2.新型コロナウイルス感染症を押さえ込むカギは何か



 SARS-CoV-2の流行は、第1部でみてきたように、1889年のヒトコロナウイルスHCoV-OC43の流行のように、ワクチン、治療薬などの医学的介入がなければ、数年のスパンで流行を繰り返し、最終的には普通のかぜウイルスとして人類と共棲していくことになると思われます。(SARS-CoV-2の流行も、発生した2019年からすでに3年目に入っています。)

 そうはいっても、今現在第4波の只中であり、高齢者、基礎疾患があるハイリスクの人達にとって、新型コロナウイルス感染症が脅威であることは厳然たる事実です。

 このハイリスク集団を守るために、一時も早く新型コロナウイルス感染症の現在の大流行を収束させなければなりません。このまま無為無策で時間だけが経過していけば、今回の大流行が終息するまでに、まだ数年はかかり、死屍累々の山が築かれる最悪のシナリオもありうるのです。

 現在のCOVID-19流行を早期に終息させる鍵となるべき、ワクチン、治療薬、検査(PCR検査)について、この章では一つずつ検討してまいりましょう。



A ワクチン(新型コロナワクチンについては、本稿別論文ワクチンについてで、詳細に論述しました。より詳しいコロナワクチンの知識をお求めの方は、本論をぜひお読みください!)


@コロナワクチン接種によるの実際の感染予防効果について


 新型コロナウイルス感染症を早期に終息させる、最も効果的で確実な方法は、ワクチン接種だということがますます鮮明になってきています。

 新しいワクチンである、m(メッセンジャー)-RNAワクチンがさっそうと登場したとき、日本マスコミは「実績がない」「未知の副作用があるかも」「きっとこわいぞ!こわいぞ!」などと、ワクチン反対カルトとぐるになって、コロナワクチンを誹謗するキャンペーンを繰り返してきました。
 
 そして、オレオレ詐欺の被害者のように、こりもせず何度も何度もマスコミ詐欺に誑かされる、悲しい情報弱者のマス畜の人々の間では、残念なことに「コロナワクチンはこわいから打たない。」という声が今なお強いようです。

 しかし、このような愚かな妄言を吹き飛ばすように、mRNAワクチンは素晴らしい実績を上げてきました。ファイザー・ビオンテックのワクチンを国民の50%がすでに2回受けているイスラエルでは、リアルに新型コロナウイルス感染症は終息してしまったのです。イスラエルでは2021年1月13日には9997人に上った新規検査陽性者数が4月20日には139人まで激減し、4月18日からイスラエルでは、野外でのマスク着用も必要なくなりました。(下図)

 コロナ前の人々の日常生活が徐々に戻ってきているのです。うらやましい限りですね。

 イスラエルの新規検査陽性者の推移。1目盛り=5000人 (worldometer)

 また、悪名高いアストラゼネカのワクチンを、外野の雑音をものともせずに全力で接種してきたイギリスも、ワクチンの効果により新型コロナウイルス感染症は見事に収束しました(下図)。

 イギリスは2020年12月にワクチンの接種を開始、既に国民の47%が1回目の接種を終えたほか、2回目の接種を受けた人もおよそ700万人に達したようです。アストラゼネカのコロナワクチンはイギリスのオックスフォード大学が開発したワクチンであり、イギリスは「国威」をかけて、このワクチンの接種を進めた経緯もあるようです。

イギリスの新規検査陽性者の推移。1目盛り=25000人で、イスラエルの5倍です。 (worldometer)

 ところで、現在人口100人あたりのコロナワクチン累計接種回数の多い国は、@イスラエル、AUAE(アラブ首長国連邦)、B南米のチリ、Cイギリス、Dアメリカの順となっています。

 このうち、イスラエルとアメリカはmRNAワクチン(ファイザー、モデルナ社製)、イギリスはウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ社製)を主に使用しており、この国々ではワクチンの効果と厳格なロックダウンによって、コロナ禍は見事に終息に向かい、マスク無しの日常生活を取り戻しつつあるようです。

 これとは反対に、人口100人あたりのコロナワクチン累計接種回数の第2位のUAE(アラブ首長国連邦)、第3位のチリは検査陽性者数は減少していません。これらの国は中国製の不活化ワクチンである、シノファームワクチン(UAE)やシノバックワクチン(チリ)をもっぱら使用しています。

 中国製のワクチンは第3相臨床試験の結果が未公表だったり、インドネシア、トルコでは臨床試験の結果が修正されたり、信頼に値するワクチンではありません。

 中国は厳密な医学的検証無しに、ワクチンを政治的な外交取引材料として利用するという、禁じ手を恥ずかしげもなく堂々と行っている野蛮な独裁国家です。

 日本学術会議や日本朝日新聞は今こそ、ワクチンの政治利用をやめるよう、あれだけ奴隷のように尽くしているご主人様の中国に懇願すべきと思われますが、いかがでしょうか。(どうせ、奴隷の分際では、鼻も引っかけられないでしょうけど…)

 チリはシノバックスワクチンを主に使用しています。(1目盛り=2500人)  UAEはシノファームワクチンを主に使用しています。(1目盛り=1000人)



A日本におけるコロナワクチンの接種体制について

 今みてきたように、コロナワクチンのうち、mRNAワクチンは極めて高い感染予防効果が実証されています。(ウイルスベクターワクチンも十分な感染予防効果を示しています。)イスラエルやアメリカのように、我が国もファイザー・ビオンテックやモデルナのmRNAワクチンを国民の過半数が接種できれば、新型コロナウイルス感染症の国内流行は確実に収束に向かうと思われます。

 すでに新型コロナウイルス感染症を終息させる解決策は示されました。あとは実行するだけになっているのです。それでは、我が国の現状はどうなっているのでしょうか。

1)ワクチンの交渉

 日本政府がワクチン確保のために動き出したのは、諸外国に比べて決して遅かったわけではありません。2020年7月31日にファイザー社と供給で合意し、2021年2月14日にはファイザー・ビオンテックのワクチンが薬事承認されています。2020年10月29日にはモデルナ社と、2020年8月7日にはアストラゼネカ社とも基本合意に達しています。(新型コロナウイルスSARS-CoV-2のワクチンについて

 しかし、mRNAワクチンが著効を示したことが明らかになると、限りあるワクチンの奪い合いになり、アメリカやEUなどは日頃の耳障りの良い綺麗事はかなぐり捨てて、まず自国民のためにワクチンを独り占めを謀り、日本などは閉め出されてしました。悔しいことに欧米のおこぼれしかもらえないことになったのです。
 この事態に、日本のマスコミは自国民のためにワクチン確保に懸命に取り組む日本政府を応援したのでしょうか。ワクチンを独り占めせんとする理不尽で横暴な欧米の野蛮な振る舞いを、日本人を守るために敢然と批判したのでしょうか。

 残念ながら、彼ら日本マスコミがやったことは、「日本はワクチンが確保できていない。」「ワクチン接種が先進国で最低だ。」「政府は何をやっているんだ」などと、相変わらずどうしようもない腐りきったマスコミ脳で、世の中が悪いのはすべて日本と政府・自民党のせいだと、口をそろえて単なる汚穢のような悪口雑言を撒き散らしただけでした。さらに、脱線してPCR検査拡大とオリンピックを止めろとかいう、愚にもつかない政治的プロパガンダのお題目を高唱することで、厳しい現実から逃避していったのです。

 さまざまな妨害にさらされながらも、菅首相じきじきの懇願で、おそらく相当な高額な契約を余儀なくされたものと思われますが、とにもかくにも最も優れたファイザー・ビオンテックのワクチンが一定量輸入されることになり、我が国のワクチン接種も今後加速していくものと思われます。当クリニックも出動し、少しでもワクチン接種推進に貢献していきたいと考えています。

2)ワクチンの接種開始と今後のスケジュール(品川区のお知らせ

 現在、品川区にもワクチンが大量に供給され始めています。(右写真は、会場の一つの旧ひろまち保育園)

  4月    2箱(2000回分)
  5/3の週(2週) 3箱(3000回分)
  5月3週、4週   63箱(63000回分)
  5月5週、6週   59箱(59000回分)

 新型コロナワクチンの接種は、
  @医療従事者の先行接種、
  A医療従事者の優先接種、
  B高齢者(昭和32年4月1日以前に生まれた人)の優先接種、
  C高齢者以外で基礎疾患のある人と高齢者施設従事者の優先接種、
  D一般の人、
と順番で進められることになっています。

 そして、現在医療従事者の接種が進められており、5月から6月で接種は終了する予定です。当クリニックも医師会館での医療従事者の集団接種に複数回出動いたします。

 75歳以上の高齢者向けの接種券の発送が5月12日から始まりました。5月19日から、電話とWebで予約の受付も始まります。65歳以上の高齢者は、5月下旬に接種券の発送、6月中旬以降に予約受付が始まる予定です。

 順次接種が進められています。もう少しお待ちください。マスコミ毒に侵されていない、多くの良識のある国民にmRNAのワクチン接種が行き渡ったときに、我が国における新型コロナウイルス感染症は確実に終息していくと思われます。

 本稿はコロナワクチンをめぐる現状について、コンパクトにまとめ、わかりやすく平易に解説した内容文です。より詳細な、医学的ファクトに基づいた学術的な解説をご希望の患者さんは、コロナワクチンについてをご参照ください。また、急速に進むコロナワクチン接種の進行状況とワクチンをめぐるリアルタイムの実況解説は品川区新型コロナワクチン情報をお読みください。

 B.治療薬 に続く

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