しながら、このネットワーク事業をより充実したものとしてまいりたい、というふうに考えております。

◯鈴木(博)委員  
 今後とも品川区の子育て家庭のために、よろしくお願いいたします。


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