2022年(令和4年)区議会 第3回定例会 一般質問全文

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品川区議会自民党(補注)を代表して、一般質問を行います。よろしく、お願いいたします。

(補注:鈴木博院長は無所属議員ですが、区議会自民党会派に所属しています。)


Ⅰ.品川区の感染症対策について

1.新型コロナウイルス感染症対策について


 まず、品川区の新型コロナ感染症対策について お伺いします。

 質問を始めるに当たり、まず我が国の新型コロナウイルス感染症3年間の推移と、コロナ感染対策についてまとめてみます。

 新型コロナウイルス感染症は、2019年12月に中国武漢市で発生しました。当初の武漢株による2020年1月からの第1波、第2波、第3波、 2021年4月からのアルファ株による第4波、2021年7月からのデルタ株による第5波、2022年1月からのオミクロン株BA1 による第6波、2022年7月からのBA5による第7波と、ウイルスは変異を繰り返しながら、 流行が現在も続いています。

 政府は2020年4月に緊急事態宣言、2021年1月と4月に再度の緊急事態宣言、2022年1月にはまん延防止等重点措置を公示し、感染対策を実施してきました。

 初期の新型コロナ感染症は、軽いかぜ症状で始まり、80%は軽快しますが、5%は重症呼吸不全に陥り、3%は死亡しています。2020年1月から4月までの致死率は、京都大学西浦教授によれば、20歳代までは0%でしたが、80歳以上では実に30.7%と報告されました。

 しかしその後、2022年1月 オミクロン変異株が登場すると、感染力は増強したものの、症状は軽症化し、当初報告された呼吸困難、肺炎症状よりも、咽頭痛、咳、鼻などの上気道症状が多く見られるようになりました。さらに、病態解明が進み 治療法も進歩し、ワクチン接種の進展と相まって、新型コロナウイルス感染症の致死率は、現在では全年齢で0.11%まで低下しています。

 以下、品川区のコロナ感染対策について、順次お伺いしてまいります。

 まず、コロナワクチンについて お伺いします。

 新型コロナ感染症対策の中心は、ワクチン接種です。
 コロナワクチンは、当初の驚異的な感染予防効果は変異株の流行のたびに低下していきましたが、重症化予防効果は現在も良好です。

 しかし、社会的にコロナワクチンに対する当初の熱気は冷め、接種率は低下しています。さらに、コロナ感染症の軽症化に伴い、ワクチンの効果を否定、疑問視する、根拠のないフェイク情報も大量に拡散され、接種率の低下の一因となっています。

 しかもその一方で ワクチンの種類も増え、接種方式も度々変更され、複雑化し、接種業務も煩雑をきわめ、医療現場は疲弊しきっています。

 現在使用されているコロナワクチンを整理してみます。

 mRNAワクチンは、コロナウイルスのトゲ蛋白を作る設計図であるRNAの一部を、脂肪の殻に包みこんで注射します。ファイザーのコミナティ、モデルナのスパイクバックスがこれに当たります。

 ウイルスのRNAが ヒト体内でコロナのトゲ蛋白を作りだし、これがヒト免疫細胞に異物として認識され、免疫が誘導されます。オミクロン対応2価ワクチンも実用化されました。

 アストラゼネカのバキスゼブリアは、血栓症を起す副反応が警戒され、我が国では2022年9月30日で接種は終了となりました。

 ノババックスのヌバクソビッドは、昆虫に感染するウイルスにコロナウイルスのトゲを作る遺伝子を組み込み、昆虫細胞にコロナウイルスのトゲ蛋白を作らせます。このコロナ蛋白をヒトに接種し、免疫を誘導させます。

 この組換えタンパクワクチンはB型肝炎ワクチンと同じ製造法です。

 低迷するワクチン接種率を向上させるためには、年齢や接種者の特性に応じたきめの細かい配慮が必要と考えます。

 第一に、65歳以上の高齢者層です。

 この年齢層は死亡率が劇的に低下したとはいえ、まだまだ重症化率、死亡率が高い集団です。高齢者は最もワクチンの恩恵を受ける世代であり、最大限のワクチン接種が必要とされる世代でもあります。また、現在接種率も90%に達しています。

 
今までの高齢者ワクチン接種体制の評価と、これからの2価ワクチンの接種計画も含めて、接種の状況、関係施設との連係につき、ご説明をお願いいたします。

 第二に、小児です。

 小児のコロナ患者は2021年4月段階では、累積患者数に占める割合は 10歳未満で3%、10歳台でも7%でした。しかしオミクロン株登場以降2022年3月までの新規患者に占める割合は35%まで増加し、小児の重症例、死亡者も報告されるようになりました。

 子どもはコロナにかからないし、かかっても軽いと信じられてきました。しかし、現在子どものコロナ患者は激増し、けいれん、急性脳症などで入院する、基礎疾患のない子どもや入院後死亡する子どもが増えているのです。

 重症小児患者の病名も、「肺炎」や欧米に多い川崎病に似た「多系統炎症症候群(MIS-C)」などから、クループ、けいれん重積、意識障害、急性脳炎・脳症といった小児によくみられる病名が多数を占めるようになり、しかも未就学児の割合が最多になっています。

 身近な例でも、私のクリニックの1歳台の生来健康な児が、1時間続くけいれん重積のために入院した事例もありました。
 今や、小児の重症例は決して珍しくはないのです。

 そのため、小児のコロナワクチン接種に慎重だった小児科学会も、8月10日にワクチン接種を推奨する声明を出しました。

 小児用コロナワクチンは、オミクロン株に対する発病予防効果は高くありませんが、重症化予防効果は40~80%と報告されています。また、免疫物質が成人ワクチンの1/3に減量されており、副反応も接種時の疼痛、発赤、疲労などが多く、重い症状は報告されていません。

 現在、品川区の小児用コロナワクチンの接種率は20%に留まっています。この冬流行する可能性が強い第8波では、間違いなく免疫を持たない子ども集団が流行の中心となり、重症化する子どもが多数出ることが危惧されています。

 そのために、保護者に対し小児用コロナワクチンに関する正しい情報提供を積極的に行うことは喫緊の課題です。

 
たとえば、保育園、幼稚園、小学校、児童センターなど公の場所に、わかりやすい客観的なコロナワクチンのリーフレットなどを配布し、情報提供することなどはいかがでしょうか。区のご見解、取組みを伺います。

 第三に、若い成人層です。

 この集団はコロナにかかっても軽症で経過する人が多く、また生命活動が活発なため、ワクチンの副反応が最も強く出やすい世代です。また、この年齢層はネット世代であり、ワクチンに対するデマ情報に最も敏感に反応しているという指摘もあります。また、日常的に社会的活動も活発です。

 この世代に対しては、彼らが汎用するSNS等を使い、さまざまな観点からワクチン情報を発信することが大切だと思われます。

 
特に、ワクチン3回接種を済ませることが社会生活を営む上で、有用で有益であることを周知することは極めて有効な情報提供だと思われますが、区の見解はいかがでしょうか。

 また、mRNAワクチンに抵抗がある人には、組換えタンパクワクチンの接種も勧奨すべきと考えます。

 組換えタンパクワクチン・ヌバクソビッドは、従来型の不活化ワクチンであり、この種のワクチンは長年の接種実績があること、副反応が軽微なこと、十分な在庫があることなど、十分な情報提供と接種施設の増加により、接種数の向上が見込めると思われます。
 
区の積極的な対応を求めますが いかがでしょうか。

 以上のような、年齢層の特性に応じた、きめ細かい接種体制を構築することが、接種率を上げるために必要と考えます。それに加えて、
国の引き回しに安易に同調して、区民や医療機関を混乱させない。マスコミの一面的な報道に、浮足立たない。お役所言葉ではなく、専門外の人にもわかりやすい平易な言葉で、正しい情報を区民に提供する。
 
などのご配慮を区にはお願いしたいと思います。

 次に、我が国のコロナ感染対策について、お尋ねいたします。

 2022年5月ごろから、突然「マスクは必要ない」という議論が巻き起こりました。当初は熱中症予防が謳い文句でしたが、最近では欧米がマスクをしないのに、日本だけマスクをしている、という論調に変わってきています。
 
 しかし、インフルエンザの流行時、毎年マスク着用が叫ばれてきましたが、マスク着用に誰も異を唱えませんでした。花粉症のマスクも然りです。

 新型コロナウイルスの感染経路は、飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等であるため、「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い等の手指消毒」、「換気」は、オミクロン流行下の現在でも重要な感染予防対策です。

 私のクリニック周辺でも、保育園の謝恩会や小学校の移動教室で集団感染が起こっています。

 マスク着用については、
厚労省のHPの「マスク着用について」で示されているように、科学的に必要な場合は着用する。必要がない場合ははずす。このことを、個人の判断で行えば良いだけの話です。
 野放図にマスクを外すことは、感染症の流行を拡大し、長引かせるという事実を自覚すべきです。

 むしろ今必要な施策は、マスク着脱に矮小化するのではなく、オミクロン以前の過剰な感染対策を現状に合わせて再点検し、改善することです。
 たとえば、受付カウンターをビニールシートで覆う、手袋を着用し続ける事などは 感染予防の効果はほとんど得られず、消毒が適切に行われなければ、かえって感染源になる危険すらあるのです。

 また、アクリル板設置もマスクを外して会食する飲食店などでは感染対策上必要ですが、通常のマスクを着用した状態においては、気流の流れを滞留させ、換気の障害になったり、消毒なしでは板に付いた飛沫が感染源になる、などの指摘もあるのです。

 
デルタ株流行以前の過剰な感染予防対策は、現在の状況下では、大幅な再検討や改善が必要と思われますが、区の認識、対応はいかがでしょうか。定期的な感染予防対策の再評価は行われているのでしょうか。

2.その他の感染症対策について

 次に、品川区のその他の感染症対策として、今季の季節性インフルエンザ対策について、お尋ねいたします。

 この2年間、我が国では、季節性インフルエンザは流行しませんでした。これは感染予防対策が徹底されたこと、世界規模で人流が抑えられたことなどによるものと思われます。

 ところがこの夏、新型コロナ感染症の流行が収束に向かい、感染予防措置が各国で次々と解除され、世界的な人の流れが復活してくると、南半球でインフルエンザが流行しました。一方、この2年間インフルエンザ流行が無かったため、ほとんどの日本人はインフルエンザに対する免疫が低下している状態です。

 2022年10月 水際措置が大幅に緩和されました。海外からの多数の旅行者が、今後インフルエンザなど感染症を持ち込む可能性が危惧されています。

 一方で、この2年間不足ぎみだったインフルエンザワクチンが、今年は十分に供給されている状況です。

 
品川区の今シーズンのインフルエンザ対策を、新型コロナ対策との関連も踏まえつつ、ご説明下さい。

3.予防接種について

 最後に、予防接種についてお伺いします。

 2022年4月に定期接種の勧奨再開されたHPVワクチンは、従来の2価、4価に加え、最新型の9価ワクチンであるシルガード9も、2023年度早期から使用できることになりました。

 この決定は歓迎すべきものですが、今回は男子への4価HPVワクチンの接種費用助成について、再々度要望いたします。

 2020年12月に、男性にもHPVワクチンの適応が拡大されました。私のクリニックでもすでに、男子中学生に接種を行っています。

 男子への4HPVワクチンの接種は、男性にも多い「性器いぼ=尖形コンジローマ」を防ぐこと、発がん性HPV感染による男性の肛門がんや咽頭がんを防ぐこと、そして何より重要なことは、男子のHPV感染者を激減させることによって、性行為によってHPVを移され子宮頸がんを発症する若い女性を子宮頸がんから守る、という点に大きな意義を持つものです。

 HPVワクチンの男性への接種費用助成を、再度要望いたします。区のご見解はいかがでしょうか。


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Ⅱ. 品川区の子育て支援施策について

1.病児保育について

 
次に、品川区の子育て支援施策について、お尋ねいたします。

 
まず、病児保育事業について お伺いします。病児保育は、子どもが急な病気になったとき、親の代わりに病気の子どもを預かり保育する、就労支援として位置づけられてきました。 それと共に、子どもが病気の時に保護者が看護休暇を取り、子どもの看病することも重要な施策です。

 しかし、小児科診療の現場の実感として、病気の我が子の看病をしようにも、ケアの仕方がわからない、相談する相手もいない、などの悩みを持つ親が増えてきています。

 病児保育事業は、看護師、保育士、医師などの子育てに係わる専門家が病気の子どもを温かい環境で療養する事業です。親にとっても、病気の子どもを預かってもらえることで心理的ストレスが軽減され、心理的余裕ができ、育児環境にも好影響を与える、親支援のレスパイト事業でもあるのです。

 
病児保育の子育て支援の側面を、区はどのように評価されているのでしょうか。

 病児保育所は、病気の親子が必要なときにいつでも気軽に利用できる、区民にとって安心できるセーフティネットであり、そのためには区の各所に整備されることが必要です。

 小規模なクリニック併設の病児保育所を各地域ごとに配置し、軽症の病児を幅広く受け入れる。その一方、センター機能を持つ中核的な病児保育所を、区内の基幹病院に事業所内保育所と併設の形で開設する。

 この病児保育センターは医療的ケアが必要な病児も受入れ、また各病児保育施設の調節にもあたる。

 
このような病児保育のネットワークが構築されれば、品川区は子育て支援の先進自治体として高く評価されることになると思われますが、区の見解はいかがでしょうか。

 その一方で、自宅で病気の我が子の看病をしようにも、ケアの仕方がわからない、という悩みを持つ保護者に対しても支援が必要です。

 その施策として、
病気の子どものケア教室の開設を提案いたします。この教室は病気の子どもに対する薬の与え方、座薬の使用方法、水分の取り方などを、講師が実地に指導する教室です。

 品川区では、栄養士が親に離乳食の指導を行う離乳食教室が各所で開催されています。離乳食の実習教室があるのに、子どもと親にとって切実な問題である、病気のケアの実習教室が行われておりません。

 
病気のケアの仕方、お薬の飲ませ方なども薬剤師などの専門家の協力を得て、実地で学ぶケア教室の開催を検討すべきと考えますが、区のご見解はいかがでしょうか。

2.乳幼児健診について

 次に乳幼児健診について、お伺いします。

 今回は3歳児健診で新たに導入された、屈折検査についてお尋ねします。

 私のクリニックでも 2020年4月に乳幼児の弱視を検査するフォトスクリーナを導入し、9ヶ月健診時を中心に、200例以上の検査を行ってきました。自らのフォトスクリーナの使用経験も踏まえ、質問させていただきます。

 
まず、今までの屈折検査の実施数、検査上の異常判定の割合、その頻度について ご報告をお願いいたします。

 品川区でこのたび導入したスポットビジョンスクリーナの特徴は、アメリカ小児眼科斜視学会が定めた基準値をもとに、自動判定機能が装備されており、検査終了後即座に
近視、遠視、乱視、斜視、不同視について、異常、正常の判定結果が表示されることです。

 しかし、この自動判定基準値はアメリカ人から算出した値であり、日本人ではこの判定基準が異なるといわれています。現在、日本弱視斜視学会が日本人の基準値の検討を行っています。

 
品川区では屈折検査の判定はどのような基準で行っているのでしょうか。また、異常となった場合は眼科を受診し、精密検査を行うことになりますが、眼科医会との連携はいかがでしょうか。

 子どもの目の機能は 生まれてから発達を続け、6歳までにほぼ完成します。3歳児眼科健診は、屈折異常、斜視を発見する大切な機会であり、この時期に弱視が発見されれば、眼鏡使用などで多くは矯正視力1.0以上を獲得することが可能です。

 屈折検査の円滑な実施により、弱視の小児が早期治療により視力を回復することを強く期待し、次の質問に移ります。

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Ⅲ.品川区の教育について

1.感染予防対応について 

 
最後に、品川区の学校におけるコロナ対応について、お伺いいたします。

 コロナ流行によって、ほぼ区民4人に1人がすでにコロナに罹患している状況で、学校は相変わらず検査陽性の生徒の情報を他の保護者に提供しておりません。

 一方、東京都福祉保健局は検査陽性者に、陽性者が自ら濃厚接触者へ連絡するよう案内しています。これは学校現場においては、学校側から何の連絡も無いのに、突然陽性者家庭から、あなたのお子さんは濃厚接触だから、5日間自宅待機するよう、連絡が入るということになるのです。


 
無用なトラブルを避けるためにも 最低限の学校側からの情報提供は必要と考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。

2.読書と思索について

 
最後に読書と思索について、お伺いします。

 ホームページからフェイスブック、ツイッターからインスタグラムへと、段々文字が少なくなり、文章も短文化しています。

 近年、子どもの読書離れが指摘されています。読書離れは、言語表現能力の乏しい、抽象的で高度な思索ができない子どもを大量に生み出しています。

 読書による豊かな知識の土壌がないために、事象を深く広く掘り下げて思索することができず、底の浅い一方的な主張に容易に引きずられる子どもが増えており、 現在の社会状況は、ますます読書の大切さを際立たせていると感じられます。


 
コロナ禍ではありますが、品川区の読書推進活動についてご説明ください。

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 子どもは未来であり、希望そのものです。

 品川区の子どもと保護者のための医療・子育て支援施策が、さらに大きく広がることを期待して、今年度の私の一般質問を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。



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