新型コロナウイルス感染症流行の検証-歴史偽造を謀る中国の流行の経緯について

はじめに

 新型コロナウイルス感染症の感染爆発が止まりません。アジアからヨーロッパ、アメリカへ、燎原の火のごとく今現在も、感染は拡大しています。つい3ヶ月前にはこのような病気は存在しなかったのです。誰が悪いのか。誰が見てもその責は、武漢市長と習近平とテドロスにあります。

 ところが、その罪人どもは謝罪するどころか、何と自分たちが世界を救うのだとふてぶてしく居直り、歴史の偽造まで始めたのです。ところが、トランプ大統領のみがおまえ達のせいだ、と正しく糾弾しているのに、なんと臆病者の日本のマスコミ連中はまるで中国の肩を持つように、武漢肺炎、チャイナウイルスとトランプが言っているのは、ヘイトだ。などと相変わらず馬鹿丸出しの戯言を吐きまくって、ご主人を忖度しているのです!

 もう一度、COVID-19の歴史的経緯を振り返り、誰のせいでこうなったのか、事実をはっきりさせておきましょう。


T.コロナウイルスについて

 まず、今回の新型コロナウイルス感染症、「武漢肺炎」騒動の病原体である、「コロナウイルス」から見ていきます。コロナウイルスは、実は私たちの周りのさまざまな動物に感染し、病気を引き起こしている、よくみられる、ありふれたウイルスです。

 コロナウイルスは、その出自はニドウイルス目コロナウイルス科に属する、大きさが100nmぐらいのRNAウイルスです。ちなみにインフルエンザウィルスも100nmなので、ほぼ同じ位の大きさのウイルスということになります。

 ウイルス表面に突起(スパイク蛋白)が林立し、あたかもウイルスの形が王冠のように見えることから、王冠を意味するcoronaと名付けられました。(右写真は国立感染症研究所HPから)

 コロナウイルスは自然界で、動物ごとに棲み分けをしていて、その宿主(ホスト。いつも感染している相手)にはほとんど悪さをせず、軽いかぜ症状や下痢を引き起こすだけで、おとなしく共存しています。

 これはある意味、当然のことであって、宿主が死亡するということはウイルスも存在できなくなり、死んでしまいます。宿主が元気な状態が、ウイルスも共存するためには必要な条件なのです。

 実は人間にもしっかり4種類のコロナウイルスが感染しており、かぜの10〜15%(流行時には35%)はヒトコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)が引き起こしているのです。人にかぜを引き起こすHCoVは、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1の4種類です。そして、6歳までにほとんどの人は、これらのコロナウイルスの感染を経験します。これらのコロナウイルスは、人に感染しても軽いかぜの症状しか起こさないで、人と長い間共存してきました。

 最近、2種類の別のコロナウイルスが人に感染し、流行しました。この2種類は、重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS)コロナウイルス(SARS-CoVと略します)と、中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)コロナウイルス(MERS-CoVと略します)です。

 この2種のコロナウイルス(CoV)はもともと、SARSコロナウイルスはキクガシラコウモリ(当初は、ハクビシンが疑われていました)、MERSコロナウイルスはヒトコブラクダが宿主でした。それが、何らかの理由でヒトに感染力を持ったために、人に感染し、発病させ、その力加減がわからず、ヒトを重症化させたり、殺してしまったと考えられています。

 SARSコロナウイルスは、中国広東省で大流行し、2002年11月から2003年7月にかけて、8098人が感染し、774人の死者がでました。SARSコロナウイルスは高齢者や慢性疾患を持つ人を重症化させたり、死亡させたりしましたが、子どもにはほとんど感染しませんでした。

 MERSコロナウイルスは、アラビア半島で大流行し、2494人が感染し、858人が死亡しました。しかし、実はサウジアラビア国民の0.15%はMERSコロナウイルスに抗体を持っていると報告されており、実際は感染しているヒトは5万人を越えているのではないかともいわれています。また、SARSと同様に、高齢者や慢性疾患を持つ人が重症化・死亡し、子どもはほとんど感染しなかったようです。
 
 以上、人に感染することがわかっている、6種類のコロナウイルス(軽症4種、重症2種)をまとめてみます。

ウイルス名  ヒトコロナウイルスHCoV
HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1
SARS-CoV MERS-CoV
 病名 かぜ SARS (重症急性呼吸器症候群) MERS(中東呼吸器症候群)
 発生年 毎年 2002〜2003年 2012年〜現在
 発生地域 世界中 中国広東省 アラビア半島とその周辺
 宿主動物 ヒト キクガシラコウモリ ヒトコブラクダ
 死亡者数/感染者数 不明/70億人 778人/8098人 858人/2494人(50000人?)
 好発年齢 多くは6歳以下 中央値 40歳(0-100歳)
子どもにはほとんど感染しない
中央値 52歳(1-109歳)
子どもにはほとんど感染しない
 主な症状 上気道炎、(胃腸炎 高熱、肺炎、胃腸炎 高熱、肺炎、胃腸炎、腎炎
 重症化因子 重症化しない 糖尿病等の慢性疾患、高齢者 糖尿病等の慢性疾患、高齢者
 感染経路 飛沫、接触 飛沫、接触、糞口 飛沫、接触
 ヒト−ヒト感染 1人→多数 1人→1人以下。
多数に移すス-パースプレッダーも。
1人→1人以下。
多数に移すス-パースプレッダーも。
 潜伏期 2-4日 2-10 2-14
 感染症法 指定無し 二類感染症 二類感染症

コロナウイルスとは 2020.1.10 国立感染症研究所から引用

 そして、今回の新型コロナウイルス(COVID-19)は2019年に新たに登場した、ヒトに感染する7番目、重症化させる3番目の新しいコロナウイルスとなるのです。

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U.中国における新型コロナウイルス感染爆発の経過

@新型コロナウイルス感染症の発生

 この新しいコロナウイルス、COVID-19による第1号の肺炎は、2019年12月8日に発生しました。最初の新型コロナウイルス肺炎の患者は、湖北省武漢市「華南海鮮卸売市場」の関係者だと言われています。

 この「華南海鮮卸売市場」では、魚介類だけでなく、100種類以上の野生動物を「食品」として、生のまま売ったり、目の前で殺したり、冷凍して宅配したりしていたそうです。市場のメニューによれば、ヘビ、アナグマ、ハクビシン、キツネ、コアラ、野ウサギ、クジャク、サソリ、ワニ、ネズミなどが食べ物として売られていたようです。

 しかも、これらには「野生動物保護法」や「食品安全法」に違反している、捕獲してはいけない動物や食べてはいけない動物も多数含まれていました。すなわち、このような市場は中国の法律においても、違法な営業ということになります。それが、武漢政府当局の「お目こぼし」で営業を続けていたのです。


(右写真2枚は、Gigazize https://gigazine.net/news/20200123-china-coronavirus-market-wildlife/ より転載させていただきました。)

 そのため、武漢政府当局としてはこの違法市場から発生した、新型コロナウイルスによる肺炎をできるだけ表沙汰にしたくなかったため、隠蔽に走ったと言われています。

 新型コロナウイルス肺炎の最初の感染者は、2019年12月8日に発生しました。華南海鮮市場で、おそらく、野生動物(コウモリ?)を生で食べた人物が最初の感染者ではないかと推定されています。この新型コロナウイルス2019-nCoVは、遺伝子配列がSARS-CoVと75-80%共通であり、いくつかのコウモリコロナウイルスときわめて類似していたと言われています。

 海鮮市場の原因不明の肺炎が、全く新しい新型のコロナウイルスの感染だとわかったのは、12月26日、上海市の公共衛生臨床センター科研プロッジェクトが通常の研究の一環として、武漢市中心医院、武漢市疾病制御センターから、発熱患者のサンプルを入手して検査したところ、新型のコロナウイルスであることがわかったためでした。そして、1月5日、武漢の原因不明の肺炎は「歴史上見たことのない、新型コロナウイルスが原因だ」と発表されたのです。

 しかし、武漢市衛生健康委員会は、武漢肺炎が華南海鮮市場と関係あること、27例の症例と重症7名の退院例があったが、ヒトーヒト感染はなく、医師への感染の事実もない。武漢肺炎は、予防可能で制御可能であると、うその発表を行って沈静化に努めたのです。

 それどころか、「微進」というSNSに「海鮮市場で、7件のSARSに似た肺炎が発生した」と書き込みを行い、注意を喚起した8人の医師グループを「オンライン上でデマを流布し、深刻な社会秩序の混乱を引き起こした」という理由で訓告処分とし、最初に発信した李文亮医師にこれ以上「違法行為」をしないと誓う誓約書まで書かせたのです。

 武漢協和病院では、1月7日に趙軍実という患者に脳外科手術が行われました。ところが、この患者は1月11日に肺炎を発症し、1月15日には新型コロナウイルスに感染していることがわかりました。その後、手術、治療に係わった医師、看護師14人が次々と新型コロナウイルス感染症を発病したのです。したがって、1月中旬にはヒトーヒト感染が存在することは事実として把握されていたのです。

 李文亮医師(右写真。CNNより)はその後も武漢中央病院で新型コロナウイルス感染症の診療に従事していましたが、自らも感染し、1月12日、同病院ICUに入院、2月7日に亡くなりました。34歳の、壮絶な戦死でした。
 李医師は死亡する数日前に、アメリカCNNの取材に応じ、「自分は何もできなかった」「すべては公式(政府)の方針に従わなければならなかった」と話したということです。( 新型ウイルスを告発した武漢市の医師が死亡、自らも感染 中国)

 2020年1月6日に、武漢政府は新型肺炎の問題は鎮静したと発表し、2020年3月5日に北京で開催される予定の、全国人民代表大会(全人代)の準備のための湖北省の「両会」地方大会を、1月12〜17日に開催すると発表しました。

 1月10日に武漢市の両会は終了し、1月17日には湖北省の両会が勝利の内に閉幕したと宣言されました。しかし、同日浙江省で新たに新型肺炎の患者5人が発病し、新型肺炎は終息していないどころか、ますます拡大していることが明らかになったのです。

 しかも、感染者が続々と増えている時期に、武漢市では「湖北省春節祝賀園芸会」を大々的に開催し、政府関係者は全員出席し、登壇した園芸員の中には感染者もいたということです。(新型コロナ 武漢 春節伝統「4万世帯の大宴会」で感染拡大か

 1月10日、国家衛生健康チームの応広発北京大学呼吸・重症学科主任は新華社の取材に「疫病は制御できている。」と答えました。彼は12月30日に武漢を視察しましたが、武漢政府が用意したカルテを見せられて、すっかり信用してしまい、事態の深刻さに気づかなかったのです。

 しかし、1月17日浙江省で新たな患者発生を見て、中国の感染症の権威である、鐘南山国家衛生健康委員会専門家グループ長が動きだしました。
 鐘南山中国工程院院士(博士の上の称号)は、SARS大流行の時に、感染拡大を隠蔽しようとする中央政府と戦い、またSARSの患者を自分が所長を務める医療施設に広く受け入れ、献身的に治療を行い、世界から賞賛された医師です。
(写真は、「SARS克服の英雄」再び、83歳医師が政府の対策チームのリーダーに。鍾南山医師(2020年1月21日撮影、資料写真)。(c)CNS/蘇丹
から)

 鐘南山院士をトップとする、最高レベル感染症専門家チームが中国国家衛生健康委員会内に結成され、1月18日、航空便の切符がとれないため、陸路鉄道で武漢市に向かいました。1月19日、武漢市に到着した、最高レベル専門家チームは、武漢政府ではなく、実際患者の発生している武漢協和病院を視察し、ヒトーヒト感染を起こしている武漢市の肺炎の実態を北京の党中央に報告したのでした。

 国家衛生健康委員会から孫春蘭国務院副総理、李克強国務院総理に報告が上がり、1月20日、習近平の「重要指示」が出され、武漢市は全面的に閉鎖されることになりました。

 北京からの命令で武漢市政府は、1月23日午前2時5分に、「市新型コロナウイルス感染による肺炎流行予防制御指導部(第1号)」を公表し、1月23日午前10時から、全市の公共交通を暫定的に停止し、飛行場や駅も漸次封鎖する。と通告しました。

 閉鎖の通告から実際の閉鎖まで、8時間のタイムラグがありました。この8時間の間に、数十万人の武漢市民が武漢市を脱出し、これらの人々が結果的に中国全土に新型コロナウイルスを拡散させる結果となりました。うち、1万人は日本に入国したと言われています。(彼らによって、新型コロナウイルスは日本に持ち込まれ、1月下旬からの日本国内の新型コロナウイルス感染症発生の感染源になった可能性が強いと思われます。)

 何故、武漢市政府はこのような午前2時などと真夜中の時間に封鎖の通告を行ったのでしょうか。遠藤誉筑波大学名誉教授は、この1月23日午前2時という真夜中にわざわざ武漢政府が通告を出したのは、1月22日午後8時から開催されていたWHOの緊急委員会にぶつけることで、WHOによる中国に対する「緊急事態宣言」発表を回避するためだったのではないか、と推論しています。

 習近平指導部は全中国に新型コロナウイルスが蔓延し、多くの中国人の生命が危険にさらされる事態よりも、WHOによる「緊急事態宣言」を回避するという、習近平と中国共産党の面子を守ることを優先した、といわれているのです。

A新型コロナウイルス感染症の中国での広がり

 1月23日、武漢市が封鎖されると、武漢の紅十字会(赤十字)には中国全土からマスク、医療物資や献金が集まってきました。ところが、肺炎患者治療病院に指定された700床ベッドがあり、8000人の医療スタッフを擁する協和病院には普通マスクが3000個、資金が1万2千元しか配給されませんでした。そのため、協和病院は押し寄せる患者にまともな医療ができなかったようです。

 しかも、後の調査によれば、武漢紅十字会幹部と個人的に繋がっていた美容整形や不妊治療、性病専門の小さな2つの私立病院(当然肺炎の治療などできない)には、優先的にN95マスクが16000個、基金も36万元が配給されていた、というのです。

 協和病院は鐘南山院士をトップとする、最高レベル感染症専門家チームが視察に訪れた病院で、武漢政府が隠蔽していた新型肺炎の情報を専門家チームに告げ口したと武漢政府から逆恨みされ、さまざまな嫌がらせを受けたという信じられない見方もあるのです。

 1月26日、周先旺武漢市長、王暁東湖北省長、別必雄湖北省中共委員会秘書長が肺炎発生以来、初めての公的な記者会見を行いました。ところが、会場に現れた王省長はマスクをつけておらず、周市長はマスクを上下逆さま、表裏逆につけ、別秘書長は鼻を出してマスクをつけるなど、誰一人正しくマスクをつけておらず、非難が殺到したようです。

 しかも王省長は、湖北省のマスクの生産量108万個を、180億個、18億個と2回も言い間違え、彼が「マスクや医療用防護服が足りない」と発言すると、周武漢市長が「湖北省は防護物資は十分ある」と全く逆の内容の発言するなど、あきれ果てたお粗末な対応に終始したそうです。

 記者会見が終わった後で、周武漢市長は「武漢市がすぐ発信できなかったのは、上層部が私に発表する権限を与えてくれなかったからだよ。」などと開き直り、「でも武漢市の封鎖は私がやった。」などと自慢し、最後には「どう俺の回答、80点ぐらいだったかい?」などと軽口をたたきながら、会場を後にしました。(その一部始終が中国のTVで放映されたようです。YouTube上の台湾TV局による編集番組はこちら

 さらに、武漢市長は肺炎騒動後に武漢市民500万人が武漢市から逃げた、と発言したのです。武漢市を閉鎖したものの、それ以前に武漢を逃げ出した500万人の武漢市民によって、新型コロナウイルス感染症は中国全土にヒト-ヒト感染によって、燎原の火のごとく、凄まじい勢いで広がっていったのでした。

 一日一日と感染者数、死亡者数が激増していき、2020年2月11日現在、中国国家衛生健康委員会の発表では、中国本土の死者は1016人、感染者は42638人に達したそうです(おそらく実数はこの数字の数倍〜数十倍とも言われています)。また、中国外では、27カ国・地域に感染は波及し、感染者339人、死亡者は2人になりました。

 この流行の広がりに、もはや中国政府は有効な対策を打つことが出来ません。封じ込めもできないでしょう。おそらく、新型コロナウイルス感染症はこれからも数ヶ月間、中国国内でも日本を含めた中国外でも、たくさんの人々の生命を奪いながら、爆発的に拡大していくものと思われます。全ては愚かな初動対応のミスが、この大惨禍をもたらした最大の原因だと思われます。

 何故、中国でたびたび動物由来の新興感染症が発生するのか。中国の衛生環境の実情が、具体的にレポートされています。(西村金一:コロナウイルスを発生・拡大させる中国の衛生環境)。これを読むと、これからも中国で新しい感染症が次々と発生しそうで、背筋が寒くなりますね。

BWHOの権威の失墜 

 今回の新型コロナウイルス感染症の突き出したもう一つの深刻な問題は、世界的な公衆衛生的課題に対し、世界保健機関WHOの権威の完全な失墜です。

 世界保健機関としての中立性を放擲し、徹頭徹尾、中国の国家利益の代弁者として振る舞う、WHO史上最悪最低の事務局長、エチオピア人テドロスに対して、世界中の人々からきびしい批判が浴びせられています。

 WHO は2020年1月22日と23日に緊急会議を開きました。しかし、委員の間で激論になり、結局結論は持ち越しになりました。テドロスは声明で、「緊急委では素晴らしい議論が行われたが、(緊急事態宣言を)進めるにはより多くの情報が必要であることが明らかだった」と協議継続の理由を説明したそうです。

 テドロスは早速1月27日に中国に報告に飛び、問題の武漢市には近寄りもせず、1月28日に北京の宮殿で習近平に拝謁し、緊急会議のご報告を行ったのでした。(右はその会見を伝える、人民日報の記事)

 しかもテドロスはその日、中国外相である王毅とも会談し、日本や米国などを念頭に、「住民の引き揚げを望む国があるが、WHOはそれを主張しない」などと中国の肩を持ち、感染拡大を容認する発言をしたのです。

 日本政府は28日、WHOの緊急事態宣言を待たず、新型肺炎を感染症法上の「指定感染症」に指定しました。(「指定感染症」については、W章で詳述)

 テドロス事務局長による、このWHOの緊急事態宣言の見送りが、結果的に世界各国の対応遅れにつながり、さらに流行が拡大する一因になったのことは明らかです。


 しかし、その後も爆発的に広がる新型コロナウイルス感染症の大流行に、1月30日、再度開かれたWHOの緊急会議で、さすがのテドロスも緊急非常事態宣言、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を出さざるを得なくなりました。

 しかし、テドロスは記者会見で、「感染が中国以外にほかの国でも拡大する恐れがあると判断したので、宣言を出した。」と語り、中国を露骨に庇い、次の5点を強調したのです。

 (1)貿易や人の移動の制限は勧告しない(中国との交通遮断に反対する)
 (2)医療体制が不十分な国々を支援する
 (3)ワクチンや治療法、診断方法の開発を促進する
 (4)風評や誤った情報の拡散に対策を採る(中国を非難することは許さない)
 (5)患者感染者の病理データを共有する

 WHOテドロスの緊急非常事態宣言は、2009年の新型インフルエンザ、2014年のポリオ流行、昨年7月のエボラ出血熱のアウトブレイクなど、これまでに計5回発出されています。

 しかも、テドロスはこの記者会見で、
1.WHOは新型肺炎の発生を制御する中国の能力に自信を持っている。
2.中国への渡航や交易を制限する理由は見当たらない。(中国への渡航を制限する必要はない)
3.この宣言は中国に対してではなく、医療体制の遅れている国への警告だ。
4.中国が感染予防のために行っている努力とその措置は前代未聞なほど、素晴らしいもので、新しい世界のスタンダードとなるものだ。
とあの朝日新聞ですらおそらく赤面するほどの(しないかな?)、歯の浮くような中国へのおべんちゃらとお追従の発言に終始したのです。

 そもそも、この中国の代理人、テドロスとは、どのような人物なのでしょうか。
 彼はエチオピアの保健大臣や外務大臣を務めた、エチオピアの医師兼政治家です。エチオピアという国は、中国マネーに頭にてっぺんからつま先までがんじがらめに縛られた、カンボジアなどと並ぶ代表的なチャイナの従属国家です。
 
 エチオピア外相として、中国政治家とも昵懇で、2017年にWHO事務局長に前任者のやはり中国の傀儡だった香港出身のマーガレット・チャンの後釜として、中国の強力な後押しで就任した人物です。そして、WHOで中国の利益の代理人として、行動してきたのです。

 日本人は国連とかWHOとかユネスコとかいうと敗戦国の悲しさで、上納金だけ献上させられ、発言は許されず、その天の声は絶対だと思い込まされてきました。日本のマスコミも、日本人をそう洗脳し、教育してきました。

 逆に、特定アジアの中国や韓国などは、これらの国際機関は金とヒトを出して自分の主張や利益を強引に押し通す国家的利益の道具と割り切って強力に工作し、そのメンバーは鼻持ちならない強烈な自己主張を行い、たびたび成功してきた歴史があります。

 今回も、中国は自国の民衆の死者1016人、感染者42638人(公式の数字)を数え、今なお流行を食い止めることができず、さらに世界中の人々が中国発のこの感染症で苦しんでいるにもかかわらず、テドロス事務局長は、「中国が疾病の感染予防に対して行っている、努力とその措置は前代未聞なほど、素晴らしい。」とか、「歴史上、ここまで立派にやった例はない。」などと絶賛、感謝しているのです。

 2月5日、テドロス事務局長はジュネーブで記者会見し、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスについて、各国のワクチン開発や感染防止策の支援に6億7500万ドル(約740億円)が必要だと述べ、国際社会に資金援助を求めました。しかも、「今投資するか、後でより多くの代償を支払うかだ」と各国を恫喝したのです。

 テレビ東京が日本のテレビ局としては、珍しくまともな番組を制作、放映していました。ご覧ください。(“中国寄り”って本当?…実はこんな「事実」も 世界からWHOトップ辞任要求 どう考える?

 また、WHOは中国の意を受けて、台湾を徹底的に閉め出してきました。台湾は、WHOの会議に出席できませんでした。また、中国は今回の新型コロナウイルス騒動でも、台湾人の中国からの帰国要請もいっさい無視してきたのです。

 しかし、2020年2月6日のWHO執行理事会で、新型コロナウイルス感染症への対応が話し合われた際、台湾がWHOに参加できないことが問題になりました。米国のアンドリュー・ブレンバーグ大使は、「WHOは、感染地域である台湾の公衆衛生データをはっきり目に見える形で公開し、台湾の公衆衛生当局と直接連携して対応にあたることが急務だ」と述べて、WHOに対して台湾との連携を促しました。

 また、日本の岡庭健大使も、「特定の地域が、オブザーバーとしてでさえも、WHOに参加できない状況を作り出すべきではない」として、台湾のWHO会議への参加を求めたのです。その他、カナダ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、ベルギーなども台湾のWHO参加に支持を表明しましたが、中国側は「大いに不満」だとして激しく反発して、台湾の参加妨害し続けたのです。

 しかし、ついに2月11日からジュネーブで開かれる緊急会合に、台湾からの専門家も参加が認められることになりました。無法の横車に対して、良識が勝ったのです。

 しかし、このテドロス事務局長のWHOの中立性をかなぐり捨てた、あまりにも露骨な中国への阿諛追従と、台湾に対する冷酷な処遇に対して、世界中の良識のある人々が立ち上がりました。テドロスの辞任を求める署名活動がアメリカ発のインターネットChange.orgで開始され、すでに全世界から37万人超の人々が署名を行っているのです。(報道はこちら。署名サイトはこちら。3月29日現在、65万人に増えていました!朝日新聞、悔しいのォ。)

 このような醜悪な俗物を追放し、真の気骨ある公衆衛生専門家が事務局長に就任し、新型コロナウイルス感染症制圧の先頭に立つ日が1日も早く来ることを願わずにはいられません。

 合わせて、WHOの公用語に何故日本語が入っていないのでしょうか。日本の貢献と地位、拠出金からいって、中国語とともに日本語も加えることは当然の処遇です。ぜひ日本人の関係者に努力してもらいたいものですね。

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V.その後の経過

 その後も武漢発の新型コロナ感染症は、全世界に広がり続けています。

 その一方、習近平は3月10日に武漢市を訪問し、人民戦疫の勝利を宣言しました。武漢市の新型コロナウイルス感染症は、2月22日頃から明らかにその発生は低下し、3月に入ってからは低値で落ち着いていたのです。周近平の勝利宣伝を受けて、奴撲テドロスはその翌日、3月11日にWHOによるパンデミック宣言を発表しました。あまりに見え透いた連係プレーに、ここまで来ると開いた口が塞がりませんね。

 中国の共産主義独裁国家ならではの、感染症封じ込め施策は凄まじい強圧的なものがありました。全ての国民を赤カード(患者)、黄色カード(濃厚接触者、コロナ治癒者)、緑カード(健康な人)に分類し、徹底的に監視しました。

 また、鐘南山院士の指導で重症患者用の火神山医院と雷神山医院の即席大病院を10日間ほどで建ちあげ、さらに軽症患者用の方艙医院を大増設し、体育館などにも軽症患者を収容しました。

 患者を治療する医療スタッフも、中国全国から医療スタッフをかき集め、人民解放軍の医療部隊も総動員されました。その数は2月下旬には4万人にも達したそうです。小学校の休校だけで大騒ぎの日本とは大違いですね。日本の共産党の大好きな人権は、中国共産党はあまり重視していないようです。

 強権的な感染対策でめでたく新型コロナウイルス感染症を抑え込みつつある中国は、次は習近平がコロナを抑えたのだというプロパガンダを始めました。自分達が新型コロナウイルス感染症で困っているときに、さまざまな国からサポートをしてもらいましたが、今度はしたたかな計算をしながら、お返しをしながら、自らの失地回復を始めたのです。

 イタリアで、イギリスで、フランスで、日本でも彼らの工作は続いています。特に、マスクを倍返ししてくれたと感激する、無邪気で疑うことの知らない善良な人と、強国に服従することしか出来ない、誇りなき劣弱な報道機関しか持てない我が国を、掌の上で踊らせることなど造作もないことかもしれませんね。

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 参考文献:

T.コロナウイルスについて

コロナウイルス感染症に関するQ&A(一般の向け)
国立感染症研究所:コロナウイルスとは
忽那賢志:徐々に見えてきた新型コロナウイルス感染症の重症度と潜在的な感染者数

U.中国における新型コロナウイルス感染爆発の経過

遠藤誉:新型コロナウイルス肺炎、習近平の指示は何故遅れたのか?
遠藤誉:「空白の8時間」は何を意味するのか?――習近平の保身が招くパンデミック
遠藤誉:一党支配揺るがすか?「武漢市長の会見」に中国庶民の怒り沸騰
遠藤誉:習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす
遠藤誉: 習近平緊急会議の背後に「武漢赤十字会の金銭癒着」
遠藤誉:習近平は「初動対応の反省をしていない」し、「異例でもない」
遠藤誉:新型肺炎以来、なぜ李克強が習近平より目立つのか?

V.その後の軽快

遠藤誉:本当に大丈夫? 武漢封鎖解除と国際支援で中国が狙う「反転攻勢」
遠藤誉:中国はなぜコロナ大拡散から抜け出せたのか?

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