コミナティ筋注(ファイザー社製のmRNAワクチン)について 2023.3.21更新
コミナティ筋注(ファイザー社製mRNAワクチン)
1)開発元
ドイツの遺伝子医薬品開発ベンチャー企業だったビオンテック社と、アメリカの製薬企業ファイザーが、共同で開発したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンです。
2)作用機序
新型コロナウイルスが細胞に侵入するときに、細胞に密着するスパイクと呼ばれる糖蛋白(ウイルスから出ているトゲの蛋白質)を設計する情報を持ったmRNA(メッセンジャーRNA)を、脂肪の膜である脂質ナノ粒子で包み込んで、ヒトに接種するmRNAワクチンです。
ヒト体内に注入されたmRNAが、ヒト体内の細胞質でヒトの成分を使って、SARS-CoV-2のスパイク蛋白を作ります。ところがこのウイルススパイク蛋白はヒトにとって異物のため、免疫が誘導されます。
ただし、この作成されたウイルスのスパイク蛋白自体は無害です。また、このスパイク蛋白が作られた後、ワクチンのmRNAはヒトの細胞で処理されて、数時間で破壊されます。mRNAがヒト体内に長く留まることはありません。
また、このmRNAはヒト細胞の細胞質リボゾームでスパイク蛋白を作り出しますが、ヒト細胞核内に侵入することは出来ないので、ヒトの遺伝子情報そのものが影響されることはありません。
3)ワクチンの種類と接種方法
ファイザー社製コミナティは現在使用されているワクチンは4種類あります。
A.コミナティ筋注(1価ワクチン)→当クリニックの接種は終了しました
B. コミナティRTU筋注(オミクロン対応2価ワクチン)→→当クリニックの接種は終了しました
C. コミナティ筋注5~11歳用(1価:起源株)→小児用コロナワクチンについてはこちら
D. コミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株 BA.4-5)→小児用コロナワクチンについてはこちら
E. コミナティ筋注6ヶ月~4歳用(乳幼児用ワクチン)→乳幼児用コロナワクチンについてはこちら
コミナティの4種類のワクチンは、製剤そのものが、全くそれぞれ異なっています。
成人用コロナワクチン(コミュナティ筋注) | 小児用コロナワクチン(コミナティ筋注5-11歳用) |
4)ワクチンの効果
このファイザーワクチンの第3相試験は、2020年7月からアメリカ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、ドイツなどの154施設で開始され、43538例が登録され、38955例が2回ワクチンの接種が行われました。解析結果は、ワクチンの発症予防効果は95%と報告されました。
一方、デルタ株については、発症予防効果は88%と報告されています。
無症状の感染を含めた感染予防効果は、12歳以上で2回目接種後1ヶ月以内では88%でしたが、5~6ヶ月には47%にまで有意に低下したとの報告があります。
また、発症予防効果についても、2回目接種後7日~2ヶ月未満では96.2%でしたが、4ヶ月以降では83.7%と低下していくことが確認されています。
小児用コミナティの効果については、こちらをご覧下さい。
5)ワクチンの対象
乳幼児用コロナワクチンは6ヶ月~4歳、小児用コロナワクチンは5歳~11歳、成人用コロナワクチンは12歳以上が対象となります。
ワクチン接種時の年齢が11歳の場合は、小児用で始め、2回目も小児用で接種を完了します。予診票・説明書のセットが小児用で届いても、接種開始時に12歳を過ぎていれば、成人用ワクチンを接種します。(予診票は同一なので、差し替えの必要はありません)
6)ワクチンの副反応
局所症状として、接種部位の痛み、腫れ、赤くなる、接種した側の脇の下のリンパ節の腫れがみられます。
全身症状として、発熱、全身のだるさ、頭痛、寒気、筋肉痛、関節痛がみられます。
即時型反応(接種4時間以内に起こる、じんましん、むくみ、ぜいぜい、アナフィラキシーなど)の発生率は0.63%、プラセボ(ワクチンに似せた生食水など)では0.51%と報告されています。
これらの副反応は接種後3日以内に起こり、多くは1~2日の経過で消失すると報告されています。また、1回目より2回目の方が、また55歳以上より18歳~55歳の方が多く起るようです。
ただし接種によって副反応が起きたとしても、新型コロナウイルスワクチン接種でアナフィラキシーショックのような重い症状が出た人、ポリエチレングリコール(PEG)やポリソルビートに重大なアレルギー歴のある人*で無ければ、2回目の接種は可能です。
*このような体質の人は、ワクチンに封入されている脂質ナノ粒子(LNP)にアレルギー反応を起す可能性があるためです。
mRNAワクチンは、他のワクチンと比較しても、接種後の副反応が強く表われます。注射の痛みは、最も痛いと評価されてきたプレベナー13やニュ-モバックスと同等か、それ以上と報告されています。
コミナティの我が国の副反応→伊藤澄信ら;健康観察日誌集計の中間報告(5):第20回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会