Ⅰ  予防接種の種類  (本章)                         


予防接種の種類

 予防接種には、定期接種と任意接種があります。

 定期接種のワクチンは、
BCG(結核)、四種混合(百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオ)、二種混合(破傷風、ジフテリア)、不活化ポリオ(ポリオ)、MR混合(麻疹、風疹)、麻疹、風疹、水痘日本脳炎ヒブ(インフルエンザ菌b型)、小児用肺炎球菌(小児の肺炎球菌)、B型肝炎(B型肝炎:母子感染予防事業以外)、HPVワクチン(子宮頸がん予防)、高齢者のインフルエンザ、成人用肺炎球菌(対象年齢規定)の15種類(予防する病気は全部で14種類)になりました。

 ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)、HPVワクチン(サーバリックス、ガーダシル)は、2013年4月1日より定期接種になりました。

 水痘ワクチン、成人用肺炎球菌ワクチン(ニュ-モバックス)は、2014年10月から定期接種になりました 。

 B型肝炎ワクチンは、2016年10月から定期接種になりました。



 任意接種のワクチンには、おたふくかぜ、ロタウイルス、インフルエンザ(老人以外)、A型肝炎、HPVワクチン(13歳以外)、髄膜炎菌、帯状疱疹、狂犬病、黄熱などがあります。

 任意接種のワクチンのうち、2013年4月1日の時点では、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会「予防接種制度の見直しについて(第二次提言:2012年5月23日)」で、定期接種化が好ましいとされた7つのワクチンのうち、水痘、おたふくかぜ、B型肝炎、成人用肺炎球菌ワクチンは、定期接種化が見送られ、任意接種に残りました。

 2014年1月15日に開かれた、第4回厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会で、水痘ワクチン、成人用肺炎球菌ワクチンが2014年10月をめどに、定期接種になることが決まりました。

 2016年2月5日に開かれた、第14回厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会で、B型肝炎ワクチンが2016年10月をめどに、定期接種になることが決まりました。


 しかし、おたふくかぜワクチン、ロタウイルスワクチンが任意接種のまま、いまだに取り残されています。先進国でおたふくかぜワクチンが定期接種になっていないのは、日本だけです。
 今、多くの小児科医は、おたふくかぜワクチンの2回定期接種化、ロタウイルスワクチンの定期接種化、HPVワクチンの積極的勧奨の再開に向けて、さまざまな活動を行っています。

 いつからどんな順番で受けるかは、下の理想的な受け方を参考に、地域の接種スケジュールを確認しながら予定を立てましょう。

理想的な受け方

 赤ちゃんは月齢が高くなるにつれ、ママから受け継いだ免疫が減って、病気に感染する機会が増えてきます。したがって、感染する可能性が高い病気から優先的に。4種混合+ヒブ+小児用肺炎球菌ワクチン+B型肝炎、BCGと受けて、次にMR混合+水痘+おたふくかぜといった順番がよいでしょう。

 任意接種は、費用がかかるので接種するかどうか迷われる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実際に病気にかかってしまうと、赤ちゃんに大きな負担がかかり、場合によっては一生涯消えない後遺症が残ることもあるのです。もちろん、ママもお仕事を休んで、1週間~10日間は赤ちゃんのそばで看病しなくてはなりません。

 さらに大事なことは、予防接種を受けることによって、ほかの赤ちゃんや高齢者の方、特にワクチンで免疫を付けることのできない免疫不全状態の難病の方に、病気をうつすことを防ぐことができるのです。任意接種のワクチンを受ける意義は、大きいものがあります。ぜひ、定期接種、任意接種の区別なく、ワクチンを積極的に受けましょう。

 2018年4月1日現在の、当クリニックのお勧めする基本的な接種推奨スケジュールを示しします。

 このスケジュールは現時点における、標準的なスケジュールを提示したものです。ぜひ、このスケジュールを基本に接種のスケジュールを考えてくださいね。

 しかし、もしも接種できるワクチンはすべて受けて、お子さまをワクチンで防げる病気から最大限守りたいという、一歩進んだ先進的なお考えの保護者の方がいらっしゃったら、別項に示す、当クリニックの考える最高レベルの予防接種スケジュールをご参考にしてください。(→2018-鈴の木版最高レベルの接種スケジュール

   ●標準的な接種推奨スケジュール(2018年4月現在)

月齢/年齢 接種するワクチン  解説
2ヵ月 ヒブワクチン1 ヒブワクチン1回目+小児用肺炎球菌ワクチン1回目+B型肝炎ワクチン1回目同時接種+ロタリックス1回目経口接種
小児用肺炎球菌ワクチン1 (ロタリックスは生ワクチンのため、接種後4週間は他のワクチンは接種できない)
B型肝炎ワクチン1 (B型肝炎は1ヵ月間隔で2回、5ヵ月後に3回目)
ロタリックス1 (ロタリックスのみ経口)
3ヵ月 4種混合ワクチン1 4種混合ワクチンⅠ期初回+ヒブワクチン2回目+小児用肺炎球菌ワクチン2回目+B型肝炎ワクチン2回目同時接種+ロタリックス2回目経口接種
ヒブワクチン2 (ロタリックスは生ワクチンのため、接種後4週間は他のワクチンは接種できない)
小児用肺炎球菌ワクチン2
B型肝炎ワクチン2 (B型肝炎1回目から1ヶ月後)
ロタリックス2 (ロタリックスは2回で終了)
4ヵ月 4種混合ワクチン2 4種混合ワクチンⅠ期2回+ヒブワクチン3回目+小児用肺炎球菌ワクチン3回目同時接種
ヒブワクチン3
小児用肺炎球菌ワクチン3
5ヵ月 4種混合ワクチン3 4種混合ワクチンⅠ期3回目。単独接種
6ヵ月 BCG BCG1回(BCGは生ワクチンのため、1回のみ。接種後4週間は他のワクチンは接種できない)
8ヵ月 B型肝炎ワクチン3 B型肝炎ワクチン3回目単独接種(B型肝炎は1ヵ月間隔で2回、5ヵ月後に3回目。今回が3回目で最後)
1歳 MRワクチン1 MRワクチンⅠ期+水痘ワクチン+おたふくワクチン 同時接種
水痘ワクチン1 (水痘は1歳6ヵ月時に追加接種)
おたふくワクチン (5歳時に、MRⅡ期とともに、おたふく2回目接種も推奨。MRは定期接種、おたふくは任意接種扱い)
1歳1ヵ月 ヒブワクチン4 ヒブワクチン4回目+小児用肺炎球菌ワクチン4回目同時接種
小児用肺炎球菌ワクチン4
1歳6ヵ月 4種混合ワクチン4 4種混合ワクチンⅠ期追加+水痘ワクチン2回目同時接種
水痘ワクチン2回目2 (1歳6ヵ月ごろに、水痘の2回目接種)
3歳 日本脳炎ワクチン1 日脳ワクチンⅠ期初回単独接種(日脳ワクチンは、Ⅰ期は3歳時に1ヵ月間隔で2回、4歳で追加1回、Ⅱ期は9歳時に接種)
3歳1ヵ月 日本脳炎ワクチン2 日脳ワクチンⅠ期2回単独接種(次回日脳ワクチンⅠ期追加は1年後)
4歳 日本脳炎ワクチン3 日脳ワクチンⅠ期追加単独接種(次回、日脳ワクチンⅡ期は9歳)


定期接種・任意接種

 ある年齢になったら、「保護者が積極的に接種に努めなければならない」とされているのが定期接種。義務ではなくとも病気の危険性から、国や自治体が強く予防接種を勧めているもので、決められた期間内なら公費の補助(多くの地域では無料)で接種ができます。

 また、万一健康被害が起こったときには「予防接種法」の適用により、死亡時には最高4360万円の補償が受けられます。
厚労省「予防接種健康被害救済制度」)

 任意接種は、希望者だけが受ける予防接種です。自費になりますが、任意接種の対象になる病気も、やはり合併症や後遺症の危険性を伴うので接種が勧められます。

 なお、任意接種も薬害補償制度の対象になり、健康被害の起きた場合は、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」により、最高711万円の補償が受けられます。

 ただ、任意接種に含まれるワクチンも、重要度からいえば定期接種のワクチンと変わりません。そのため、任意接種のワクチンも定期接種として、十分な補償のもとに無料で接種できるよう、現在さまざまな運動が進められています。

 現在任意接種は、次々と定期接種に「昇格」しており、残っている主なワクチンはおたふくかぜ、ロタウイルスのみになりました。品川区では、この2つのワクチンの接種費用を助成しています。現在、当クリニックは、おたふくかぜワクチンの2回めの接種(5歳)費用の助成を、強く区に要望しています。


生ワクチン・不活化ワクチン

 生ワクチンは毒性をごく弱くした病原体を生きたまま接種して、病気に軽く感染させて免疫力をつけようというものです。体内で病原体が殖えるので、接種後4週間はほかの予防接種が受けられません。

 不活化ワクチンは死んだ病原体の成分やその毒素を無毒化して用いるため、免疫反応を起こすのに十分な回数だけ接種する必要があります。接種後1週間あければ、ほかの予防接種が受けられます。
 
 ただし、「この1週間あける」というのは、日本だけで行われている、慣習的なローカル・ルールです。先進国では不活化ワクチン接種の後、1週間あける必要はないとされています。そして、この「1週間あける」という制約が、予防接種のスケジュール作りを複雑にしている理由の一つになっています。そのため、小児科学会は、この意味のない「1週間ルール」を撤廃するよう、 厚労省に要望を出しています。


集団接種・個別接種

 集団接種とは、予防接種に適した年齢になった赤ちゃんが、地方自治体ごとに決められた日時、会場に集まって受ける予防接種のこと。品川区では、現在集団接種は行っておりません。

 一方、かかりつけの小児科などに行って、個人で受ける予防接種が個別接種
こちらは赤ちゃんのことをよく知っている、かかりつけの医師による診察が受けられ、赤ちゃんの体調で日程が決められるメリットがあります。

 当クリニックの予防接種の詳細は、外来診療のご案内を参照下さい。

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受ける前にすること

数日前

1.地域の予防接種スケジュールを確認

 予防接種は各自治体によって実施させているため、自治体からスケジュールのお知らせがあります。ただ、事前に通知が来る自治体もあれば、広報などに掲載されるのみの自治体もあるようです。

 品川区では、保健所から予診票が郵送されてきます。また、かかりつけの小児科の先生に、スケジュールを立てていただくのもよい方法です。

2.予防接種について理解しておく

 右は財団法人予防接種リサーチセンターが発行している、予防接種の冊子「予防接種と子どもの健康」です。
 予防接種の一覧や接種対象の病気、受けるときの注意などが細かく記載されています。よく読んで予防接種への理解を深めておきましょう。

 ほか、自治体で独自のパンフレットを作って配布している所もあります。受け取ったら、必ずきちんと目を通しておくことが大切です。

3.接種日・時間などをチェック

 個別接種の場合は受ける病院へ連絡、または受診して、接種日、時間を確認しておきましょう。

前日

前日までに予診票に記入

 予診票は、赤ちゃんの体調や体質を医師に伝える大切なデータです。地域によっては当日配布されることもありますが、あらかじめ入手できる場合は入手して、前日までに必要事項を正確に記入しておきましょう。 当日、この予診票を医師に見せて、予診を受けます。

当日

1.赤ちゃんの体調を確認

 当日は家でも赤ちゃんの体温を測って、平熱か確認しておくと安心です。受けられる目安は37.5℃。ほかにも、うんちはいつもと変わりないか、体に発疹など出ていないかなど、 赤ちゃんに変わったところがないかチェックしましょう。授乳は接種30分前までに済ませておきます。

2.持ち物はOK?

 予診票と母子手帳はくれぐれも忘れないように。おむつやタオルも必需品です。泣いたときにあやすおもちゃ、吐いたときのための着替え、飲み物、ミルクなど持っていくと、役に立ちます。

3.脱ぎやすい服でGO!

 予診や接種で、脱ぎ着せがひんぱんにあります。前あきの服など、着せやすい服を選びましょう。腕だけでなく、お腹や背中が出しやすいかも考えて。

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受けた後にすること

クリニックで

1.BCGはよく乾かしてから服を着せる

  ワクチンが確実に吸収されるように、必ず乾いてから服を着せるようにします。ママの髪や服にも注意しましょう。髪の長いママは、まとめておくとじゃまになりません。

2. 接種後はしばらくクリニック内で様子を見る

 ごくまれですが、接種後に急なアレルギー反応が起こることがあります。接種後、30分が理想ですが、少なくとも15分ぐらいは病院内にいて、赤ちゃんの様子を見ましょう。

 当クリニックでは、予防接種後15分間は、院内で経過を見るようにしています。

帰宅後

1. いつもどおりの生活を

 特に安静にする必要はありません。激しい運動は避けたほうがいいですが、普通に遊んで大丈夫。授乳や離乳食も赤ちゃんのぺ-スで与えてかまいません。

2. 人ごみを避ければ、外出もOK

 わざわざ外出したり、遠出したりすることはないですが、買物などはいつもどおり連れていってかまいません。人込みはできるだけ避けて。

3. お風呂にも、入れま

 接種後1時間たてば、当日でも入浴できます。ただ、接種した部分はこすったりしないように気をつけましょう。

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副反応のこと、もっと知りたい!

Q.どうして副反応が出るの?

 そもそも、予防接種とは、毒性をほとんどなくした病原体や、死んだ病原体の一部を体に入れ、軽く病気に感染させて免疫を得ようとするもの

 ですから、体に多少負担になることは確かで、赤ちゃんによってはワクチンに敏感に反応して病気の軽い症状が出てしまったり、ワクチンの成分に何らかの反応を起こすことがあります。これを副反応と呼びます。

 病原体に感染してもいないのに、わざわざ病原体を接種して、「副作用」のリスクを負いたくない…と思われるのは当然ですが、本当に病気にかかったときの負担は、予防接種のそれとは、重さも深刻さも比べものになりません。

 このような悲惨なお子さまを数多く見てきました。予防接種のある病気は、いずれも自然感染すると重症になって後遺症を残したり、死亡する恐れのあるものばかりです。そのため予防接種が開発された背景を忘れてはなりません。

 ワクチンは毒性をほとんどなくした病原体や、死んだ病原体の一部を体に注入して、軽く病気に感染させるのですから、いかに努力を尽くしても副反応をゼロにすることはできません。

 最も優秀なワクチンとは、効果が最大で、副反応が最小のワクチンと考えられます。抗体の上がりが良くても副反応が強くでる、あるいは副反応はほとんどないが抗体もあまり上昇しない、というワクチンはいずれも欠陥ワクチンといわざるを得ないでしょう。

 ワクチンの開発の歴史は、いかに効果が高く、副反応を限りなくゼロに近づけたワクチンを生み出すかという、感染症の専門家とワクチンメーカの技術者の汗と努力の歴史なのです。

 ワクチンの接種を受けるという行為は、何百万回に1回の割で起こる可能性のある、重い副反応のリスクを皆で共有しながら、自分の子どももほかの子どもも等しく、ともに恐ろしい感染症から守るという点に意義があるのです。

 不幸にして0ではない深刻な副反応を生じてしまったお子さまと保護者の方には、被接種者全ての保護者と国からの心からの同情と感謝、そして国からの手厚い支援と補償が必要でしょう。
 しかし、一般のワクチンの副反応は、実際発病したときの症状の激烈さとは比較にならないレベルのものがほとんどです。

 「副作用」が怖いといって、ワクチン接種を拒否している保護者を時々見かけます。「別によそ様に迷惑はかけていません!」というのがこの人たちの常套句です。また、入れ替わり立ち代わり、「反ワクチンの教祖」が現れ、ありがたいお札をもらえば、ワクチンを打たなくても子どもが病気にならないと信じている、信者を惑わしているようです。

 しかしこのような人の子どもでも、実はワクチンをきちんと接種し、病気に対する免疫をつけてきた、大多数の良識ある保護者達のお子さまの集団に守られているのです。

 自分の子どもだけはリスクを拒否して、その集団的利益は平気で享受するという、エゴ丸出しの身勝手な行動をワクチン反対派は褒め称えているのです。

 また、子どもの当然の権利と考えられる、ワクチン接種による個人防衛の機会をわが子から奪っているこのような愚かな行為は、児童虐待にあたるのではないでしょうか。

Q.考えられる副反応のいろいろは?

 不活化ワクチンの場合、副反応が出るとしたら接種後12日のうち。一方、生ワクチンは接種して13週間後というように、そのワクチンの性質によって出現時期が異なります。

 また、こうした副反応は、その症状の大半は軽いものばかりです。自然感染のように重症化せず、数日で自然に回復し、ほとんどは受診の必要もなく治ります。

 予防接種との関係が比較的はっきりしている副反応に、ゼラチンアレルギーによるアナフィラキシーショックがありましたが、現在ワクチンはすべてゼラチンフリーになっており、この問題は解決しました。

 一方、不活化ワクチンに含まれるチメロサールが自閉症と関連するという迷信が、いまだに一部に根強く信仰されており、アメリカでは麻疹の小流行の原因になるなど、問題になっています(詳細次項)。

Q.水銀入りのワクチンって危険?

 防腐剤の有機水銀チメロサ-ルについては、別稿で詳細に解説いたします。→こちら

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”万が一”の補償―救済制度

 予防接種を受け、その後に万が一重い副反応が出たり後遺症が残った場合は、国から医療手当や傷害年金、介護する人に対しても介護料などが支給されることが定められています。厚労省「予防接種健康被害救済制度」)


 これが定期予防接種の救済制度。実際、制度が適用されている例は予防接種との因果関係が明らかではない紛れ込み事故が大半なのですが、”疑わしきは救済”を基本方針に国が援助の手を差し伸べています。


 
なお、任意接種も薬害補償制度の対象になり、健康被害の起きた場合は、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」により、補償が受けられます。

 適用があるのは、たとえば入院したり、ひじを越えるほど腕がはれるなど健康被害の認定を受けたとき。多少のはれや発熱、けいれんなどは一般的に起こりうる副反応と考えられ、受診費用は親の負担になります。

                           副反応早見表

予防接種

ときどき見られる副反応

注意すべき副反応

受診の目安

BCG

接種後2~4週間で針のあとが赤くなり、化膿することも。2ヵ月ほどでかさぶたに

わきの下のリンパ節がはれることも。割合は100人に1人以下。23ヵ月で自然に治る。
 
きわめて稀に、全身播種性BCG感染症、骨炎・骨髄炎、皮膚結核様病変。

化膿したところがいつまでも治らなかったり、うみがひどいとき。わきの下が大きくはれて痛がったときなど


四種混合

接種したあとが赤く腫れたり、しこりができることも

接種してから24時間以内に、発熱や刺激に過敏になる(易刺激性)ことも。
きわめて稀に、ショック、アナフィラキシー、脳炎、けいれん。

痛がるほど注射のあとが腫れたり、肘から下まで腫れたとき。また、接種して2日以内に38度以上の熱が出たとき

MR混合

接種後7~10日目ごろ、発熱や軽い発疹など、ごく軽いはしかの症状が見られることも。高校生以上だと軽い発熱や発疹、リンパ節のはれが見られることも

熱性けいれんや、脳炎など、本物のはしかにかかったような合併症がごくまれに起こることも

2~3日たっても熱が下がらなかったり、ひどいせき、嘔吐、けいれん、粗い呼吸が見られたとき。意識がはっきりせず、うとうとと寝てばかりいるとき

 
不活化ポリオ ほとんどないが、まれに発熱や、接種部位が赤くなったり、腫れたりすることも。 きわめて稀に、寝がちになったり、刺激に敏感(易刺激性)になることも。
痛がるほど注射のあとが腫れたり、肘から下まで腫れたとき。また、接種して2日以内に38度以上の熱が出たとき

日本脳炎

ほとんどないが、まれに発熱やじんましん、接種部位が腫れることも。

特にない。

 

水ぼうそう

ほとんどないが、まれに発熱や水ぼうそうのような発疹が見られることも

特にない

 

おたふくかぜ

2~3週間後に耳下腺が腫れたり、発熱することも

数千人に1人の割合で、無菌性髄膜炎を起こすことも。ただし、一般に後遺症は残らない。

嘔吐や頭痛、けいれんが見られたとき

インフルエンザ

ほとんどないが、まれに発熱、悪寒、頭痛、だるさ、接種部位がはれることも

きわめて稀に、ギランバレー症候群(立てなくなる)、ADEM、脳炎など。

 

B型肝炎

ほとんどないが、まれにだるさ、頭痛、接種部位が腫れることも

5価ロタテックのワクチンバイアルには天然ゴム(ラテックス)が含まれているため、ラテックスアレルギーの人は注意。

 

ヒブ 
 
ほとんどないが、まれにだるさ、頭痛、接種部位が腫れることも

 特にない。  

肺炎球菌 
 
ほとんどないが、まれにだるさ、頭痛、接種部位が腫れることも

 特にない。  
 
ロタウイルス

 
ほとんどないが、まれに下痢、鼓腸、発熱、頭痛、だるさ

 腸重積(血便、ぐったり、腹痛、嘔吐)に注意  


予防接種のソボクな疑問

Q.予防接種って、何歳ぐらいまでに済ませるものなの?

 定期接種は公費で受けられる時期がきたら、早めに受けるのが基本。接種が遅れるほど感染の危険性が高まり、一番病気を予防したい、重症化しやすい時期に間に合わないことがあるからです。

 たとえば結核、百日咳、細菌性髄膜炎は小さな赤ちゃんほどかかるとリスクが大きいもの。それぞれを予防するBCG、四種混合、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンは早めに済ませたいものです。

 そして、
1歳を過ぎたらすぐにMR、水ぼうそう、おたふくかぜを接種。三歳になったら日本脳炎を受けましょう。もしも公費で受けられる時期を逃したとしても、任意で接種ができますので、必ず接種を行い、免疫を付けておきましょう。

Q.予防接種が受けられないのはどんなとき?

 受けられないのは、

   
①当日、375分以上の熱があるとき 
   ②重い急性の病気にかかっているとき 
   ③予防接種でアナフィラキシーショック(血圧低下、じんま疹、呼吸困難など)を起こしたことがあるとき 
   ④医師が不適当と判断したとき 
   ⑤はしかなど重症の感染症にかかってから
1ヵ月たっていないとき

 
以上5つの場合です。

Q.かぜや突発性発疹などの病後は、どのくらいの間をあけて受けるの?

 特に定説はないのですが、かぜなら状態が落ち着いていれば、接種OK。突発性発疹は病後1週間~2週間あければ大丈夫。また、はしかなど重い感染症にかかった後は、免疫力が落ちているので1ヵ月以上あけることになっています。

 いずれにしろ、接種を行うかどうかは、かりつけの先生と相談して決めるのが基本です。

Q.熱性けいれんを起こした後はすぐ受けられない?

 むかしは熱性けいれんを起こすと、1年間は予防接種が受けられませんでした。1994年に制度が改正になり、今ではかかりつけの医師と相談して、接種を決めることができるようになりました。

Q.アレルギーの子は、どんなことに気をつけるの?

 アレルギー体質があるだけなら、全く予防接種は問題はありません。重症のアレルギーを持つ赤ちゃんは、ワクチンに含まれる微量の成分に対して、アレルギー反応が引き起こされる可能性も皆無ではないため、主治医とよく相談しましょう。

 アレルギーと予防接種について、注意をしなければならないのは、卵アレルギーとインフルエンザワクチンのみです。

 アレルギーのある赤ちゃんこそ、本物の病気にかかると重症化しやすいものです。主治医とよく相談し、積極的にワクチン接種をお考えになった方が良いでしょう。

Q.予防接種を受けていない子が、受けたばかりの子といっしょにいても大丈夫?

 不活化ワクチンに関してはまったく問題ありません。生ワクチンも、多少ワクチンウイルスは排泄されますが、他のお子さまを発病させることはありません。

Q.予防接種って、毎月のように受けてもいいの?何ヵ月かおきのほうがいい?

 ワクチンは毒性をほとんどなくした病原体やその菌体の一部を用い、しかもごく微量しか接種していません。ですから、予防接種を毎月受けても、赤ちゃんの体に負担がかかる心配は全くありません。

 人間の体には、日々病原体が侵入しており、免疫反応が起きていない日はないことを忘れてはなりません。

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お断り この章は、当クリニック長鈴木医師が指導した育児雑誌「ベビーエイジ」(婦人生活社)1999年9月号、特別第1付録「完全クリア-秋からの予防接種」の文章を土台に大幅に加筆しました。その後も、随時加筆増補しています。