Ⅲ.子どもの泌尿器系(腎臓や膀胱)の病気
1.夜尿症(別稿)
2.陰嚢水腫
Ⅲ.子どもの泌尿器系(腎臓や膀胱)の病気 2023.9.1更新
3.包茎
●包茎とは
包茎は、おちんちんの皮(包皮)をむいて、おちんちんの中味(亀頭)が露出できない状態をいいます。
赤ちゃんはみな皮をかぶった状態で生まれてきます。成長とともに皮はむけるようになりますが、全く皮を反転して亀頭を露出できない状態を、真性包茎といいます。
1歳以上のお子さまのおちんちんの皮をむいてみて、少しでもおちんちんの皮がむければ(おちんちんの皮が後退し、中の亀頭がみえれば)、将来自然に皮がむけてくることが期待できるので、そのまま様子を見てよいでしょう。
1歳以上のお子さまで、皮の先端(包皮口)が引っ張っても全く開かず、おしっこをするときに、皮の中がおしっこでぷぅーと風船のようにふくれる(バルーニングといいます)様なら、治療の対象になると考えます。
●真性包茎の治療
包茎の治療は、従来はおちんちんの皮を切り取る「環状切除術」という手術が一般的でしたが、最近は「ステロイド軟こう療法」が盛んに行われるようになりました。
この方法はおうちでお母さま、お父さまが簡単に行える方法です。手術のような、大掛かりな方法ではなく、成功率も高く、お勧めの方法です。
お子さまのおちんちんが剝けず、お悩みのお母さまは、一度当クリニックに相談にいらしてください。
ステロイド軟こう療法の実際:
おちんちんの茎の部分を二本の指ではさみ、根元の方向に少し力を入れて均等にひっぱります。皮の先端の膨らんだ部分に当クリニックで処方された軟こうを少量すりこみます。べたべた塗る必要はありません。できるだけ皮の先端の内側に塗り込むようにします。1日に朝1回、お風呂上りに1回、計2回塗ればよいでしょう。
2週間~1ヶ月ぐらいで、少し皮が後退し、中の亀頭が見えるようになります。
恥垢
ときどき赤ちゃんのおちんちんの皮の中に、チーズのようなものがあると相談されることがあります。
赤ちゃんのおちんちんの先端の亀頭は、包皮という皮に覆われています。その包皮と亀頭の間にチーズのような黄色いものが付着していることがあります。
これは恥垢(ちこう)と呼ばれ、組織のかすや分泌物が固まったものです。
特に害はなく、無菌なので、そのまま様子を見ていて構いません。
参考:東京女子医大病院泌尿器科腎臓病総合医療センター;子どもの包茎
陰唇癒着症
時々、乳児健診のとき、われめ(小陰唇)がくっついて、左右に開かない赤ちゃんを見ることがあります。だいたい、お母さまは指摘されるまで、それに気づかれないことが多いようです。
これを「陰唇癒着症」といいます。
●陰唇癒着症の原因
おふろのときに、女の赤ちゃんのわれめをあまり洗ってあげないと、分泌物が付着乾燥して、左右の小陰唇を固くくっつけてしまい、開かなくなってしまった状態です。
●陰唇癒着症の治療
見つけた場合は、ピンセット等でていねいに癒着部位を広げて治療します。大体は左右に分かれて元通りになりますが、癒着がひどく、大学病院に紹介した例もありました。
日頃から、われめの部分をよく洗ってあげることが、大切です。