鈴木博の医療-子育て政策の提言と実現状況

Ⅰ.予防接種


 「予防接種とは、すべての子どもたちが、健康に育つ権利を最低限保障するものです。ワクチンで防げる病気は、ワクチンで防ぎたい。親の経済力のちがいや地域差によって、必要なワクチンが受けられず、重い病気になって苦しんだり、後遺症が残ったり、亡くなることは許されることではありません。」(平成23年第4回定例会鈴木博議員一般質問から)

 ワクチンの定期接種化、任意接種の接種費用助成は、2011年(平成23年)品川区議会選挙で初当選して以来、区議会で一貫して当クリニックが訴え続けてきた、保健医療政策です。

 この12年間の、ワクチン接種費助成実現のための活動によって、他区に先がけて、品川区はB型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンの接種費用の助成を次々と実施してきました。

 そして、2022年HPVワクチンの積極的勧奨が再開され、おたふくワクチンの定期接種化以外、鈴木博議員の公約は実現することになったのです。

 とりわけ、HPVワクチンは「市民団体」の仮面をかぶった反ワク・カルト勢力と朝日新聞などその同伴マスコミとの熾烈な闘いの末に、ようやく産婦人科医師、小児科医師、先進的な若い女性グループの活動が実り、救済の道がこじ開けられたのでした。

 鈴木博議員も2013年にHPVワクチンの積極的勧奨が停止されて以来、一貫してHPVワクチンの重要性とその再開を区に熱烈に働きかけてきました。HPVワクチンをめぐる区の担当者との質疑を報告いたします。




4.HPVワクチン



2019年(令和元年) 平成29年度決算特別委員会総括質疑 HPVワクチンに関する部分(2019.10.16)

〇鈴木博委員
 本日は、私は若い女性の健康を脅かす、子宮頸がんについて質問いたします。現在、若い女性の間で子宮頸がんが増えています。 まず、子宮頚がんとはどのような病気なのか、ご説明をお願いします。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から発生します。正常な状態からすぐにがんになるのではなく、異形成と言われる、がんになる前の状態を何年か経てから、がんとなります。子宮頸がんの発生には、その奥に、HPV、ヒトパピローマウイルスの感染が関連しております。


〇鈴木博委員
 ご説明、ありがとうございました。

 子宮頸がんは、子宮の入り口である子宮頸部に発生するがんです。原因はヒトパピローマウイルス HPVの感染です。発病は30歳~40歳代がピークで、20歳~30歳代でも増加しています。初期にはほとんど自覚症状がなく、進行すると性交時の出血、悪臭を伴うおりもの、性器出血などが見られるようになります。

 ヒトパピローマウイルス(HPV)は200以上の種類があり、そのうち約40種類は性行為で感染します。梅毒などのように、特定の少数者が感染を広める性感染症とは異なり、HPVは性交渉を持った女性の50~80%が生涯に1度は感染するといわれているほど、ありふれたウイルスです。

 このうち、遺伝子型16、18型など15種類のHPVは、子宮頸がんを引き起こすことがわかっています。そのため、この15種のHPVは、「発がん性高リスク型HPV」と呼ばれています。特に子宮頸がんでは、16、18型が圧倒的に多く見られます。

 HPVに感染したとしても、大体90%は、侵入したHPVは排除され、子宮に留まる時間は短期間です。いつ感染したかわからないうちに感染し、治ることが多いのです。

 しかし、ごくまれに何らかの条件で、子宮上皮にもぐりこんだHPVが、排除されずにそのまま子宮内に留まることがあります。この子宮内に留まったHPVは長期間にわたって周りの正常細胞に攻撃し続けます。その結果、正常の子宮頚部上皮細胞はしだいにおどろおどろしいCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)とよばれる異型の細胞に変質していき、10年以上の長い年月の後に、凶暴ながん細胞に変身し、転移していきます。そして、最終的にがんに侵された人の命を奪うことになるのです。

 子宮頸がんはわが国では年間約10,900人が発病し、2,900人が亡くなっています。しかも死亡をまぬがれても、ごく初期のがんでなければ、子宮を全摘出しなければならず、子宮や卵巣を失うという女性にとって耐え難い犠牲が必要になります。

 命は助かったが、子どもが生めなくなった。赤ちゃんは助かったが、母親が死亡した、などという悲劇が後を絶たない、悲惨で恐ろしい「マザーキラー」と よばれるがんが、子宮頸がんなのです。

 この子宮頸がんの現在の治療とその成績はいかがでしょうか。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 子宮頸がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法があり、組み合わせて行われることがあります。早期の場合、子宮の入り口付近を手術で取り除き、子宮を残すことが可能ですが、進行すると、子宮はもとより、卵巣やリンパ節まで広い範囲を全て切除する手術が必要となります。

 2009年から2010年の診断例の5年生存率で治療成績を見ますと、早期のがん1期では93.2%、進行期4期では23.9%でございます。


〇鈴木博委員
 子宮頸がんの治療は、がんの進行具合によって異なります。がん細胞までには悪化していないが、異型な細胞の集まった前がん状態や超早期のがんならば、子宮頸部の円錐切除という手術で、子宮を温存することも可能です。

 しかし、円錐切除術といっても、手術によって子宮の一部を切り取ることには変わりありません。手術後、子宮頸管粘液の分泌が減少したり、子宮頸管が閉じてしまうなど、手術のリスクは厳然として存在しています。この円錐切除手術を、現在我が国では年間9000人をこえる女性が受けているのです。

 がんがこれ以上拡がっている場合は、子宮や卵巣、リンパ節などを広汎に取り出す根治手術や放射線治療、抗がん剤の治療が行われます。

 治療法の進歩によって、子宮頸がんを発病した患者さんのうち、かなりの人が救命できるようになってきたことは、とても喜ばしいことです。しかし、がん治療によって、妊娠・出産ができなくなったり、性交時の痛み、排尿・排便障害、足が異常にむくむリンパ浮腫、ホルモン不足の症状(ほてり、肩こり、いらいら、動悸など)など、さまざまな後遺症や女性としてのつらい気持ち、がん再発への恐怖など、身体的精神的な苦痛に苦しむ患者さんが少なくないのです。

 そのため、子宮頸がんも他のがんと同様、予防がきわめて大切です。品川区の子宮がん検診の目的と方法、検診の受診率、受診者数をお示しください。
 合わせて、低迷する子宮がん検診に対する国および品川区の認識をご説明ください。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 子宮がん検診の目的は、早期発見・早期治療により、子宮がんによる死亡者数を減らすことにあります。

 方法は、20歳以上の偶数年齢の女性区民を対象として、問診、視診、細胞診検査を無料で実施しております。検診の受診率は、平成28年度27.2%、平成29年度27.4%、平成30年度27.4%と、ほぼ横ばいであり、受診者数は、平成28年度1万5161人、平成29年度1万5354人、平成30年度1万5627人と微増でございます。

 がん検診受診に対する取り組みは、国においては、がん検診のあり方に関する検討会において、受診率向上について議論されております。区では対象者に、誕生日の前月に個別通知を送ることで受診意識を高めてもらうほか、わかりやすいチラシを同封して受診を勧奨しております。

 また、成人式の配布物として、20からの子宮がん検診のご案内により若年層の啓発にも取り組むほか、毎年、女性の健康習慣、これは3月1日から3月8日でございますが、これにあわせてスマートフォンのアプリ、「しながわパパママ応援アプリ」を活用し、がん検診のご案内を発信しているところでございます。


〇鈴木博委員
 ありがとうございました。残念ながら今ご説明のあったように、子宮がん検診の受診率は、国や品川区の懸命な勧奨にもかかわらず20%台と低迷しています。

 子宮がん検診は、一次検診として問診、内診、さらに細胞診が行われます。

 細胞診は子宮頸部をブラシなどで擦って細胞を採取し、顕微鏡で観察し、がんかどうか判定します。簡単で痛みも少なく、結果も比較的信頼できると評価されていますが、前がん状態やがんを診断できる感度は50~70%といわれており、5人に1人は見逃されている可能性があります。

 もしもこの1次検診で異常の疑いがあった場合は、精密な組織検査が行われ、子宮の浸潤がんと診断されれば、がんの進行度を調べることになります。子宮がん検診は大切ながん対策ですが、その効果と限界について、区はどのように認識されているのでしょうか。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 子宮がん検診の効果としては、定期的に検診を受けることで死亡率を最大80%まで減少させるとのエビデンスがあり、早期に発見することにより高い確率で治癒が可能となります。

 検診の限界としては、検査の精度は100%ではなく、がんが見逃される場合もあります。そのため、定期的に検診を受診することで、見逃しをできるだけ減らすことが重要です。

 検診では、前がん病変や初期のがんも見つかりますが、この中には、病変が進行せず、死亡に至らないものも含まれており、こうした病変を見つけてしまうことで、結果的に必要以上の検査や治療が行われることもあり得ます。


〇鈴木博委員
 子宮頸がん対策は、子宮頸がんの原因であるHPV感染をワクチンによって防ぐこと(一次予防)、検診によるスクリーニングで前がん病変のうちに発見し、浸潤がんになる前に治療してしまうこと(二次予防)が世界的に認められた、二つの柱とされています。

 ところが、定期接種であるはずのHPVワクチン接種が我が国では現状、ほとんど行われておりません。

 子宮頸がんが、ウイルス感染によって発病する病気ならば、その発がんウイルスに対する免疫を獲得し、子宮頸がんの発病を阻止すること (1次予防)は非常に合理的な治療戦略です。

 HPVワクチンは、発がんウイルスであるHPV16型と18型に対する感染予防効果が非常に高い優れたワクチンです。すでにHPVワクチンのすばらしい効果を示す研究報告、論文が世界中で多数発表されています。

 さらにHPVワクチンが接種され始めて10年が経過し、HPV接種によって、前がん状態の減少だけでなく、浸潤がん(子宮頸がん) も減少するという報告も発表されています。

 フィンランドでは、比較検討の結果、HPVワクチンを接種していないグループからは子宮頸がん患者が発生したのに、HPVワクチンを接種したグループからは 子宮頸がんが見られなかったと報告されました。

 平成29年11月に開かれた、第31回厚労省副反応検討部会では、ワクチン接種により期待される子宮頸がん罹患者数の減少は10万人あたり859〜595人、子宮頸がん死亡者数の減少は10万人あたり209〜144人であり、接種により多くの子宮頸がんの罹患や死亡の回避が期待できることが報告されました。

 すでに新しい9価のHPVワクチンであるシルガード9の接種を公的接種として行っている オーストラリアでは、子宮頸がんの発病は激減しており、2028年までに子宮頸がんの診断を受ける女性が10万人あたりに4例未満(ちなみに我が国は16例)まで減り、2066年には10万人あたり1例未満と、先進国の中で最初に子宮頸がんを撲滅した国になると言われています。

 なぜ、このような優れた効果が報告されているHPVワクチンの定期接種の勧奨が停止されたのか、また、現在のHPV ワクチンの接種数と最近の傾向について、お知らせください。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 平成25年から、小学校6年生から高校1年生の女子を対象に定期接種が開始されました。しかし接種後に、持続的な疼痛や運動障害などの症状が報告されたことを受けて、平成25年6月14日、国において積極的勧奨を差し控えることを決定したものでございます。

 品川区のここ3年の接種者数は、8人、19人、93人と、非常に少数でございます。少しは増えているような状況でございます。

〇鈴木博委員
 見るも無残な状態ですが、それでも最近は認識が進み、少しずつ希望者が増えていることは喜ばしいことだと思います。

 HPVワクチンは平成25年4月より定期接種となりましたが、 ワクチンを接種した後に、広範囲に広がる激しい痛みや、手足の動かしにくさ、 身体の一部が勝手に動く不随意運動などの多様な症状が、HPVワクチン接種の副反応の疑いがあるとして報告され、この多様な症状が、HPVワクチン接種に関連するかを検討するために、厚労省はHPVワクチンの定期接種としての積極的勧奨を一時停止しました。
 「子宮頸がんワクチンが副作用が強いから、接種が中止になった。」というのは、全くの誤解です。

 この多様な症状に対する、その後の国の取り組みについて、ご説明ください。また、この症状に対する国際的な評価はどのようなものだったのでしょうか。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 国においては、厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会)で検討が続いております。また国際的には、WHO(世界保健機関)がワクチン接種者における慢性疼痛等の症状は、ワクチン製剤そのものには関連しないと結論づけているところでございます。


〇鈴木博委員
 平成29年11月の厚生労働省専門部会において、慢性疼痛や運動障害など、HPVワクチン接種後に報告された 「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されず、これら「多様な症状」は機能性身体症状と考えられる、との見解が発表されました。

 平成28年12月の厚生労働省第23回副反応検討部会において、厚生労働省研究班祖父江班による全国調査結果が発表 され、HPVワクチンの接種歴のない女性でも、HPVワクチン接種歴のある人と同様の「多様な症状」が多数存在することが報告されました。

 また、名古屋市で行われた約3万人におよぶ大規模な疫学調査では、ワクチン接種後に報告された多様な症状とワクチン接種との間に有意な関連が認められませんでした。

 その一方で、ワクチンとの関連性ははっきりしないものの、多様な症状に苦しむ患者さんへの治療体制の整備が進み、現在19施設が 運動療法、教育・認知行動療法を行っており、接種後に何らかの症状が現れた方のための診療相談窓口が、全国85施設に開設されました。

 HPVワクチン接種を長期にわたり中断している日本に対し、国際的な視線は厳しいものがあります。WHOはたびたび日本保健当局に対し、若い女性の命を守るよう警告を発してきました。

 WHOワクチン安全性に関する諮問委員会(GACVS)は、平成27年1217日の声明で、
 結果として、若い女性達はワクチン接種によって予防しうるHPV関連のがんに対して無防備になっている。GACVSが以前指摘したように、弱いエビデンスに基づく政策決定は、安全かつ有効なワクチンを使用しないことにつながり、実害をもたらしうる。
と述べています。

 GACVSはその後もたびたびHPVワクチンが安全であること、接種を中断していることは日本人女性を危険に曝していると声明しています。

 また、平成28年4月に小児科学会、小児保健学会、産婦人科学会、小児科医会、保育保健協議会、感染症学会、呼吸器学会、渡航医学会、 耳鼻咽喉科学会、プライマリ・ケア連合学会、環境感染学会、ワクチン学会、ウイルス学会、細菌学会、臨床ウイルス学会の15団体がHPVワクチンの積極的な接種を推奨しました。

 しかし、HPVワクチンの積極的勧奨は再開されていないまま、ずるずると現在まで引き延ばされているのが現状です。このような国の不作為に対し、若い女性に子宮頸がんの啓発をしっかりと行おうとする自治体が現れました。

 岡山県が令和元年に中学、高校生の保護者向けに作成したリーフレットを供覧します。このリーフレットは子宮頸がんの病気の深刻さ、HPVワクチンの効果、その副反応をバランスよく述べた、素晴らしい内容です。
 千葉県いすみ市も令和元年、同様の内容のHPV ワクチン啓発のリーフレットを独自に作成し、配布しています。

 このように、現在のHPVワクチンの中断に危機意識を持ち、若い女性のいのちと未来のために、積極的な広報を始めた自治体もあるのです。品川区もこれまでワクチン先進区として23区の保健予防行政をリードしてきました。

 HPVワクチンについて、全ての品川区民、特に若い女性の区民に必要な情報を届けてほしい。副反応を極度に強調し、子宮頸がんの怖さと重さを過小評価するような、偏った情報提供でなく、「有効性とリスクについての公平な正しい情報」と「対象者は無料接種できる」という事実に基づく、客観的な情報を区民に積極的に提供することを切に望みますが、区のご見解はいかがでしょうか。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 HPVワクチン接種に関する正しい情報を発信することは重要と考えております。

 まずHPVワクチンを無料で接種できることにつきましては、区のホームページに掲載しております。また、ワクチンの有効性とリスクについては、厚生労働省が作成いたしました、「HPVワクチン接種の意義と効果」と題するパンフレットへリンクを張るなど、区民への啓発に努めているところでございます。


〇鈴木博委員
 すでにHPVワクチンの積極的勧奨が中断してから、6年がたってしまいました。HPVワクチンが平成25年、定期接種になったとき、接種対象だった12~16歳の少女はすでに現在では、18~22歳に成長しています。そして、彼女達は、HPVワクチンに対する十分な情報提供がない中でHPVワクチンの大切さも知らず、今「接種漏れ」として、定期接種の時期を過ぎようとしています。

 かつての日本脳炎ワクチンも、積極的勧奨停止とその後の救済処置がありました。しかし、今回の勧奨停止は全く深刻度が異なります。なぜならば彼女達はすでに、HPVに感染している可能性が高く、今HPVワクチンを追加で接種しても、すでに感染しているHPVを排除したり、進行しているがん化を阻止することはもはや期待できないのです。

 HPVワクチンを接種することは、次のHPV感染を防ぐ働きを期待する、ということになります。しかし、もしも接種時期を逃した人が、HPVワクチンの大切さに気づき接種を希望されても、任意接種の扱いになり、無料で接種を受けることも、法に基づく副反応の救済処置を受けることも最早できないのです。

 品川区として、最低限の処置として、これらの接種漏れの方々にHPVワクチン接種費用の助成を検討すべきと考えますが、区のご見解はいかがでしょうか。
 また、これらの人は、すでにワクチンによる第一次予防が期待できないとするならば、二次予防として子宮がん検診は特に重要と思われます。これらの接種漏れの人達への子宮がん検診の勧奨について、区はどのようにお考えでしょうか。

〇福内恵子品川区健康推進部長
 HPVワクチンの積極的な接種勧奨につきましては、国で慎重に検討するとしており、今後の動向を見守ってまいります。 また、接種費用の助成についても、この中で考えていきたいと考えております。

 また、子宮頸がん検診につきましては、特に若い方たちにも情報が行き届くよう、これまで以上に普及啓発に努めてまいります。

〇鈴木博委員
 最後に、若い女性のいのちと未来を奪う子宮頸がんを予防するために、HPVワクチンの接種と子宮がん検診の重要性を中学生、 義務教育学校後期の生徒に学習させることこそ、真の「がん教育」だと確信しますが、区のご見解はいかがでしょうか。

〇本城善之品川区教育委員会次長
 区立学校生徒への子宮頸がん検診とワクチンに関する学習についてお答えいたします。

 子どもたちがみずからの健康について考え、学ぶ機会は、大切であると認識しているところでございます。現在、区立学校9年生は保健体育の教科書を活用して、健康な生活と病気の予防を学ぶ際に感染症と予防について学んでいるところでございます。

 子宮頸がんに特化した内容の扱いは、今後の研究課題の一つとなりますが、区の保健所とも連携するとともに、これからも医学の進展や社会の動向等を注視してまいりたいと考えております。

〇鈴木博委員
 HPVワクチンの大切さ、区民への正確な情報提供の必要性を強く訴えて、私の質問を終わります。



2021年(令和3年) 第2回定例会 一般質問 HPVワクチンに関する部分(2021.6.24)

 HPVワクチンの現況についてお尋ねします。

 2020年8月から品川区はHPVワクチンのお知らせを配布するようになりました。2021年3月には中学1年生から新高校1年生、さらに新小学校6年生の家庭にもリーフレットが配布されるようになり、HPVワクチンに対する情報遮断に関して改善が認められ、評価いたします。

 HPVワクチン接種と全身の痛みなど多様な症状の関連の有無については、2020年にデンマークからHPVワクチンと自律神経障害を伴う症候群について最新の報告が行われました。デンマーク生まれの女性137万5,737人を対象に、HPVワクチンの接種歴と複合性局所疼痛症候群(CRPS)など自律神経障害を伴う症候群の関連の有無を調べ、有意な因果関係が認められなかったことが報告されました。

 また、スウェーデン・カロリンスカ研究所では、167万2,983人のスウェーデンの女性を追跡した結果、HPVワクチン接種群では19人、非接種群では538人が最終的に子宮頸がんを発症し、HPVワクチン接種が子宮頸がん発生率を63%減少させたと報告しています。

 このように、現在も続々と世界中からHPVワクチンの優れた発がん予防効果、問題となる副反応がない安全なワクチンであることの報告が続いています。

 ところが、定期接種時期を逃した女性がHPVワクチンの大切さに気づいても、接種費用負担なしで接種を受けることも、法に基づく副反応の救済処置を受けることもできない状況が現在も我が国では放置されているのです。

 2021年3月29日、有志の女子大生らがつくるHPVワクチン for meは、田村厚労大臣に面会し、HPVワクチンの積極的勧奨の再開、定期接種の機会を失った世代への接触機会の提供を求め、3万筆の署名も併せて提出しました。私も署名しています。

 そもそも定期接種とは、国が責任を持って行う予防接種です。何の情報の提供もないまま期限が過ぎてしまったので、もう法に基づく接種はできませんというのは、あまりにも無責任で冷酷な態度ではないでしょうか。これらの接種漏れの人々に対するHPVワクチンの追加接種の費用助成を改めて品川区に要望したいと思います。区はこの現状をどうお考えでしょうか。 

◯品川区保健所長(福内恵子君) 

 私からは、品川区の感染症対策についてお答えします。  次に、HPVワクチンについてです。

 積極的勧奨を差し控えてきた結果、接種していない方が多いことは承知しており、その方々への接種については、国の方向性の確認等、今後の動向を見据えつつ、費用の助成については今後の検討課題と考えております。




令和3年度予算特別委員会教育費 HPVワクチンに関する部分(2021.3.12)

◯鈴木(博)委員  
 まず、がん教育についてお尋ねします。がん教育の目的についてご説明をお願いいたします。

◯矢部教育総合支援センター長  
 簡潔に2点申し上げます。1点目はがんについて正しく理解することができるようにすること、2点目は健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにすることでございます。

◯鈴木(博)委員  
 がん教育については、平成28年のがん対策基本法の改正を踏まえた第3期がん対策推進基本計画に基づいた、新中学・新高等学校学習指導要領を踏まえた簡潔なご答弁だと理解しました。

 2021年2月24日に開催された厚生委員会において、品川区保健所保健予防課より小学校6年生、中学1年から3年生、高校1年生の各ご家庭に厚生労働省作成のHPVワクチンのリーフレットを配付したと報告がありました。

 このリーフレットは、子宮頸がんの発病に関して、発がん性ヒトパピローマウイルスの感染が大きく関係していること、ヒトパピローマウイルスの感染にワクチンが極めて有効であることを各家庭に情報提供する内容でした。

 現在品川区の学校でがん教育が行われていますが、がん教育の目標は、がんが身近な病気であることや、がんの予防、早期発見・検診等について関心を持ち、正しい知識を身につけ、適切に対処できる実践力を育成することであると「学校におけるがん教育の在り方について」で文部科学省は述べています。

 発がん性ヒトパピローマウイルスの感染、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの感染、ピロリ菌の感染は、病原性の感染ががん発症に深く関わっている三つの感染性がんであり、日本人のがんの25%を占めてきたものです。

 それぞれHPVワクチン、B型肝炎ワクチン、ピロリ菌に関しては、抗菌剤による除菌で子宮頸がん、肝臓がん、胃がんの発症を防ぐことができることが現在わかっています。

 がんを予防するための教育ならば、生活習慣病の予防も大切ですが、発がんウイルス、発がん性の細菌感染に対する知識とワクチン、抗菌剤による予防について学ぶことはまた、極めて重要だと考えます。これこそ正しい知識を身につけ、適切に対処できる実践力を身につけることになるのではないでしょうか。教育委員会のご見解をお聞きしたいと思います。

 今も年間3000人近い女性が亡くなっている子宮頸がんを予防するために、HPVワクチンの果たす役割をしっかりと理解させることこそ、実効力のあるがん教育だと私は確信しております。

 2019年の決算特別委員会の総括質疑でも、HPVワクチン接種と子宮がん検診の重要性を授業で取り上げることを要望しましたが、当時の教育次長のご答弁は、9年生の保健体育の授業で感染症と予防について生徒は学んでいます、というお答えでした。

 現在感染症とがんについてどのような授業が行われているのでしょうか、ご説明をお願いいたします。

◯矢部教育総合支援センター長  
 がんにつきましては、学習指導要領にのっとりまして、保健体育の保健の学習の中で指導してございます。小学校では喫煙、飲酒、薬物乱用と健康の中でがんについて触れてございます。中学校では、生活習慣病などの予防の中で、がんの予防について指導しています。いずれもHPVワクチンについて直接的には取扱っておりませんが、品川区では今年度から全区立中学校と義務教育学校後期課程において、医師を講師としたがん教育を実施しており、その中で子宮頸がんやワクチンについて触れる機会がございました。

◯鈴木(博)委員  
 ぜひHPVワクチンについて、9年生のがん予防の学習の中で取り上げることを、強く要望いたします。

 また、衛生費の款別審査でも触れましたが、昨年12月にHPVワクチンが男性にも適用が拡大されたことに関連して、質問いたします。男子へHPVワクチン接種を行うことが、男性にも多い性感染症である、性器いぼ、尖圭コンジローマの男女間の感染のうつし合い、あるいは1人が感染すると、当然相手がワクチンをしていなければうつってしまいますので、その感染のうつし合いを防ぐこと、さらに現在男性でも増えている発がん性HPV感染による肛門がんの発病を防ぐこと、そして何よりも男性の感染者を減らすことが、若い女性を子宮頸がんから守ることになりますので、男子生徒、家庭へのHPVワクチン接種の理解のための情報提供は、極めて大きな意義を持つものと考えます。

 そしてこれはまた、性感染症予防教育にもつながるものであります。この男子に対するHPVワクチンの情報提供も、がん教育、性教育の重要な一環ではないかと考えますが、教育委員会はどのようにお考えでしょうか。

◯矢部教育総合支援センター長  
 先ほどの答弁にも関わりますけれども、医師を講師といたしました授業については、男女一緒に共習で授業を実施しておりますので、子宮頸がんやワクチンについても男女ともに触れる機会はございました。

 委員がご指摘する肛門がんを防ぐこと、HPVワクチンについて直接学習する内容はございませんが、先ほどのお話のとおり、感染症とその予防の中で性感染症を取扱う内容は、中学校や高等学校の学習内容で取扱いがございます。

◯鈴木(博)委員  
 とにかく我が国では年間3000人が亡くなり、1万4000人の女性が子宮頸部円錐切除術を受けている、新型コロナウイルス感染症よりもはるかに恐ろしい子宮頸がんは、ワクチンを接種することによって世界中の女性がこの悲惨ながんから解放され始めているというのに、ただ日本の若い女性だけがワクチンに守られることなく、無防備なまま、苦しみながら多数亡くなっている、というこのやるせない現実が続いています。

 ぜひ子宮頸がんを何としても撲滅するために、医学的ファクトに基づく正しいがん教育の重要性を、教育委員会も十分認識し、しっかりと個別に取扱っていただきますよう強くお願いして、次の質問に移ります。


2021年(令和3年)令和3年度予算特別委員会教育費 HPVワクチンに関する部分(2021.3.12)

◯鈴木(博)委員  
 まず、がん教育についてお尋ねします。がん教育の目的についてご説明をお願いいたします。

◯矢部教育総合支援センター長  
 簡潔に2点申し上げます。1点目はがんについて正しく理解することができるようにすること、2点目は健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにすることでございます。

◯鈴木(博)委員  
 がん教育については、平成28年のがん対策基本法の改正を踏まえた第3期がん対策推進基本計画に基づいた、新中学・新高等学校学習指導要領を踏まえた簡潔なご答弁だと理解しました。

 2021年2月24日に開催された厚生委員会において、品川区保健所保健予防課より小学校6年生、中学1年から3年生、高校1年生の各ご家庭に厚生労働省作成のHPVワクチンのリーフレットを配付したと報告がありました。

 このリーフレットは、子宮頸がんの発病に関して、発がん性ヒトパピローマウイルスの感染が大きく関係していること、ヒトパピローマウイルスの感染にワクチンが極めて有効であることを各家庭に情報提供する内容でした。

 現在品川区の学校でがん教育が行われていますが、がん教育の目標は、がんが身近な病気であることや、がんの予防、早期発見・検診等について関心を持ち、正しい知識を身につけ、適切に対処できる実践力を育成することであると「学校におけるがん教育の在り方について」で文部科学省は述べています。

 発がん性ヒトパピローマウイルスの感染、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの感染、ピロリ菌の感染は、病原性の感染ががん発症に深く関わっている三つの感染性がんであり、日本人のがんの25%を占めてきたものです。

 それぞれHPVワクチン、B型肝炎ワクチン、ピロリ菌に関しては、抗菌剤による除菌で子宮頸がん、肝臓がん、胃がんの発症を防ぐことができることが現在わかっています。

 がんを予防するための教育ならば、生活習慣病の予防も大切ですが、発がんウイルス、発がん性の細菌感染に対する知識とワクチン、抗菌剤による予防について学ぶことはまた、極めて重要だと考えます。これこそ正しい知識を身につけ、適切に対処できる実践力を身につけることになるのではないでしょうか。教育委員会のご見解をお聞きしたいと思います。

 今も年間3000人近い女性が亡くなっている子宮頸がんを予防するために、HPVワクチンの果たす役割をしっかりと理解させることこそ、実効力のあるがん教育だと私は確信しております。

 2019年の決算特別委員会の総括質疑でも、HPVワクチン接種と子宮がん検診の重要性を授業で取り上げることを要望しましたが、当時の教育次長のご答弁は、9年生の保健体育の授業で感染症と予防について生徒は学んでいます、というお答えでした。

 現在感染症とがんについてどのような授業が行われているのでしょうか、ご説明をお願いいたします。

◯矢部教育総合支援センター長  
 がんにつきましては、学習指導要領にのっとりまして、保健体育の保健の学習の中で指導してございます。小学校では喫煙、飲酒、薬物乱用と健康の中でがんについて触れてございます。中学校では、生活習慣病などの予防の中で、がんの予防について指導しています。いずれもHPVワクチンについて直接的には取扱っておりませんが、品川区では今年度から全区立中学校と義務教育学校後期課程において、医師を講師としたがん教育を実施しており、その中で子宮頸がんやワクチンについて触れる機会がございました。

◯鈴木(博)委員  
 ぜひHPVワクチンについて、9年生のがん予防の学習の中で取り上げることを、強く要望いたします。

 また、衛生費の款別審査でも触れましたが、昨年12月にHPVワクチンが男性にも適用が拡大されたことに関連して、質問いたします。男子へHPVワクチン接種を行うことが、男性にも多い性感染症である、性器いぼ、尖圭コンジローマの男女間の感染のうつし合い、あるいは1人が感染すると、当然相手がワクチンをしていなければうつってしまいますので、その感染のうつし合いを防ぐこと、さらに現在男性でも増えている発がん性HPV感染による肛門がんの発病を防ぐこと、そして何よりも男性の感染者を減らすことが、若い女性を子宮頸がんから守ることになりますので、男子生徒、家庭へのHPVワクチン接種の理解のための情報提供は、極めて大きな意義を持つものと考えます。

 そしてこれはまた、性感染症予防教育にもつながるものであります。この男子に対するHPVワクチンの情報提供も、がん教育、性教育の重要な一環ではないかと考えますが、教育委員会はどのようにお考えでしょうか。

◯矢部教育総合支援センター長  
 先ほどの答弁にも関わりますけれども、医師を講師といたしました授業については、男女一緒に共習で授業を実施しておりますので、子宮頸がんやワクチンについても男女ともに触れる機会はございました


2022年(令和4年)令和3年度決算特別委員会衛生費  HPVワクチンに関する部分(2022.11.14)

◯鈴木(博)委員
 次に、HPVワクチンの現状について、お尋ねいたします。

 2022年 4月、8年ぶりに定期接種の勧奨が再開されたHPVワクチンは、現在の2価ワクチン、4価ワクチンに加え、2023年4月からは9価ワクチン、シルガード9も接種できることになりました。

 まず、2022年4月から再開された、HPVワクチンの接種実績をお示しください。

◯坂野保健予防課長  
 令和4年度分の実績で、カウントが上がっているのは、9月分まででございまして、それをお示ししたいと思いますが、9月分までの接種率で、3回接種完遂率は2.22%という数字でございます。

◯鈴木(博)委員  
 ありがとうございます。まだまだ非常に接種が低迷しているという現状が理解できました。

 HPVワクチンに対する理解を深めるためには、まず、ヒトパピローマウイルスの感染様式、がん化について見ていきたいと思います。

 HPV=ヒトパピローマウイルスは、もともと100種類以上の型がありますが、発がん性がある高リスク型のヒトパピローマウイルスは15種類ほどです。

 ヒトパピローマウイルスはありふれたウイルスで、身近な環境に生息しており、このウイルスは性行為で性器や口を介して、男にも女にも感染します。しかし、梅毒やHIVのように、不特定多数の少数者が感染を広める性感染症とは異なり、HPVは性交渉を持った女性の大体50%から80%が生涯に一度は感染するといわれている、ありふれたウイルスです。
 
 しかもこのウイルスは、感染しても90%は無症状のまま、一時的な感染にとどまって、治ってしまいます。しかし、ごくまれに、子宮の中に入り込んだHPVは排除されずに長い間、周りの細胞を攻撃します。その結果、周りの細胞が次第にCIN、子宮頚部上皮内腫瘍という状態の異形細胞となり、それからさらに10年ぐらいのスパンを経て、がん細胞になっていきます。現在、子宮頸がんは、日本では年間1万人が発病し、3000人の女性が亡くなっています。

 資料5をお示し願います。子宮頸がんで検出される、高リスク型ヒトパピローマウイルスの型と頻度を示します。ヒトパピローマウイルスの16型と18型が全体の70%を占めており、2価、4価のHPVワクチンは、この2つのタイプを含んでいます。

 ちなみに、4価のHPVワクチンは、高リスク型の16型と18型以外に、尖圭コンジローマの原因となる低リスク型の6型と11型が加えられています。新しいシルガード9、9価のワクチンは、これにさらに31型、33型、45型、52型、58型を含み、子宮頸がんで検出されるHPVの90%がカバーされております。

 以上を踏まえて、本日の衛生費款別審査では、HPVワクチンのキャッチアップ接種について、お伺いしてまいります。

 積極的勧奨が停止された8年間に生まれた女性に対し、3年間の限定期間で、HPVワクチンのキャッチアップ接種が行われることになりました。

 これに関しては高く評価されますが、限界もあります。というのは、今お示ししたように、HPVワクチンは、既に感染しているHPVを排除したり、進行しているがん化を阻止することはできません。

 この年代の女性は、既に一度はHPVに感染している可能性が高く、そうすると、その方に関しては、ワクチンの効果は期待できないのです。未感染のHPVの型に対する感染を予防する効果を期待して、接種するということになります。

 したがって、この世代の女性に関しては、キャッチアップ接種を勧めることと共に、子宮頸がん、子宮がん検診の受診を強く啓発することが極めて大事だと思われます。

 キャッチアップ接種を行う女性に対して、子宮がん検診の勧奨も強く行う必要があると思いますが、区のお考えはいかがでしょうか。

◯若生健康課長  
 HPVワクチンのキャッチアップ接種と同時に、子宮がんの検診の勧奨を、というところでございます。

 区では、キャッチアップ接種の対象の方にお送りする通知の中に、チラシでキャッチアップ接種と一緒に子宮頸がんの検診を受けましょうという啓発の文言を入れて、これは国のほうでもそういった表記をしていて、区でも独自にそういった記載をして送っているところでございます。
 
 今後、子宮頸がんの予防という形でも、区としては啓発は重要だと考えておりますので、キャッチアップ接種とともに、こちらの取組を進めてまいりたいと考えてございます。


2021年(令和3年)令和3年度予算特別委員会教育費 HPVワクチンに関する部分(2021.3.12)

◯鈴木(博)委員  
 まず、がん教育についてお尋ねします。がん教育の目的についてご説明をお願いいたします。

◯矢部教育総合支援センター長  
 簡潔に2点申し上げます。1点目はがんについて正しく理解することができるようにすること、2点目は健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにすることでございます。

◯鈴木(博)委員  
 がん教育については、平成28年のがん対策基本法の改正を踏まえた第3期がん対策推進基本計画に基づいた、新中学・新高等学校学習指導要領を踏まえた簡潔なご答弁だと理解しました。

 2021年2月24日に開催された厚生委員会において、品川区保健所保健予防課より小学校6年生、中学1年から3年生、高校1年生の各ご家庭に厚生労働省作成のHPVワクチンのリーフレットを配付したと報告がありました。

 このリーフレットは、子宮頸がんの発病に関して、発がん性ヒトパピローマウイルスの感染が大きく関係していること、ヒトパピローマウイルスの感染にワクチンが極めて有効であることを各家庭に情報提供する内容でした。

 現在品川区の学校でがん教育が行われていますが、がん教育の目標は、がんが身近な病気であることや、がんの予防、早期発見・検診等について関心を持ち、正しい知識を身につけ、適切に対処できる実践力を育成することであると「学校におけるがん教育の在り方について」で文部科学省は述べています。

 発がん性ヒトパピローマウイルスの感染、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの感染、ピロリ菌の感染は、病原性の感染ががん発症に深く関わっている三つの感染性がんであり、日本人のがんの25%を占めてきたものです。

 それぞれHPVワクチン、B型肝炎ワクチン、ピロリ菌に関しては、抗菌剤による除菌で子宮頸がん、肝臓がん、胃がんの発症を防ぐことができることが現在わかっています。

 がんを予防するための教育ならば、生活習慣病の予防も大切ですが、発がんウイルス、発がん性の細菌感染に対する知識とワクチン、抗菌剤による予防について学ぶことはまた、極めて重要だと考えます。これこそ正しい知識を身につけ、適切に対処できる実践力を身につけることになるのではないでしょうか。教育委員会のご見解をお聞きしたいと思います。

 今も年間3000人近い女性が亡くなっている子宮頸がんを予防するために、HPVワクチンの果たす役割をしっかりと理解させることこそ、実効力のあるがん教育だと私は確信しております。

 2019年の決算特別委員会の総括質疑でも、HPVワクチン接種と子宮がん検診の重要性を授業で取り上げることを要望しましたが、当時の教育次長のご答弁は、9年生の保健体育の授業で感染症と予防について生徒は学んでいます、というお答えでした。

 現在感染症とがんについてどのような授業が行われているのでしょうか、ご説明をお願いいたします。

◯矢部教育総合支援センター長  
 がんにつきましては、学習指導要領にのっとりまして、保健体育の保健の学習の中で指導してございます。小学校では喫煙、飲酒、薬物乱用と健康の中でがんについて触れてございます。中学校では、生活習慣病などの予防の中で、がんの予防について指導しています。いずれもHPVワクチンについて直接的には取扱っておりませんが、品川区では今年度から全区立中学校と義務教育学校後期課程において、医師を講師としたがん教育を実施しており、その中で子宮頸がんやワクチンについて触れる機会がございました。

◯鈴木(博)委員  
 ぜひHPVワクチンについて、9年生のがん予防の学習の中で取り上げることを、強く要望いたします。

 また、衛生費の款別審査でも触れましたが、昨年12月にHPVワクチンが男性にも適用が拡大されたことに関連して、質問いたします。男子へHPVワクチン接種を行うことが、男性にも多い性感染症である、性器いぼ、尖圭コンジローマの男女間の感染のうつし合い、あるいは1人が感染すると、当然相手がワクチンをしていなければうつってしまいますので、その感染のうつし合いを防ぐこと、さらに現在男性でも増えている発がん性HPV感染による肛門がんの発病を防ぐこと、そして何よりも男性の感染者を減らすことが、若い女性を子宮頸がんから守ることになりますので、男子生徒、家庭へのHPVワクチン接種の理解のための情報提供は、極めて大きな意義を持つものと考えます。

 そしてこれはまた、性感染症予防教育にもつながるものであります。この男子に対するHPVワクチンの情報提供も、がん教育、性教育の重要な一環ではないかと考えますが、教育委員会はどのようにお考えでしょうか。

◯矢部教育総合支援センター長  
 先ほどの答弁にも関わりますけれども、医師を講師といたしました授業については、男女一緒に共習で授業を実施しておりますので、子宮頸がんやワクチンについても男女ともに触れる機会はございました


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