2021.12.10 更新
●予防接種の内容
2021-2022年のインフルエンザHAワクチン製造株の内容は、以下の通りです。(A型株2種はが変更になりました。B型株は2020-21年と同じです)
A型株
A/ビクトリア/1/2020(IVR-217)(H1N1)
A/タスマニア/503/2020(IVR-221)(H3N2)
B型株
B/プーケット/3073/2013 (山形系統)
B/ビクトリア/705/2018(BVR-11)(ビクトリア系統)
●予防する病気
A新型(pdm)、A香港型、B型インフルエンザの重症化を防ぎます。鳥インフルエンザ(H5N1)には効果はありません。
もちろん、コロナウイルスには効果はありません。
●接種の方法
ワクチンの注射液を、年齢に応じて2段階で上腕に皮下注射します。2回接種する場合は、左右交互に打つことが勧められています(副反応=腕の腫れを減らすため)。
インフルエンザワクチンの接種量→6か月~2歳は0.25ml、3歳以上は0.5ml。
インフルエンザワクチンの内容は、2015/2016年のシーズンから、3種類から4種類に増加となりました。(B型が2種類になりました)
6カ月~12歳のお子さまは、2回接種が必要です。13歳以上は1回接種となります。
インフルエンザワクチンは接種後2週目から抗体が上昇し始め、1ヵ月でピークに達し、その効果は5ヵ月持続します。2回接種の場合は、2回目を4週後に追加接種した場合が最も抗体の上がりが良いので、2回目の接種は3~4週間後に受けるのがよいでしょう(接種間隔は2~4週とされています)。
今シーズン2021-2022年も、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザ感染症の同時流行の可能性が危惧されています。
したがって、インフルエンザワクチンとコロナワクチンの両方の接種が望まれますが、新型コロナワクチンが接種可能な方はコロナワクチンを優先しましょう。
我が国はコロナワクチンの接種前後2週間、他のワクチンの接種はできません。したがって、まずコロナワクチンの接種を行い、2週間の間隔を空けて、インフルエンザワクチンの接種日を行いましょう。
2021年夏季、南半球のオーストリア、南アフリカではインフルエンザ感染症は流行しませんでした。したがって、今シーズンインフルエンザが大流行する可能性は高くはないと考えられてきました。
しかし、現在一部の地域ではインフルエンザの流行が始まっています。WHOの報告によると、アジアの亜熱帯地域のバングラデシュでは2021年初夏、インドでも2021年夏にインフルエンザの小流行が起こっています。
そして、北半球でも新型コロナ・オミクロン株の流行と並行して、インフルエンザの流行も始まってきます。
アメリカでもニューヨーク州、ニューメキシコ州はコロナ流行前の2年前よりA型インフルエンザ患者が増えてきています。欧州でもクロアチアなどではやはりA型インフルエンザが流行が報告されているようです。(
倉原優:海外でインフルエンザ流行のきざし「今年はワクチンを接種しなくても大丈夫」という油断に注意)
当クリニックは今季のインフルエンザワクチン接種は、まだインフルエンザ流行が始まっていないこと、コロナワクチン接種のために例年より遅れていること、ワクチンが十分量供給され始めたことを踏まえ、2回接種のお子さまの場合は11~12月に1回目、12月~1月に2回目を、年長児~成人の1回接種の場合は12月~1月の接種をお勧めします。
今シーズンはまだインフルエンザワクチン接種が間に合います。まだ、接種が完了していない方は、今からでも遅くないので、接種をお受けください。
●接種の年齢
生後0~6ヵ月まではワクチンを接種しても抗体の上がりが悪く、また母親の抗体の影響でインフルエンザにかかっても軽くすむ子が多いといわれており、ワクチン接種の対象から外れています(ワクチンは接種できません)。
生後6~12ヵ月のお子さまについては、プライミングの問題(インフルエンザワクチンの効果参照)もあり、効果は限定的と思われます。
乳児のインフルエンザワクチン接種を考える場合は、まず父親、母親をはじめ、周囲の大人や年長児が積極的にワクチンを受けることが大切です。周囲の人間がワクチンを受けて、赤ちゃんへのインフルエンザ感染の防波堤になることが、赤ちゃん自身にインフルエンザワクチンを接種することより効果的だと思います。当クリニックは、乳児のご両親のインフルエンザワクチン接種を強く勧奨いたします。
1歳以上のお子さまについては、当クリニックではワクチン接種を強くお勧めしています。
感染症学会 (「2021-2022年シーズンもインフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨」 )も、小児科学会も今シーズンのインフルエンザワクチン接種を強く推奨しています。
インフルエンザワクチンの推奨
インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症を予防する効果があり、学校での欠席日数を減らす効果も報告されている 。
また、ワクチン接種により、インフルエンザによる入院を減らした報告もある。
昨シーズンは流行がなく感受性者が増えており、新型コロナウイルス感染症が同時に流行する懸念もあることから、日本小児科学会はインフルエンザワクチンの接種を推奨する。
2021/22 シーズンのインフルエンザワクチンの供給量に関しては、製造効率の高かった昨年度と比較すると少ないが、例年の使用量に相当する程度は供給される見込みである。ただ昨年度よりも遅れたペースで供給されるため、2021年の10月第5週の時点では出荷見
込み量が全体の65%程度の出荷量にとどまり、11月から 12月中旬頃まで継続的にワクチンが供給される見込みであると厚生労働省からの通知が出されている。
(日本小児科学会 「2021/22 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針 ―2021/22 シーズンの流行期を迎えるにあたり―」より、抜粋)
●2021-2022年のシーズンのワクチン供給状況について
新型コロナウイルス感染症の流行下の、2022-2022年のシーズンのインフルエンザワクチンの供給はまた例年の70%に留まると発表されました。しかし、12月に入ってワクチンが潤沢に供給されるようになりました。ワクチン不足は今になって、解消されています。
厚労省:2021/22シーズンの インフルエンザワクチンの供給等について
ワクチンは十分量、確保されました。まだ、接種の済んでいない方は、間に合いますので、インフルエンザワクチンの接種をお考えください。
2021-2022年の当クリニックのインフルエンザワクチンの予約については、こちらをご参照ください。