夏の育児編 2023.8.20最終更新
●赤ちゃんがいても冷房を使っていい?(0か月)
日本の夏は高温多湿で、大人でも過ごしづらい季節です。特に今年の暑さは熱帯並みですね。
赤ちゃんもあんまり暑いと、食欲が落ちたり、よく寝られなくなってしまいますから、冷房を適切に使い、快適に暮らせる環境を整えましょう。ただし、適度に暑さを感じ、汗をかくことも健康的な体を作る上で、とても大切です。
冷房に頼り過ぎず、時には窓を開け、風の通り道を作るなど、赤ちゃんを取り巻く環境にいろいろ気を配って、夏を乗り切りましょう。
●冷房の設定温度は?(1か月)
赤ちゃんは、体温の調節機能が未熟なため、冷房された部屋とそうでない部屋や屋外との温度の差が大きいと、移動の際にうまく体を適応させられず、体力を消耗してしまいます。
赤ちゃんが過ごす部屋の冷房は、室温28℃ぐらい。外の部屋や屋外との差は、5℃程度を目安にしましょう。
●エアコンや扇風機を使う時に気を付けることは?(4か月)
蒸し暑い夏は、赤ちゃんにとってもつらい季節でしょう。
エアコンや扇風機を使って、過ごしやすい環境を作ってあげましょう。 暑くて寝苦しい夜も、タイマーをセットして、寝入りばなにエアコンをかければ、スムーズに寝付けます。
ただ、冷気が直接赤ちゃんお肌に当たると体温が奪われるため、エアコンの風が上向きか水平になるように調節しましょう。
また、適度な間隔で、部屋の換気も忘れずに行いましょう。
●ミルクを冷やして飲ませてもいいの?(4か月)
夏は、赤ちゃんの母乳やミルクを飲む量も落ちがちです。
授乳の時には、やはりエアコンなどで涼しくしてあげましょう。また、ミルクの場合は、いつもより多少冷やしてあげると、飲んでくれることがあります。調乳したミルクを水道水で少し冷ましてから、飲ませるといいでしょう。
冷蔵庫で冷やすのは、冷やし過ぎです。赤ちゃんがお腹を壊すこともあるので、NGです。
●夏の離乳食で工夫できることはある?(7か月)
赤ちゃんでも食欲が減退する夏。食欲アップには、のどごしのいいメニューがお勧めです。
寒天やゼリーを使って、ツルンと飲み込めるメニューはおすすめです。いつもより柔らかく調理するのは、病気で消化吸収機能が落ちている時以外は、必要ないでしょう。
離乳食は薄味が基本です。夏場でも、素材本来の味を生かした薄味を心がけましょう。
●あせも対策は何をしたらいい?(8か月)
あせもは、一度に大量の汗をかき、汗の出口が詰まることで生じます。
汗をかいた時はこまめに拭き、シャワーで汗を流して清潔を保ちまあしょう。
裸で過ごすのは一見涼しそうですが、汗を吸収する物がなく、かえってあせもの原因になります。また、体温調節機能の発達のためには、適度に汗をかくことも必要です。
当クリニックは、オリジナルのあせもローションを処方しています。ご希望の方はご来院下さい。
●夏の日射しの下で遊ばせてもいい?(9か月)
日射し(太陽光線)には紫外線(UV)が含まれていて、皮膚が紫外線にさらされると、日焼けをします。
日焼けをした肌は一見健康そうに見えますが、日焼けは紫外線によるやけどです。赤ちゃんは皮膚が薄いため、紫外線の影響を受けやすいので、長時間日射しにさらさないようにしましょう。(たとえば、プールなど)
●紫外線でどんな影響があるの?(10か月)
紫外線の影響でまず挙げられるのは日焼け。紫外線によるやけどです。皮膚の老化も助長します。これを「光老化」と言い、長年にわたって紫外線を浴びた結果、後年、しみ(色素斑)やしわが現れます。
また、皮膚細胞のDNAを傷つけて、将来の皮膚がんの原因になったり、眼球の水晶体が濁って、視力が低下する白内障のリスクを高めたりすると、欧米から報告されています。
●紫外線って、悪い影響しかないの?(11か月)
紫外線はビタミンDを合成に必要で、かつては赤ちゃんに日光浴が勧められました。しかし、現在では、食事から十分にビタミンDを摂取するとともに、適度の日光浴が進められています。日光浴については、こちらをご覧下さい。(→赤ちゃんのくる病 日光浴)
●赤ちゃんの紫外線対策、何をする? (11か月)
全く外出しなければ、ほとんど紫外線にはさらされませんが、くる病のリスクは高まります。そもそも健康は生活とは言えませんよね。
大切なのは、初夏から初秋頃までは、紫外線の強い午前10時頃から午後2時頃までの外出を控えることです。また、外出時は薄手の長袖の服をはおらせ、皮膚の露出を少なくしたり、可愛い帽子をかぶせるのも良いでしょう。
家を出る前に、UVケアグッズ(日焼け止め・サンスクリーン剤)を塗るのもお勧めです。
●紫外線のケアグッズ(日焼け止め・サンスクリーン剤)の選び方・使い方は?(1歳)
UVケアグッズには、SPFやPAの値が表示されています。これは紫外線防御効果を表す表示で、値が高いほど紫外線を防ぐ効果が大きくなります。
さらに、肌にやさしいことも、紫外線ケアグッズの大切な条件の一つです。
また、ケアグッズ中の紫外線吸収剤で、まれにかぶれを起こすこともあります。敏感肌の赤ちゃんは、紫外線吸収剤が入っていないベビー用の製品を選びましょう。
使い方については、外出してから塗るのではなく、外出前にあらかじめ塗っておきましょう。
塗る量は規定量でよいと思いますが、少ないと効果は落ちます。日光にさらされやすい、赤ちゃんのおでこや鼻、ほっぺは念入りに塗りましょう。耳の後ろやうなじも、忘れずに塗ります。
日焼け止めは服でこすれたり、汗やよだれで落ちることもあるので、塗った後も2〜3時間おきに塗り直すと良いでしょう。
●水遊びをする時の注意は?(1歳1か月)
夏の水遊びは気持ち良く、適度な疲れも誘います。赤ちゃんも楽しそうですね。必ずしもお湯を使う必要はなく、プールに水を張って日なたで温めておけば、水温は大丈夫です。
赤ちゃんは水着ではなく、Tシャツでもよいでしょう。
日射しの強い時間帯は避け、疲れ過ぎたり、冷えたりしないよう、水遊びは30分を目安に切り上げましょう。
赤ちゃんは深さ10cmの水でも溺れることがあります。絶対に目を離してはいけません。
●熱中症って何?(1歳2か月)
熱中症は、高温の環境下で、体温の調節機能がうまく働かなくなり、体温が異常に高くなる状態をいいます。
赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため、暑さの影響を受けやすく、あっという間に発熱してしまいます。赤ちゃんを高温下に置かないようにすると共に、こまめに水分を与えて、熱中症を防ぎましょう。
また、夏は車の中に赤ちゃんを置き去りにして、赤ちゃんが熱中症になるケースが後を絶ちません。最悪の場合は生命に関わるので、絶対に止めましょう。
●熱中症になってしまったらどうすればいい?(1歳2か月)
体が熱い、唇が乾いている、など熱中症の症状に気が付いたら、まず体を冷やします。
日陰で風通しのいいところや、冷房の入っている建物に赤ちゃんをすぐに連れて行き、ぬれタオルを体に当てるなど、体温を下げましょう。そして、イオン飲料や麦茶などの水分をたっぷりと飲ませます。
ぐったりしていて水分も受け付けない時は、至急小児科を受診してください。
●あかちゃんでも、夏に風邪を引くの?(1歳3か月)
夏は、冬場の乾燥を好む呼吸器ウイルスとは異なる、エンテロウイルスという、もともとおなかにいるウイルスのかぜの原因になります。
そのため夏かぜは、あまり咳鼻など呼吸器症状は強くなく、高熱や口の中や手足の発疹、 下痢、腹痛、嘔吐などの消化器症状、目の症状が多くみられます。特に40.0℃近い高熱は夏かぜによく見られる症状なので、あわてず小児科を受診して下さい。
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