鈴木博の医療-子育て政策の提言と実現状況

Ⅳ 教育施策



2.学校健診色覚検査


2014年(平成26年)第3回定例会 眼科学校健診に関する一般質問部分(2014.10.23)

 
眼科検診についてお伺いいたします。

 文科省は、平成15年度から小学校における色覚検査を、定期健康診断の必須項目から削除しました。その結果、学校での色覚検査は、事実上ほとんど行われなくなってしまいました。

 色覚異常は、本邦では、男性は20人に1人、女性は500人に1人の割合で見られ、多くは赤と緑の色覚異常です。

 色覚異常は自覚症状に乏しく、日本眼科医会が平成22~23年に行った、先天色覚異常の受診者に関する実態調査によれば、小学生では6割強、中学生、高校生でも半数近くは、自分が色覚異常であることを自覚していない、という調査結果が出ています。
 そのため、小学校では「色間違いをして、先生からふざけてはだめと注意された」とか、「色遣いが違うことを友達からからかわれた」などと学校生活上のトラブルが報告されています。

 学校健診で色覚検査を行う意義は、大きいと考えます。この検査によって、色覚異常者自身が初めて異常に気がつける、大切な機会だからです。さらに、検査後のカウンセリングも重要です。

 多数の色覚異常者が普通に社会生活を送っていること、自分の色覚特性をよく理解して行動すれば、失敗やハンデはほとんどないことを、眼科医などが伝え、励まし、支えることが大切だと考えるからです。

 文科省も、平成26年4月の「学校保健安全法施行規則の一部改正等について(通知)」の中で、「児童生徒等が自身の色覚の特性を知らないまま不利益を受けることがないよう、より積極的に保護者等への周知を図る必要があること」と通知しています。

 学校教育現場も色覚異常の生徒に配慮し、教材や色以外の情報を提供することが必要です。色覚異常のサポートは児童のみにとどまりません。幼いわが子が色覚異常と知らされたときの母親のショックは、自身は保因者のため異常はなく、子どもに異常が出現したという罪の意識も加わり、耐えがたい悲しみと思われます。母親に対する精神的な支援も極めて重要な対応と考えます。

 ここで質問いたします。
 
1、品川区の小中学校において現在どのように色覚検査は実施されているのでしょうか。また、その実施数はどのぐらいでしょうか。
 2、色覚異常が認められた児童に対し、現在、どのようなサポート体制が組まれているのでしょうか。また、学校現場では、色覚異常者に配慮した教材、授業内容、色以外での情報提供等はなされているのでしょうか。
 3、色覚異常の児童の母親に対する心理的なサポートはどのように行われているのでしょうか。


◯教育次長答弁(田村信二君)
 
 次に、学校における色覚検査の取り扱いですが、学校では保護者または児童・生徒へ色覚異常に関するアンケートや保健だより等により周知を行い、保護者から色覚の相談や希望があれば、養護教諭による色覚検査表を用いた検査を実施しております。

 その実施数は、昨年度は11校、12回、359人でございます。今年度は9月末現在、14校、21回、483人でございます。児童・生徒へのサポート体制につきましては、養護教諭が保護者と面談し、眼科医への受診を勧めることなどを行っております。

 次に、学校現場における配慮についてですが、学校では、黒板の明るさが均一になるように照明を工夫し、板書を消すときはよく消して、チョークの粉で見えにくいことのないように配慮をしております。赤や緑のチョークで書かれた文字は見えにくいため、主に白と黄色のチョークを使います。

 さらに、本区で使用しております多くの教科書や副教材は、情報がきちんと伝わる色合いに配慮した、カラーユニバーサルデザインを採用しております。また、情報が確実に伝わるよう、地図や分布図は文字や記号を併記したり、地図に使用されている色分けは、言葉で説明したりすることもあります。

 最後に、親への心理的サポートについては、各校の養護教諭と担任教諭が、校医である眼科医のアドバイスを受けながら適切な配慮を行うよう努めております。



2015年(平成27年)平成27年度予算特別委員会教育費 色覚検査に関する部分 (2015.3.11)

◯鈴木(博)委員  
 次に、第3回定例会に引き続き、眼科色覚検査についてお訪ねいたします。

 学校健診で色覚検査を行う意義は大きいと考えます。この検査によって、色覚異常者自身が初めて異常に気づくことができる、大切な機会だからです。平成26年度文部科学省スポーツ青少年局長からの「学校保健安全法施行規則の一部改正等についての通達」によると、色覚検査は学校医による健康相談の中で、児童・生徒や保護者等の事前の同意を得て、個別に検査を行うと記載されております。

 
品川区では色覚検査は、原則どなたが行っているのでしょうか。眼科校医の先生方と、色覚検査の進め方、検査の方法、配慮の仕方等について、ご相談などは密になされているのでしょうか。
 ご説明をお願いいたします。

◯野呂瀬学務課長  
 現状では、学校において色覚検査希望者には、まず養護教諭が色覚検査を行いまして、異常の疑いがある場合には眼科への診療を勧めるという流れでやっております。
 色覚検査を誰が行うべきか、検査の方法や進め方につきましては、今現在、学校保健会の学校医師部会および品川区眼科医会等と相談調整を行っているところでございます。

◯鈴木(博)委員  
 色覚異常は男子の場合、20人に1人というありふれた、色覚の特性です。

 色覚異常は伴性劣性遺伝で起こりますが、近視、遠視等の屈折異常も遺伝的な素因が十分関係しています。色覚に特性を持つ児童が学校生活はもちろん、将来の生活などで不利益に陥ることがないように、十分な啓発と眼科専門医の先生ともよく連携し、きめの細かい配慮をよろしくお願いいたします。


政策教育に戻る
区議活動記録に戻る