赤ちゃんのこころ編
●赤ちゃんの心、どう育つ?どう育てる(0か月)
「赤ちゃんの心を育てよう」と、身構える必要はありません。
毎日の子育ての中で、赤ちゃんの心は自然に育っていくのです。赤ちゃんが泣いた時、お父さんやお母さんは抱っこしてあやし、母乳やミルクを飲ませ、おむつを替えてあげますよね。その繰り返しの中で、赤ちゃんはお父さんやお母さんへの基本的な信頼感を育んでいくのです。
そしてそれが、心の成長の基礎になるのです。
●笑うようになったのは、ママだと分かっているから?(1か月)
生後1か月ごろになると、ガラガラやオルゴールメリーなど、動くものに反応したり、機嫌のいい時には人の姿や笑顔を見ると、笑ったりするようになります。
まだお父さんやお母さんの顔を認識できているわけではなく、目の前の物に笑いかけたり反応したりしているだけですが、赤ちゃんが目を覚ましている時に手が空いていたら、いっぱい抱っこして話しかけてあげましょう。
赤ちゃんのかわいい笑顔を見られると、育児の疲れも忘れられますね。
●じっと手を見ている(2か月)
赤ちゃんが手を目の前に掲げ、じっと見つめていることがあります。これを"ハンドリガード"と呼びます。詳しいことは分かっていませんが、視野の中に手が入ってきたことから始まり、自分の体を認識するきっかけになるとも言われます。
その姿はかわいくてどこか哲学的。スマホやデジカメで写真を撮っておいて、お父さんにも見せてあげましょう。
●抱っこしていると、抱き癖がつくって本当?(3か月)
「抱き癖」というのは、抱っこをしないと赤ちゃんが泣き止まなかったり、寝付かなくなったりすることです。いつも抱っこしていなければならないと、少し大変だし、いつまで続くか、心配になりますよね。
目の構造自体は生まれた時にほぼ完成しています。でも生まれた時の視力は0.02程度で、ぼんやりと見える程度です。見ることによって徐々に視力は発達し、大人並みに完成するのは6歳頃とされています。 一方耳は、生まれた時には音を聞く能力が備わっています。ドアを閉めるなど大きな音がすると、ビクッと動いたり、手足を動かしたりすることで、耳が聞こえていることが分かります。 ●泣いた時はどう対応すればいい?(0か月) 赤ちゃんは泣くことで様々な欲求を伝えます。 ●笑った時はどう対応すればいい?(1か月) 生後1か月を過ぎると、少しずつ赤ちゃんらしい表情が見られるようになってきます。 ●よく「アー」「ウー」と言うようになった(2か月) お父さんやお母さんが話しかけると、赤ちゃんも「アー」「ウー」と声を出します。これは喃語(なんご)と言われ、言葉の原型になるものです。 ●赤ちゃんの喃語にどう応えればいい?(4か月) 生後3~4か月頃になると、「アー」や「ウー」といった喃語(なんご)をお話しすることが多くなってきます。 ●抱っこをして欲しい時など声で訴えるように(6か月) 喃語が多くなり、抱っこをして欲しい時やおもちゃを取って欲しい時など、かわいい声を出してアピ—ルすることもあるでしょう。 ●音が気になるの?(6か月) 赤ちゃんの名前を呼ぶと声の方を向いたり、テレビの音に反応して喜んだり、音に対する反応が敏感になるとともに、運動機能が発達しそれを体で表現できるようになるのも、この時期の特徴です。 ●声で訴えてきた時、どう対応する?(8か月) 生後8~9か月頃になると、抱っこをして欲しいなど、お父さんやお母さんにして欲しいことがあると、「あー、あー」と声を出したり泣いたりして訴えるようになります。 ●おもちゃをわざと落とすのはどうして?(8か月) テーブルやラックからコロンとおもちゃを落とし、「あらあら」と拾ってあげると、またコロンと落とすということはありませんか。 ●大人の言うこと、分かっているの?(9か月) 具体的な言葉はまだ話せませんが、「ブーブー」「バーバー」などいろいろな音を出せるようになります。 ●絵本を見て指さすように(11か月) お散歩の途中で犬や猫に出会うと、じっと見ていることはありませんか。車や電車に興味を持つ赤ちゃんもいるでしょう。 絵本の中にそれらの見知っている物が出てくると、指でさし示したり、お母さんの顔を見たりするかもしれません。そういう時は、「ワンワンだね」「ブーブーだよ」と声を掛けてあげましょう。 ●まだ言葉が出ない(1歳) 「マンマ」「ブーブー」など意味のある言葉を話すようになる時期です。 ●言葉の理解が進んできたら…(1歳4か月) 「○○ちゃん」と名前を呼ぶと手を挙げるなど、このころになると言葉の理解がはっきりしてきます。 ●言葉の数がなかなか増えない(1歳7か月) 1歳代後半になると、言葉の数が増えてきます。「お耳は?」というように体の部位をたずねると、指さす子もいます。 ●これからの言葉育てに大切なことは?(2歳)
でもそれは、抱っこされると気持ちが良いということを、赤ちゃんが分かってきて、お父さんやお母さんとの絆が強くなってきたということなのですね。いつまでもこの状態が続くわけではありませんから、赤ちゃんが抱っこをしてもらいたがっている時は、いっぱい抱いてあげてくださいね。
●夕方になると泣く(4か月)
生後3~4か月頃によくみられるのが、"夕暮れ泣き"とか"たそがれ泣き"と言われる、原因のはっきりしない赤ちゃんの泣きです。"3か月コリック"とも呼ばれます。
毎日、夕方になると、ぐずり始めて泣き出します。抱っこして赤ちゃんをあやしたり、お父さんやお母さんが見える安全な場所に移動させて、時々声をかけてあげましょう。おんぶをするのも、良い対処法の一つです。
時期を待てば、自然に泣かなくなっていくので、あまり心配はいりません。
●最近、よく笑うようになった(4か月)
生後4か月頃になると、あやすと声をたてて笑ったり、お父さんやお母さんと目が合うと笑いかけたりするようになります。
お父さんやお母さんのことは認識していますが、他の人に対する人見知りはまだなく、誰に対しても笑顔を見せます。あやすのが楽しい頃ですね。いっぱいあやしてあげましょう。
喃語も盛んになる時期です。話しかけると、ほどよい間隔をおいて「アー」「ウー」と喃語で応えてくれます。赤ちゃんとのおしゃべりを楽しんで下さいね。
●そっくり返って暴れる(5か月)
生後4~5か月頃になると、感情が豊かになります。嬉しいとニコニコと笑うだけでなく、手足をバタバタさせて、表情だけでなく、身体でも喜びを表します。
反対に気に入らないことがあると、そっくり返ったり、暴れたりすることも。赤ちゃんがぐずって、対応に困る場面が出てくるかもしれません。でもそれも、赤ちゃんの感情が豊かになってきたからこそなのです。
微妙な感情、複雑な情緒も表現できるようになったのだ、と前向きにとらえてあげたいですね。
●人見知りをするのは内向的な性格だから?(6か月)
少し前までは、誰にでもニコニコと愛想が良かったのに、生後6~7か月頃になるとよその人にあやされると、緊張した面持ちでじっと見つめたり、泣き出したりするようになります。この「ような様子が見られたら、人見知りの始まりです。
人見知りは、お父さんやお母さんが大事な人だと認識し、他の人との区別ができるようになったという、赤ちゃんの知的な発達の証拠なのです。内向的とか臆病といった、性格とは関係はないでしょう。
●よその人に人見知りする時は?(8か月)
人見知りが始まった赤ちゃんは、いきなり他の人に接触されるのが苦手です。
まずお父さんやお母さんが赤ちゃんを抱っこしたりそばで遊ばせたりしながら、相手の人と普通にお話をしてください。「この人は怖い人じゃないんだ」ということが赤ちゃんに分かると、相手の人に手を出し始めたりします。
そうなれば、ほかのの人に抱っこしたり、あやしてもらったりしても大丈夫です。お父さんやお母さんが、"仲良しプロデューサー"になってあげてくださいね。
●人見知りをしない(8か月)
人見知りの程度には、個人差があります。よその人に抱っこされると泣き出す赤ちゃんもいれば、ちょっと神妙な顔つきになるぐらいの赤ちゃんもいます。
兄弟がいる家庭や、大家族の赤ちゃんは、目立った人見知りをせず、お父さんやお母さんが気付かないケ-スもありえます。よその赤ちゃんを見て、「うちの子は人見知りをしていないのでは?」などと、心配しなくても大丈夫ですよ。
●後を追って、トイレまでついてくる(9か月)
お母さんの後をどこまでも追いかけてくるのが、後追いです。
後追いは、お母さんとの一体感が芽生え、「いつも一緒にいたい」という気持ちが強くなった、ということです。その一方で、お母さんの姿が一時的に見えなくなると、すぐにまた戻ってくるということが理解できません。そのために、お母さんが永遠にいなくなるように思って、トイレまで追いかけてくるのですね。
●後追いをした時の対応は?(10か月)
後追いは、心の発達の通過点です。
1歳過ぎれば、言葉の理解が進み、「ちょっと待っててね」と言われれば、待っていられるようになるし、お母さんが一瞬いなくなってもすぐに戻ってくるという見通しを持てるようになります。それまでのがまんです。根気よく付き合ってあげてましょう。トイレの時は、中から声を掛けてもいいですし、赤ちゃんを一緒にトイレに入れるのも乗り切り方の一つですね。
●大人のまねをするようになった(10か月)
お母さんがバイバイをすると、赤ちゃんも手を振ってバイバイ。お母さんが拍手をすると、赤ちゃんも手をパチパチ。大人のまねが上手になってくる時期です。
でも、誰のまねでもするわけではありません。最初はやはりお母さんのまねです。大好きなお母さんがやっているしぐさだからこそ、まねをしたくなるのですね。ママにほめてもらうとうれしくて、さらに繰り返すのは可愛いですね。
●まねをしない(10か月)
まだまねをしない赤ちゃんに、バイバイやコンニチハを教え込もうとしても逆効果です。
お父さんやお母さんが真剣になればなるほど、必死になればなるほど、赤ちゃんはプレッシャーがかかってやりたくなくなると思います。遊びの一つとして、楽しみながらバイバイしてみましょう。そして、赤ちゃんができた時は、「上手、上手」と一緒に喜んであげるといいですね。
●かんしゃくを起こした時は?(1歳1か月)
1歳を過ぎると自我が芽生え、自己主張が見られるようになります。
思い通りにならないと、かんしゃくを起こす場面もあるでしょう。ひっくり返って、泣き叫ぶ時は対応に困りますが、まだ言い聞かせても分かる年ではありません。この時期は、一つのことに対して関心を長く保つことはあまりないので、ぐずった時はおもちゃや遊びなどに誘い、気分転換をはかるといいですね。
●最近「イヤ!」が多い(1歳10か月)
お母さんの言うことに「イヤ!」「イヤ!」を連発。イライラが募る場面ですが、自己主張の表れと受け止め、余裕を持って対応したいものですね。強制されると、赤ちゃんもつい「イヤ!」が出てしまうようです。
子ども自身に選択させたり、遊びに誘導してみては?手に負えない時はしばらくそのままにしておくか、別の遊びに誘ってみるのもよいでしょう。
言葉&コミュニケーション編
●生後すぐでも見えている?聞こえている?(0か月)
赤ちゃんと長く接していると、「おっぱいが欲しいのね」「おむつがぬれているのかも」と大体わかるようになります。でも、生まれたばかりの新生児期の赤ちゃんは授乳や排泄のリズムが定まらないこともあり、またお母さんも慣れないこともあり、泣いている理由が分かりにくい琴が多いです。
まず、おむつやおなかのすき具合を確認して下さい。そして、思い当たる理由がなければ、抱っこなどであやしてみましょう。
赤ちゃんが目をさましている時、手が空いていたら、いっぱい抱っこして話しかけてあげましょう。機嫌のいい時は、笑顔を見せてくれることもありますよ。赤ちゃんのかわいい笑顔を見られると、育児の疲れも忘れられると思います。
お父さんやお母さんが、赤ちゃんの「アー」や「ウー」に応えて話しかけてあげることで、赤ちゃんはさらに嬉しそうに声を出すようになるでしょう。こうしたやりとりが言葉の発達を促すことにつながります。
赤ちゃんが声を出していたら、お父さんやお母さんも声を出して応えてあげましょう。慣れないうちは照れ臭いかもしれませんが、赤ちゃんと同じように「アー」や「ウー」で返してもいいですし、「嬉しいの?良かったね」などとお返事して上げましょう。
自分の言葉にお父さんやお母さんが応答してくれた…赤ちゃんのその嬉しい気持ちが喃語をいっぱい話し事につながり、やがて言葉になっていくのです。
お父さんやお母さんがいないと、声を出して親を呼ぶことも。赤ちゃんなりに、声でコミュニケ—ションをとることができるようになっていくのですね。
これらの行動が、赤ちゃんの耳の聞こえを判断するきっかけになることもあります。音に対する反応が鈍く、気になる時は来院して相談して下さい。
必要なら耳鼻科受診をお勧めします。
声を出して自分の意思や気持ちを表現するようになってきたのです。それに応えてあげることがやりとりの楽しさにつながり、言葉の発達を促します。
できる範囲で赤ちゃんの呼びかけに対応し、言葉をかけてあげましょう。
赤ちゃんにとって、これはコミュニケーションの一つ。自分が落とした物を拾ってくれるのがうれしくて、やりとりを楽しんでいるのかも。忙しくない時は、付き合って一緒に遊ぶのも良いでしょう。
「マンマ」や「ネンネ」など、簡単な言葉の意味がつかめているような様子も見せるようになります。今はやがて言葉を話す日のために、自分の中に言葉を蓄えている時期。
赤ちゃんに話しかける時は、ゆっくりはっきり話してあげましょう。
その繰り返しの中で、赤ちゃんは物のイメージと言葉が結びついていくのです。
まだ言葉が出なくても、お父さんやお母さんの言っていることを理解している様子があり、指さしもしているのなら、心配はありません。
指さしは、興味を持った物や事柄を人に伝えたいという気持ちの表れ。そういう気持ちがあることが、言葉で人とコミュニケーションをとる時の基礎になります。
また、「これ、ポイしてきて」と紙くずを渡すと、ゴミ箱にポイ。簡単なことならお手伝いができるようになります。
できそうなことがあったら、少しずつやらせてみるとよいでしょう。上手にできた時は、うんとほめてあげましょう。
それが子どものやる気を引き出します。
ただ、言葉の発達は個人差が大きいものです。言葉が出なかったり、言葉の数がなかなか増えないと心配になりますね。
でも、1歳6か月健診で問題なく、大人の言うことを理解している様子があるなら、ゆっくりと待つのがよいでしょう。
2歳前後になると、「ワンワン、いた」「これ、取って」のような二語文を話す子が多くなってきます。
二語文はまだの子も、話せる単語の数が少しずつ増えていきます。自分の名前を呼ばれると、お返事ができたり、「あっち」や「こっち」と方向を示す言葉も使えたりするようになります。
「これ、なあに?」が多くなりますが、一つ一つ答えてあげましょう。
子どもの言葉を育てるには、まず話をよく聞いてあげることが大切です。
何を言っているか分からなかったり、つっかえたりすることもありますが、言い間違いを正そうとし過ぎると、言葉で人に伝えたいという意欲を損ない、かえってうまくしゃべれなることも。しゃべろうとする意欲を大事にしましょう。
また、よく話しかけることも大事。子どもは大人の言葉を吸収して、言葉を豊かにしていくのです。