鈴の木こどもクリニック 先進的な保護者のための接種スケジュール
2023.9.21更新


最高レベルの接種推奨スケジュール(2023年4月から)

月齢/年齢 接種するワクチン  解説
2ヵ月 4種混合ワクチン1 4種混合ワクチン1回+ヒブワクチン1回目+小児用肺炎球菌ワクチン1回目+B型肝炎ワクチン1回目同時接種+ロタリックス1回目経口接種
  ヒブワクチン1  
小児用肺炎球菌ワクチン1
B型肝炎ワクチン1 (B型肝炎は1ヵ月間隔で2回、5ヵ月後に3回目)
ロタリックス1 (ロタリックスのみ経口)
3ヵ月 4種混合ワクチン2 4種混合ワクチン2回目+ヒブワクチン2回目+小児用肺炎球菌ワクチン2回目+B型肝炎ワクチン2回目同時接種+ロタリックス2回目経口接種
ヒブワクチン2
小児用肺炎球菌ワクチン2
B型肝炎ワクチン2 (B型肝炎1回目から1ヶ月後)
ロタリックス2 (ロタリックスは2回で終了)
4ヵ月 4種混合ワクチン3 4種混合ワクチン3回目+ヒブワクチン3回目+小児用肺炎球菌ワクチン3回目同時接種
ヒブワクチン3
小児用肺炎球菌ワクチン3
6ヵ月 BCG BCG1回(BCGは生ワクチンのため、1回のみ。)
8ヵ月 B型肝炎ワクチン3 B型肝炎ワクチン3回目単独接種(B型肝炎は1ヵ月間隔で2回、5ヵ月後に3回目。今回が3回目で最後)
1歳 MRワクチン1 MRワクチンⅠ期+水痘ワクチン+おたふくワクチン 同時接種
水痘ワクチン1 (水痘は1歳6ヵ月時に追加接種)
おたふくワクチン1 (5歳時に、MRⅡ期とともに、おたふく2回目接種も推奨。MRは定期接種、おたふくは任意接種扱い)
1歳1ヵ月 ヒブワクチン4 ヒブワクチン4回目+小児用肺炎球菌ワクチン4回目同時接種
小児用肺炎球菌ワクチン4
1歳6ヵ月 4種混合ワクチン4 4種混合ワクチン4回目+水痘ワクチン2回目同時接種
水痘ワクチン2回目2 (1歳6ヵ月ごろに、水痘の2回目接種)
3歳 日本脳炎ワクチン1 日脳ワクチンⅠ期初回単独接種(日脳ワクチンは、Ⅰ期は3歳時に1ヵ月間隔で2回、4歳で追加1回、Ⅱ期は9歳時に接種)
3歳1ヵ月 日本脳炎ワクチン2 日脳ワクチンⅠ期2回単独接種(次回日脳ワクチンⅠ期追加は1年後)
4歳 日本脳炎ワクチン3 日脳ワクチンⅠ期追加単独接種(次回、日脳ワクチンⅡ期は9歳)
 5歳-6歳  MRワクチン2 MRワクチンⅡ期+おたふくワクチンⅡ期+3種混合ワクチン任意+不活化ポリオ任意
  おたふくワクチン2 MR2期と同時接種。当クリニックは強く勧奨します。品川区は2019年4月より接種費用の助成が始まりました。任意接種おたふくかぜワクチン参照)
  3種混合ワクチン 4~5歳が、百日咳の免疫力が最も低下する時期です。この時期に百日咳に感染し、発病すると、4種混合ワクチン接種前の0~2か月の赤ちゃんに感染させる危険があります。
MR2期と同時にDPT(三種混合ワクチン。百日咳、破傷風、ジフテリア)接種を強くお勧めします。(ただし、任意接種のため、助成はありません。任意接種三種混合ワクチン参照)
  不活化ポリオワクチン ポリオのワクチンも1歳半の4混4回で終りのため、免疫は低下していきます。そのために、不活化ポリオの5回目も考慮すべきワクチンです。(定期接種不活化ポリオワクチン参照)
  メンクアッドフィ 夏休みに欧米の寄宿舎に入居する人、2020年に向けて、外国人と接触の多い人はご検討ください。(任意接種髄膜炎菌ワクチン参照)
11歳 二種混合ワクチン 三種混合(百日咳、破傷風、ジフテリア。任意接種で助成はありません)に変更し、百日咳の抗体を高めることを当クリニックは推奨いたします。
12歳 シルガード9 1 HPVワクチンは定期接種です。中学入学時、または11歳で、1回目接種。DT/DPTとシルガード9 1回目は同時接種も可能です。次回、シルガード9 2回目は6ヶ月後になります。HPVワクチンはなるべく早期に接種を始めることが推奨されています。
 12歳半 シルガード9 2 HPVワクチン2回目単独接種(2回で終了)


日本の予防接種は、乳児期こそ欧米並みに充実してきましたが、4~6歳、学童期の追加接種、新しい接種の整備が、不十分のまま残されています。

我が国の場合、年長児や学童の予防接種に関しては、厚労省だけでなく、文科省も絡んでくるために、お役所間のなわばりの問題も関係しているかもしれません。

また、ワクチン接種そのものを何とか妨害しようとする、邪悪な「市民運動」「反ワクチン」運動に、いまだに過剰な配慮、忖度が続いている面も大きいと思われます。国民の健康を守るため、このような下劣な反体制「市民」運動に対する過剰な忖度はいい加減にしてほしいです。

いずれにしても、我が子のために国際標準レベルで、ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぎたい、とお考えの先進的な保護者の方は、外来受診時に鈴木医師にご相談ください。



おたふくかぜワクチン2期→最高度推奨レベルA(極めて強く推奨)
(MR2期、DPT、IPVと同時接種)


おたふくかぜワクチンはMRワクチン、水痘ワクチンなどの他の生ワクチンと同様に、しっかりと免疫をつかせるためには、2回接種が基本です。小児科学会もVPDの会も、おたふくかぜワクチンの2回接種を強く推奨しています。

当クリニックも、かかりつけの患者さんにはMRワクチン2期と同時に、おたふくかぜワクチンの2回目の接種することを、強くお勧めします。

当クリニックの強力な働きかけで、2019年4月から品川区の接種費助成が始まりました。詳細はこちら)

おたふくかぜに自然に感染したときに起こるムンプス髄膜炎は約10人~20人に1人という高率です。しかも、より重い脳炎(脳そのものに炎症が起こる)が6000人に1人の割りで起こり、この脳炎は高頻度に後遺症を残します。

また、永久に一方の耳が聞こえなくなる「ムンプス難聴」が、100~1000人に1人の割合で後遺症として残ることが、現在問題になっています。このムンプス難聴は、ほとんどが片耳に、感音性の高度難聴(大きな音も聴こえなくなる)を、ほほの腫れの4日前から腫れた後18日ぐらいの間に起こす、極めて重い後遺症です。


おたふくかぜワクチンの副反応でまれに髄膜炎を起こすことはありますが、実際におたふくかぜにかかったときの合併症(髄膜炎、脳炎、難聴)とは、発生する頻度も症状の激烈さもワクチンの副反応などとは比較になりません。

予防接種でおたふくかぜを防ぐことが、お子さまの健康と未来を守ることです。

当クリニックは、このメッセージをお父さま、お母さまに強く訴えたいと思います


お父さま、お母さまも予防接種を受けておらず、かかった記憶もないならば、ぜひ接種を受けてください。

おたふくかぜは症状の出ないで感染している不顕性感染が比較的見られますが、ワクチン接種すれば既感染の場合、抗体を強化する(ブースター)効果が期待できます。ワクチン接種に何も問題はありません。


三種混合ワクチン(DPT)→高度推奨レベルB(強く推奨)
(MR2期、おたふく2期、IPVと同時接種)


4~5歳が、百日咳の免疫力が最も低下する時期です。この時期に現在流行している百日咳に感染して発病すると、本人は症状が軽いものの、4種混合ワクチン接種前の0~2か月の赤ちゃんが感染すると、重い百日咳を発病してしまいます。

百日咳抗体の低下する5~6歳に、MR2期に合わせて三種混合ワクチンを追加接種することは、WHOも推奨する適切な追加接種と考えられます。当クリニックも正会員になっている、VPDの会でも追加接種を推奨しています。

特に5~6歳の兄弟のいるご家庭に新生児が生まれた場合は、ぜひ検討すべきと考えます。ただし、この接種は任意接種となりますので、費用が発生します。

0歳の兄弟のいる5~6歳児は、赤ちゃんに百日咳を移さないために、MR2期、おたふくかぜワクチン2期と同時に、DPT(三種混合ワクチン)とIPVを接種することを強くお勧めします。(三種混合ワクチン参照)

兄弟がいないお子さまも、5~6歳は百日咳の抗体が下がる時期なので、接種を行うことは無駄になりません。

不活化ポリオ5回目→高度推奨レベルB(強く推奨)
(年齢特定せず)


DPT(三種混合ワクチン)の項で述べた百日咳と同じく、ポリオウイルス(小児まひ)の抗体もまた、2歳以降追加接種がないため、徐々に下がっていきます。

そのため、ポリオに対する免疫を強化するために、欧米では小学校に入学するころ4~6歳に、追加接種を行う国が多いようです。

我が国内では現在ポリオの発生はありませんが、今もポリオの発生が続く国もあります。5回目の不活化ポリオワクチンの追加接種は、十分意義があるものと当クリニックは考えます。(定期接種不活化ポリオワクチン参照)

髄膜炎菌ワクチン→推奨レベルC(推奨)(年齢特定せず)

日本小児科学会は、メンクアッドフィの接種を推奨する人として、
①髄膜炎菌感染症流行地域へ渡航する2歳以上の者
②ハイリスク患者(補体欠損症、無脾症、HIV感染症などの病気の児)
③ソリリス治療の患者(発作性夜間ヘモグロビン尿症という病気で治療中の児)
④学校の寮などで集団生活を送る者
を上げています。


我が国では外国に旅行する場合を除いては、接種の必要のないワクチンと考えられてきましたが、外国人と接触する機会の多い人、あるいは夏休みなどに欧米の全寮制の高校に入学する人、国内でも全寮制の高校などに入学する人は、髄膜炎菌ワクチンの接種をお勧めします。
任意接種髄膜炎菌ワクチン参照)



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