定期接種(思春期以降の定期接種)

1.ヒトパピローマウイルス:HPVワクチン
2.肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)



1.ヒトパピローマウイルス:HPVワクチン

●予防接種の内容
子宮頸がんを引き起こす、主要な発がんウイルスである、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防する不活化ワクチンです。
現在3種類のワクチンが使用されています。


●予防する病気
子宮頸がんはわが国では年間10000人の女性が発病し、3000人の方が亡くなっている、女性のがんでは乳がんに次いで、2番目に多い病気です。

子宮頸がんの原因は、発がん性のあるヒトパピローマウイルス(HPV)
16、18、31、33、45、52、58型などの感染であり、特に16型と18型が半数以上を占めています。

尖圭(せんけい)コンジローマは性交で感染し、外性器、肛門周囲に1~3mmぐらいの球形~カリフラワー状のいぼ(乳頭腫)が次々とできる性感染症で、原因ウイルスは主にHPV6、11型です。

3つのHPVワクチンのうち、サ-バリックスは、子宮頸がんの主要な発がんウイルスである、HPV16型、18型の感染を防ぐ2価のワクチンです。

2番目のガーダシルは、子宮頸がんの主要な発がんウイルスであるHPV16型、18型に加えて、外性器にいぼができる「尖圭(せんけい)コンジローマ」の原因ウイルスであるHPV6型、11型の感染を予防する、4価の不活化ワクチンです。

2023年から定期接種となったシルガード9は、HPV16型、18型に、31型、33型、45型、52型、58型を加えて、さらに低リスク型のHPV6型、11型の9つのHPVの感染を予防する、9価の不活化ワクチンです。


●接種の方法
3種類のワクチンは接種方法が多少違います。

サーバリックスは10歳以上の女性が対象です。1回目の接種の後、1ヶ月後に第2回めの接種、さらに5ヵ月後に追加接種を上腕三角筋に筋肉注射します。

ガーダシルは 9歳以上の女性が対象です。1回目の注射の後、2ヶ月後に第2回めの注射、さらに4ヵ月後に第3回目の注射をします。 (最初から数えると、0、2ヵ月後、6ヵ月後になり、サーバリックスとは2回目の注射の時期が異なります。)

シルガード9は接種方法は、ガーダシルと同じです。

予防接種法では、12歳-16歳(小学校6年生から高校1年生相当)の女子が定期接種の対象になります。ただし、シルガード9は9歳から15歳未満の女性に限り、0、6ヶ月の2回接種も認められました。

サーバリックス ガーダシル シルガード9

HPVワクチンは、2013年4月より定期接種になりましたが、2013年6月14日、慢性疼痛などの多様な症状がHPVワクチン接種に関連するか検討するという名目で、積極的勧奨が停止されてしまいました。2022年4月、ようやく、積極的勧奨が再開されました。

HPVワクチンは女性の健康と未来を守る大切なワクチンです。ぜひ、接種をお考えください。当クリニックはHPVワクチンを中学1年のお子さまに強くお勧めしています。当クリニックの見解は、こちらをぜひお読みください。 

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2.成人用肺炎球菌ワクチン(PPV=ニューモバックス)

●予防接種の内容
現在、日本で使用されている肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は、米国内でよく分離される23種の肺炎球菌の細菌のカラの部分を精製した不活化ワクチンで、PPVと呼ばれます。

2014年10月から高齢者に定期接種となりました。(高齢者の定期接種で、子ども用ではありません)

●予防する病気
このワクチン(ニューモバックス)は肺炎球菌の感染の危険性が高く,感染した場合に重病になる可能性のある特殊な病気(鎌状赤血球症,無脾症)の患者さんに接種します。

しかし、アメリカ製なので、日本でよくみられる肺炎球菌の70%しかカバーできていません。また、肺炎球菌による頻回の中耳炎には効果が認められません。

さらに、このワクチンを接種しても、乳幼児の場合は肺炎球菌に対する抗体がうまく作られないため免疫が成立せず、(乳幼児には)効果がありません。

●接種の方法
現在日本で使用できる、23価の肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス、PPV)は、子どもには効果がなく、中耳炎にも無効で、お子さまに接種する価値のないワクチンです。

これに対し、現在、子どもによくみられる13種の肺炎球菌に限って、その細菌のカラ(殻)を精製した、13価の肺炎球菌ワクチン(PCV13、プレベナー13)が、現在小児用肺炎球菌ワクチンとして、子どもの定期接種に使用されています。




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