Ⅰ.子どもの消化器系の病気
1.腸重積
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Ⅰ.子どもの消化器系の病気 2026.5.1更新
1.腸重積
腸重積は、生後5ヶ月から2歳前後の乳幼児(ピークは7~8か月児)に多い病気です。3か月未満、6歳以上にはあまり見られません。
大体2:1で男児、特にまるまると太った赤ちゃんに多いといわれています。腸重積は1000人に2~4人の割合で発病するという、それほど珍しい病気ではありません。また、腸重積になったお子さまの10%が再発するといわれています。
腸重積とは、腸の中に腸がめり込んでいってしまう病気で、早期に発見できれば特別な治療(高圧浣腸)で腸は元に戻りますが、発見が遅れると腸が腐って、手術が必要になってしまいます。
腸重積は一刻を争う病気であるので、腸重積が赤ちゃんにとって重大な病気であることを理解している、小児科専門医の診察を受けることが大切です。
●腸重積とは
腸重積とは、腸のなかに腸がめりこんでしまう病気です。小腸の最後の部分が大腸にめり込む回盲部型が最も多く、その他小腸に小腸がめり込む回腸-回腸型、大腸に大腸がめり込む結腸-結腸型もみられます。
めり込んだ腸は、腸の動きによってさらに奥に入り込んでしまい、外側の腸に締め付けられて血流が途絶え、組織がくさって壊死(えし)に陥っていきます。
そのため、早期に発見し、早期にめり込みを元に戻す(整復する)治療が重要です。
●腸重積の症状
症状は、間欠的腹痛、嘔吐、血便が三主徴(三つの主な症状)となります。
突然の激しい啼泣、嘔吐で発症します。今まで元気で機嫌のよかった赤ちゃんが突然大泣きしたり、嘔吐したりします。
冬季、かぜの症状の後、起こることもあります。火がついたように激しく泣いたかと思うと、けろりとして機嫌が直ります。
このような啼泣が間欠的に続きます。やがて吐くものが黄緑の胆汁様に変わっていきます。
この時に病院で腸重積が疑われ浣腸が行われると、イチゴゼリー状の真っ赤な血便が出てきます(70~90%)。
●腸重積の原因
腸重積の原因はよくわかっていません。ただ、かぜが流行るときに多いため、腸をつつむ腸管リンパ節が腫れて、これが腸を引き込むのではないか、という説が有力です。(特にアデノウイルスやロタウイルスの感染の約30%にみられます)
また、小腸にはメッケル憩室(けいしつ)といって、先天的に脹らんだ小袋が付いていることがあり、これが先進部になって腸重積を引き起こすこともあります(特に年長児)。また、IgA血管炎(アレルギー性紫斑病)も、腸が腫れるため、腸重積の原因となります。
●腸重積の治療
腸重積が疑われたら、まずおなかを触って、硬い腸のしこりがあるかどうかを確認し、次に浣腸して血便が出るかどうか、確認します。超音波検査、腹部レントゲン検査、腹部CT検査を行い、腸の入り具合や腸閉塞の程度を評価します。
腸重積と診断されたら、バリウムやガストログラフィン、または空気を肛門から注入し、レントゲンで透視しながら、めり込んだ腸を圧力で引き出す高圧浣腸が行われます。
75~85%はこの高圧浣腸で腸が元に戻り、それとともに赤ちゃんはみるみる元気になります。
しかし、腸重積が起こってショックを起こしている例、48時間以上たってしまった例、高圧浣腸でも整復がうまくいかない場合は、開腹手術をして腸を戻し、またすでに壊死を起こしている部分の切除が必要になります。
●腸重積の予後
腸重積は発病後、12時間以内に治療を始めれば、98%は整復に成功し、手術までには至りません。
腸重積は約10%で再発します。腸重積を起した赤ちゃんは、嘔吐、血便、激しい啼泣などの症状は腸重積の再発の可能性があるため、注意が必要です。
ロタウイルスの自然感染は、腸重積の原因となります。そのため、ロタウイルスワクチンによっても、ワクチン由来の腸重積を警戒しなければなりません。(ロタウイルスワクチンについて)
国立感染症研究所の調査では3ヶ月児では、ワクチン接種によって、わずかに腸重積の頻度が上昇するようです(有意差はないようです)。 そのため、当クリニックでは腸重積の頻度が低い2ヶ月、3ヶ月までにロタウイルスワクチンの接種が終わるよう、1価のロタリックスをお勧めしています。
*国立健康危機管理研究機構:腸重積症サーベイランスのアップデート