新型コロナウイルス感染症  

2019年、中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症は瞬く間に中国からアメリカ、ヨーロッパを経て、全世界に広がりました。 新型コロナウイルス感染症はすでに未知の恐ろしい伝染病ではなく、2023年5月には感染法上の扱いが五類相当となり、2024年4月には「普通の病気扱い」となりました。ようやく、おだやかな普通の日々が戻ってきたのです。

新型コロナパンデミックの2020年から2023年までは、本当に辛い毎日でした。新型コロナウイルス感染症の病気の恐ろしさ、感染予防の幽閉生活を強いられたことに加えて、あまりにも恣意的で無責任、支離滅裂な「感染対策」と、TVワイドショウの煽り騒音に振り回された、地獄の日々でした。

感染法上の扱いが五類相当になり、1年を経過した今、改めて新型コロナウイルス感染症大流行について、概括してみたいと思います。

Ⅰ.新型コロナウイルスの基礎知識

①病原体


1)新型コロナウイルスとは


病原体は、新型コロナウイルス=SARS-CoV-2(サーズコロナウイルスツー)です。新型コロナウイルス感染症の病気の名前は、COVID-19(コブ13)といいます。

新型コロナウイルスSARS-CoV-2は、その出自はニドウイルス目コロナウイルス科ベータコロナウイルス属する、大きさが100nmぐらいのRNAウイルスです。ちなみにインフルエンザウィルスも100nmなので、 ほぼ同じ位の大きさのウイルスです。

コロナウイルスはウイルス表面にエンベロープという脂肪から成る二重膜を持ち、そこから突起(スパイク蛋白、Sタンパク質)が林立し、 あたかもウイルスの形が王冠のように見えることから、王冠を意味するcoronaと名付けられました。
(右写真は コロナウイルスとは 2020.1.10 国立感染症研究所から引用。右下はCDC-HPより引用)

*SARS-CoV-2はこのエンベロープを持っているため、アルコールや有機溶媒によって、簡単に不活化 (感染性を無くすること)することができます。

2)その他のコロナウイルス


コロナウイルスは自然界では、動物によって棲み分けをしています。宿主(ホスト=host。いつも感染している相方)にはほとんど悪さをせず、 軽いかぜ症状や下痢を引き起こすだけで、おとなしく共存しています。

これは当然のことであって、宿主が死亡するということはウイルスも存在できなくなり、死んでしまいます。宿主が元気な状態の方が、ウイルスも活動し、増殖するために有利な条件なのです。

実はかぜの10~15%(流行時には35%)は、人間に常在している4種類のヒトコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)が起こしています。ヒトコロナウイルス=HCoVは、229E、OC43、NL63、HKU1の4種類です。

そして、これらのヒトコロナウイルス=HCoVは、軽いかぜの原因ウイルスとして人と共存してきました。そして、6歳までにほとんどの人は、これらのコロナウイルスに感染しています。

ところが最近、2種類の動物由来の別種のコロナウイルスが人に感染し、脅威となりました。

重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS)コロナウイルス(SARS-CoV)と、 中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)コロナウイルス(MERS-CoV)です。

この2種のコロナウイルス(CoV)はもともと、SARSコロナウイルスはキクガシラコウモリ(当初は、ハクビシンが疑われていました)、 MERSコロナウイルスはヒトコブラクダが宿主hostでしたが、何らかのきっかけでヒトに感染する力を持つようになったと考えられています。

しかし、慣れないせいか?、その力加減がわからず、ヒトを重症化させたり、死亡させました。そのため、SARSコロナウイルスは、自分も生き残れずに消滅してしました。

SARSコロナウイルスは、中国広東省で大流行し、2002年11月から2003年7月にかけて、8098人が感染し、774人の死者を出しましたが、その後姿を消しました。

SARSコロナウイルスは、高齢者や慢性疾患を持つ人を重症化させたり、死亡させたりしましたが、子どもにはほとんど感染しませんでした。

一方、MERSコロナウイルスは、アラビア半島で流行し、2494人が感染し、858人が死亡しました。

しかし、実はサウジアラビア国民の0.15%はMERSコロナウイルスに抗体を持っていると報告されており、実際は感染しているヒトは5万人を越しているのではないかともいわれています。

また、SARSと同様に、高齢者や慢性疾患を持つ人を重症化・死亡させましたが、子どもはほとんど感染しませんでした。

そして、2019年、SARS-CoV-2が中国武漢で発生したのです。
 
3)コロナウイルスのまとめ

人に感染する7種類のコロナウイルスを、表にまとめてみました。
(国立感染症研究所コロナウイルスとはより)

名  HCoV-229E、OC43、
NL63、HKU1
SARS-CoV MERS-CoV SARS-CoV-2 
 病名 かぜ SARS (重症急性呼吸器症候群) MERS(中東呼吸器症候群)  COVID-19(新型コロナウイルス感染症)
 発生年 毎年 2002~2003年 2012年~現在  2019年~現在
 発生地域 世界中 中国広東省 アラビア半島とその周辺  中国湖北省武漢市
 宿主動物 ヒト キクガシラコウモリ ヒトコブラクダ  コウモリ?
 死亡者数/感染者数 不明/70億人 778人/8098人(終息) 935人/2578人(50000人?)  700万人/7億人
 好発年齢 多くは6歳以下 中央値 40歳(0-100歳)
子どもにはほとんど感染しない
中央値 52歳(1-109歳)
子どもにはほとんど感染しない
中央値36歳(0-133歳)
子どもは感染するが重症化しない
 主な症状 上気道炎、(胃腸炎 高熱、肺炎、胃腸炎 高熱、肺炎、胃腸炎、腎炎  高熱、肺炎、上気道炎(咽頭痛)
 重症化因子 重症化しない 糖尿病等の慢性疾患、高齢者 糖尿病等の慢性疾患、高齢者  糖尿病等の慢性疾患、高齢者
 感染経路 飛沫、接触 飛沫、接触、糞口 飛沫、接触  飛沫、接触
 ヒト-ヒト感染 1人→多数 1人→2~5人。
多数に移すス-パースプレッダーも。
1人→1人以下。
多数に移すス-パースプレッダーも。
 1人→多数
 潜伏期 2-4日 2-10 2-14  2-7日
 感染症法 指定無し 二類感染症 二類感染症  五類感染症

4)新型コロナウイルスの増殖

新型コロナウイルスSARS-CoV-2は、上記系統樹からみると、ニドウイルス目、コロナウイルス科オルソコロナウイルス亜科、 ベータコロナウイルス属サルベコウイルス亜属という仲間で、SARS-CoVと近い関係にあり、そのためにSARS-CoV-2と名付けられました。

SARS-CoV-2は、SARS-CoVと同じく、ヒト細胞表面にある、アンギオテンシン転換酵素2(ACE2:エースツー)をレセプター(受容体、接続する場所。ちょうど磁石のN極とS極のような感じです。) として、ヒト細胞に侵入します。


SARS-CoV-2は、まず最初に、ウイルス表面にある突起状のスパイク蛋白(右イラストのSタンパク質)を、ヒト細胞のACE2・リセプターにぴったりと結合させます。 すると、ヒト細胞膜にある、「TMPRSS2(テムプレスツー)」や「FURIN(フーリン)」などの蛋白分解酵素が、ウイルスのスパイク蛋白を溶かしてしまい、ウイルスはヒト細胞と融合します。

その結果、ウイルスは細胞内に取り込まれ、ウイルスの遺伝情報(RNA)をヒト細胞内に放出します。

放出されたウイルスRNAは、ヒトの細胞の成分を勝手に利用して、自分の分身のウイルスを大量に複製、製造していきます。 このときに、RNAポリメラーぜという酵素がタンパクを作るために働きます。

こうして、ヒト細胞内に充満したウイルスはヒト細胞を破裂させ、細胞外に自由に飛び出していきます。

体の中で、ACE2がたくさん存在するのは、上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)、心臓、下気道(肺、気管支)、小腸、腎臓、精巣、血管などです。これらの部位がSARS-CoV-2が増殖しやすい箇所と考えられ、 実際SARS-CoV-2は人体内に侵入すると、まず上気道、下気道で増殖します。

5)変異株について

2020年末から感染力、毒力(病原体が持つ重症化させる病原性の強さ)、抗原性などに関係する遺伝子を変化させたCOVID-19変異株が出現し、アルファ株(B.1.1.7系統)、デルタ株(B.1.617.2株)、オミクロン株(B.1.1.529株)と主役を交代させながら、新型コロナウイルス感染症の流行は続きました。

2021年末のオミクロン株発生以降は、オミクロン株の亜系統がさまざまな組換体を作りながら続々と登場し、世界中で流行を続けています。
しかし、オミクロン亜系統は、それ以前の系統と比較し、感染力、免疫逃避性は非常に高い半面、毒力は著明に低下しており、その結果感染者数は激増したものの、重症者の比率は激減しました。

その結果、コロナは「普通のかぜ」に近くなっていったのです。


 
黄緑、赤丸はオミクロン系統株。(新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第10.0版から)


②潜伏期間、感染経路

1)潜伏期間

感染してから発症するまでの潜伏期間は2~7日間で、感染してから2~3日ぐらいで発病することが多いようです。

2)感染経路

感染の経路は、1~2m以内の距離でウイルスを含んだ飛沫やエアゾルを吸入することが主な感染経路と考えられています。
痰、鼻水などに触った手指からの接触感染もおこります。
また、換気の悪い室内では、咳鼻などの症状がなくても、 会話だけでも感染することも証明されています。

飛沫感染について、もう少し詳しく見てみます。

インフルエンザウイルスは感染して6時間後には、1億個/㎖まで増殖しますが、SARS-CoV-2は同じ時間で10万~100万個/㎖の増殖に留まります。 従って、呼吸器から放出されるウイルスの量は、SARS-CoV-2はインフルエンザウイルスの1/100程度となります。

また、飛沫感染は2m離れると起こらないとされています。これは、さまざまな大きさの微粒子(エアロゾル)は2mまで到達する前に水分を失い、 中にいるウイルスは乾燥して感染力を失うからです。しかし、湿気の多い密室では、空気中を漂うエアロゾルは乾燥せず水分を保持し続け、30分近くもエアロゾルの中のウイルスは、 感染力を保つといわれています。

また、ウイルスを含んだエアゾルの大きさも感染に影響すると言われています。5~10㎛のエアロゾル(飛沫)は30mの落下に17~62分かかり、 その間に吸い込まれて鼻や喉に沈着します。一方、2~3㎛のエアロゾル(飛沫核)は落下せず空気中を漂い、吸い込まれると肺の中まで到達してしまいます。

湿気の多い密室では、吐いた息に含まれる1㎛のエアゾルも感染力を持ちます。すなわち、湿気の多い密室では普通に向かい合っているだけで、会話をしなくても、咳やくしゃみを浴びなくても、感染してしまいます。

逆に接触感染では、感染が成立するためには、より多くのウイルスの量が必要と言われています。接触感染はウイルスで汚染された手指を介して、感染が広がります。

3)感染力

感染力は1人から2.6人と、ほぼインフルエンザウイルス並みと報告されています。 ただし、バスや屋形船など、「換気の悪い、閉鎖空間」では前述したようにウイルス粒子は乾燥しないため、感染力を失わず、感染が拡大するようです。このような環境では、咳などが見られなくても普通の会話、呼吸でもウイルスが飛散するようです。

インフルエンザウイルスに比べ、SARS-CoV-2は細胞内で複製されるウイルス量は100分の1のため、インフルエンザウイルスほど感染力は強くない、という見方もあります。また、ウイルス量が少ないため、抗原検査で陽性に出にくい可能性があります。

接触感染に関しては、物の上に付着したウイルスの感染力は3時間ぐらいと考えられています。しかし、鼻水や痰など粘性のある生体物質で包まれている場合には、表面が乾燥してもウイルスは感染力を失わず、何日も感染力を保つようです。

我が国の検討では、感染を広げたのは感染者の2割のみで、8割の人は他の人に感染させなかったことがわかっています。ダイアモンド・プリンセス号では、実に1人の香港人の老人から約700人が感染したことになります。

季節型インフルエンザは感染後18時間で発病し、約2日間でウイルス量はピークに達し、排出は1週間続きます。なかには2週間ぐらいウイルスを排泄し続ける人もいるようです。

一方、鼻かぜを起こすヒトコロナウイルス(SARS-CoV-2ではない、普通のウイルス)では、感染後3日で発病し、実験動物では1ヶ月近くもウイルスが検出される例もあるようです。

SARS-CoV-2も上気道(喉、鼻)、下気道(肺、気管支)でウイルスが増殖し、ここから採取した患者の検体から発病3~4週後になっても、ウイルス遺伝子が検出されることもあるようです。また、血液、尿、便からSARS-CoV-2の遺伝子の一部が検出されることもありますが、感染力のあるウイルスではないようです。


③症状 

1)一般的な新型コロナウイルス感染症の症状

まず発熱や呼吸器症状(咳、喉の痛み、鼻水など)や頭痛、全身の倦怠感などが起ります。嘔吐、下痢は少ないようです(全患者の10%未満の報告が多い)。

また、この時期に味覚障害、嗅覚障害を訴える患者さんも多かったですが、オミクロン系統になってから減少したようです。


病初期はかぜと区別はつきません。そもそもかぜの15%は、別種のヒトコロナウイルスが原因なのです。 普通のかぜならば、2~3日で快方に向かいますが、新型コロナウイルス感染症では1週間ぐらいかぜ症状がとれず、咽頭痛や異様なだるさが続くことが特徴とされています。
 
ほとんどの人は、1週間ほどで症状は治まり治ります。しかし、感染して症状が出てから3ヵ月を経過した時点で、何らかの症状が2ヵ月以上続く場合は、コロナの後遺症(罹患後症状)の可能性も考えます。

コロナを発病して、一部の人は重い肺炎に進展し、集中治療が必要になり、生命が危険になります。特に、重症化のリスクのある人、高齢者、基礎疾患を持つ人(心血管疾患、糖尿病、悪性腫瘍、慢性呼吸器疾患など)、肥満、喫煙者は要注意と言われてきました。

しかし、オミクロン系統に置き換わってから重症肺炎に進展する例は激減しました。

2)子どもの新型コロナウイルス感染症の症状

子どもの新型コロナウイルス感染症は軽症と言われてきましたが、オミクロン系統が流行し始めて以降、無症状は10%にとどまり、80%は37.5度以上の発熱を呈しました。

けいれん発作は、嘔吐、悪心の症状を示すお子さまが10%以上みられたそうです。

肺炎に進展する例はあまりなかったようです。
また、欧米では川崎病類似の症状を示す、みsc
オミクロン竜王以降みられるようになり、100零以上報告された。

3)罹患後症状


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Ⅱ.新型コロナウイルスSARS-CoV-2の診断


①PCR検査

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の最も正確な検査は、PCR検査です。

PCRはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略で、その細胞に特徴的な遺伝子の部分を探し出して、その部分を特殊な器械を使って、処理を行い、増幅させて、目に見えるように拡大して検出する検査方法です。

なつかしい高校生物に、わかりやすいPCR法の解説を見つけましたので、ご紹介いたします。→【高校生物】 遺伝17 PCR法

PCR法で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)しか持っていない遺伝子部分が陽性になれば、SARS-CoV-2が存在しているという証拠になります。ただし、PCR法はこの遺伝子部分の検出率があまり高くないため、本当は陽性なのに陰性になってしまう(検出できない)偽陰性が多く出るのが欠点です。


抗原検査

抗原検査は抗体検査とは異なり、病原体を調べる検査です。病原体を検出するという点では、PCR検査と同じです。

ヒトの体に侵入してくる病原体(ウイルス)の遺伝子(RNA)をそのままでは見えないため、数百万倍から数十億倍に特殊な装置で増幅して、目に見えるようにして、診断するのがPCR検査です。

これに対し、病原体のタンパク質を免疫反応を利用して、目に見えるように着色して診断するのが、抗原検査です。PCRが遺伝子を増幅して検査するため、鋭敏に病原体を検出できるのに対し、 抗原検査は抗原の量が少なければ、そのまま陰性になってしまいます。したがって、PCRより、感度が下がるのが、欠点です。

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Ⅲ.新型コロナウイルス感染症の治療薬

レムデシビル(ベクルリー)

①効果と作用機序

レムデシビルはRNAポリメラーゼ阻害薬です。

②副作用

床実験という少数の患者に投与された段階での成績では、肝機能障害、下痢、皮膚の発疹、腎機能障害などが見られ、重篤な副作用として全身の多臓器不全、 ショック、急性腎障害などが報告されています。

今後、臨床的に投与されながら、副作用についても慎重に検討されていくことになると思われます。


③COVID-19に対する臨床効果

レムデシビルはもともとエボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬です。 コロナウイルスを含む一本鎖RNAウイルスに対して、抗ウイルス活性を示すため、COVID-19の治療薬として研究が始まりました。

 これとは別に、製薬会社である米ギリアド・サイエンシズ社が、日本を含む世界各国で第3相臨床試験を行っています。こちらの試験は、COVID-19の重症患者400例が対象のものと、中等症の患者600例が対象のものの2つで構成されており、日本でも4月14日から患者へ投与が行われました。

4月10日に、米医学誌New England Journal of Medicine(NEJM)にレムデシビルの投与を受けたCOVID-19患者53人のデータが掲載され、68%の患者が症状の改善を得られたそうです。

 2020年5月に入りアメリカ、日本で緊急で承認されたレムデシビルですが、2020年5月上旬までの臨床試験の結果からは劇的に新型コロナウイルス感染症を改善したり、死亡率を減らす薬ではないように思われます。

 ベクルリー(レムデシビル)は5月7日から特例承認薬として、我が国で使用できるようになりました。
  1.酸素飽和度94%以下(酸素飽和度は体の中の酸素の濃度をみます。酸素飽和度が95%を切ると、低酸素状態と評価されます。)
  2.酸素吸入を要する(1.と同じです)
  3.体外式膜型人工肺(エクモ)導入
  4.侵襲的人工呼吸器管理を要する(人工呼吸参照)

 のいずれかに当てはまる、重症患者が対象となるようです。

④問題点

 我が国では無償供与ではないようで、薬品代が高価になる可能性があります。

 また世界各国への配布、米国本国の使用量の確保などのため、当然日本への配分は少量と考えられます。そのため、厚生労働省の役人が流通を管理し、新型コロナウイルス感染症の重症患者を診ている、お気に入りの医療機関に優先的に配分するなど、厚労省のペーパー医者役人のおもちゃになる可能性が危惧されます。また、実際の臨床使用は、ごく限られたものになりそうです。

 副作用の強い、使いづらい薬になりそうですが、他に治療方法のない重症患者の症状改善や、治療に要する期間の短縮が期待されます。ちょうど、副作用は強いが、がんを治す効果も期待できる、抗がん剤のような存在になっていくのではないでしょうか。

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