新型コロナウイルス検査陽性の時の対応 2023年1月7日更新
2022年9月26日に、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部から事務連絡「With コロナの新たな段階への移行に向けた全数届出の見直しについて」という通達が出され、新型コロナウイルス検査陽性者への対応が大幅に変更されました。
この通達は保健所、医療機関が極度に疲弊しているから、ということを変更の理由に上げています。しかし、残念ながら、この通達には「コロナにかかって本当に苦しむ、綿密に係わらなければならない患者さんへの対応」という視点が見事に欠落しています。(たしかに軽症コロナ患者に対する対応を変えなければならないことは、焦眉の課題でしたが。)
例えば、生後1ヶ月の高熱を出した赤ちゃんが対象外にされるなど、小児科医の側からも問題点が指摘され、日本小児科医会が厚労省に提案を行う事態になりました。(小児科医会の提案内容はこちら)
厚労省もこんな粗雑な方針を打ち出したと言うことは、実質コロナを2類扱いすることをこの時点で放棄したということを意味しています。
5類に向けてカウントダウンに入った、2023年1月現在の、新型コロナウイルス陽性者への対応について、わかりやすくまとめてみます。
Ⅰ 医療機関から保健所への発生届が限定されることになりました
1.新型コロナウイルス感染症患者の全数報告の見直しによる、医療機関から保健所への届け出の対象者が限定されました
2022年9月25日までは、2類感染症という扱いのため、コロナと診断した医療機関はただちに、保健所へ発生届を提出しなければなりませんでした。
微に入り細に入り記録を書かなければならない、このハーシスの登録が医療機関にも保健所にも、過重な負担になっていましたが、2022年9月26日、厚労省は今までと同じように医療機関から保健所へ新型コロナ発生届けを提出しなければならない対象を、4種類の集団(4類型と呼ばれます)に限定すると通達しました。
①65歳以上の高齢者
②入院が必要な人
③妊婦
④重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬や酸素投与が必要な人
そして、それ以外の検査陽性者には保健所は基本的に関与せず、陽性者がご自身でいろいろと対処するように改められました。
そのため、当クリニックで検査陽性になった患者さんのほとんど(お子さま、ご両親)は発生届の対象外となり、当クリニックから発生届を保健所に提出することはできかくなりました。患者さんご自身で対応していただくことになったのです。
まず、発熱、その他咳、咽頭痛、全身のだるさなどが出現した場合は、自宅で検査できる場合は自主検査を行います。検査キットがない、受診を希望される場合は、まず電話でご予約いただき、当クリニックの発熱外来で検査を行うことになります。(図は東京都多摩府中保健所のHPから転載)
2.当クリニックで抗原・PCR検査が陽性になった場合
当クリニックでは、コロナ検査陽性になった患者さんには、東京都作成チラシを配布しています。
このチラシの最下部には検査陽性証明を記載する箇所があり、(上チラシでは、その部分は削除してあります。)コロナ抗原検査の場合は陽性記録を記載した上でお渡ししますので、東京都陽性者登録センターにご自身で登録を行っていただきます。
PCR検査の場合は、結果判定は翌日になるため、陽性の場合の検査陽性証明の書き方は、結果報告の電話報告の時に具体的にご説明いたします。
検査陽性になった場合、東京都陽性者登録センターへ登録します。(上段のQRコードで登録します。)
登録は任意とされていますが、東京都の支援を受けるには登録が必要なので、当クリニックは登録を推奨します。
*東京都陽性者登録センターの詳細はこちらをご参照ください。
東京都陽性者登録センターへの登録には、氏名、年齢、住所、身分証明を示すもの、チラシの陽性診断書が必要です。
登録することにより、健康観察(マイ・ハーシス利用)、食料品やパルスオキシメータの配給、都の宿泊療養施設の利用などが可能になります。
自宅療養中、相談事がある場合は、うちさぽ東京に連絡します。このうちさぽ東京は陽性者登録センターへの登録の有無にかかわらず、陽性者のいろいろな相談事に応じているそうです。
また、東京都陽性者登録センターへの登録の有無にかかわらず、コロナ陽性と診断されれば、必要な場合、品川区保健所(居所が品川区の方。他区住人はその地区の保健所)から各種必要な援助を受けることができるそうです。
3.当クリニックで検査を行なわず、自主検査で陽性だった患者さんについて
一方、当クリニックで抗原検査、PCR検査を行わず、自主検査(コロナ疑いの人が、自宅で検査キットを用いて自分で行う検査のことです。)を行った患者さんは、いずれの方法で検査しても、検査陽性者は前述の「東京都陽性者登録センター」に登録できます。
この時に、医療機関に受診する必要はありません。以下に、東京都作成の別のチラシを提示いたします。
ただし、自主検査で陽性だったが、症状があるため、診察希望、ないし投薬希望の場合でも、陽性が判明した場合は医療機関では受診できません。
かかりつけ医、または近くの医療機関と上記のチラシには書かれていますが、当クリニックは、当クリニックかかりつけ医に登録されている患者さんには、かかりつけ医療機関として、陽性患者のいろいろなご相談にも応じています。
*そのためのかかりつけ医制度です。当クリニックにかかりつけ登録の済んでいる患者さんは、どうぞご相談のお電話を、診療時間内にクリニック受付におかけください。
他院がかかりつけの患者さんは、ご自身が選んだかかりつけの先生にこそ、ご相談なさってください。また、かかりつけを持たない患者さんは、当クリニックにご相談がご希望の場合は、かかりつけのご登録をまずお願いいたします。
自主検査で陰性だった場合は、コロナ感染ではない場合と、検査の手技、時間などの因子でコロナ感染なのに偽陰性になった可能性もあります。
発熱が続く、咽頭痛や全身倦怠がある場合は、当クリニックは精確を期して発熱外来でPCR検査も行っています。まず、電話でご相談ください。
コロナ検査キットの入手法
濃厚接触者となった無症状の都民、20歳台~40歳台で発熱などの症状がある都民は、東京都に申し込むとコロナ抗原検査キットを配布してくれます。
発熱等の症状のある方のための検査キット配布
濃厚接触者となられた方のための検査キット配布
また、一部の医療機関では、検査キットを希望者に配布しています。
発熱などの症状がある患者が、あらかじめ東京都HPからダウンロードした「検査キット配布申込書」を持って医療機関を受診し、医療機関から検査キットを受け取ります。
この検査キットを用いて、患者は自宅で自主検査を行い、陽性の場合は医療機関を受診するか、東京都陽性者登録センターに登録できるシステムです。
当クリニックは来院した患者さんには検査を行っているため、この配布事業に参加しておりません。
自宅療養中に、本人または同居者が無症状から発熱、咳、咽頭痛などの症状が出た場合
基本的に抗原検査キットを入手して、自主検査を行う事になります。(ただし、この場合使用できる検査キットは、体外診断用医薬品として承認されている抗原定性検査キットだけです。)
当クリニックかかりつけの患者さんは、電話でご相談ください。電話によるオンライン診療によって、お薬を出せるケースもあります。
その他の方は、うちさぽ東京にご相談ください。
東京都福祉保健局:療養者・濃厚接触者の方へ
濃厚接触者は現在、保健所は係わらず、ご自分で確認することになりました。
濃厚接触者の判断のチェックリストを挙げます。
「職場・学校などで陽性者が発生した」
「家族・友人・知人が陽性者になった」場合には、
以下のチェック項目で、自分が濃厚接触者に当たるか確認することになります。
※陽性となった人に、症状がある場合⇒症状が出た2日前~ 人に移す可能性があります。
※陽性となった人に、症状がない場合⇒検査した日の2日前~人に移す可能性があります。
この期間に接触している場合には、次の項目を確認します。
1.対面で手が触れる距離(1m以内)に、15分以上一緒でしたか?
ポイントは、接触状況が「対面」「会話」「飲食」「換気の悪い室内」などであるか。
2.マスクをしないで、会っていましたか?
あなたがマスクをしていても、陽性者が外していた場合は該当。
また、あごにずらす、鼻マスクなど、正しく着用できていない場合も該当します。
1と2が同時に該当する場合は、濃厚接触者となります。
3.陽性者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機等含)がありましたか?
4.陽性者の唾やくしゃみ、それらが付着した物などに触れた可能性はありますか?
直接触れた後に、アルコールで手指消毒をしていない場合に該当
3と4いずれかに該当する場合も、濃厚接触者となります。
濃厚接触者の定義:感染可能期間(発症2日前等)に接触し、次の範囲に該当する方。
1. 同居あるいは長時間の接触(車内・航空機内等を含む)があった。
2. 適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護した。
3. 患者の痰や体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い。
4. 手で触れることのできる距離(目安として1メートル)で、 必要な感染予防策なしで、患者と15分以上の接触があった。
Ⅱ コロナ陽性者の療養期間について
陽性結果を受けた保健所の対応が、2022年9月7日から再び変わりました。(
新型コロナウイルス感染症-区民の方へ)
療養期間について(目安)
症状のある方の療養期間(患者、疑似症患者)
発症日(症状出現した日)を0日目として、次の日から7日間(症状が無くなってから24時間を経過するまで)まで自宅療養とします。ただし、咳がひどい、微熱が続くなど、症状が続く間は、7日過ぎても症状が無くなるまでは、療養は解除となりません。(下表参照)