子どものコロナワクチンについて(改訂)          2022.9.18更新



2022年、新型コロナウイルスオミクロン変異株の登場以来、品川区の保育園、小学校でも新型コロナ感染症が激増し、多くの園、学校が休校、休園となりました。特にオミクロン株流行では、多数の子ども達が新型コロナウイルスに感染しています。それに従い、熱性けいれん、クループ症候群、高熱4日持続などの症状を示す、決して軽症ではないお子さまもみられるようになりました。

2022年3月から、5~11歳への小児用コロナワクチンの接種(1回目、2回目)が始まり、本年9月からはさらに3回目の追加接種が行われることになりました。

本稿は、鈴の木こどもクリニックかかりつけの患者さんに対し、当クリニックが「かかりつけ医」として送る、情報発信です。
厚労省のリーフレットも、肝心な所は全て「かかりつけ医と相談して」と逃げているため、当クリニックの責任において、患者さんに情報提供を行うものです。
もしもさらにご質問があれば、診察時に鈴木院長に直接お聞きください。お子さまのかかりつけ医として、詳しくご説明いたします。



小児用コロナワクチンの基本情報

①使用するワクチン:ファイザー社製
「コミナティ筋注5~11歳用」(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)です。

2022年1月21日に、薬事承認されました。(写真右。オレンジ色のキャップが小児用です。成人用コロナワクチンは紫色のキャップをしています。また、新しく始まる2価ワクチンはグレーのキャップの色をしており、両者とは成分量の異なる、全く別の製品です。
2022年8月30日、小児用コロナワクチンの3回目の追加接種が承認されました。

②接種対象:
5~11歳

区から接種券、予診票、厚労省のワクチン説明リーフレットが送られてきます。(12歳以上のお子さまは今まで通り、「コミナティ筋注用」(成人用。紫キャップ)を接種します。)


接種は
3週間
間隔で行いますが、ちょうど11歳から12歳にまたがってしまう場合は、12歳の2回目も小児用ワクチンを接種します。なるべく誕生日をまたがないようにと、厚労省はお願いを出しています。(ただし、2回目は小児用が基本ですが、成人用ワクチンを接種してもよい、とされました。)
追加接種は、2回目から
5ヶ月あけて行います。

小児用コロナワクチンの説明書、予診票セットが送られてきても、接種前に12歳になってしまった場合は、成人用コロナワクチンを接種することになります。予診票は共通なので、小児用の予診票で成人用コロナワクチンを接種することは可能です。(説明書については、保健所に連絡すれば、成人用と差し替えてくれるそうです。)

③接種間隔、回数、接種量:
3週間間隔で2回接種します。3回目は、2回目から5ヶ月あけて接種を行います。
1~2回目は最低18日以上はあけます。また、2回目接種が3週間を過ぎてしまった場合は、なるべく早く2回目を接種します。

接種量は
0.2mlです。(通常のほかのワクチンの接種量は、おおむね0.5mlです。ファイザー社製の成人用コロナワクチン(コミナティ筋注)は0.3mlです。ワクチンの有効成分トジナメランは、コミナティ筋注に比較して、10μgと1/3に減量されています。
接種部位は、
上腕三頭筋に筋肉注射を行います。

④他のワクチンとの間隔:小児用コロナワクチンはコロナワクチンと同様、前後2週間(13日以上)は他のワクチンの接種はできません。また、同時接種は認められていません。(今季、インフルエンザワクチンのみは接種間隔に制限なく、同時接種も認められました。)



小児用コロナワクチンの接種をお考えの方に

現在までに明らかにされている、小児用コロナワクチン(コミナティ筋注5-11歳用)の効果、安全性について、みていきます。

①小児用コロナワクチン接種によって、期待される効果(ワクチン接種のメリット)

(1)感染予防効果について
ファイザー社がコロナ未感染の5-11歳の小児1968例(接種群1305例、偽薬663例)に対し、2回目のワクチン接種後のワクチン有効率を調べたところ、90.7%と良好な結果が得られました。しかしこれは2021年の研究であり、オミクロン流行前の研究です。

一方、オミクロン株に対するコロナワクチンの5~11歳に対する発症予防効果は、アメリカの研究だと、ワクチン初回接種(1回目、2回目)2~4週後には5~11歳では60.1%、12~15歳では59.5%。それが、接種から5~8週後には各28.9%、16.6%まで低下していました。
しかし、追加接種により、12~15歳では2~7週後の発症予防効果は71.1%まで回復しました。(5~11歳は追加接種はしていません。)

オミクロン株に対する効果が弱い理由として、小児用コロナワクチンは有効成分トジナメランが10㎍と、成人用コロナワクチン30㎍に比べて、1/3しか含まれていません。おそらく、副反応を減らすために減量したものと思われますが、感染防止効果も低下してしまった可能性があります。


(2)重症化予防効果について
オミクロン株流行期での5ー11歳の小児における感染・入院予防効果は、シンガポールの報告では、2回接種後7~14日の感染予防効果は48.8%、入院予防効果は87.8%であったものの、2回接種後30~59日では各28.5%、80.4%となり、感染予防効果は低下しましたが、入院予防効果は保たれていました。
この結果から、オミクロン株に対しても、
小児用コロナワクチンは重症化を予防する効果はあることが認められたのです。

②小児用コロナワクチン接種によって、起る可能性のある副反応(ワクチン接種のデメリット)

ワクチン接種は、健康な人に生きた病原体や死んだ病原体の一部を植えつけるものですから、必ず何らかの生体反応が起こります。
このうち、生体に不利益な現象を
有害事象adverase eventと呼びます。これは、ワクチン接種後のタイミングで起こる全ての現象を含みます。極端な例として、ワクチン接種後、帰宅途中でころんで足を捻挫しても、ワクチン接種後の有害事象に含まれます。

この有害事象のうち、ワクチン接種自体によって誘導された、健康不利益な現象を
副反応adverse reactionと呼びます。ワクチン接種後に起こる、注射部位の腫れやアナフィラキシーなどは代表的な副反応です。

実際、コロナワクチンを接種し、副反応を経験された保護者の方も多いと思います。ただし、これは成人用コロナワクチンで認められた副反応であり、小児用コロナワクチンは有効成分トジナメランも少ないため、副反応の頻度も程度も軽いようです。
実際、当クリニックでも2022年4月22日までに接種を行った62人の5~11歳児では、重い副反応はみられませんでした。

*厚労省の研究班による、小児のコロナワクチンの副反応のまとめは、こちらをご覧下さい。(第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 (令和4年8月8日)提出資料)

最新の第78回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会における、新型コロナワクチン(コミナティ筋注5~11歳用)の副反応疑い報告症例一覧(報告日 2022年2月21日~2022年4月1日)はこちらをご参照ください。

我が国の安全性での検討では、2022年2月21日から2022年8月7日までの間に接種された、小児用コロナワクチン2,886,452回のうち、副反応は115件(うち重篤30件)の報告がありました。
副反応疑いとして報告された事例は、
【医療機関報告】 1回目接種 72件(0.0047%) 2回目接種 43件(0.0031%)
【製造販売業者報告】 1回目接種 83件(0.0055%) 2回目接種 45件(0.0033%)
で、死亡として報告された事例は、2回目接種後1件(100万回接種あたり0.3件)でした。
副反応の症状名は、発熱、けいれん発作等でした。

副反応の中で特に問題となるのは、心筋炎、心膜炎です。

心筋炎・心膜炎について

ファイザーのコロナワクチンはまれに心筋炎の報告があります。その頻度は、1回目よりも2回目のワクチン接種後に多く、高齢者よりも若年者に、女性よりも男性に、多いとが報告されています。

しかし、ワクチン接種後に起る心筋炎や心不全が疑われた報告の頻度やその重さ、突然死の報告よりも、新型コロナウイルスに感染した時の心筋炎や心不全の方が発症する頻度も高く、重症になることを忘れてはなりません。

ワクチン接種後4日以内に、胸の痛みや息切れが出現した若い男性は、心筋炎や心膜炎の可能性もあるため、医療機関を受診した方がよいでしょう。ただし、ワクチン接種後の心筋炎はほとんどが軽症のようです。

今回の小児コロナワクチン(5~11歳)においては、
【心筋炎】 1回目接種:ブライトン分類1-3 1件(100万回接種あたり0.7件)、2回目接種:ブライトン分類1-3 0件(100万回接種あたり0件)
【心膜炎】 1回目接種:ブライトン分類1-3 1件(100万回接種あたり0.7件)、2回目接種:ブライトン分類1-3 0件(100万回接種あたり0件)
※ブライトン分類1-3:心筋炎又は心膜炎と評価された症例。
心筋炎の頻度がきわめて低いことがわかります。

なお、アメリカにおけるコロナワクチン接種後の心筋炎の発生頻度は、5~11歳男性の方が、12~15歳男性、16~17歳男性より少なかったと報告されています。

厚労省の心筋炎、心膜炎についての解説です。
10代・20代の男性と保護者へのお知らせ~新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について~

5~11歳の小児に、コロナワクチンの接種を受けた方がよいか。3回目の追加接種はどうしたらよいか。-鈴の木こどもクリニックの見解

以上の検討のまとめとして、5~11歳の小児用コロナワクチン接種に対する当クリニックの見解をお示しします。

まず、小児用コロナワクチンの接種についてです。
新型コロナウイルス感染症は武漢株からアルファ株、デルタ株、そしてオミクロン株と変異を続け、軽症化、感染力の強化、免疫回避が進みました。一方、コロナワクチンの接種も進み、コロナが感染して重症化率、死亡率の高かった高齢者が、ワクチンの効果で軽症化し、重症化率、死亡率が劇的に改善しました。

現在の小児用コロナワクチン(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)は、デルタ株には発症予防効果が良好に認められましたが、オミクロン株に対する発症予防効果は弱いようです。しかし、重症化予防効果は保持されています。

その一方、感染力の強いオミクロン株による流行で、小児にも感染が広がりました。子どもは、ワクチンを受けることができないため、成人~高齢者層と異なり、コロナウイルスに対する免疫を持つ機会のないまま、感染力の強いオミクロン株に次々と感染していきました。(図は東京都福祉保健局の新規陽性者数(年代別)から転載。)

そして、小児科学会の調査によれば、発病者数の激増に伴い、子どもでも徐々に重症患者数が増えてきています。

現在の小児用コロナワクチンはオミクロン株に対しては十分な感染予防はできませんが、重症化は予防できます。発病は防げないが、重症化は予防するというのは、インフルエンザワクチンの効果と同じです。

今後、新型コロナウイルス感染症は変異を繰り返し、ロシアかぜを起したヒトコロナウイルスOC31がたどったように、何度かの流行を経て、5番目のかぜコロナウイルスに収斂していくものと思われます。

その間、子どもも何回もSARS-CoV-2に感染する可能性があります。
流行第7波以降に毒性の強い変異株が発生する可能性もあります。また、時には重症化する可能性もあります。mRNAワクチンは抗体を上昇させるだけでなく、細胞性免疫を獲得させる働きも期待できます。したがって、接種することはお子さまにとって、決して無駄にはなりません。

小児用コロナワクチンの副反応は前章で検討した通り、現在重篤なものは認められていません。
現在、ネット上で洪水のように流されている「ワクチンは危険」情報は、一部に医学的事実も填め込まれてはいますが、そこから大きく歪曲したり、ウソの部分を膨らませたり、論理をすり替えたり、全く信用に足るものではありません。

むしろ、お子さまが新型コロナウイルス感染症にかかってしまった時、軽症で済んだと思ったけれども、long covidといわれる長期の後遺症が起きてくる可能性の方を警戒すべきと当クリニックは考えます。

mRNAワクチンが新しいワクチンだから、未知の副反応が心配だというのなら、新型コロナウイルス感染症COVID-19そのものが新しい感染症であり、その病気の未知の後遺症にこそ、より目を向けるべきと当クリニックは考えます。

また、mRNAワクチンは新しく登場したワクチンといわれますが、長い間研究が積み重ねられてきた夢のワクチンであり、今回のコロナワクチンの実用化によって、今後がんワクチンなどとさまざまな疾患治療の切り札として、大いにその役割が期待されているのです。

Nナショジオニュース:コロナだけでない mRNAワクチン 進行がんも止めた

以上の検討を踏まえて、当クリニックはかかりつけの患者さんに、小児用コロナワクチン接種をお勧めいたします。そして、接種希望のお子さまに小児用コロナワクチン(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)の接種を行います。

一部の医療機関にみられるような、「当院は子どものコロナ接種をお勧めしないけれど、患者さんが「どうしても」というなら、希望者には接種してもいいですよ。」というような、全く無責任極まりない、不誠実な対応を当クリニックはとりません。
鈴の木こどもクリニックは小児用コロナワクチンをかかりつけの患者さんに責任を持ってお勧めし、責任を持って接種いたします。

それでもなお、小児用コロナワクチンの接種を迷われている保護者の方は、コロナワクチンを推奨する人達とコロナワクチンを否定する人達を比較してみてください。

子どもの健康と幸せを願い、子どもと保護者に寄り添い、献身的に活動しているのは、どちらの側ですか。
いっさい、こどもの健康と未来に関心がなく、自らの欲と金儲けのために、そして歪んだ世界観に駆り立てられて、母と子の明るい幸せな未来を破壊し、嫉妬と絶望しか生まない世界に親子を引きずり込もうとしているのは、どちらの側ですか。

何を言っているかだけではなく(もっともらしいことを口先で言うだけなら、ワイドショウの嘘つきコメンテータの得意技ですよね)、その人物が何をしてきたのか、発言者の人物像、活動歴、発言録、その思想的背景、金づる(資金提供者)もしっかりと確認して判断しましょう。(匿名の人物や団体の発する情報は、ほとんど厚化粧で塗り固められた嘘八百のデマ情報です。)

どのご家族も、健康で幸せな未来に生きる権利があるのです。誰のいうことを信用して、子どもの未来を守るのか。選択するのは、あなた自身です。

当クリニックお勧めの参考資料:
 小児科学会:5~11 歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

 中野貴司:5~11歳の子どもへの新型コロナワクチンの効果・副反応と接種の考え方(厚労省:新型コロナワクチン Q& A)

 VPDの会:5歳から11歳の新型コロナワクチン接種の考え方

 フィラデルフィア小児病院:COVID-19 ワクチン: あなたが知っておくべきこと 2022年冬号



当クリニックの小児用コロナウイルスワクチン接種のご案内

①予約方法:当クリニックのコロナワクチン予約受付時間(成人用、小児用共通)15:00~17:30 に、お電話で直接お申し込み下さい。
当クリニック受付電話は、 
03-3786-0318

現在、コロナの検査希望、3回目のワクチンの予約希望、小児コロナワクチンの問い合わせで、クリニック受付には電話がひっきりなしにかかってくる状態です。他の患者さんとの電話応対中で、電話に出られない時もありますので、誠に申し訳ございませんが、電話に誰も出ない場合は、出られない状態だとご理解の上、時間をおいておかけ直しをお願いいたします。

また、電話でご予約希望の方には、医療事故を防ぎ、安全な検査、接種を行うために、最低限必要な、患者情報は聴取させていただきます。これは接種を受けるお子さまのために必要な当クリニックの情報収集ですので、その意味を十分ご理解の上、ご協力をお願いいたします。

厚労省の運営するコロナワクチンナビの掲載は任意のため、当クリニックは表示を辞退しています。あくまで、当クリニックはかかりつけの患者さんを優先して、接種が行えるように、ワクチンの接種態勢を作り上げてまいります。

②接種日時
木曜午後土曜午前に接種を行います。

接種予約された方は、接種券、予診票(来院前にあらかじめ記載をお願いいたします)、健康保険証などお子さまの身分が証明できるもの、母子手帳、(服用している薬があるときは)お薬手帳をお持ちになって、 指定された時間に当クリニックにご来院ください。

③接種が終わって
:接種後15分は、クリニック内で様子を見ます。
今までも当クリニックでは、全てのワクチン接種後15分間は院内で経過をみていたので、コロナワクチンにおいても同じ対応ということなります。

ごくまれですが、接種後に急激に即時型アレルギー反応が起こることがあります。接種後30分はアレルギー反応が起る可能性のある時間帯なので、接種後よく状態を観察することが必要です。   

④帰宅後:いつもどおりの生活を。

普段通りでよいと思います。
ただ、コロナワクチンは接種の次の日に副反応が出やすいため、当日は運動は控えて、静かに過ごしましょう。

接種後1時間たてば、当日でも入浴できます。ただ、接種した部分はこすったりしないように気をつけましょう。




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3回目のコロナワクチンのご案内
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