定期接種(思春期以降の定期接種) 2026.5.1更新
1.二種混合ワクチン(DTビック)
2.ヒトパピローマウイルス:HPVワクチン(ガーダシル、シルガード9)
3.RS母子免疫ワクチン(アブリスボ)
4.新型コロナワクチン(コミナティ)
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1.二種混合ワクチン:DTワクチン
●予防接種の内容
破傷風、ジフテリアの二つの病気を予防する、不活化ワクチンです。

●予防する病気
破傷風はふつうに土の中にいる細菌で、傷口から入り込み、その破傷風菌の出す毒素で神経が侵され、開口障害、嚥下困難、背中の筋肉がけいれんし、最終的には身体がのけぞる後弓反張などを起こし、死亡率が80%を超えている、恐ろしい病気です。
現在でも、我が国では毎年10人ぐらいが死亡しています。意識は障害されないため、患者さんは大変苦しい思いをしながら、日々を送ることになります。
ジフテリアはジフテリア菌という細菌が、のどに偽膜というべっとりとした白い膜を作り、喉頭に炎症が及ぶと、犬が吠えるような咳を反復します。クループというのは、もともとこのジフテリアの咳をいいました(真性クループ)。
ジフテリア菌も毒素をまき散らし、心臓の筋肉や呼吸筋が麻痺し、突然死を起こします。ソ連崩壊後、1990年代に混乱したウクライナなど東ヨーロッパの国々で、ジフテリアは大流行し、猛威を振るいました。
この破傷風毒素とジフテリア毒素を無毒化(トキソイド)して、これらを混ぜたワクチンが、二種混合ワクチン(DTワクチン)です。
●接種の方法
定期接種Ⅱ期として、11歳から13歳未満の児に、1回0.1mlを上腕に皮下注射します。
五種混合ワクチンのⅠ期3回とⅠ期追加の接種が終わった後の2歳以降は、百日咳が含まれたワクチンを接種する機会はありません。Ⅱ期は、百日咳が省かれ、破傷風とジフテリアのみ含まれる、二種混合DTワクチンが定期接種となっています。
四種、五種などに含まれる、無細胞成分の百日咳混合ワクチンの効果は、4~12年と言われています。その結果、年長児から成人になるにしたがい、百日咳の免疫が低下した人が増えてきて、近年小中学生や親世代で、百日咳が大流行しています。

そのため、現在11~12歳で接種している二種混合ワクチン(DT)を、百日咳ワクチンを含む三種混合ワクチン(DPT)に切り替え、百日咳に対する免疫を強化することが強く推奨されています。
東京都でも八王子市では、すでに定期接種のDTワクチンの替わりに、任意接種としてDPTワクチンを選ぶ市民に接種費用の助成を出しています(八王子市のワクチン案内)。2026年4月からは、都下文京区でもDPTの接種補助が始まりました(文京区のワクチン案内)。昔の先進的な品川区のワクチン施策を見るようで、本当にうらやましい限りです。
当クリニックの百日咳流行に対する、全年齢のDPT接種についての詳細な説明はこちらをお読みください。
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2.ヒトパピローマウイルス:HPVワクチン
●予防接種の内容
子宮頸がんを引き起こす、主要な発がんウイルスである、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防する不活化ワクチンです。
定期接種としては1種類(女性)、任意接種(男性)では2種類のワクチンが使用されています。
●予防する病気
子宮頸がんはわが国では年間10000人の女性が発病し、3000人の方が亡くなっている、女性のがんでは乳がんに次いで、2番目に多い病気です。
子宮頸がんの原因は、発がん性のあるヒトパピローマウイルス(HPV)16、18、31、33、45、52、58型などの感染であり、特に16型と18型が半数以上を占めています。
尖圭(せんけい)コンジローマは性交で感染し、外性器、肛門周囲に1~3mmぐらいの球形~カリフラワー状のいぼ(乳頭腫)が次々とできる性感染症で、原因ウイルスは主にHPV6、11型です。
3つのHPVワクチンのうち、サ-バリックスは、子宮頸がんの主要な発がんウイルスである、HPV16型、18型の感染を防ぐ2価のワクチンです。(サ-バリックスは現在使用されなくなりました)
2番目のガーダシルは、子宮頸がんの主要な発がんウイルスであるHPV16型、18型に加えて、外性器にいぼができる「尖圭(せんけい)コンジローマ」の原因ウイルスであるHPV6型、11型の感染を予防する、4価の不活化ワクチンです。(ガーダシルは定期接種からはずれ、2026年4月からは、男子の任意接種のみに使用されることになりました。
2023年から定期接種となったシルガード9は、HPV16型、18型に、31型、33型、45型、52型、58型を加えて、さらに低リスク型のHPV6型、11型の9つのHPVの感染を予防する、9価の不活化ワクチンです。2026年4月からは、シルガード9のみが定期接種として使用されることになりました。
●接種の方法
3種類のワクチンは接種方法が多少違います。
サーバリックスは10歳以上の女性が対象です。1回目の接種の後、1ヶ月後に第2回めの接種、さらに5ヵ月後に追加接種を上腕三角筋に筋肉注射します。
ガーダシルは 9歳以上の女性が対象です。1回目の注射の後、2ヶ月後に第2回めの注射、さらに4ヵ月後に第3回目の注射をします。
シルガード9は、接種方法はガーダシルと同じです。
予防接種法では、12歳-16歳(小学校6年生から高校1年生相当)の女子が定期接種の対象になります。使用できるワクチンはシルガード9のみです。ただし、シルガード9は9歳から15歳未満の女性に限り、0、6ヶ月の2回接種も認められました。
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| サーバリックス | ガーダシル | シルガード9 |
HPVワクチンは、2013年4月より定期接種になりましたが、2013年6月14日ごろから、慢性疼痛などの多様な症状がHPVワクチン接種で起こると反ワクチン団体とこれに繋がる左翼プロ「市民」活動家、バカワイドショウ、新聞などのオールドメディアが大騒ぎし、「副作用検討のため」積極的勧奨が停止されてしまいました。
この多様な症状がHPVワクチンに由来するという医学的ファクトに基づく医学論文などは全く発表されず、WHOなどからもワクチン接種中断の健康被害を警告され、厚労省は2022年4月、ようやく、科学的根拠に基づいた積極的勧奨による定期接種を再開しました(詳しくは、こちらをお読みください)。
HPVワクチンは、健康と未来を守る大切なワクチンです。いまだにウソがばれている、ワイドショウなどの垂れ流したデマ報道をうのみにしている人がいますが、痛みで健康を害するというのは全く根拠がありません。当クリニックはHPVワクチン接種を、男女を問わず全ての中学1年のお子さまに強くお勧めします。当クリニックの見解は、こちらをぜひお読みください。
HPVワクチンを接種できなかった女性への救済処置としての行われてきたキャッチアップ接種は、2026年3月31日で終了しました。(2026.4.1)
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3.RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ筋注用)
●予防接種の内容
2024年1月18日に、厚労省の専門家部会で製造販売が了承され、2024年5月31日からアブリスボ筋注用として発売されました。2026年4月1日から、定期接種となりました。
アブリスボは、RSウイルスのF蛋白(融合前F蛋白)を標的とした抗体を産生させる、組換えRSウイルスワクチンです。(もう一つのRSワクチンであるアレックスビーと同じ組換えRSウイルスワクチンです)
アブリスボはRSウイルスの2つのグループ、RSV-AとRSV-Bに含まれるF蛋白に対する抗体を作る、2価ワクチンです。また、アレックスビーと異なり、免疫を増強させるアジュバンドなどは含んでいません。
●予防する病気
妊婦に接種しますが、生まれたばかりの新生児がRSウイルス感染症にかかって、重症化することを予防ことを目標としています。
妊婦にアブリスボを接種すると、母体にRSウイルスに対する抗体が作られます。 この抗体は胎盤を通過して、胎児に移行します。そして、6ヵ月間、新生児、乳児のRSウイルス感染による肺炎、気管支炎の発症を予防したり、重症化リスクを防いだりします。
妊婦への接種で、生後90日以内の乳児の肺炎の入院率が81.8%減少、RSウイルス感染症が57.1%減少したと報告されています。
●予防接種の方法
妊娠24週~36週の妊婦に、1回0.5mlを筋注します。(定期接種は、28週0日から36週6日までと、なりました)
日本小児科学会も、2024年2月17日に「RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方」という見解を発表し、「本ワクチンは、基礎疾患のない乳児に対するRSウイルス感染症の予防に寄与することが期待されます。」と、アブリスボの妊婦への接種を評価しています。
小児科学会の見解も踏まえ、当クリニックは妊娠28週から36週で、かかりつけのお母さまで、アブリスボ接種をご希望される場合は接種を行ってきました。2026年4月1日からは、定期接種として接種を行います。
アブリスボ定期接種の詳細は、こちらをご覧下さい。
アブリスボは2024年3月26日から、60歳以上の高齢者へのRSウイルス感染症の予防にも接種できることになりました(任意接種)。
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