Ⅴ.赤ちゃんのねんね編           2024.7.1



①赤ちゃんのベッドや布団を置く位置はどこがよいですか(0か月)

ベッドや布団は、自然の光が差し込む窓のそばで、静かな場所に設置しましょう。直射日光が当たらない、エアコンなどの冷気が直接赤ちゃんに当たらないよう、気を付けます。

また、室内の空気は壁に沿って流れるため、壁際に寝かせていると、エアコンや暖房器具の暖気・冷気などにさらされることになります。 ベッドや布団は、壁から10cm以上は離しましょう。


②赤ちゃんの布団は固め、それとも柔らかめがよい?(0か月)

新生児期は首がしっかりすわっていないので、柔らかい布団だと顔が沈み込んだ時に頭を動かせず、窒息する危険があります。
布団は、寝姿が残らない程度の、固めの布団を選ぶといいでしょう。

また、赤ちゃんの周りにぬいぐるみやガーゼなどを置くことも、事故の原因になるかもしれません。赤ちゃんの周りは、いつもすっきりとさせておきましょう。


③赤ちゃんに枕は必要?(0か月)

赤ちゃんの頭を支える枕は、どうしても必要な寝具というわけではありません。特に0歳代ではなくてもいいでしょう。
ただ、顔の周辺は汗やよだれで汚れやすいので、タオルなどを頭の下に敷くことはおすすめです。


枕は、1歳過ぎてから嫌がらないようなら、使用してもよいでしょう。


④うちの子はまとめて眠ってくれません(0か月)

新生児期は、1日の約7割、大体16~17時間は寝ています。しかし、まとめて眠るのではなく、2~3時間おきに目を覚ましているようです。しかも夜中でも、お腹をすかして目を覚まして泣くので、お母さんは睡眠不足になりがちですね。

この時期は、おうちの家事仕事などは無理せず、日中に赤ちゃんが眠っている時は一緒に横になって体を休めたり、家族に協力してもらったりして過ごしましょう。


⑤物音で目を覚ますことが。眠りが浅い?(0か月)

睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に分かれています。レム睡眠とは、体は休んでいるものの脳は活動している浅い眠り。一方、ノンレム睡眠は、体も脳も休んでいる深い眠りです。

赤ちゃんは月齢が低いほど、レム睡眠の浅い眠りが多いため、物音などですぐに目を覚ましてしまいます。成長に従い、ノンレム睡眠の割合が多くなると、まとめて眠れるようになっていきます。


⑥寝かし付けで気を付けることは何ですか?(0か月)

赤ちゃんを寝かしつける時、添い寝で赤ちゃんの背中をトントンと優しくたたいたり、授乳しながら添い寝をするお母さんが、少なくないようです。

それ自体は悪いことではありませんが、お母さんが赤ちゃんと一緒に寝入ってしまい、寝ている間に赤ちゃんを圧迫したり、呼吸を妨げたりという事故が起きないよう、気をつけましょう。


⑦SIDS(乳幼児突然死症候群)って何ですか?(0か月)

SIDSというのは、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)のことです。「シズ」または「エス・アイ・ディー・エス」と呼ばれます。

元気な赤ちゃんが、睡眠中に突然亡くなる病気で、生後2~6か月に多いとされています。
原因については完全には解明されていませんが、脳の呼吸中枢の何らかの異常が原因ではないかと考えられています。


⑧SIDSを予防するにはどうしたらよいの?(0か月)


SIDS
の予防するには、統計的な調査から以下の三つが有効とされています。
生活上、取り入れてみましょう。

1.赤ちゃんをあおむけで寝かせる。うつぶせ寝の方が、SIDSの発生率が高いことがわかっています。
2.赤ちゃんの周りの大人の禁煙する。タバコのニコチンは赤ちゃんの脳の呼吸中枢や覚醒中枢に悪影響を与える、と言われています。
3.母乳で育てる。統計上、母乳栄養の方が、赤ちゃんのSIDSの発生率が低い事がわかっています。





⑨昼間、赤ちゃんが寝ている時は、音を立てず、静かにしていた方がいい?(1か月)

日中赤ちゃんが眠っている時は、その近くでテレビやステレオを大音量で流することは好ましくありません。しかい、音を立てないよう、過剰に気を遣う必要もありません。

掃除機を掛けるなど、普通の生活の音ならば普段通りで構わないと思います。目が覚めたとしても、必要な睡眠はしっかりと眠りでとるので大丈夫ですよ。


⑩赤ちゃんが寝ている時、手足が冷たい時は?(1か月)

寝ている時の赤ちゃんの手足を触ると冷たいな、と感じることがあります。心配になって、「手袋や靴下で覆ってあげた方がいいのでは?」と思ったりしたことはありませんか?

赤ちゃんの手足には、体の中の熱を放散したり、逃がさないように蓄えたりする役割があるのです。

外気温に影響されるため、気温が高い時はやや温かく、気温が低い時はやや冷たいのが普通です。また、体温を下げたいときなど(寝入りばななど)は、足の血管が拡張して熱を逃がすため、やや温かく感じます。


ですから、よほど寒冷地でなければ、赤ちゃんの手や足を手袋・靴下で覆う必要はありません。(品川区ではまず大丈夫ですよ。)


⑪赤ちゃんが夜眠ってくれない(2か月)

0~1か月頃の小刻みに寝て起きることを繰り返していた状態から、生後2か月頃になると寝ている時間と起きている時間がまとまってメリハリがついてきます。

ただ、赤ちゃんの睡眠と覚醒のリズムは、地球の夜と昼のリズムにまだ一致していません。中には、日中に眠って夜起きている“昼夜逆転”の赤ちゃんがいるかもしれません。 でもそれは一時のことで、ずっと続くわけではありません。



⑫赤ちゃんの昼夜が逆転してしまいました(2か月)


この時期の赤ちゃんの昼夜逆転は、特に何もしなくても問題ありません。起きている時間と寝ている時間が少しずつずれていき、やがて地球の夜と昼のリズムに一致していくからです。

だんだんと日中は起きていて、夜は眠るリズムになっていきます。日中、赤ちゃんが眠っていても必要以上に静かにする必要はありませんが、夜は部屋を暗くして静かにし、寝付きやすい環境を作ってあげればいいでしょう。


⑬早寝早起きにするには?(6か月)

朝は7~8時頃にはカーテンを開けて明るくして、起床させます。そして、日中は一緒に遊んだり、お散歩などを行いましょう。

夜は8~9時頃までには寝かせます。寝る時間になったら、照明を落とし、テレビの音量を絞るなどして室内を暗く静かにして、寝付きやすい環境を作ってあげましょう。

このような配慮で、早寝早起きの規則正しい生活のリズムを作っていきましょう。


⑭夜泣きって何?(7か月)

夜泣きとは、特に原因もないのに7~9ヶ月ごろの赤ちゃんが、夜中に大声で泣き出すことをいいます。

泣く時間は大体決まった時間が多いようです。すぐに泣き止んで寝てしまう赤ちゃんから、何時間も泣き続けて、お母さんが睡眠不足になってしまう場合もあるようです。

でも、夜泣きは赤ちゃんの心の発達のひとつの過程と考えましょう。

睡眠は、浅い眠りであるレム睡眠と深い眠りであるノンレム睡眠の繰り返しですが、浅い眠りのときに半ば朦朧として、赤ちゃんが泣くのが夜泣きだと考えられています。

多くは、1歳半から2歳までに自然におさまる事がほとんどです。したがって、あやして寝つくようなら、特に何もすることはありません。
時期を待ちましょう。


⑮夜泣きをした時の対応は?(7か月)

赤ちゃんが夜泣きをする時は、赤ちゃんを落ち着かせ、再び眠りにつかせる環境を作ります。

一般的な対処法は、抱っこや添い寝、背中を優しくトントンとたたく、子守歌を歌うなどがあげられます。
お母さんの手やガーゼを握らせる、指をしゃぶる、お気に入りのアイテムを添えるなどで落ち着くこともあるようです。

また、部屋の照明をつけて、いったん赤ちゃんの目を覚めさせることも有効なようです。


⑯最近、寝る時にぐずるようになりました(11か月)

生後11か月~1歳頃になると、食事や睡眠、外遊びなど、赤ちゃんも1日の生活リズムが安定してきますが、 この頃から逆に寝ぐずりがひどくなる赤ちゃんもいるようです。

寝ぐずりは、ねんねのトラブルの一つ。眠いのに寝つきが悪くてなかなか眠れず、ぐずっている状態をいいます。

寝ぐずりをする時は、添い寝をしたり、背中を優しくトントンとたたいたり、子守歌を歌ったりすると、眠りに入る場合があります。また、お母さんが手を握ったり、ガーゼなどを握ると、落ち着いて眠れる赤ちゃんもいるようです。

なるべく昼間お散歩したりして、赤ちゃんが適度に疲れるのも良い方法だと思います。

しかし、お母さまや家族が寝られないような、ひどい寝ぐずりが続く場合には、当クリニックでは漢方薬(甘麦大棗湯など)を処方することもあります。一度、鈴木院長にご相談下さい。


 


⑰お昼寝をしない日があります(1歳7か月)


1歳半を過ぎると、いつものお昼寝の時間に寝かしつけても、お昼寝をしない日があるかもしれません。でも、早寝早起きの生活習慣が付いていて、その日も日中は元気に活動し、特に眠そうなそぶりがないようなら、無理に寝かしつける必要はないでしょう。

大人と違って、子どもは眠いのをがまんすることはありません。眠くなれば、寝てしまいます。お昼寝をしない時は、夜の睡眠が十分だったからかもしれません。


⑱夜型だと、どうしてだめなの?(1歳8か月)

赤ちゃんに早寝早起きの生活リズムが必要なのは、成長ホルモンの分泌を活発にするためです。成長ホルモンの働きで、赤ちゃんは大きく成長していきます。

また、保育園や幼稚園は、朝型の生活リズムが日課の前提となっています。これまで夜型だった子が、入園の時から急に朝型に生活リズムが変わるのは大変です。午前中は眠くて、活動のエンジンがかからない、ということにもなってしまいます。

子どもは早寝早起きが健康のバロメータです。家族みんなで、朝型の生活リズムを作ってあげて下さいね。


⑲夜更かし、朝寝坊を直すには?(1歳8か月)

大人の生活に付き合わされて、夜更かし朝寝坊になってしまった赤ちゃんもいます。

朝型の生活リズムに、家族皆で修正していきましょう。まず、起きる時間を早める工夫をしましょう。数日かけて、起床時間を30分ずつ早めていく方法です。

それがクリアできたら、さらに数日かけて、もう30分早めるよう、チャレンジしましょう。

早起きができるようになれば、夜も早めに眠くなり、早寝早起きの生活リズムを定着させることができると思います。




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