新型コロナウイルス感染症情報         2020年4月23日更新

はじめに
 武漢で発生した「新型コロナウイルス感染症」は中国からアメリカ、ヨーロッパに広がり、まさしく燎原の火のごとく、世界中を焼き尽くす勢いで、止まるところを知りません。   (写真は国立感染症研究所HPより)

 新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況は、1日ごとに激変しています。そのために、当クリニックは毎週医学的根拠に基づく正しい情報を発信いたします。

 新型コロナウイルス感染症についての総説はこちらで詳しく解説してありますので、ご覧になってください(鈴の木版-新型コロナウイルス感染症総説)。
 

Ⅰ.ヒトコロナウイルス感染症の概要

 まず、2020年4月23日時点の、新型コロナウイルス感染症の臨床像について簡単に確認しておきます。詳しくは鈴の木版-新型コロナウイルス感染症総説をご覧ください。

①病原体
 病原体は、新型コロナウイルス=SARS-CoV-2(サーズコロナウイルスツー、サーズコブツー)です。新型コロナウイルス感染症の名称は、WHO世界保健機関はCOVID-19です。

 ウイルス表面にエンベロープという皮を持ち、そこから突起(スパイク蛋白)が林立し、あたかもウイルスの形が王冠のように見えることから、王冠を意味するcoronaと名付けられました。


②潜伏期間
 感染してから発症するまでの潜伏期が平均約5日、最大で14日です。しかし、入院を要するほど重症化するのは、さらに2~3日後、発病して約1週間ぐらいとされています。そのころから容体の悪化する人は、2~3%が急激に呼吸困難に進むようです。この人達を助けることが出来るかが勝負だと言われているのです。

③感染経路
 感染の経路は、咳、痰の飛沫による飛沫感染と、痰、鼻水などを触って移る接触感染が主な感染経路です。気管内挿管など、痰などを撒き散らす医学的処置を行うときには、エアゾル感染といって特殊な空気感染を起こすこともあります。

④感染力
 感染力は1人から2.6人と、ほぼインフルエンザウィルス並みと報告されています。ただし、バスや屋形船など、「換気の悪い、閉鎖空間」では異常に感染力が高まるようです。

 また、我が国の検討では、感染を広げているのは、感染者の2割のみで、8割の人は他の人に感染させていないようです。

⑤症状 まず発熱、咳、喉の痛みや頭痛、全身の倦怠感などが起ります。鼻水、下痢は少ないようです。

 普通のかぜならば、2~3日で快方に向かいますが、新型コロナウイルス感染症では1週間ぐらい症状がとれず、異様なだるさが続くことが特徴とされています。

 ただし、この時期はかぜと区別はつきません。そもそもかぜの15%は、別種のヒトコロナウイルスが原因です。
 
 1週間ぐらいで8割の人は、症状は治まり軽快します。しかし、2割の人は1週間過ぎたあたりから逆に咳がひどくなり、胸が苦しくなり肺炎になります。

 さらにその一部が重い肺炎に進展し、生命が危険になるのです。

 図は忽那賢志「総説 新型コロナウイルス感染症」から転載


Ⅱ.新型コロナウイルスSARS-CoV-2の検査

 「ケンサ!ケンサ!」と訳も分からず、馬鹿の一つ覚えのように、相変わらず大騒ぎしている人達がいます。このような人達は、臨床検査というものを理解しているとは思えません。検査の意義と限界を理解していれば、こんな馬鹿なことは言わないはずですから。

 そして、これらの人達は、大きく2つのグループに分けられるようです。

 第一のグループは、症状が無くても「希望者には全て検査を行え!」、「心配だから検査しろ!」と騒ぐ自己中な人達です。このタイプの人達は、検査を行う事は医療行為であり、また医療費もかかることを全く理解しようともしない、自分の欲求さえ通れば良いという、わがままで幼稚な人達です。

 第二のグループは、現在の日本ではすでに必要なときに、必要な人に検査が行える態勢が整備されてきているにもかからわず、しかも稼働病床が切迫しているというのに、マスコミや左翼勢力のデマにまんまと乗せられ、背後からいいようにあやつられ、血走った目で検査検査とわめき散らしている人達です。このタイプの人達は、すぐに洗脳されて誰かに支配されたがる、自尊感情の乏しい情報弱者の人達です。

 COVID-19の検査を行なうことは、治療を行うための
単なる手段に過ぎません。ただの検査を、何かそれ自体がとても素晴らしい、神聖で重要儀式だと褒め称えることは、全く無意味な愚かなことです。

 ここで登場するのは、またまた韓国です。在韓国ハンギョレ新聞とならぶ文政権の最大の支持団体、在日本朝日新聞グループ(朝日新聞、テレビ朝日、日刊スポーツ、ハフポスト日本版、ニューヨークタイムズ=朝日新聞本社内、など)は総力を挙げて、「全員検査」の韓国を賛美し「検査をしていない」日本を非難するという、世の中の雰囲気作りを誘導し、醸成しようと工作してきました。

 朝日新聞グループが熱烈に支援する文政権は、4.15韓国総選挙を、韓日戦(正しい文政権と日本の手先=土着倭寇の保守系野党の戦い)だと宣伝してきました。そして、文政権は世界で一番新型コロナウイルスの検査を行って、世界中から賞賛された、素晴らしい世界一の検査国(!)だという政治的宣伝を繰り返し、選挙戦に圧勝しました。日本を打倒するという選挙戦を行ってきた文政権に、選挙で勝ったから日本と仲良くして、という相変わらずお間抜けな、東京新聞の懇願はかなうことは無いでしょう。

 そして、文政権の政治的思惑に共振するかたちで、世界に誇る韓国の検査キットの名称を「独島」(いわずとしれた島根県竹島の僭称です)にしろという青瓦台への請願に、実に32万人もの韓国の人々が賛同の署名をしています。

 また、韓国のインターネットでは、検査キットの輸入をお願いする日本(?いつ、誰がしたのでしょう?朝日新聞?TBS?)に対し、世界に誇る素晴らしい韓国の検査キットを日本が輸入させていただくには、その条件として、「慰安婦への蛮行を認め、謝罪すること」、「731部隊の蛮行を認め、謝罪すること」、「竹島の領有権主張を撤回し、謝罪すること」、「正しい歴史教育を行うと約束すること」が必要なのだそうです。

 毎度毎度のことですが、この国が絡んでくると、馬鹿馬鹿しくて気が滅入ってきますね。しかし、韓国の検査は素晴らしい。韓国を見習えと、朝から晩まで朝日、TBS、NHKを始めとする在日本の新聞・テレビに繰り返し洗脳されると、情報弱者の日本人の中には、韓国はすごいんだ、検査はすばらしいんだ、と本気で信じるおめでたい人が出てきており、毎度のことながら情けない限りです。

 現在、日本でも、新型コロナウイルスに対する、検査キットの開発が急ピッチで進められています。相も変わらず無能で仕事の遅い、それでいて縄張り意識だけは人一番強い、厚労省のペーパー医者役人のサボタージュというハンデはあるものの、ようやく検査体制は整いつつあり、続々と国産の検査キットも登場しています。以下、現況を見ていきたいと思います。



1.PCR検査

 
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の最も正確な検査は、PCR検査です。

 PCRはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略で、その細胞に特徴的な遺伝子の部分を探し出して、その部分を特殊な器械を使って、処理を行い、増幅させて、目に見えるように拡大して検出する検査方法です。

 なつかしい高校生物に、わかりやすいPCR法の解説を見つけましたので、ご紹介いたします。→ 【高校生物】 遺伝17 PCR法

 PCR法で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)しか持っていない、遺伝子部分が陽性になれば、SARS-CoV-2が存在しているという証拠になります。ただし、PCR法はこの遺伝子部分の検出率があまり高くないため、本当は陽性なのに陰性になってしまう(検出できない)偽陰性が多く出るのが欠点です。

 PCRの感度(陽性率)は残念ながら、良くみても70%ぐらいです。すなわち、10人の患者がいると3人は本当は感染しているのに、検査上陰性の結果が出てしまうため、注意が必要です。

 *韓国のキットは、SARS-コロナウイルス-2が100%検出可能な、医学的には考えられない、想像を絶する素晴らしい検査キットのようです。

 また、 従来のPCR検査は、煩雑なRNA抽出作業が必要で、多くの時間と労力、検査方法に習熟した技術者が必要でした。そのため、大量の検体を処理できず、技術者が足りないため、増大する検査ニーズに必ずしも十分に対応しきれていませんでした。(我が国はどこかの国のように、粗製濫造とはレベルが異なります。)

 現在、新しい検査キットが次々と登場し、検査処理能力の拡大が期待されています。そして今、一番期待されているのが以下のご紹介する島津製作所のnCoVキットです。


島津製作所:「nCoV 2019新型コロナウイルス検出試薬キット」

 2020年4月20日に発売される、PCR検査キットです。

 現在使われているPCR法による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出では、鼻から検査棒を挿入し、鼻の奥の検体を取り、この検体からSARS-CoV-2の遺伝子=RNAを抽出して、さらに加熱などの煩雑な作業を行う必要がありました。そのため、大量の検体を処理することが、物理的にも時間的にも困難だったのです。

 島津製作所の2019新型コロナウイルス検出試薬キットは、検査する材料を直接PCRの反応液に加えることができます。キットには必要な試薬が全て含まれており、下図に示したように、全て工程を70分で終了できるそうです。

  
 
 煩雑なRNAを抽出することなどの作業が不要のため、検査スタッフも少数で済み、検査ミスのおこりやすい処置も少ないという長所があります。しかし、このキットの使用には、PCR装置や分注ピペット、小型遠心機などの機材が必要なため、検査会社や保健所で行われることになるようです。(開業医療機関では、検査ができません。)

 このキットの開発には、ノロウイルスなどの病原体検出試薬の開発を通じて培った島津製作所独自の技術を活用されたそうです。
(写真、図は島津製作所HP 2020年4月10日: プレスリリースより)


栄研:「Loopamp 2019-nCoV 検出試薬キット

 2020年3月18日に、栄研化学が新型コロナウイルス検出キット「ルーパンプ2019-nCoV検出試薬キット」を発売しました。

 この検査キットは、LAMP法(Loop-Mediated Isothermal Amplification)によって、検査を行います。LAMP法は、小児科医にとって、マイコプラズマや百日咳の臨床検査でおなじみの検査方法です。

 LAMP法はまず、4種類のプライマー(FIP、F3、BIP、B3)、鎖置換型DNAポリメラーゼ、基質(デオキシヌクレオチド3燐酸)、反応緩衝液、逆転写酵素で、検査試薬を作ります。

 この検査試薬に、鼻咽頭の拭い液や喀痰の検体から抽出したRNAを入れて、『リアルタイム濁度測定装置LoopampEXIA』の器械を用いて、65℃で温め、遺伝子の増幅から検出までを1回の手順で、35分間で新型コロナウイルスを検出する、という検査方法です。


 LAMP法はPCR法に比べると、遺伝子の1本鎖から2本鎖への変性反応が必要ではなく、65℃の決められた温度で反応が進行するため、温めるなどの操作がいらないという利点があるようです。

 また、反応の増幅のスピードも速く、標的以外のものが増えにくい点も優れています。現在百日咳、マイコプラズマなど、すでにいくつかの感染症で実際に臨床の場で使われている測定方法です。(→LAMP法の原理      (写真は糖尿病リソースガイドより)


 今、二つの検査キットを紹介しましたが、現在使用中や発売予定のSARS-CoV-2の検査キットの一覧です(下表。2020年4月13日現在)。これらにキットを用いて、今後SARS-CoV-2の検査は、必要な場合に一段と速やかに実施できるようになると期待されます。

製品名 発売元 検査方式 製品 検査時間 感染研との一致率 発売日
LightMixR Modular
SARS-CoV(COVID-19)
ロシュ・ダイアグノスティックス PCR 研究用試薬 3時間半 100% 2月4日
新型コロナウイルス検出
RT-qPCRキット
シスメックス PCR 体外診断用
医薬品
2時間半 100% 3月30日
FLUOROSEARCH Novel Coronavirus
(SARS-CoV-2)Detection Kit
医学生物学研究所 PCR 研究用試薬 2時間20分 100% 3月27日
Loopamp 2019-nCoV
検出試薬キット
栄研 LAMP 体外診断用
医薬品
55分 陽性90%、陰性100% 3月18日
SARS-CoV-2
GeneSoC ER 杏林
杏林 PCR 研究用試薬 35分 陽性90%、陰性100% 4月24日
Smart Amp 2019
新型コロナウイルス検出試薬
ダナフォーム SmartAmp 研究用試薬 50分 陽性90%、陰性100% 3月19日
新型コロナウイルスRNA検出試薬
Genelyzer KIT
キャノン LAMP 研究用試薬 30~40分 陽性90%、陰性100% 未定
2019新型コロナウイルス
検出試薬キット
島津製作所 PCR 研究用試薬 70分 100% 4月20日
SARS-CoV-2DetectionKit  東洋紡  PCR 研究用試薬  1時間  不明 4月13日


2.抗体検査・イムノクロマト検査

 PCR検査やLAMP法は、鼻咽頭拭い液や痰中に含まれる、ウイルスの遺伝子をいろいろな処理で目に見える形に増やして、器械を使って検出する方法でした(遺伝子増幅法)。

①抗体検査

 これに対し、病気になると身体の中に病原体と戦う免疫物質(液性抗体=免疫グロブリン)ができるので、それを検出するのが抗体検査です。抗体検査には、イムノクロマト法や酵素抗体法(ELISA)などがあります。

 病原ウイルスが体に侵入すると、まず免疫グロブリンM(IgM)が作られます。これは、感染初期1週間、まず感染を広げないように戦う初動部隊です。その後、正規軍である免疫グロブリンG(IgG)が出動してきます。そして、このIgG が病原ウイルスを体の外に追い出します。

 さらに、再び病原体が侵入してこないように、IgGはつねに血液中を巡回して、警戒します。免疫がついたかどうかは、このIgGを調べるのです。IgMは感染後数日から高くなり、1週間がピークとなり、減少していきます。IgGは感染後、2~3週から高くなり、髙値を持続します。

IgGは1ユニット。IgMは、5ユニットが集合した形をしています。
(http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/koutai.pdf)
まずIgMが血液中に増加します。2~3週になると、IgGが増えてきます。
IgMは3週ぐらいで消失していきます。
柳田絵美衣
 
 免疫グロブリンを調べることは、感染後すぐには抗体は上昇しないため、感染早期の診断を行うことはできません。あくまで、感染後1週間ぐらいして、抗体ができたかどうかを調べる検査であり、早期診断には不向きでした。

 しかし、COVID-19は、感染から発症までの潜伏期間が5日ぐらいで、さらに発病してから1週間程度経過した後に、症状が急変し重症肺炎に陥るという長い経過をとるため、抗体検査による診断が間に合うと考えられます。

 しかも、抗体検査は採血で調べるため、検査手技が比較的簡単で、PCRと異なり、採取時のエアゾル飛散などの二次感染リスクが比較的低いと考えられます。

②イムノクロマト法

 イムノクロマト法の原理は、セルロース膜上を検査材料が試薬を溶解しながら、ゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法です。

 測定原理は、検体中の抗原(病原体)は、下図のように検体を滴下する箇所(キットの左端)にあらかじめ置かれていた金属コロイドなどで標識された標識抗体と免疫複合体(反応物)を作りながら、キットの台上を移動し、帯状のキャプチャー抗体上に免疫複合体がくっついて、着色して、ラインとして見えるようになることです。


    

(AcuteCare イムノクロマト法 免疫検査の基礎原理:https://www.acute-care.jp/ja-jp/learning/course/immunoassay/ria/ic)

イムノクロマト法のメリットとしては、
 ①目でみて、陽性か陰性の判断が出来る、
 ②特別な装置を必要とせず(読み取り器械を使う機種もあります)、操作が簡単、
 ③キットの保管方法が多くは室温保存で簡単、

デメリットとしては、
 ①目視による判定のため、判断に迷う例もある(微妙なラインなど)
 ②測定時間を厳守しないと、正確な判定が出来ないこともある(時間が経ってから、陽性ラインが浮き出してくることもある)
が上げられます。

 
イムノクロマト法によるSARS-CoV-2ウイルス特異抗体検出法は、小児科外来で簡単に検査することが可能であり、一般医療機関でも早急に実施できる体制整備が強く望まれます。医療機関のCOVID-19の検査は、イムノクロマト法が最適と考えられます。ただ、精度が信頼できない粗悪品も多く、現在日本感染症学会で検査キットの検証が行われています。

 イムノクロマト法の検査キットを
いくつかご紹介します。

デンカ:「新型コロナウイルス感染症の簡易検査キット」
 
 現在、開発中のようです。「新型コロナウイルス感染症の簡易検査キット開発状況について」報道発表はこちら

クラボウ「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット

 中国からの輸入品のようです。血液中の新型コロナウイルス抗体(IgM,IgG)を迅速に検出します。
 操作手順は、①検体の添加 ②検体希釈液の添加 ③15分程度静置 の3ステップで、ラインの有無を目視で確認することで結果を簡単に判定できるそうです。(→操作ビデオ

 ただし、この中国製の検査キットは、アメリカではFDAの推奨を受けることが出来なかったようです。

参考:
国立感染症研究所:迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による血中抗SARS-CoV-2抗体の評価

柳田絵美衣:15分で検査結果が出る「新型コロナウイルス抗体検査キット」とは?

柳田絵美衣:新型コロナウイルス検査 「PCR検査」と「抗体検査キット」の違いは?


3.世界最高を誇る、韓国の新型コロナウイルス検査について

 韓国は素晴らしい!韓国を見習え!と、朝日界隈の人々からかまびすしい騒音が大音響で流され続けています。日本を検査数ではるかにリードする、世界最高の検査国=韓国の実態について検証してみます。

 まず、代表的な韓国マンセー記事として、ニューズウィークジャパンの韓国経済研究所学術研究部長カイル・フェリアーさんの記事を紹介しましょう。この記事によれば、韓国の検査キットメーカは特需で新規参入も相次いで、好景気に沸いているそうです。

 韓国製PCR検査キットが新型コロナから世界を救う日

 次は、韓国中央日報の少し詳しい韓国の検査キットの紹介です。検査装置の検査時間と機器の重さのみで、我が国の製品なら必ずある感度や特異度、測定原理の客観的な説明は全く触れられていません。

 韓経:「20分以内に感染確認」輸出の道開く韓国のコロナ診断キット

 その理由について、渡邊康宏FNNソウル支局長は次のように配信しています。不確実性は無視? 韓国で新型コロナPCR検査が日本の18倍も実施されるワケ)

 
韓国は偽陽性や偽陰性の問題をどう見ているのか?実は、韓国社会では殆どゼロと言っていいくらい議論されていないのだ。韓国の疾病対策本部は、韓国製のリアルタイムPCR検査キットを臨床現場で使うと発表した会見で、「キットの感度と特異度は100%だ」と高らかに宣言した。私は厚生労働省担当記者の経験があるが、感度100%のPCR検査キットが存在するなど初耳だ。韓国メディアはこの発言をそのまま引用している。日本で議論になっているPCR検査の不確実性については、確認した限りほとんど報じられてない。

 そこで疾病対策本部に「感度100%のキットが開発できたなら革新的なものだ。一体どういう仕組みなのか」と聞いてみた。しかしその回答は、「実験室で新型コロナウイルスをキットに入れたら100%反応した」というもので、臨床現場で実際に使った際の予測値ではないという事だった。では、現場で使う際の感度と特異度はどのくらいになるとみているのかと聞いたが、質問には直接回答せず、「現在臨床データを集めて検証している。判定の正確性は95%を超えると見ている」との回答だった。95%の根拠は示されなかった。

 もしこれが事実ならば「PCR検査は不確実」という日本の議論の前提が根底から覆る事になる。ただ、世の中に出てきたばかりの新型ウイルスに対するPCR検査の正確性が95%以上というのは、にわかには信じがたい。


 すなわち、韓国が世界最高と誇る、韓国製検査キットは、感度も特異度も全く検討されないまま、正確性95%という何ら根拠の無い謳い文句で使用され、世界に輸出されていたのです。そして、当然の結果、大量に生み出された偽陰性は次のような事態を引き起こすことになるのです。

 解説:韓国で141人が再陽性、新型コロナ「再感染」リスクはあるか


 韓国当局は16日、新型コロナウイルスでいったん陰性となった患者のうち、少なくとも141人が再び陽性反応を示したと発表した。韓国で「再陽性」報告が相次いでいるのはなぜか。(中略)
 症状再発の可能性は、感染封じ込めに新たな課題を提起している。だが少なくとも現在のところ、再陽性の患者から他の人へと感染した事例は報告されていない。
 そのほか
「偽陰性」だった可能性も考えられる。韓国で取り入れられている「RT-PCR検査」は95%の精度を誇るそれでもなお、最大5%の確率で誤判定をもたらす可能性がある

 この無署名のロイターの記事は、「95%の精度を誇る」などという韓国の根拠の無い宣伝文句を鵜呑みにしていますが、そもそもこの信頼度がおかしいのでは、と何故思わないのでしょうか(韓国人のライターが書いた?)。

 当然質の悪いキットを使えば、誤判定が続出しますし、このような検査キットを輸出すれば、この製品を買った国からクレームがつくことになります。(中国製のキットが、今世界中から返品の嵐になっていますが。)
 一例を示しますが、ここで引用したマレーシアの新聞によれば、この韓国製検査キットの精度は、マレーシアの検定では56%という粗悪品だったようです。
   Daily express:Korean rapid test kit inaccurate, govt to source for others,  April 02, 2020


Ⅲ.COVID-19の治療薬

 次に新型コロナウイルス感染症COVID-19の治療薬について、見ていきたいと思います。いくら、検査を行っても、治療が出来なければ新型コロナウイルス感染症は制圧できません。現在、いくつかの治療薬が有力な候補として、検討されています。


1 .治療薬

ファビピラビル(アビガン)

①効果と作用機序
 ファビピラビル(アビガン)は経口薬です。

 インフルエンザウイルスなどウイルスは細菌とはちがい、自分で増殖することが出来ず、他の動物の細胞を利用して、自己を増やします。

 この増殖過程のうち
、ヒト細胞内に侵入したインフルエンザウィルスのRNAはヒトの細胞に侵入すると、ヒト細胞内の核に入り込み、ヒトの細胞成分を利用して自分の複製を作らせます。

 ファビピラビルはこの作業を行う、インフルエンザウィルスのRNAポリメラ-ゼの働きを抑えることで、インフルエンザウィルスの複製、増殖を防ぎます。
 (役に立つ薬の情報~専門薬学:アビガン(ファビピラビル)の作用機序:抗インフルエンザ薬

 ファビピラビル(アビガン)はもともと新型インフルエンザウイルス感染症のパンデミック対策の治療薬として、富山大学の白木公康教授のグループと富山化学(現富士フイルム)によって作られた抗インフルエンザウイルス薬です。

 開発当時、アビガンは新型インフルエンザパンデミックの時、人類を救う切り札として、大きな期待がかけられていたのです。

 ところが、マウスの動物実験で催奇形性が認められたため、この副作用のために、新型インフルエンザパンデミックの時、他の薬が効かない場合に使用、という制約の下、非常用パンデミック対策として備蓄されることになりました。


 しかしこの薬は、RNAポリメラ-ゼを阻害する作用があるので、インフルエンザウィルス以外にも、ノロウイルス、エボラウイルスなどのRNAウイルスにも有効で、フランスに輸出され、アフリカ、ギニアのエボラ出血熱患者に使用されました。

 そして、今回、やはりRNAウイルスの仲間である新型コロナウイルスにも効果があるか、治験が始まったのです。

   塚崎朝子:「アビガン」で新型コロナは迎撃できるか…素朴な疑問に答える 期待のインフル治療薬・誕生秘話

②副作用

 動物実験で胎児が死亡したり、催奇形性の報告があったため、新型インフルエンザ対策の備蓄用薬剤として認可はされたものの、一般診療で抗インフルエンザ薬として使用はできなくなりました。

 したがって、もしもアビガンが新型コロナウイルス感染症に投与されるようになれば、女性は投与前に妊娠していないことを確認した上で、服用期間中及び投与終了後7日 間は避妊をしなければなりません。男性もまた、精液中へ移行することから、投与期間中及び投与終了後7日間までは避妊(男性は必ずコンドームを着用)を行うこと、妊婦とは性交渉を持たないことが必要です。
 
 その他、尿酸値が上昇するため、痛風の症状を悪化させる可能性があります。

 大きな錠剤を最初の日は朝、夕それぞれ8錠ずつ服用しなければならず、高齢者には少し負担になるという見解もあります。

 その他に、アビガンは副作用はほとんど報告されておらず、妊娠可能女性以外は服用にあまり問題は無いようです。

③COVID-19に対する臨床効果

 日本全国でアビガンを投与し、治療効果があったという報告が相次いでいます。

 4月18日の感染症学会シンポジウムでもアビガンの臨床例の報告があり、藤田医科大の土井洋平教授は、国内の約200の医療機関でアビガンを投与した約350例の治療効果のまとめを行い、軽症例の90%、人工呼吸器が必要だった重症例の60%に、薬を飲み始めてから2週間後に症状が軽快したと報告しました。ただし、重症例では救命できなかった例もあり、軽症~中等症に使用されることになりそうです。

 臨床試験が終了し、効果が認められ、アビガンが医師の判断で自由に処方できる日が、新型コロナウイルス感染症が季節型インフルエンザ感染症と同じ扱いになる日と思われます。早くその日が来ることが待ち遠しいですね。

学会で治療薬の状況報告 「アビガン」などで改善例も

日本感染症学会、新型コロナウイルス感染症、症例報告から

参考:PMDA:アビガン錠200mg 

   役に立つ薬の情報~専門薬学:アビガン(ファビピラビル)の作用機序:抗インフルエンザ薬

   東京新聞:「命救う薬に」コロナへの効果期待 アビガン開発者に聞く …東京新聞が珍しくまともな良質な記事を発信しています。

   【識者の眼】菅谷憲夫「COVID-19流行は緊急事態─今こそ、ファビピラビル(アビガン®)の使用を解禁すべき」

   ミヤネヤ:白木教授に対する宮根の態度(YouTube)

④問題点

 アビガンはいくつかの問題を抱えています。

 一つは中国の動きです。2020年3月17日、中国の科学技術省主任はファビピラビルの臨床試験で良好な結果を得たとし、「今後、中国内の医療機関に対し、患者の診療ガイドラインへの掲載を推奨する」などと語りました。ファビピラビルはロピナビル・リトナビル(カレトラ)との比較試験において、ウイルス排出期間を有意に短縮し(4日 対 11日)、X線画像の改善率を高め(91.43% 対 62.22%)、さらに安全性にも問題がなかったと発表したのです。ところが、何故かこの論文は撤回されました。しかし、中国政府はアビガンの大量生産を現在続けています。

 富士フイルムはすでに2016年6月に、中国の大手製薬企業である浙江海正薬業とファビピラビルの特許ライセンス契約を締結し、開発・製造・販売する権利を供与していましたが、その契約は既に終了しています。したがって、浙江海正薬業などはファビピラビルの後発品を自由に大量に作り、世界に供給できるのです。

 中国が製造するファビピラビルの後発品「法匹拉韋」が、日本の「アビガン」と世界中でシェアを奪い合う、新幹線の受注合戦のような、悪夢のような状況が生まれる危惧が高まっているのです。すでに、中国はファビピラビルの後発品を、トルコに提供を始めています。 作ったのは日本だが、世界に供給し、利益を上げるのは中国という、馬鹿げた展開は御免被りたいものです。


シクレソニド(オルベスコ)

①効果と作用機序

 シクレソニド(オルベスコ)は吸入ステロイドの喘息治療薬で、気管支喘息の子どもに普通に使われています。
 
 2020年2月19日、国立感染症研究所コロナウイルス研究室は、シクレソニドは強い抗ウイルス活性を持つと報告しました。この効果は、他の吸入ステロイド治療薬では認められず、シクレソニドのみがコロナウイルスに対して増殖抑制効果が有していました。  

 この作用は、シクレソニドがSARS-CoV-2のもつタンパク質NSP15に働いて、ウイルスのRNA複製を抑制するために起こると報告されています。その結果、SARS-CoV-2が肺の細胞で増殖し、肺障害と肺に炎症を同時に起こすことを、シクレソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が抑えることによって、重症化しつつある肺傷害の治療に有効であると考えられています。

②副作用
 
 吸入ステロイドの薬なので、内服薬に比べると、全身の副作用は少なく、発疹、嗄れ声などが報告されているくらいです。現在、子どもの気管支喘息に普通に用いられており、特に重い副作用の報告はありません。


COVID-19に対する臨床効果

 3月2日、日本感染症学会で神奈川県立足柄上病院の医療チームから、ダイアモンド・プリンセス号乗客のCOVID-19陽性肺炎患者3名へ、シクレソニドを投与したところ、3例とも2日ほどで状態が好転した、という症例報告が発表されました。

 この結果を受けて、現在、感染症学会はオルベスコの新型コロナウイルス感染症に対する効果を見るために、臨床試験を行っています。

問題点 

 オルベスコはドイツのアルタナが開発し、現在、帝人ファーマが販売していますが、日本向けのオルベスコ製品は国内では無く外国で製造されており、しかも、製造国は非公開とされています。そのため、帝人の裁量で自由にオルベスコの増産が出来ないようです。しかし、現在帝人が、海外の製造国と協議し、増産体制に入っているようです。

 また、現在我が国ではオルベスコは欠品状態になっており、残念ながら一般小児科外来で自由に処方できなくなりました。

   日本感染症学会:シクレソニド使用上のご注意



終わりに


 本格的なコロナの蔓延期に突入し、当クリニックの近隣保育園でも新型コロナウイルス感染症が発生しました。当クリニックも感染予防のレベルを強化して、感染予防に努めていきます。

 本論考でも明らかにしたように、新しい検査キットも続々と稼働し始め、近く医師会でも検査センターを区と共に立ち上げる検討が始まっています。また、アビガン、オルベスコなどの抗ウイルス剤の臨床研究も進んでいます。

 もう少しの頑張りで、危機を乗り切ることが出来るのです。みなで力を合わせて、三密を避けて、力を合わせてがんばりましょう。

 相変わらずマスコミは馬鹿騒ぎしていますが、検査数をふやせば軽症を拾いまくるので、感染者が増えるのは当たり前の結果です。全く慌てる必要などありません。問題にすべきは死亡者の推移です。世界と比較して、我が国の死亡率を見てください。

   人口100万人あたりの死亡者の数。

 インチキワイドショウを始めとする、マスコミの愚劣で有害な番組は、緊急事態下の今でも平常運転で放送を続けています。その渦中、報道ステーションのMCやプロデューサー達が新型コロナウイルスに感染しました。

 いくらマスコミ貴族の特権意識を振り回していても、SARS-CoV-2はマスコミだからといって、アベガーといくら叫んでも、忖度してくれなかったようですね。「我々に感染することは、報道の自由に対する重大な挑戦だ。」と、コロナウイルスに抗議してみたら。

 コロナの女王、コロナの予言者、コロナの商売人など三流コロナ芸人に、公共放送で言いたい放題、やりたい放題に営業させながら、実は自分たちは三密を避けることもせず、感染予防に全く配慮することもなかったことがばれてしまいましたね。

 下劣な煽り放送を行い、世の中を混乱させ、医療者をいじめて、医療体制を崩壊させれば、感染症は容赦なく、自分達にも平等に襲いかかってくるのだということが自覚できたでしょうか。

 視聴率や社是のアベガーよりも、みんなのいのちと健康を守る番組こそ、一番大切なものなのだ、くだらない炎上放送よりも地に着いた真摯な感染症対策の平易な解説と自衛の勧めこそ、公共放送の使命なのだ、と早く気づいてほしいものです。それなければ、最も下劣な層以外の人々は、現在のテレビ放送に失望し、軽蔑しながら離れていくでしょう。

 
少しは良心的で世の中のためになる放送を、率先して流す事が出来たら、多くの国民は少しはテレビを見直すかもしれないのに。 

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