2021年(令和3年)区議会 第2回定例会 一般質問全文

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自民・無所属・子ども未来を代表して、一般質問を行います。よろしく、お願いいたします。

Ⅰ.品川区の感染症対策について

1.新型コロナウイルス感染症対策について


 まず、品川区の新型コロナウイルス感染症対策について、お伺いします。

 新型コロナウイルス感染症COVID-19は、201912月に中国武漢市に発生したとされ、世界中に広がり、今なお流行が続いています。
 2021年614日現在、世界で17675万人が感染し、380万人が死亡しています。

  病原ウイルスはSARS-CoV-2で、ヒトに感染するコロナウイルスとしては、4種類のヒトコロナウイルス、SARS-CoV、MARS-CoVに次いで、7番目のウイルスとなります。

 COVID-19は、まずかぜ症状を呈するウイルス増殖期が1週間続き、80%の患者はこの段階で治ります。
 残りの20%は、1週間過ぎたあたりから呼吸器症状が強くなり、肺炎となります。さらに5%が、サイトカインストームという、ヒトの体を守る免疫担当細胞がコントロールを失い暴走し、感染細胞、正常細胞を見境い無く攻撃し、ARDSという重症の肺炎になり、一部の患者は死亡します。

 さらにこの時期には侵された細胞の炎症から小さな血の塊=血栓が無数に形成され、これが脳、肺、心臓の小さな血管を詰らせ、患者は急変し、死亡することがあります。これが、コロナの第3期、血栓期です。

 COVID-19は未知の恐ろしい病気ではありません。現在では病態の理解も進み、ウイルス増殖期は抗ウイルス剤、サイトカインストーム期は免疫調整薬や抗炎症剤、血栓期には血栓を溶かす薬剤と、治療方法は確立しており、重症化率は約1.6%、死亡率は約1%と、大幅に改善しています。

 また、HIVSARS-CoV-2などRNAウイルスは2週間に1回、その一部を変異させます。現在、問題になっているアルファ株、デルタ株などのコロナウイルスの変異株は、従来株に比べて感染性が高まると報告されていますが、現在の治療を変えなければならないほどの大きな変異ではないようです。しかし、厳重なモニタリングは必要です。

 今後、新型コロナウイルス感染症はどうなっていくのでしょうか。
 人類は今まで、「パンデミック」と称される感染症の世界的大流行を、たびたび経験してきました。

 1918年の「スペインかぜ」が世界中で猛威を振るう少し前、1889年から1894年にかけて、「ロシアかぜ」と名付けられたパンデミックが流行しました。

 世界中で100万人もの人が亡くなった、この「ロシアかぜ」は、18895月に突然ロシア帝国ブハラ(現在のウズベキスタン、ブハラ市)で発生し、188912月にはロシア帝国で大流行し、18901月にはアメリカにも流行が拡大しました。我が国にも、1890年に侵入し、「お染かぜ」と呼ばれ、怖れられました。

 飛行機のない、交通手段が貧弱な当時としては、驚異的なスピードで世界中に広がり、当時報告された致死率は4%、子供は軽症ですが、高齢者は重症になり、多数の死者が出たそうです。

 このロシアかぜは従来、H3N8インフルエンザによるものとされてきましたが、近年のウイルス学的研究によって、19世紀の「新型コロナウイルス感染症」だった、といわれるようになりました。そして、病原ウイルスは、コロナウイルスOC43と考えられています。

  1889年から数年にわたり世界中で流行を繰り返し、100万人もの人々を死亡させた、コロナウイルスOC43はその後どのような運命をたどったのでしょうか。
 実は現在OC43は、4種類のヒトコロナウイルスの一つとして、冬場にふつうに流行している、かぜのウイルスとなっています。このOC43の運命から推し量ると、現在流行しているSARS-CoV-2も、今後数年間流行を繰り返し、最終的には5番目のヒトコロナウイルスとなっていくものと思われます。

 しかし、現在の新型コロナウイルス感染症の流行が自然に終息するのを待つまでもなく、積極的な介入によって、一時も早くコロナ禍を終わらせなければなりません。

 現在、イスラエル60%、イギリス43%、アメリカ42%のように、コロナワクチンの接種率が高い国では、コロナ流行は事実上終息し、人々は日常を取り戻しつつあります。しかし、同じようにワクチンを50%接種していても、チリやアラブ首長国連邦では全く流行は収まっておりません。

 イスラエル、アメリカのファイザー、モデルナのmRNAワクチン、イギリスのアストラゼネカのウイルスベクターワクチンに対し、流行の収まらないチリやアラブ首長国連邦では中国製の不活化ワクチンを使用しています。中国製のワクチンを使用した、ウルグアイ、セーシェルにいたっては、死亡者が逆に増加しています。

 また、今回の台湾の感染爆発や流行が一向に収まらない韓国の現状をみても、徹底した防疫だけでは、感染力の強いウイルスが侵入すれば、その流行を食い止めることはできません。

 効果のある、安全なワクチンを広汎に接種する事が、新型コロナ感染症を終息させる唯一無二の方法であることがますます鮮明になってきているのです。

 新型コロナワクチンには、mRNA、ウイルスベクター、不活化ワクチンなどがありますが、mRNAワクチンが最も有効であり、安全だと評価が確立してきています。

 mRNA ワクチンは、コロナウイルスのトゲを作る設計図であるRNAを、脂肪の殻に包みこんで接種します。
 このmRNAワクチンに含まれるRNAは、きわめて脆弱であるため、温度や振動で容易に壊れてしまいます。そのため、ワクチンの輸送に当たっては、厳重な振動防止や温度管理が要求されます。

 現在、我が国のワクチン接種は複線化しており、東京都ルート、品川区ルート、国(防衛省)ルート、職域接種などで行われています。

 以下、品川区の新型コロナワクチン接種体制について、お尋ねしていきます。

 新型コロナワクチンの接種に向けた、品川区の準備段階、実施段階の取組みについて、ご説明ください。特にファイザー社のmRNAワクチン=コミナティの取り扱いに対する、国のたびたびの変更に対し、品川区としてどのように対応されていったのか、ご説明をお願いいたします。
 
 現在までの接種実績について、お示しください。また、問題となる、有害事象の報告やアナフィラキシーの対応事例はあったのか、お示しください。

 初めてのワクチンの集団接種実施について、現在までの中間総括と、今後に繋がる展望などにつき、ご教示ください。

 現在職域接種も始まりましたが、基礎自治体である品川区の感染予防対策として、実働部隊である区職員に対するワクチン集団接種は必須と考えますが、区として実施に向けた検討などは行われているのでしょうか。

 2009年の新型インフルエンザ感染症流行の時、ワクチンパニックが起こり、当クリニックでも受付が問い合わせやクレームの電話でマヒし、 スタッフが何度も泣かされた苦い経験があります。今回のコロナワクチンでは、区のワクチン受付業務は円滑に行われているのでしょうか。


 ワクチンが新型コロナウイルス感染症を抑える唯一の方法であることが、ますます明らかになってきているにもかかわらず、コロナワクチンに対する、無責任な流言飛語も氾濫しています。

 病理専門医の峰宗太郎医師は、このワクチンに対するニセ情報の発生元を、
 M:マネー、金儲けの種、
 I:イデオロギー、政治的信条による煽動、
 C:コンプロマイズ、自分の現状との無理なすりあわせ、
 E
:エゴ、自分を認めてほしいという承認欲求、
などによるという、MICEモデルで説明しています。そして、多くの専門家が係わっている、複数の公的情報をまず信頼し比較し、参考にしてほしいと訴えています。

 品川区もワクチンに関して、精力的な広報を展開していますが、広報活動に関して、特に注意している事項につき、ご説明ください。

 コロナワクチンに正しい啓発活動を精力的に行っている、コビナビやコロワくんサポーターズなど医師によるボランティア団体との協力は極めて有意義と考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。


 2021年6月現在、RSウイルス感染症が大流行しています。この病気は赤ちゃんがかかると肺炎になり、呼吸困難になるリスクの高い感染症で、例年インフルエンザの流行前、9月から11月ごろに流行していました。ところが、今年は今頃になって季節外れの大流行となっています。

 また、今シーズンはインフルエンザが流行せず、多くの人にインフルエンザに対する免疫が付与されないまま、シーズンは終わってしまいました。今後コロナワクチンの接種が順調に進み、マスク着用、3密回避が緩んでくると、2020-21年シーズンは全く流行しなかったインフルエンザが、2021-22年のシーズンには大流行する可能性が強く危惧されています。

 歴史的にも、ロシアかぜ=前回の新型コロナウイルス感染症の流行の後に来たのは、史上最悪のスペイン風邪の破滅的大流行だったのです。ここで、質問いたします。

 2009年の新型インフルエンザ感染症と今回の新型コロナ感染症に対する区の感染症対策に、異なる点はあるのでしょうか。

 新型コロナウイルス感染症収束後、大流行するかも知れないインフルエンザ感染症に対し、区は今現在どのように認識し、対策をお考えになっているのか、ご説明ください。


2.その他の感染症対策について

 次に、その他の感染症対策について、お尋ねします。

 HPVワクチンの現況について、お尋ねいたします。
 2020年8月から、品川区は、HPVワクチンのお知らせを配布するようになりました。20213月には中学1年生から新高校1年生、さらに新小学校6年生の家庭にも、リーフレットが配布されるようになり、HPVワクチンに対する情報遮断に関しては改善が認められ、評価いたします。

 ワクチン接種と全身の痛みなど多様な症状の関連の有無について、2020年にデンマークからHPVワクチンと自律神経障害を伴う症候群について最新の報告が行われました。デンマーク生まれの女性1375737人を対象に、HPVワクチンの接種歴と複合性局所疼痛症候群(CRPS
)など自律神経障害を伴う症候群の関連を調べ、有意な因果関係は認められなかったことが報告されました。

 また、スエーデンKarolinska研究所は1672983人のスエーデンの女性を追跡した結果、HPVワクチン接種群では19人、非接種群では538人が最終的に子宮頸がんを発症し、HPVワクチン接種が子宮頸がん発生率を63%減少させたと報告しています。

 このように現在も続々と、世界中からHPVワクチンの優れた発がん予防効果、問題となる副反応もない安全なワクチンであることの報告が行われています。

 ところが、定期接種時期を逃した女性が、HPVワクチンの大切さに気づいても、接種費用負担なしで接種を受けることも、法に基づく副反応の救済処置を受けることもできない状況が、現在も我が国では放置されているのです。

 2021年329日、有志の女子大生らでつくる「HPVワクチン for me」は、田村厚労大臣と面会し、HPVワクチンの積極的勧奨の再開、定期接種の機会を失った世代への接種機会の提供を求め、3万筆の署名も合わせて提出しました。私も署名しています。

 そもそも定期接種とは、国が責任を持って行う予防接種です。何の情報の提供もないまま、期限が過ぎてしまったので、もう法に基づく接種はできません、というのはあまりに無責任で冷酷な態度ではないでしょうか。

 
これらの接種漏れの人々に対する、HPVワクチンの追加接種の費用助成を、改めて区に要望いたします。区はこの現状をどうお考えでしょうか。

 次に、先天性風疹症候群対策について、お伺いします。
 先天性風疹症候群は、風疹に対する免疫を持たない妊娠初期の女性が風疹に感染すると、難聴や目の病気、先天性心臓病をもった赤ちゃんが生まれてくる病気です。

 2013年から2014年にかけて風疹が大流行しましたが、2018年から2019年もそれぞれ3000人近い患者が報告され、6人の先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれています。

 そのため、2019年から2021年にかけて、風疹5期と名付けられた予防接種事業が始まりました。この事業は、風疹流行の中心になっている、これまで風疹の定期接種を受ける機会が無かった、1962年から1978年度生まれの男性に、風疹抗体検査を実施した上で無料で予防接種を行うというものでした。

 しかし、国のまとめだと対象者15374162人のうち、20213月の時点で、検査を受けた人は3076176人(対象者の20%)、ワクチン接種を受けた人は641723人(対象者の4.2%)にとどまっています。

 
風疹第5期接種事業は2022331日で終了しますが、現在までの品川区の予防接種の実績はいかがでしょうか。
 対象者の接種が低迷していると思われますが、品川区としてどのように現状を分析し、どのような対策をお考えになっているのでしょうか。


 最後に東京オリンピックとマスギャザリング感染症対策について、お伺いします。
 東京オリンピック、パラリンピックが目前です。新型コロナウイルス感染症ばかりが問題にされていますが、オリパラのようなマスギャザリング・イベントでは、注意すべき感染症が幾つか存在します。

 まず、デング熱、チクングニア熱などの蚊媒介感染症です。
 次に中部アフリカ髄膜炎ベルトに多い、侵襲性髄膜炎菌感染症です。
 さらに世界的に流行が続く、麻疹・風疹です。これは風疹5期予防接種との関連もあり、重要な施策と考えます。

 オリパラを向かえるにあたって、品川区のマスギャザリング感染症対策をご説明ください。

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Ⅱ. 品川区の子育て支援施策について

 次に、コロナ流行下の品川区の子育て支援施策について、お伺いいたします。

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、保育園においても基本的な感染予防対策が行われてきました。しかし、乳幼児はその特性から、感染予防が徹底できないこと、しかし、乳幼児の新型コロナウイルス感染症は軽症で経過するという特徴があります。

 保育所における、新型コロナウイルス感染症の発生件数とその対応について、ご報告をお願いいたします。
また、品川区が保育を行うの当たって、特に気をつけている点についてご説明ください

 今後コロナワクチンの接種が進む中、保育所職員も順次接種を受けていくことになります。保育所職員がワクチン接種を受けた後の保育所における感染予防はどのようになっていくのでしょうか。

 
変えなければならない点と、変えてはならない点について、区のお考えを伺います。

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Ⅲ.品川区の教育について

 最後に、品川区の教育について、お伺いいたします。

1.感染予防教育について

 文部科学省は、「学校における、COVID-19への対応に関する留意事項」の中で、3密回避、適切なマスク着用、手洗いの励行など、基本的な感染対策を徹底すると共に、子供の健やかな学びを保障していくことを要請しています。

 一方、2021520日に日本小児科学会も、「小児における新型コロナウイルス感染症COVID-19の現状と感染対策についての見解」を公表し、

 1.新型コロナウイルス感染症の流行第4波(20213月以降)では、新規患者数が増加しているが、小児患者の割合はわずかな増加に留まっている。
 2.子どもが変異新型コロナウイルスに感染した場合も、多くが無症状から軽症で経過している。
 3.小児COVID-19患者の大部分は、成人からの感染であり、第4波でも変化していない。

として、基本的な感染対策の徹底とともに、弾力的な学校での対応を求めています。

 2021年55日の厚労省の年齢別感染者数でも、小児のコロナウイルス感染者比率は、10歳未満は3.1%、10-19歳は7.0%、であり、死亡者は0人です。また、感染経路では家族が77%、学校関係者6%、幼稚園・保育園関係者が6%と、ほとんどが家庭内感染という状況でした。

 現在の品川区の学校現場における、感染症予防教育を具体的にご説明ください。感染予防の実技教育(例えば個人用防護具PPEの着脱訓練など)は大切な学習機会と思われますが、その実施はご検討されているのでしょうか。

 品川区での新型コロナウイルス感染症による区立学校、幼稚園の発生状況とクラスターの有無について、お示しください。

 今後、学校関係者、教職員の間でコロナワクチンの接種が進むことによって、教育現場はどのように変わっていくとお考えでしょうか。


 以上3点につき、ご見解を伺います。

2.子どもの心を育てる教育について

 最後に、子どもの心を育てる教育についてお伺いします。

 まず、自尊感情を育む教育について、お尋ねいたします。
 日本人は自尊感情に乏しいと言われます。現在の教育は、幸せを謳歌すると、「可哀想な人がいるのに。」とか、「不幸せな人のことを考えなさいとか。」必ず否定形の介入が行われる事が多いように感じられます。

 「褒めて育てる」ことは、結局他者の評価に依存するものであり、真の自尊感情が生まれるとは思われません。他者との競争のなかで、初めて自尊感情は自分の中で育っていくものではないでしょうか。

 
自尊感情を育む教育はどのようなものなのか。区のお考えをお尋ねします。

 メディアリテラシー教育について、お伺いいたします。

 前回の一般質問でも取り上げましたが、現在のマスメディア、特にワイドショウの出演者の発言には、無知や事実誤認の発言が多く、 風評被害の大きな要因となっています。

 子どもの教育が、やはり決定的に重要です。子どもに正しいメディアリテラシー教育が行われていれば、「お父さん、そうじゃないよ。今日学校で僕たち、調べたら、こうだったよ。テレビは嘘をついてるよ。」とテレビの前で騒ぐ親を、思慮深い子どもがたしなめる光景も夢ではありません。

 コロナに関する放送内容を、学校の授業としてファクトに基づき検証すれば、マスコミの報道を鵜呑みにして騒ぐ、大人達の風評被害を減らすことができるのではないかと期待されます。

 
このような授業こそ、現在最も必要とされる風評被害の最善の対策と考えますが、区のご見解はいかがでしょうか。

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 子どもは未来であり、希望そのものです。

 品川区の子どもと保護者のための医療・子育て支援施策が、新型コロナウイルス感染症の惨禍を乗り越えて、さらに大きく広がることを期待して、本年度の私の一般質問を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。



区の答弁

◯区長(濱野健君) 

 私からは、新型コロナウイルス感染症対策に関する保育園での対応についてお答えを申し上げます。

 初めに、コロナ禍の保育について注意をしてきた点であります。保育園では、園児との触れ合いを大切にしているため、感染症対策に注意を払いつつ、目線を合わせてのスキンシップを図っております。また、目の表情や声のトーンなどに気をつけて、より伝わるような対応等の工夫をしているところであります。

 次に、品川区内の保育園で新型コロナウイルスの陽性が確認された人数の累計は、令和3年5月末時点で園児が45名、保育園職員が61名、園児の家族が172名となっております。園で陽性者が確認された場合の対応といたしましては、濃厚接触者の特定と登園停止のほか、改めての消毒の徹底などを行っております。

 また、予防接種が進んだ後の保育園の感染症対策についてであります。園児から触れ合いや声を出す遊びを求められた場合には、感染予防のための集団を分ける等のさらなる工夫を行い、保育士の愛情を伝えながら保育をしていくことが大切だと考えております。他方、変更を考えていない点といたしましては、基本的な感染症対策である定期的な換気や手指の消毒等であります。今後とも国の動向等を注視しながら、適時適切な対応をしてまいります。

◯品川区保健所長(福内恵子君) 

 私からは、品川区の感染症対策についてお答えします。

 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてです。まず、ワクチン接種の区の取組についてですが、当初より国からの手引等に従い、計画を立て準備を進めてまいりました。しかし、度重なる手引等の変更でその都度大幅な計画の変更が必要となり、国の大規模接種会場設置の際は、区職員を70名動員して急遽接種券の発送を繰り上げました。また、ワクチンの保存温度や期間、取扱いの変更などに対し、品川区医師会、荏原医師会や病院、薬剤師会、委託業者であるJTB等と協議を重ね、確実かつ安全に住民接種ができるよう調整をしてまいりました。

 次に、接種実績についてですが、22日現在45.9%で、そのうち、アナフィラキシーや有害事象が報告された事例はありません。これまでの集団接種の中間総括と今後の展望についてですが、区民全体を対象とした集団接種事業は過去に経験もなく、手探りでの準備となりました。しかしながら、接種会場での流れや会場運営はシミュレーションを行ったこともあり、おおむね順調に進んでいると考えております。ただ、接種予約に関しては、ウェブやコールセンターがつながりにくいなど課題があると認識しています。ウェブについてもさらに使いやすいシステムの採用を検討してまいります。

 次に、区職員に対するワクチン接種についてですが、既にキャンセルによる余剰ワクチンを介護従事者や保育士等に接種しており、この中に感染症対策部門や危機管理対応部門なども接種できるよう準備を始めました。また、区内医療機関からのお申出により、保健所職員などへの接種も始まっております。

 次に、ワクチン受付業務についてです。区は予約や相談はコールセンターで対応しておりますが、回線数を増やしたとはいえ、予約開始直後がつながりにくい状態となりました。一日中電話が鳴り続け、つながらないことに対しての区民の方からの厳しいご指摘への対応に苦慮したこともございました。

 広報活動については、広報しながわをはじめ、ホームページやSNS、ケーブルテレビ品川、FMしながわなどの情報提供に加え、ふれあい掲示板を活用した周知も展開しました。状況が日々変わる中で最新の情報が行き渡るよう、今後も努めてまいります。

 次に、啓発活動を積極的に行っているボランティア団体などとの提携についてですが、客観性のある情報を提供することは区民にとっても十分に有益であるため、ご指摘のサイトをよく研究し、連携についても今後検討してまいります。

 次に、新型インフルエンザ対策と新型コロナウイルス対策の違いについてです。2009年の新型インフルエンザは、抗インフルエンザウイルス薬の効果があり、また病原性が低かったことから、区は新型インフルエンザ相談センターを開設し、患者の接触歴を疫学調査で追える感染早期の間、感染症対応を行いました。一方、新型コロナウイルスについては、検査の拡大や治療法の確立、ワクチンの開発に時間がかかり、また重症化率も高いため、感染症法による入院勧告等の対応が継続しています。そのため、保健所は、現在に至るまで患者の全数報告に基づく積極的疫学調査、入院勧告等を行っています。

 次に、新型コロナウイルス感染症流行後のインフルエンザ対策についても、3密を避け、マスク着用を励行することや、高齢者等についてはインフルエンザワクチンを積極的に勧奨してまいります。

 次に、その他の感染症対策のうち、HPVワクチンについてです。積極的勧奨を差し控えてきた結果、接種していない方が多いことは承知しており、その方々への接種については、国の方向性の確認等、今後の動向を見据えつつ、費用の助成については今後の検討課題と考えております。

 次に、風疹第5期の接種についてです。品川区における対象者約5万2,000人のうち抗体検査を受けたのは約12%、このうち8割は抗体を有しており、抗体価の低い残りの2割の方のうち、90%以上が予防接種を受けています。まだ抗体検査を受けていない方への個別勧奨通知を既に1回実施しましたが、今年8月頃に再度勧奨を実施する予定です。また、品川CSR推進協議会やしながわ産業ニュース等を通じ、積極的に周知してまいります。

 次に、オリンピック・パラリンピックの感染症対策についてです。蚊が媒介する感染症への対策については、蚊の発生を防ぐため、毎年成長抑制剤を雨水ますに投入しています。また、麻疹・風疹については、幸い品川区の昨年度の予防接種率は例年と同様90%以上を保っており、引き続き接種を勧奨してまいります。

◯教育次長(米田博君) 

 私からは、教育に係るご質問についてお答えします。

 初めに、感染症予防教育についてですが、学校においては、区立学校版感染症予防ガイドラインにのっとり、3つの密の回避、手洗いの励行、せきエチケットの徹底の指導をはじめ、全校朝会での校長講話や保健だより、教育委員会が制作した啓発動画等を適宜活用し、感染症予防教育を進めております。また、6年生や9年生の保健の授業において、感染症の予防について指導しております。予防着の着脱の実技指導をすぐに導入することは難しいと考えますが、医療従事者等をゲストティーチャーとして招いた感染予防に関する授業の可能性について検討してまいります。

 これまでの感染状況についてです。学校、幼稚園では114名の園児、児童・生徒の陽性が確認されましたが、感染防止対策が徹底されていることから、同時に5人以上の陽性が判明するクラスターと言われる状況は発生しておりません。また、ワクチン接種が進むことによる教育現場の変化としては、今後の感染状況等にもよりますが、行動の制約が緩和されることで、コロナ以前の教育活動が再現できると考えております。あわせて、創意ある新たな行事の実施、タブレットを活用した授業づくりなど、各学校の特色ある教育が一層推進できるものと期待しております。

 次に、子どもの心を育てる教育についてです。自尊感情を育む教育には、学校での学びとともに、家庭での役割も大きいと考えております。学校では、市民科の学習を中心に、学校行事等で他者と関わることを通して、互いに尊重し、よさを認め合える集団づくりを進め、児童・生徒が今の自分を肯定的に受け止めることができるよう指導しております。

 最後に、教育におけるメディアリテラシーについてです。メディアが発達した現代においては、膨大な情報が氾濫し、受け手によっては発信者の不確かな情報をうのみにしてしまうことも考えられます。このような中、児童・生徒が自ら情報を多面的に捉え、発信元や事実の有無を確認し、信頼できる内容を選択したり、適切に使用・発信したりする力の育成が必要と捉えています。議員のご提案も含め、様々なメディアの記事や意見に着目し協議することは、情報モラルを高める上でも効果的であると思われますので、今後、市民科や情報教育等の教員研修の中で取り上げてまいります。




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