Ⅰ.予防接種の種類 (序論)   2023.8.27更新 


予防接種の種類

定期接種・任意接種

我が国で行われている予防接種は、定期接種任意接種に分けられます。 

ある年齢になったら、
「保護者が積極的に接種に努めなければならない」とされているのが定期接種。義務ではなくとも病気の危険性から、国や自治体が強く接種を勧めているワクチンで、決められた期間内なら公費の補助(多くの地域では無料)で接種ができます。

すなわち、定期接種のワクチンは、「予防接種法」という法律で定められているワクチンで、人から人に伝染し、社会に流行したり蔓延したりすることで、大きな被害をもたらす危険のある感染症が対象とされています。

前述の通り、定期接種は実施主体は市区町村(品川区)となります。そのため、その接種費用は自治体(品川区)が負担することになっています。

平成25年(2013年)4月から、定期接種の対象の病気はさらに、A類とB類に分けられました。

A類疾患は今までと同じ、「伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するために、公衆衛生の見地から予防接種の実施、その他必要な措置を講ずることにより、国民の健康の保持に寄与する」、国が接種を勧める重い病気が対象となります。
保護者は接種に努めなければならないとされ、国も積極的にその接種を勧奨しているワクチンです。

万一健康被害が起こったときには「予防接種法」の適用により、死亡時には最高4400万円の補償が受けられます。厚労省「予防接種健康被害救済制度」)

A類疾患には、ジフテリア、百日咳、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹(はしか)、風疹、 日本脳炎 、結核、インフルエンザ菌b型(ヒブ)感染症、小児の肺炎球菌感染症、 ロタウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、痘瘡(天然痘)が含まれます。

ただし、天然痘は法律より1段軽い政令によるものとされ、現在、定期接種(種痘)は現在実施されておりません(種痘より、天然痘は姿を消したから、とされています)。

A類疾患に対するワクチンは、BCG(結核)、四種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア、不活化ポリオ)、二種混合ワクチン(破傷風、ジフテリア)、不活化ポリオワクチン、MR混合ワクチン(麻疹、風疹)、麻疹単抗原ワクチン、風疹単抗原ワクチン、水痘ワクチン、日本脳炎ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン(B型肝炎:母子感染予防事業以外)、ロタウイルスワクチン、HPVワクチン(子宮頸がん予防)です。

平成25年(2013年)4月から高齢者インフルエンザワクチンはB類疾病に指定され、主にお年寄り個人を守るための新しい定期接種が始まりました。平成26年(2014年)10月には高齢者肺炎球菌ワクチンもB類の定期接種に加わりました。

B類の定期接種は努力義務はなく、国も積極的な勧奨は行っていません。また、B類は接種費用の一部が助成され、一部は自己負担となっています。さらに、健康被害の給付額は医療費はA類と同額ですが、障害年金などは少なくなっています。(厚労省「予防接種健康被害救済制度」)

現在、B類疾患の定期接種は、高齢者のインフルエンザワクチン、高齢者の肺炎球菌ワクチン(対象年齢規定)の2種類となっています。


これ以外に新型インフルエンザが大流行するような場合は、臨時の接種が別に設けられることになっていました。

 新型コロナワクチン(ファイザー社製、モデルナ社製のワクチン)は、この「予防接種法に基づく臨時接種」として、現在実施されています。


これに対し、任意接種は希望者だけが受ける予防接種です。法に基づかない接種で、自費扱いとなりますが、任意接種の対象とされた病気もやはり合併症や後遺症の危険性を伴うので接種が強く勧められます。

任意接種は薬害補償制度の対象になり、健康被害の起きた場合は「
独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」により、最高711万円の補償が受けられます。(ただし、東京23区は「全国市長会予防接種事故賠償補償保険」に加入しており、補償額は増額されています。)

任意接種のワクチンには、おたふくかぜ、インフルエンザ(老人以外)、三種混合ワクチン(DPT)、A型肝炎、HPVワクチン(12~16歳以外のガーダシル、サーバリックス、シルガード9。年齢に関係なく、男性のHPVワクチン)、髄膜炎菌ワクチン(メンクアッドフィ)、帯状疱疹(水痘生ワクチン追加承認。シングリックス)、狂犬病、黄熱、経鼻インフルエンザ生ワクチン(現在は)などが含まれます。

任意接種に含まれるワクチンも、重要度からいえば定期接種のワクチンと全く変わりはないため、特に重要な任意接種のワクチンは定期接種として、十分な補償のもとに無料で接種できるよう、現在も小児科医を中心にさまざまな運動が進められています。

特に、現在先進国でおたふくかぜワクチンが定期接種になっていないのは日本だけであり、おたふくかぜワクチンの定期接種化に向けて、活発な活動が続けられています。

品川区は、おたふくかぜワクチンの重要性をよく理解して、23区では珍しい2回分接種費用助成を行っており、各方面から高く評価されています。


生ワクチン・不活化ワクチン・mRNAワクチン・ウイルスベクターワクチン

生ワクチンは、毒性をきわめて弱くした病原体を生きたまま体に接種して病気に軽く感染させて、しっかりした免疫をつけようというものです。体内で病原体が殖えるので、接種後4週間はほかの生ワクチンは接種できません(お互い影響されるから)。

他の不活化ワクチンについては、いつでも接種可能です。

不活化ワクチンは、死んだ病原体の成分(狭義の不活化ワクチン)やその毒素を無毒化(トキソイド)して接種するものです。免疫反応を起こすのに十分な回数だけ、接種を繰り返す必要があります。

ほかのワクチンはいつでも接種可能です。

mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは、ウイルスの遺伝子情報であるRNA(核酸)を脂肪の微粒子で包み、接種するものです。このRNAが、ヒトの体内でヒトの組織を使って、ウイルスの一部(トゲの部分)を作り出し、これに対する免疫が誘導されます。

免疫反応を起こすのに必要な回数だけ、接種が必要です。新型コロナワクチンで初めて実用化された、新しい種類のワクチンです。

ほかの予防接種とは、現在は2週間、接種前後、空けることになっています。

ウイルスベクターワクチンはウイルスの遺伝子情報であるRNA(核酸)をヒトに無害なウイルスの核内に挿入し、このRNAがヒトの体内で人の組織を使って、ウイルスの一部(トゲの部分)を作り出し、これに対し免疫が誘導されます。

免疫反応を起こすのに必要な回数だけ、接種が必要です。このワクチンも新型コロナワクチンで初めて実用化されました。

ほかの予防接種とは、やはり2週間、前後空けることになっています。


集団接種・個別接種

集団接種とは、予防接種の対象者が地方自治体ごとに決められた日時、会場に集まって受ける予防接種のこと。最近では、新型コロナワクチンで、集団接種が行われました。

一方、かかりつけの小児科クリニックなどで、個人で受ける予防接種が個別接種です。個別接種は赤ちゃんのことをよく知っている、かかりつけの先生によって、赤ちゃんの体調の良いときに接種を受けられるメリットがあります。

当クリニックの予防接種の詳細は、外来診療のご案内を参照下さい。

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副反応のこと、もっと知りたい!

Q.どうして副反応が出るの?

そもそも、予防接種とは、毒性をほとんどなくした病原体や、死んだ病原体の一部を体に入れ、軽く病気に感染させて免疫を得ようとするもの。

ですから、体に多少負担になることは確かで、赤ちゃんによってはワクチンに敏感に反応して病気の軽い症状が出てしまったり、ワクチンの成分に何らかの反応を起こすことがあります。これを
副反応と呼びます。

病原体に感染してもいないのに、わざわざ病原体を接種して、「副作用」のリスクを負いたくない…と思われるのは当然ですが、本当に病気にかかったときの負担は、予防接種のそれとは、重さも深刻さも比べものになりません。

このような悲惨なお子さまを、数多く見てきました。予防接種のある病気は、いずれも自然感染すると重症になって後遺症を残したり、死亡する恐れのあるものばかりです。そのため予防接種が開発された背景を忘れてはなりません。

ワクチンは毒性をほとんどなくした病原体や、死んだ病原体の一部を体に注入して、軽く病気に感染させるのですから、いかに努力を尽くしても副反応をゼロにすることはできません。

最も優秀なワクチンとは、効果が最大で、副反応が最小のワクチンと考えます。抗体の上がりが良くても副反応が強くでる、あるいは副反応はほとんどないが抗体もあまり上昇しない、というワクチンはいずれも不完全なワクチンといわざるを得ないでしょう。

ワクチンの開発の歴史は、いかに効果が高く、副反応を限りなくゼロに近づけたワクチンを生み出すかという、感染症の専門家とワクチンメーカの技術者の汗と努力の歴史なのです。

ワクチンの接種を受けるという行為は、何百万回に1回の割で起こる可能性のある、重い副反応のリスクを皆で共有しながら、自分の子どももほかの子どもも等しく、ともに恐ろしい感染症から守るという点に意義があるのです。

不幸にして0ではない深刻な副反応を生じてしまったお子さまと保護者の方には、被接種者全ての保護者と国からの心からの同情と感謝、そして国からの手厚い支援と補償が必要でしょう。

しかし、ワクチンの副反応は、実際発病したときの症状の激烈さとは比較にならないレベルのものが、ほとんどです。


今なお、ワクチン接種を頑強に拒否する保護者が、母子手帳を持参せずに外来に来ることがあります。

また、入れ替わり立ち替わり、「ワクチン反対教の教祖さま」が現れ、ありがたいお札や聖なる飴玉やおまじないを高額で販売し、意味不明な高邁なお説教を垂れて、ワクチンを打たなくても自分の子どもは病気にならないと何故か信じこんでいる、おめでたい信者の人達から多額のお布施を頂いているようです。

しかしこのようなワクチン反対教の信者の子どもも、実はワクチンをきちんと接種し、病気に対する免疫をつけてきた、大多数の良識ある保護者達のお子さまの集団に守られているのです。

自分の子どもだけはリスクを拒否して、その集団的利益は平気で享受するという、エゴ丸出しの身勝手な行動を、ワクチン反対派は行っていることを自覚すべきです。

子どもの当然の権利と考えられる、ワクチン接種による個人防衛の機会を、最愛のわが子から奪っているこのような愚かな行為は、児童虐待にあたると今世界中で取り上げられています。(アメリカでも麻疹流行のさなかに、反ワクチンの親に負けずに、自分の意志でワクチンを受けた高校生がアメリカ議会公聴会に出席し、感動を呼んでいます。)

2019年、WHOもVaccine hesitancy(ワクチン忌避)を「世界の健康に対する10の脅威」の一課題して取り上げ、ワクチン接種を推進する取組を強力に進めています。


Q.考えられる副反応のいろいろは?

不活化ワクチンの場合、副反応が出るとしたら接種後12日のうちです。一方、生ワクチンは接種して13週間後というように、そのワクチンの性質によって出現時期が異なります。

また、こうした副反応は、その症状の大半は軽いものばかりです。自然感染のように重症化せず、数日で自然に回復し、ほとんどは受診の必要もなく治ります。


予防接種との関係が比較的はっきりしている副反応に、ゼラチンアレルギーによるアナフィラキシーショックがありましたが、現在ワクチンはすべてゼラチンフリーとなり、この問題は解決しました。

一方、不活化ワクチンに含まれるチメロサールが自閉症と関連するという非科学的な迷信が、いまだに一部に根強く信仰の対象とされており、アメリカでは麻疹の流行の原因になるなど、大きな害毒となっています(詳細次項)。


Q.水銀入りのワクチンって危険?

防腐剤の有機水銀チメロサ-ルについては、別稿で詳細に解説いたします。→こちら

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”万が一”の補償―救済制度

 予防接種を受け、その後に万が一重い副反応が出たり後遺症が残った場合は、国から医療手当や障害年金、介護する人に対しても介護料などが支給されることが定められています。厚労省「予防接種健康被害救済制度」)


 これは定期予防接種の救済制度です。実際、制度が適用されている例は、予防接種との因果関係が明らかではない紛れ込み事故がほとんどなのですが、”疑わしきは救済”を基本方針に国が援助の手を差し伸べています。


 
なお、任意接種も薬害補償制度の対象になり、健康被害の起きた場合は、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」により、補償が受けられます。また、東京23区は「全国市長会予防接種事故賠償補償保険」に加入しており、補償額は増額されています。

 適用があるのは、たとえば入院したり、ひじを越えるほど腕がはれるなど健康被害の認定を受けたときです。多少の腫れや発熱などは一般的に起こりうる副反応と考えられ、受診費用は通常の保険診療となります。

                           副反応早見表

予防接種

ときどき見られる副反応

注意すべき副反応

受診の目安

BCG

接種後2~4週間で針のあとが赤くなり、化膿することも。2ヵ月ほどでかさぶたに

わきの下のリンパ節がはれることも。割合は100人に1人以下。23ヵ月で自然に治る。
きわめて稀に、全身播種性BCG感染症、骨炎・骨髄炎、皮膚結核様病変。

化膿したところがいつまでも治らなかったり、うみがひどいとき。わきの下が大きくはれて痛がったときなど。


四種混合

接種したあとが赤く腫れたり、しこりができることも

接種してから24時間以内に、発熱や刺激に過敏になる(易刺激性)ことも。
きわめて稀に、ショック、アナフィラキシー、脳炎、けいれん。

痛がるほど注射のあとが腫れたり、肘から下まで腫れたとき。また、接種して2日以内に38度以上の熱が出たとき。

MR混合

接種後7~10日目ごろ、発熱や軽い発疹など、ごく軽いはしかの症状が見られることも。
高校生以上だと、軽い発熱や発疹、リンパ節のはれが見られることも。

熱性けいれんや、脳炎など、本物のはしかにかかったような合併症がごくまれに起こることも

2~3日たっても熱が下がらなかったり、ひどいせき、嘔吐、けいれん、粗い呼吸が見られたとき。意識がはっきりせず、うとうとと寝てばかりいるとき。
極めて稀に血小板減少性紫斑病。

 
不活化ポリオ ほとんどないが、まれに発熱や、接種部位が赤くなったり、腫れたりすることも。 きわめて稀に、寝がちになったり、刺激に敏感(易刺激性)になることも。
痛がるほど注射のあとが腫れたり、肘から下まで腫れたとき。また、接種して2日以内に38度以上の熱が出たとき。

日本脳炎

ほとんどないが、まれに発熱やじんましん、接種部位が腫れることも。

特にない。

 

水ぼうそう

ほとんどないが、まれに発熱や水ぼうそうのような発疹が見られることも

特にない

 

おたふくかぜ

2~3週間後に耳下腺が腫れたり、発熱することも。

数千人に1人の割合で、無菌性髄膜炎を起こすことも。ただし、一般に後遺症は残らない。

嘔吐や頭痛、けいれんが見られたとき。

インフルエンザ

ほとんどないが、まれに発熱、悪寒、頭痛、だるさ、接種部位がはれることも

きわめて稀に、ギランバレー症候群(立てなくなる)、急性散在性脳脊髄炎、脳炎など。

 

B型肝炎

ほとんどないが、まれにだるさ、頭痛、接種部位が腫れることも

ヘプタバックスのワクチンバイアルには天然ゴム(ラテックス)が含まれているため、ラテックスアレルギーの人は注意。

 

ヒブ 
 
ほとんどないが、まれにだるさ、頭痛、接種部位が腫れ、疼痛がおこることも。

 特にない。  

肺炎球菌 
 
接種部位が腫れ、疼痛、発赤がみられる。

4~5人に1人は発熱。なかにも高熱になることも。 高熱が続くとき。
 
ロタウイルス

ほとんどないが、まれに下痢、鼓腸、発熱、頭痛、だるさ。

腸重積(血便、ぐったり、腹痛、嘔吐)に注意 急に嘔吐、激しい腹痛、血便、ぐったりしたとき。

HPV
 

接種部位の痛み、腫れ、発赤。
発熱、頭痛がみられることも。

きわめて稀に、アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、急性散在性能脊髄炎、ギランバレー症候群など。 失神、めまい、関節痛、悪心、など。


予防接種のソボクな疑問

Q.予防接種って、何歳ぐらいまでに済ませるものなの?

 定期接種は公費で受けられる時期がきたら、早めに受けるのが基本。接種が遅れるほど感染の危険性が高まり、一番病気を予防したい、重症化しやすい時期に間に合わないことがあるからです。

 たとえば結核、百日咳、細菌性髄膜炎は小さな赤ちゃんほどかかるとリスクが大きいもの。それぞれを予防する、BCG、四種混合、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンは早めに済ませたいものです。

 そして、
1歳を過ぎたらすぐにMR、水ぼうそう、おたふくかぜを接種。3歳になったら日本脳炎を受けましょう。もしも公費で受けられる時期を逃したとしても、任意で接種ができますので、必ず接種を行い、免疫を付けておきましょう。

Q.予防接種が受けられないのはどんなとき?

 受けられないのは、

①当日、37.5℃以上の熱があるとき 
②重い急性の病気にかかっているとき 
③予防接種でアナフィラキシーショック(血圧低下、じんま疹、呼吸困難など)を起こしたことがあるとき 
④医師が不適当と判断したとき 
⑤はしかなど重症の感染症にかかってから
1ヵ月たっていないとき

 
以上5つの場合です。

Q.かぜや突発性発疹などの病後は、どのくらいの間をあけて受けるの?

 特に定説はないのですが、かぜなら状態が落ち着いていれば、接種OK。突発性発疹は病後1週間~2週間あければ大丈夫。また、はしかなど重い感染症にかかった後は、免疫力が落ちているので1ヵ月以上あけることになっています。

 いずれにしろ、接種を行うかどうかは、かりつけの先生と相談して決めるのが基本です。


Q.熱性けいれんを起こした後はすぐ受けられない?

 むかしは熱性けいれんを起こすと、1年間は予防接種が受けられませんでした。1994年に制度が改正になり、今ではかかりつけの医師と相談して、接種の時期を決めることができるようになりました。

Q.アレルギーの子は、どんなことに気をつけるの?

 アレルギー体質があるだけなら、全く予防接種は問題はありません。重症のアレルギーを持つ赤ちゃんは、ワクチンに含まれる微量の成分に対して、アレルギー反応が引き起こされる可能性も皆無ではないため、主治医とよく相談しましょう。

 アレルギーと予防接種について、注意をしなければならないのは、卵アレルギーとインフルエンザワクチンのみです。

 アレルギーのある赤ちゃんこそ、本物の病気にかかると重症になるかもしれません。主治医とよく相談し、積極的にワクチン接種をお考えになった方が良いでしょう。


Q.予防接種を受けていない子が、受けたばかりの子といっしょにいても大丈夫?

 不活化ワクチンに関してはまったく問題ありません。生ワクチンも、多少ワクチンウイルスは排泄されますが、他のお子さまを発病させることはありません。

Q.予防接種って、毎月のように受けてもいいの?何ヵ月かおきのほうがいい?

 ワクチンは毒性をほとんどなくした病原体やその菌体の一部を用い、しかもごく微量しか接種していません。ですから、予防接種を毎月受けても、赤ちゃんの体に負担がかかる心配は全くありません。

 人間の体には、日々病原体が侵入しており、免疫反応が起きていない日はないことを忘れてはなりません。

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お断り
 この章は、当クリニック長鈴木医師が指導した育児雑誌「ベビーエイジ」(婦人生活社)1999年9月号、特別第1付録「完全クリア-秋からの予防接種」の文章を土台に、随時加筆増補しています。