小児の事故について

 誤飲、誤嚥事故

 頭を打った時(頭部外傷について)

 熱中症

誤飲、誤嚥事故

7~8ヵ月を過ぎると、はいはいやつかまり立ちができるようになり、赤ちゃんの行動範囲は格段に広がります。また、この時期の子どもは、始めてみたものや興味をひかれたものを、口に入れて確かめようとする習性があります。そのため、生後6ヵ月から2歳ぐらいまで、誤飲事故が多発するのです。

中毒情報センターの内藤先生によると、タバコは朝8時、夜8時、石鹸や洗剤の事故は朝9時、夜6時、化粧品の誤飲事故は朝10時に集中しており、事故の原因になるものがもっとも子どもの身の回りに散らかっている時間帯に誤飲事故が多発するということです。

したがって、誤飲事故は、部屋や身の回りの後かたずけをしっかりすることで、ほとんど防げるのです。大切なお子さまを防げる事故で害することがないよう、身の回りの後始末をしっかり心がけましょう。


誤飲事故予防の心がけること

①タバコや灰皿は赤ちゃんの手に届くところに置かない。

②直径32mm以下のものを、1m以下の場所に置かない。

③薬、強酸、強アルカリ性の洗剤などは手の届かない場所のきちんと保管する。

④食品を入れるビンなどに他の物を入れない。お菓子の空き缶に薬等を入れない。

パチンコ玉誤飲。中央の白い球。排便された


誤飲事故が起きた時の対応

①赤ちゃんの周りの様子を見て、何をどれぐらい飲んだか、確認します。

赤ちゃんの呼吸、意識などをまずチェックします。次に、赤ちゃんのそばに落ちている容器や口のにおいから、飲んだ物、量、飲んだ時間を推定します。

飲んだ物の容器をみて、誤飲した時の処置が書いていないか、連絡先はどこか、確認します。

口に液が残っていれば、拭き取ります。

家庭で吐かせることは、現在勧められていません。(気管に入ると危険なため)

特に、石油製品(灯油、マニュキュア、除光液、液体の殺虫剤など)、強酸・強アルカリ洗浄剤、防虫剤(しょうのうなど)は、絶対に吐かせてはいけません。

③牛乳、または水を飲ませる。

洗浄剤、界面活性剤、乾燥剤、除湿剤などは、牛乳を飲ませた方が良いでしょう。

飲ませてはいけないもの。
小脳、ナフタリン、パラゾール(牛乳×)、タバコ(牛乳×、水×)、石油製品(灯油、マニュキュア、除光液、液体の殺虫剤など)(牛乳×、水×)

 中毒情報センター電話サービス(一般市民向け)  判断に迷うときに相談できます。

■大阪中毒110番 (24時間対応)   072-727-2499 ■つくば中毒110番(9時~21時対応) 029-852-9999

クリップ。誤飲後、翌日便から出てきた 銀箔。便から排泄された ストローの断端。鼻に詰めた 痒みどめパッチ。便から排泄された 金箔。便から排泄された

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頭を打った時(頭部外傷について)

子どもの頭部外傷・打撲について

1歳以降の赤ちゃんは、行動範囲が広くなり、よく転んだり、柱などに頭をぶつけたりします。ぶつけてもすぐ泣いた場合は、意識を失っていないので、あまり心配はないでしょう。

しかし、少なくとも頭を打ってから48~72時間は、十分お子さまの状態に注意して下さい。まれですが、脳神経外科で手術をうけなければならないような、命にかかわる頭蓋内出血を起こしている場合があるからです。

子どもの頭部外傷・打撲の特徴

一般に子どもの頭蓋骨は、薄く弾力があるため、割れにくく、へこみやすい(陥没骨折となる)性質があります。また、骨と骨の間にすきまがあり(大泉門、小泉門)、脳内の圧力(脳圧亢進)が逃げやすい構造になっています。

さらに、子どもの頭蓋骨は軟らかく、骨と脳の間が狭いため、外からの衝撃を受けやすく思った以上に重症になる反面、 子どもの脳自体は軟らかく変形しやすいため衝撃が和らげられ、脳損傷の程度が軽くなることも多いです。

また、子どもの脳は、外力を受けたときに、小さい血管が切れやすく、脳出血(硬膜下血腫)を起こしやすいといわれています。

以上のことから、子どもの頭部外傷は、軽い打撃(畳で転んで頭を打った)でも思わぬ重い症状(脳出血)になったりすることもあれば、逆に、階段から転落しても何の症状も出ないこともあります。

頭を打った時、気を付ける事

頭を打った直後、意識があるかどうかがまず問題です。

赤ちゃんの場合、泣けば意識はあると判断して良いでしょう。嘔吐やけいれんなど他の症状がなければ、そのまま様子をみます。

手や足をつねっても泣かずにボーッとしているときは、意識障害の可能性が強く、すぐに脳神経外科を受診したほうが良いでしょう。救急車が来るまでは呼吸状態をよく観察し、頭部をやや高めを保ち、静かに寝かせて待ちましょう。自家用車で病院に行く場合は、なるべく頭を動かさないように気をつけましょう。

出血していたら、とりあえず清潔な布かタオルで圧迫し、止血するまで待ちます。圧迫しても止まらない場合は、外科を受診したほうがよいでしょう。

こぶができていたら、濡らしたタオルで冷やします。こぶは頭蓋骨の外の皮膚にできるものなので、それほど心配する必要はありません。

頭を打ったとき、皮膚が切れて傷になり、出血することがあります。手持ちの消毒薬で消毒し、清潔なガーゼやタオルで患部を圧迫しつつ、外科または脳外科を受診しましょう。

1~2回の嘔吐だけで(頭部を打った時、吐くことは時々みられます)、意識障害、けいれんなど他に症状がなければ、様子をみます。何回も吐いたり、耳や鼻から透明な液(髄液)や血液が出てくる場合は、至急脳外科へ受診したほうが良いでしょう。

頭を打った後、何時まで様子をみるか

頭を打った時に一番心配なのは、頭蓋内出血、すなわち骨と脳の間の血管から出血し、血のかたまり(血腫)が大きくなって脳を圧迫し、嘔吐、痙攣や意識障害などが出現し、命を落とす危険が起こることです。

前に述べたように、頭を打ったとき大声で泣けば、とりあえずは安心です。頭蓋内出血が起これば、48時間から72時間以内に症状が生じてくるので、お子さまの状態の綿密な観察が必要です。初めは泣いたけれど、そのあと元気がなくなり、ぐったりしてきた、繰り返し吐いている、顔色も悪く、呼吸も不規則になってきた、という場合は、頭蓋内出血の可能性が疑われるため、脳神経外科への受診が必要です。ただし、頭を強く打って吐くことはよくあるため(前述)、お子さまが元気で数回吐いただけなら、様子をみても良いでしょう。

一般に、頭部打撲の程度にもよりますが、48~72時間たって症状が出なければ、一応安心してよいと考えられます。しかし、頭を打った1週間後までは、念のため症状の有無によく注意して下さい。

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熱中症

熱中症とは、異常に高い環境温度(室温、気温)に長時間さらされて、体温調節がうまくいかなくなり、高熱が出て、脱水症状に陥ってしまった状態をいいます。

熱中症のいろいろ

熱けいれん

炎天下で水分をとらずに激しく運動した時に、手足の筋肉がけいれんすることをいいます。汗で水分とイオン(電解質)が失われたために、筋肉の細胞の水分が不足して起こります。また、イオンの含まれていない水だけ飲んでも、起こりやすいといわれています。

熱疲労

暑い車内で汗をかいているのに、十分な水分を取らず、長時間過ごすと起こります。脱水を起こしているので、ぐったりし、頭痛や吐き気をうったえます。熱は40℃ぐらいまで上昇し、口が乾き、おしっこが減ります。熱疲労は、まだ体温調節までは障害されていないので、水分補給と身体の冷却を行えば回復する可能性があります(ケアは次章)。

熱射病

夏の高温の車内に閉じ込められるなど、異常な高温下で起こります。あまりの高熱のため、汗が出なくなり、体温の調節機能が障害され、さらに体温が41.5℃以上まで上昇します。体の臓器すべてがダメージを受け、昏睡になったり、呼吸困難になり、死亡することもあります。

日射病

長時間、直射日光に当たっていると、突然体温中枢が狂いだし、高熱になります。汗が出ず、めまい、頭痛、意識障害におちいることもあります。

熱中症のサイン

暑い所に長時間いて、熱中症になりはじめると、口が乾き、水分をほしがります。症状が進むと、ぐったりし、機嫌が悪くなったり、意識がもうろうとし、ウトウトしだします。汗が出なくなると、熱射病の可能性があり、きわめて危険です。

熱中症の予防

熱中症の予防としては、夏の外出は涼しい時間帯を選び、長時間の外出は避けましょう。また、外出時や特にドライブ中はお子さまの様子をよく観察し、こまめに水分補給を心がけましょう。また、日差しをさえぎることができるよう、帽子をかぶせたり、日よけを使うなりするとよいでしょう。


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