乳幼児用コロナワクチンについて          2023.4.3更新


小さなお子さまに、「副作用の強い」コロナワクチンの接種を受けさせた方がよいか、悩みますよね。区から送られてくる接種券に同封されている、<生後6ヶ月~4歳のお子さまの保護者の方へ>の予防接種についての説明書をみてみても、接種の手順等は詳しく具体的ですが、そもそもワクチンの意義が理解できなければ、手順など説明されても無意味だと思われます。

本稿は、鈴の木こどもクリニックのかかりつけの患者さんに対して、当クリニックが「かかりつけ医」として送る、情報発信です。

厚労省のリーフレットも、肝心な所は全て「かかりつけ医と相談して」と逃げているため、当クリニックの責任において、患者さんに情報提供を行うものです。予診票が送られてきたから、とか、ネットでこんな情報が流されているから、とか受け身に対応するのではなく、大切なお子さまのために自らも乳幼児用コロナワクチンについて、しっかりと理解するようにしましょう。

もしもさらにご質問があれば、診察時に鈴木院長に直接お聞きください。お子さまのかかりつけ医として、責任を持って当クリニックの考えを詳しくご説明いたします。



Ⅰ.乳幼児の新型コロナウイルス感染症の流行状況

2022年初頭、オミクロン変異株が登場し大流行するまで、子どもはコロナにかからないか、かかっても約95%のお子さまは軽く済むと言われてきました。しかし、オミクロン株BA.1が登場し、我が国でも2022年オミクロンの流行が始まると状況は一変し、感染する子どもの数は激増し、亡くなったり重症化したりする子どもも増え始めたのでした。

国立感染症研究所の調査によれば、オミクロン株流行後、新型コロナに感染して死亡した20歳未満の患者41人のうち、29人の死亡例の分析では、0台8人、1歳~46人、5歳~1112人、12歳~19歳が3人と、4歳以下が死亡者の67%を占め、14人中6人は基礎疾患のない健康な子どもでした。

 また、日本集中治療医学会が、酸素投与や人工呼吸器が必要とされた「中等症」「重症」のカテゴリーの子どもの入院患者220名を調べたところ、1歳未満が15%、1歳以上の未就学児が43.6%、小学生が32.7%、中学生が4.1%、高校生以上が4.5%と、未就学児が6割を占めていました。

また、2022年107日、厚労省も、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会の答申を受けて、乳幼児用コロナワクチンを予防接種法上の特例臨時接種に位置づけ、接種勧奨・努力義務を課すことにしました。

日本小児科学会も、2022年11月2日に「生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表し、乳幼児用コロナワクチンの接種を推奨すると声明しました。(全文こちら

子どものコロナなど見たことも無い、そもそも子どもの健康や幸せに全く興味の無い、下劣で無知なやじうまが、ネット上で「こどものコロナが~。」とか「危険なワクチンが~」などと無責任にがなりたてていますが、子どものコロナを診療している、現場の真摯な小児科医の側からはワクチンの必要性が強く訴えられているのです。


2022年初頭のオミクロン変異株の登場以降、品川区の保育園、小学校でも新型コロナウイルス感染症が激増し、多くの園、学校が休校、休園になりました。多数の子ども達が新型コロナウイルスに感染し、それに伴い、熱性けいれん、クループ症候群、高熱が4日以上持続など、決して軽症ではない症状のお子さまも多くみられました。

一例をあげれば、当クリニックの患者さんでも、けいれんが1時間以上も続き、大学病院で診察を断られ、他の大学病院で治療は受けられたものの入院はできず、さらに別の病院に移送され入院できたお子さまがいらっしゃいました。ワクチン接種は、コロナ流行下においては、お子さまにとって最低限の防衛となるのです。



Ⅱ.乳幼児のコロナワクチンの効果と副反応

乳幼児用コロナワクチンは、生後6か月から4歳の子どもへ3回接種した後には、年長児や大人同じ水準まで、抗体が上昇することが確認されています。

また、欧米などで生後6ヶ月から4歳の子ども1100人を対象に、ワクチンを接種群、プラセボ(生食水など)接種群に分けて、その後の感染状況を調べました。

その結果は、ワクチン3回接種後の発症はワクチン接種群で794人中感染13人、プラセボ接種群で351人中感染21人と、発病予防効果は73.2%でした。

一方、ワクチンの副反応は、ほとんどが軽度か中等度で、しかも一時的で、重大な副反応は認められなかったと報告されています。

米国では、2022年8月21日までに、生後6か月以上5歳未満の小児8,541人のワクチン接種後の健康状況が調べられています。

生後6か月以上2歳児では、接種後の接種部位の腫れなど局所反応が19.0%(1回目)、18.3%(2回目)、発熱、下痢、発疹、嘔吐、不機嫌、食欲不振、傾眠傾向などの全身反応が55.8%(1回目)、47.1%(2回目)に認められたそうです。
 発熱に関しては、18.7%(1回目)、13.8%(2回目)にみられました。

また、20歳台の若年成人で問題になった、心筋炎、心筋症の副反応は、年少児60万人の調査では報告はありませんでした。

乳幼児コロナワクチンは免疫物質トジナメランが成人の1/10に減量されており、成人のような副反応はほとんどないようです。

嘘も100回つけばホントになるとばかりに、性懲りも無く、「遺伝子が~~」とか「副作用が~~」騒いでいる下劣な野次馬の群れが、ネット上では跋扈していますが、ダマされず、操られず、正しい医学的事実をもとに、反ワクカルト情報から大切なお子さまを守りましょう。



Ⅲ.乳幼児用コロナワクチンの基本情報

①使用するワクチン:ファイザー社製「コミナティ筋注6ヶ月~4歳用」(乳幼児用。栗色キャップ)です。

②接種対象:6ヶ月~4歳
区から接種券、予診票、厚労省のワクチン説明リーフレットが送られてきます。
*5歳以上のお子さまは、「コミナティ筋注5~11歳用」(小児用。橙色キャップ)を接種します。

③接種間隔、回数、接種量: 接種は3週間間隔で2回、さらに8週間後2ヶ月後)3回目を接種します。またまた、紛らわしいのですが、乳児用は小児用と異なり、3回全部が
初回接種となります。小児用、成人用は2回が初回で、3回目は追加接種になります。

接種量は
0.2mlです。(通常の他の種類のワクチンの接種量は、おおむね0.5mlです。ファイザー社製の小児用は0.2ml、成人用コロナワクチンは0.3mlです。

ワクチンの有効成分トジナメラン3μg、成人用30μg、小児用10μgに比べ、大幅に減量されています。
接種部位は、
乳児は大腿前外側部、幼児は上腕三頭筋に筋肉注射で行います。

*1歳前の乳児に大腿前外側部に筋肉注射をするのは、上腕三頭筋の筋肉量が少なく、筋肉注射をうまくできない可能性があるためです。当クリニックはシナジス注射も多数行っており、乳児の大腿前外側部の筋注には、シナジスと全く同じ手技のため、熟達しています。経験の少ない医師は、慎重に接種する必要がある手技と思われます。

④他のワクチンとの間隔:乳幼児用コロナワクチンはほかのコロナワクチンと同様、前後2週間(13日以上)は他のワクチンの接種はできず、同時接種も認められておりません。(ただし、インフルエンザワクチンのみは接種間隔に制限はなく、同時接種も認められました。)



Ⅳ.
6ヶ月~4歳の小児に、コロナワクチンの接種を受けた方がよいか。 鈴の木こどもクリニックの見解


以上のまとめとして、乳幼児ワクチン接種に対する当クリニックの見解を、再度お示しいたします。

新型コロナウイルス感染症は、当初の武漢株からアルファ株、デルタ株、そしてオミクロン株と変異を続け、軽症化、感染力の強化、免疫回避が進みました。一方、コロナワクチンの接種も進み、コロナが感染して重症化率、死亡率の高かった高齢者が、ワクチンの効果で重症化率、死亡率が劇的に改善しました。

今後、新型コロナウイルス感染症は消滅すること無く、第5のかぜコロナウイルスとして、毎年冬になるとインフルエンザと並行して流行するようになると思われます。ただし、現在はまだインフルエンザよりワクチンを受けていなければ数段おそろしい病気です。
 
今季の感染力の強いオミクロン株による流行で、小児にも感染が広がりました。子どもは、ワクチンを受けることができなかったため、成人~高齢者層と異なり、コロナウイルスに対する免疫を持つ機会のないまま、感染力の強いオミクロン株に次々と感染し、発病していきました。

生後6か月から4歳の子どもたちは、感染予防対策が十分にはできません。マスクの着用もできないし、手洗いもうまくできるとはいえません。この子達に、唯一有効で積極的な感染予防策がワクチン接種なのです。現在の乳幼児用コロナワクチン(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)は、オミクロン株に対しても73%の発症予防効果が認められています。

また、乳幼児用コロナワクチンの副反応も前章で検討した通り、重篤なものは認められていません。

現在、ネット上で汚穢の渦のように溢れている「ワクチンは危険」ガセネタ情報は、器用に(コピペで?)医学的事実も填め込まれていますが、そこから論理を飛躍させたり、デマの部分を膨らませたり、嘘八百の代物で全く信用に足るものではありません。

その発信源は、性懲りも無く革命を夢見る反体制の残存分子、宗教カルトのできそこない、ネタは何でも良いからあぶく銭を稼ぎたい銭ゲバ物書き屋、さらに「オレってえらいッ!」という無知蒙昧なくせに自己顕示欲だけは人一倍のネットオタクなど、種々雑多な汚物の集合体であり、その共通項は
子どもの健康とか幸せなどには、これっぽっちも関心が無いことです。大切なお子さまの健康と未来を、このようなゲス連中にいたずらに弄ばせてはなりません。

子どものコロナに真摯に向き合っている先進的な小児科医ほど、乳幼児用ワクチン接種を熱心に勧めている事実を知りましょう。

mRNAワクチンが新しいワクチンだから、未知の副反応が心配だというのなら、新型コロナウイルス感染症COVID-19そのものが新しい感染症であり、その病気の未知の後遺症にこそ、より目を向けるべきと当クリニックは考えます。

 お子さまが新型コロナウイルス感染症にかかってしまった時、軽症で済んだと思ったけれども、long covidといわれる長期の後遺症が起きる可能性を、より心配すべきと思います。

以上の検討を踏まえて、当クリニックはかかりつけの患者さんに、
乳幼児用コロナワクチン初回3回接種をお勧めいたします。そして、接種希望のお子さまには乳幼児用コロナワクチン(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)の接種を行います。

当クリニックかかりつけの患者さんは、当クリニックの呼びかけに応えて、正しい知識のもと、ぜひお子さまのために乳幼児用コロナワクチン接種を受けて下さい。



当クリニックの乳幼児用コロナウイルスワクチン接種のご案内

①予約方法:当クリニックのコロナワクチン予約受付時間(小児用コロナワクチンと共通)は月・火・木・金曜の10:00~11:30、15:00~17:00
にお電話で、「乳幼児コロナワクチン希望」と直接お申し込み下さい。
当クリニック受付電話は、 
03-3786-0318

また、電話でご予約希望の際には、医療事故を防ぎ、安全な接種を行うために、必要な、患者情報はお聞きいたします。これは接種を受けるお子さまのために、必要な当クリニックの情報収集ですので、その意味を十分ご理解の上、ご協力をお願いいたします。

②接種日時金曜午後
に接種を行っています。

接種予約された方は、接種券、予診票(来院前にあらかじめ記載をお願いいたします)、健康保険証などお子さまの身分が証明できるもの、母子手帳、(服用している薬があるときは)お薬手帳をお持ちになって、指定された時間に当クリニックにご来院ください。

③接種が終わって
:接種後15分は、クリニック内で様子をみます。

ごくまれですが、接種後に急激に即時型アレルギー反応が起こることがあります。接種後30分はアナフィラクシーが起る可能性のある時間帯ですので、お子さまの状態をよく観察なさって下さい。

④帰宅後:普段通りでよいと思います。接種後1時間たてば、当日でも入浴できます。ただ、接種した部分を強くこすったりしないように気をつけましょう。

また、コロナワクチンは次の日に副反応がピークとなるため、接種当日は早めに休ませて激しい運動は控えましょう。(ただし、乳幼児用ワクチンでは、副反応も少し不機嫌になるとか、微熱が出る程度のことが多いようです。)





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