2019年7月1日から、2019年度フルミストの予約を始めました


フルミストの特長 

フルミストは、鼻から投与される液状ワクチンです。このワクチン液に含まれるインフルエンザウィルスは、25℃の低温でよく増殖するウィルス(低温馴化cold-adaptedといいます)を培養を重ねて、ほとんど病原性のなくなった(弱毒化attenuatedといいます)ウィルスです。
 
ヒトの鼻に噴霧すると、36~37℃ぐらいのヒトの体内はこのウィルスにとっては高温すぎるため、ほんのゆっくりしかペースでしか増殖できません(温度感受性化temperature-sensitiveといいます)。

しかも、ほとんど病原性を失っているため、有害な症状を起こすことなく、きわめて軽い「局所感染」で人は免疫を獲得することができます。生ワクチンのため、インフルエンザの感染防止に高い効果が期待できると考えられてきました。



予防する病気 
通常のインフルエンザ、すなわちA型インフルエンザ(新型、香港型)、B型インフルエンザに効果があります。 

接種の方法

2~49歳が対象です。1回接種が原則です。ただし、2~8歳でインフルエンザワクチンを1回も受けたことがない人は、免疫を確実にするために、1ヵ月間隔で2回接種が勧められています。

接種方法は専用の器具を用いて、左右の鼻の中に0.1mlずつ、総計0.2ml噴霧します(右写真は実際の接種場面です)。

右写真はお母さまに掲載のご許可をいただいています。無断転載厳禁


不活化インフルエンザワクチン(インフルエンザHAワクチン)と、経鼻インフルエンザ生ワクチン(フルミスト)の作用の違い

不活化インフルエンザワクチンとフルミストの違いを対比させながら、ご説明いたします。

 ①不活化インフルエンザワクチン(インフルエンザHAワクチン)

不活化インフルエンザワクチン(インフルエンザHAワクチン)は、インフルエンザウイルスのとげ(H鎖)を含む不活化ワクチンです。接種することにより、体内の血液中にインフルエンザウイルスへの迎撃用ミサイル(=血液中IgG抗体)が作られます。増殖したインフルエンザウイルスが全身に広がる時に、血液中でこのミサイル=IgG抗体がウイルスを破壊=不活化することで発病を抑えたり、症状を軽くしたりします(重症化阻止)。

しかし、空気とともに体の中に進入してくる、インフルエンザウイルスは、鼻や肺への通路(気道粘膜)に直接もぐりこみ増殖するため(インフルエンザの増殖参照)、 不活化ワクチンはインフルエンザウイルスの感染そのものを抑えこむことはできません。それは、不活化ワクチンで作りだされるミサイル=IgG抗体は血液中に留まり、鼻、気道の粘膜面には存在しないためです。

また、A型インフルエンザウイルスはとげ(H鎖)の組成を細かく変えて(ドリフト=連続変異)、ヒトの防御システムから逃れようとします。H3N2(香港型)でも、シドニー型とパナマ型では微妙に形が異なり、不活化ワクチンの効果に大きな違いが出てきます。この細かい変異に対応できたかどうかで、その年の不活化ワクチンの効果が決まってくるのです。

さらに現在の不活化ワクチンは、B型インフルエンザに対する抗体の産生はあまり良くないといわれています。

 
②経鼻インフルエンザ生ワクチン(フルミスト)

これに対し、経鼻インフルエンザ生ワクチン(フルミスト)は、実際鼻粘膜で弱毒化ワクチンウイルスが繁殖するため、鼻、気道でもIgG抗体とは別の迎撃用ミサイル=分泌型IgA抗体を作りだすことができます。そして、鼻や肺への通路(気道粘膜)に直接もぐりこみ増殖しようとするインフルエンザウィルスに対して、この分泌型IgA抗体は直接攻撃を加えます。 したがって、インフルエンザウィルスの侵入を撃退し、発病を押さえこむことができるのです(感染阻止)。

また、ワクチンウィルスが増殖することにより、細胞性免疫を担当する細胞(CD8+T細胞)も活性化するため、不活化ワクチンと異なり、インフルエンザウィルスが微妙に型を変えても、ワクチンの効果が期待できるといわれてきました。

 ③フルミストと不活化インフルエンザワクチンの効果のちがい(アメリカ合衆国における、インフルエンザの不活化ワクチンと生ワクチンとの主要な相違点)

種類 不活化スプリットワクチン 弱毒生ワクチン
投与方法 筋肉内注射(アメリカ)
皮下注射(日本) 
鼻の中に噴霧
ワクチンのウィルスの状態 死んだウィルス 病原性の弱い、生きたウィルス
接種対象年齢 生後6ヵ月以上 2~49歳
インフルエンザ関連の合併症を起こす可能性 
の高い人への接種ができるか
できる できない
喘息のこどもや、過去12カ月間に喘鳴が見
られた2~4歳のこどもへの接種ができるか
できる できない
妊婦への接種ができるか できる できない
強度の免疫不全状態の人の家族・濃厚接触
者への接種ができるか
できる できない
接種後の鼻咽頭部からのインフルエンザ
ウィルスの検出
検出されない 接種後7日ぐらいまで、検出される

                                         横浜市感染症情報センター「インフルエンザ生ワクチンについて」を一部改変
 


フルミストの効果

当初は、A型インフルエンザに対する、5歳未満児の発病予防効果はワクチン株一致で89.2%、株不一致でも79.2%と驚異的なものでした。また、6ヵ月~7歳では、発病予防効果は83%と非常に良好な結果が報告されました。

ところが2015年以降、発病予防効果は不活化ワクチンより劣るという報告も出ていましたが、2018年は同等と言われています。


フルミストの副反応

鼻水、鼻つまりなど鼻炎の症状が約半数(40~50%)にみられるようです。発熱と咽頭痛が10%ぐらいに見られるようですが、数日で改善します。
また、2歳未満への投与では入院と喘鳴の増加が認められたため、2歳児未満の子どもへの投与は認められておりません。


フルミストに対する当クリニックの方針

当クリニックがフルミストの接種をお勧めするのは、下記に該当する方々です。

1.受験生

2.4~13歳のお子さま(当クリニックのフルミストの接種対象は、4歳以上とさせていただきます)

3.注射をしているのに毎年かかってしまう人、または、注射に病的な恐怖感を持っているお子さま

フルミスト接種をご希望の方は、次章の解説をお読みになり、ご了解の上、お子さまとご来院ください。


フルミスト接種までの流れ

 フルミストは無認可ワクチンであり、万が一健康被害が発生しても補償はありません。(輸入会社の保険は、ほとんど利用できません。)自己責任で接種を受けるということになります。まず、その点をよくご検討ください。

 ②予約希望者は当クリニック医師の説明を受けてから、接種
予約をしていただきます。(ただし、今まで事前の説明をお聞きになって、当クリニックでフルミストを接種している患者さんは、当クリニックで接種を行ったことを確認できた場合に限り、電話でも予約を受け付けます。)

 無認可ワクチンは、十分説明を受けて、接種する医師との間に信頼関係を構築してから行われるべきものと考えます。説明に納得できない、または、無認可ワクチン接種に迷いがある、あるいは接種する医師との間に信頼関係を築くつもりのない接種希望者には、当クリニックはフルミスト接種をお勧めいたしません。

 ③接種費用は院内掲示をご覧になるか、フルミスト相談時に医師にご確認ください。


 
予約がお済みになった接種希望者には、10月~11月ごろ、フルミストが輸入され納品された後、当クリニックよりご連絡いたします。この時、最終的に接種日時を確定いたします。

 当クリニックより連絡しても、患者さんから応答がなく、2週間全く確認が取れない場合は、予約はキャンセル
とさせていただきますので、ご了解ください。必ず連絡の取れる連絡先の登録を、お願い致します。

 ⑤通常の受付応対業務に支障をきたすため、一般の方の無認可ワクチンに対する電話でのお問い合わせには、一切対応しておりません。新規のフルミスト接種ご希望の患者さんは、ご面倒でも一度お子さまをお連れになって来院し、鈴木医師の診察を受けてから、接種についてご相談ください(母子手帳は必ずご持参ください)。


 通常のインフルエンザワクチンも例年通り、10月から接種を行います。9月から、予約を始めます。当クリニックは、インフルエンザ不活化ワクチンの接種も、変わらずお勧めいたします。(→インフルエンザワクチン詳細


参考文献資料:

フルミスト-Wikipedia     
医薬品卸業連合会:卸DI実例集.卸薬業38:55-59,2014
横浜市衛生研究所ホームページ 横浜市感染症情報センター インフルエンザ生ワクチンについて
和歌山市小児科 生駒(いこま)医院ホームページ フルミスト-インフルエンザワクチンページ 
Flumist Product Information -Medimmune

ACIP: LAIV OK to Use During 2018-19 Flu Season


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