定期接種篇

定期接種


BCG

●予防接種の内容

定期接種。生後0ヵ月から満1歳になるまでが接種年齢とされていますが、標準的な接種月齢は生後5ヵ月から8ヵ月までとされています。

    品川区では、従来は4ヵ月健診時に保健センターで集団接種で行われていましたが、2014年4月から、かかりつけ医での個別接種に接種方法が変更になりました。

●予防する病気

結核を予防します。特に、新生児や乳児に多い、後遺症を残す怖れのある、重い結核性髄膜炎(結核菌による髄膜炎。高率に死亡したり、後遺症を残す)や粟粒結核(全身に結核菌が蔓延する最重症型。20%が死亡する)を防ぎます。

●接種の方法

上腕に生ワクチンをつけ、9本の針があるスタンプ(管針)で2ヵ所に押し付けて接種します。抗体ができ始める34週間後になると、スタンプのあとがジクジクしてきます。(当クリニックの推奨スケジュールはこちら。)


Q. BCG接種後、乾かないうちに触っても大丈夫?

 BCGの接種後、よく乾かしてから服を着せるように言われるので心配になりますね。ワクチンを確実に入れるためには、触らないほうがいいのですが、実際はスタンプの針を刺す時点でワクチン液はしっかり体内に入っています。
 
 少しぐらい洋服でこすれたり触ったりしても、ワクチンのつき方に大きな影響がでることはないと思われます。あまり神経質になる必要はありません。

Q. BCG接種後、痕がつかないけれどいいの?

 BCGの接種がうまくゆけば、接種後34週間目ぐらいからスタンプを押したあとが赤くなってきます。全部あとがつかなくても、合計18本の針のうち半分の9ヵ所が赤くなれば抗体ができたと考えていいでしょう。

 でも、
2ヶ月後ぐらいになってもスタンプのあとが全くなかったら、接種したかかりつけの先生にご相談したほうがいいでしょう。当クリニックでも接種したかかりつけの患者さんからご相談があれば、詳しくご説明いたします。

Q. BCGのあとが1ヵ月以上腫れています。大丈夫かな?

 正常な反応なので心配ありません。接種してから10日目ごろから接種した針痕に小さな発赤やふくらみが生じ、うむところも見られます。接種後、4週間ごろに腫れは一番目立ちます。接種のあとが赤くなったり、多少うみが出るのはBCG菌が体内で殖えて、体が菌と闘っている証拠で、むしろしっかり免疫がついていくので、ご安心ください。

 
赤いプツプツは2~3 ヵ月後にはかさぶたになります。また、脇の下のリンパ節が腫れる赤ちゃんもいます(1%ぐらい)。この場合もふつうは接種した場所と同様に、12ヵ月で自然に小さくなることが多いです。

 大きく腫れ上がったり、膿がジクジク出たり、3か月以上腫れがひかない、いったん良くなったのにまた赤く腫れてきた、などの症状が見られた場合は、小児科を受診して診察を受けてください。

Q. BCGの痕が接種してすぐに腫れ上がってきました。大丈夫かな?

 BCGを接種して、1,2日の間に接種のあとが急に赤くはれてきた場合は、「コッホ現象」の可能性があります。「コッホ現象」は赤ちゃんがすでに結核にかかっているときに起る現象です。

 この現象が起る時は、周りの結核に感染している大人の人がいて、結核を移された可能性があります。すぐに接種した医療機関か、かかりつけの小児科で相談してください。(品川区の作成したリーフレットはこちら

Q. BCGの痕が目立つと嫌なので、肩近くや足の裏に接種できますか?

 BCGは、予防接種法実施規則第16条で「上腕外側ほぼ中央部」と接種部位が決められているので、他の場所には接種できません。特に肩近くに接種するとケロイドになって醜く痕が残るため、接種してはいけない部位と決められています。また、足の裏もこすれたり、不潔になりやすいため、混合感染を起こしたりすると、あとの処置が大変になります。

 そのため、上腕中央部が最もケロイドになりにくいBCG接種に最適の場所だと定められているのです。一般に左腕に接種しますが、左の腕の皮膚が湿疹などであれている場合、右側に接種しても問題はありません。

    2018年11月、BCGワクチンの溶解液にヒ素が混入していると報道されました。この問題に対する当クリニックの解説と見解はこちら

    海外生活などの理由で1歳までにBCGを接種できなかったお子さまは、4歳までは任意接種として接種を受けることは可能です。ご相談のある方は一度、お子さまを連れてご来院の上、鈴木医師とご相談ください。くわしくご説明いたします。

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四種混合(DPT+IPV)

●予防接種の内容

百日ぜき、破傷風、ジフテリア、ポリオの四つの病気を予防する、不活化ワクチンです。定期接種で生後3ヵ月から受けられます。

●予防する病気

百日ぜきは百日ぜき菌が原因で、母親から免疫が移行しないため、新生児でもかかる可能性がある恐ろしい病気です。けいれん性の激しい咳が続き、夜も寝られず、呼吸が止まり死亡することもあります。また、進行すると肺炎や脳障害も起こします。

近年、三種混合ワクチン(DPT)、四種混合ワクチン(DPT-IPV)の効果の切れた、年長児や大人の間で百日咳は流行しており、家族に百日咳の患者や症状のない不顕性感染者がいると、ワクチンを受けていない3ヶ月前の赤ちゃんは90%以上の確率で感染し、大変な事態になると怖れられているのです。

破傷風はふつうに土の中にいる細菌で、傷口から入り込み、その破傷風菌の出す毒素で神経が侵され、開口障害、嚥下困難、背中の筋肉がけいれんし、最終的には身体がのけぞる後弓反張などを起こし、死亡率が80%を超えている、恐ろしい病気です。現在でも毎年10人ぐらいが死亡しています。意識は障害されないため、患者さんは大変苦しい思いをしながら、日々を送ることになります。

ジフテリアはジフテリア菌という細菌が、のどに偽膜というべっとりとした白い膜を作り、喉頭に炎症が及ぶと犬が吠えるような咳を反復します。クループというのは、もともとこのジフテリアの咳をいいました(真性クループ)。
ジフテリア菌も毒素をまき散らし、心臓の筋肉や呼吸筋が麻痺し、突然死を起こします。ソ連崩壊後、1990年代に混乱したウクライナなど東ヨーロッパの国々で、ジフテリアは大流行し、猛威を振るったのです。
この百日咳菌の菌体成分の一部(狭義の不活化ワクチン)と、破傷風毒素とジフテリア毒素を無毒化(トキソイド)して、これらを混ぜたワクチンが三種混合ワクチン(DPTワクチン)です。

ポリオウイルスはⅠ,Ⅱ、Ⅲ型があり、人だけに感染するウイルスで、経口感染します。感染しても90~95%は症状は出ないと済みます。小児まひは、ポリオウイルスに感染後、約
2000人に1人の割合で発病する病気で、症状は手足がまひし、呼吸まひで死亡する重症例もみられます。
小児まひはワクチンで予防できるため、生ポリオワクチンの集団接種が行われてきました。しかし、きわめてまれにワクチン株由来のポリオを発病してしまうお子さまが出たため(ワクチン内服100万回に1回)、2012年(平成24年)9月1日から、生ポリオワクチンからウイルスのいない不活化ポリオワクチンに変更になりました。

三週混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア)に不活化ポリオワクチンを混ぜて作られたのが、4種混合ワクチン(DPT-IPV)です。
四週混合ワクチンは2種類あって、弱毒ポリオウイルス(セービン株)を使用したテトラビック、クアトロバックと、強毒ポリオウイルスから作られたソークワクチンを含むスクエアキッズがあります。
両者には互換性が認められており、当クリニックではテトラビックを使用していますが、他医でほかの四種混合ワクチンを接種した方でも、テトラビックで継続することは問題ありません。

テトラビック(阪大微研) クアトロバック(化血研) スクエアキッズ(北里第一三共)

●接種の方法

Ⅰ期初回接種(3回)と追加接種の計4回があり、いずれも上腕、または大腿の皮下に注射します。
Ⅰ期初回は
38週(20~56日)の間隔で計3 回、Ⅰ期追加は3回目の注射の1年後に、第4回目の接種を行います。
(当クリニックの推奨スケジュールはこちら。)


Q. なぜ4回も受けなくてはいけないの?

 四種混合で使う不活化ワクチンは、病原体の成分から作られています。生ワクチンのように、弱らせたウイルスを直接接種し、軽く病気にかからせて確実に抗体を作る方法とは異なり、不活化ワクチンは効果が短いため、何度か接種を繰り返して免疫を確実にする必要があります。

 初回3回の接種で一応免疫はできますが、12年たつと弱まってしまうので、さらに4回目を接種して免疫力を高めておきます(ブースター効果といいます)。

Q. 4種類のワクチンを一度に接種して大丈夫?

 死んだ病原体の成分や無毒化した毒素なので、4種類を一度に注射しても赤ちゃんの体に負担がかかったり、副反応が強く出る心配はありません。むしろ、四つの病気の注射を別々に受けるほうが、何度も赤ちゃんは痛い思いをして大変ですし、毎回副反応のリスクがあり、大変です。

Q. 射したあとが、腫れやすいって本当?

 平成8年のデータでは、三種混合DPTワクチンのⅠ期
1回目を受けたうち、約10%の赤ちゃんに接種部位の腫れなど局所反応が出たようです。しかいほとんどの場合、数日で腫れは自然におさまってきますが、あまり腫れや痛みがひどいときは小児科を受診して診察を受けましょう。肘を越して腫れが大きく広がるときは、通常で見られる副反応の範囲を超えているので、必ず小児科を受診してください。

 また、月齢が高くなるほど、腫れやすくなるようです

Q. すでに百日ぜきにかかっていても四種混合をうけるの?

 百日ぜきは一度かかれば、抗体が作られるので、再度かかる可能性はほとんどありません。しかし、百日咳の正確な診断は昔は難しかったので、もしかしたら「百日咳」とは異なる病気であるにもかかわらず、「百日咳」と診断されている可能性もあります。この場合は当然百日咳に免疫はできないわけですから、百日咳に感染してもおかしくはありません。

   現在は核酸検出法(Lamp法)で正確に診断できるようになりました。


 
また、本当に百日咳にかかっていたとしても、四種混合ワクチンの接種を行うことによって、抗体が上昇します。メリットしか無い、といってよいでしょう。

Q. 38週間おきに3回とあるけれど、どうしてそんなに間隔をあけるの?間隔があきすぎたときは?

 一度だけの接種では、免疫力は次第に薄れていってしまいます。ところが、なくなる前にちょうどいいタイミングで再接種すると、前以上にグンと免疫力が高まるため、間隔をあけるのですね。それを繰り返すことで、十分な抗体がついていくのです。

 四種混合で最も大切なのは、決められた回数をきちんと受けること。ですから間隔があいても、なるべく早めに次回を接種すれば大丈夫。最初から受け直す必要はありません。

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不活化ポリオ(IPV)

●予防接種の内容

生後3ヵ月から受けられる定期接種で、小児まひを予防する不活化ワクチンです。現在は四種混合ワクチンの一部として、接種されています。

●予防する病気

ポリオウイルスはⅠ,Ⅱ、Ⅲ型があり、人だけに感染するウイルスで、経口感染します。感染しても90~95%は症状は出ません。

小児まひは、ポリオウイルスが口から入って感染する病気。感染しても症状が出なかったり、下痢やかぜ症状だけで終わる人がほとんどですが、約2000人に1人の割合で手足がまひし、最悪の場合、呼吸まひで死亡する重症例がみられました。日本からポリオの患者があっという間に見られなくなったのは、ポリオワクチンのおかげです。

小児まひを予防するために、生ポリオワクチンの集団接種が行われてきましたが、きわめてまれにワクチン株由来のポリオを発病してしまうお子さまが出たため(ワクチン内服100万回に1回)、2012年(平成24年)9月1日から、生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンに切り替えられました。

●接種の方法

Ⅰ期初回3回とⅠ期追加があります。いずれも上腕、または大腿の皮下に注射します。Ⅰ期は38週間の間隔で計3回打ち、その後半年~1年の間に4回目を接種します。


Q. なぜ、生ワクチンから変わったの?

 ポリオ生ワクチンは、全身の免疫のほかに腸管での局所免疫もできる、効果が一生続く、値段が安価で接種方法も簡単(飲ませるだけ)というように優れたワクチンです。ただし、先祖帰りして毒性を取り戻し、ワクチン関連麻痺を100万回に1.4回のわりで起こします。

 不活化ワクチンの欠点としては、腸管免疫が弱いこと(ポリオウイルスの侵入を阻止できない)や1回のみの接種では免疫が不充分なため、DPTのように何回も接種を繰り返さなければならないこと、さらに高価なことなどが挙げられます。しかし、不活化ポリオワクチンは生ポリオワクチンの副反応である、ワクチン関連麻痺やポリオワクチン未接種者への感染は起こしません。

 そのため、先進国では次々と不活化ポリオワクチンに変更されてきました。そしてわが国でも2012年(平成24年)9月1日に、ようやく不活化ポリオワクチンへ切り替えられました。

Q. 5回目の注射が必要って聞いたんだけど?

 三混の項で述べた百日咳のように、ポリオ(小児まひ)の抗体もまた、2歳以降追加接種がないため、徐々に下がっていきます。そのため、ポリオに対する免疫を強化するために、欧米では小学校に入学するころ4~6歳に、追加接種を行う国が多いようです。

 我が国内ではポリオの発生はありませんが、今もポリオの発生が続く、ナイジェイア、ギニアやパキスタン、アフガニスタンに旅行されるご家族のお子さまは、5回目の不活化ポリオワクチンの追加接種を検討されてもよいかもしれません。(最新のポリオ発生の情報はこちら

 最低限、不活化ポリオワクチン(四種混合ワクチンには含まれています)4回接種は確実に済ませておく必要があります。

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ヒブワクチン(インフルエンザ菌b型)

●予防接種の内容

インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブと呼ばれます)は、インフルエンザの原因と間違って名付けられた細菌の一種です。このインフルエンザ菌b型のカラの部分(多糖体)に蛋白質を結合させ、この菌に対する免疫をつけるように作られたものがHibワクチンで、不活化ワクチンの一つです。

定期接種で、生後2ヵ月から受けられます。

●予防する病気

インフルエンザ菌は細胞壁に殻を持った莢膜株と殻を持たない無莢膜株に大別され、莢膜株はさらに莢膜の成分(莢膜株の血清型)によって、a、b、c、d、e、fの6つのグループに分けられます。
このうち、血清型b(Hemophilus influenza type b=Hib=ヒブ)は特に5歳以下の子どもに髄膜炎、肺炎、急性喉頭蓋炎(クループ症候群)、敗血症など、重い感染症を起こします。

また、ヒブ感染症は抗生剤で治療したとしても、病気の進行が急激で、 アメリカではヒブワクチン開始前の1980年には1万5000人の子どもがヒブ髄膜炎を発病し、うち400~500人が死亡、その他多くの子どもが脳障害などの後遺症に苦しんでいたのです。
我が国でもヒブワクチン導入前は、細菌性髄膜炎が毎年1000人発病し、うち60%がヒブによるものでした。しかもその66%は0~1歳でした。ヒブ髄膜炎は2歳以下では、一度かかっても抗体ができないため、再度発病するリスクもあったのです。
インフルエンザ菌には抗生剤の効かない耐性菌も多く、ヒブ感染症の治療は難渋を極め、その死亡率が3~7%、脳の後遺症は15~20%に及んでいました。

それが、ヒブワクチン導入後、ヒブによる細菌性髄膜炎は激減し、2014年にはついに髄膜炎は0になったのです。ヒブワクチンの効果が劇的なかたちで実証されたのでした。

●接種の方法

生後2ヵ月から3回と、7~13ヵ月後に1回追加で計4回、いずれも上腕、または大腿の皮下に注射します。小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンと同時接種を行います。(当クリニックの推奨スケジュールはこちら。)

   ヒブワクチンについては、別項で詳しく解説しました。詳細はこちらをお読みください。

   厚生省のサーベイランスによると、2014年、ヒブ髄膜炎、ヒブ非髄膜炎の患者発生はついに0になりました。ワクチン定期接種化の輝かしい成果です!

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小児用肺炎球菌(PCV13=プレベナー13)

●予防接種の内容

13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー13)は、90種類以上ある肺炎球菌の血清型から、子どもに対し、重い肺炎球菌感染症を引き起こす、13の肺炎球菌(血清型13456A6B7F9V1418C19A19F23F)の殻の部分を精製し、免疫が高まるよう、ジフテリア毒素を結合させて作られた、ワクチンです。

2013111日から定期接種として、使用されています。それ以前は、7価(血清型46B9V1418C19F23F)の肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー7)が使用されていましたが、 この日から全面的にプレベナー13に切り替えられました。

20102月に接種の開始されたプレベナー7の効果で、小児の肺炎球菌性髄膜炎は患者が激減しました。しかしその一方、プレベナー7でカバーできない血清型の肺炎球菌が増えてきたのです。


2007-2010
年には、プレベナー7は重い感染症を引き起こした肺炎球菌の76.8%をワクチンでカバーしていましたが、2011-2013年にはワクチンの効果が期待できる株の割合は37.0%まで低下してしまいました。

レベナー7でカバーすることができなかった6つの血清型(1、3、5、6A、7F、19A)をさらに追加して作られた、新しい13種類の肺炎球菌のワクチンが、13価結合型肺炎球菌ワクチン・プレベナー13です。

プレベナー13は、小児の重い肺炎球菌感染症(侵襲性肺炎球菌感染症)の18%を占める19Aというグループに効果があり、プレベナー7より髄膜炎、敗血症などの重症の肺炎球菌感染症(侵襲性肺炎球菌感染症)を減らす効果が期待できます。

●予防する病気

プレベナーは子どもの肺炎球菌感染症(髄膜炎、敗血症、肺炎、中耳炎など)に有効です。
また子どもがプレベナーを接種することにより、高齢者の重症肺炎球菌感染症も減少することが、アメリカの研究で認められたのです。


●接種の方法

生後2ヵ月から、27日以上の間隔を開けて、3回上腕または大腿に皮下注射します(3回目は1歳までに済ませます)。3回目の接種から60日以上開けて、12~15ヵ月の(1歳~1歳3か月)の間にさらに1回、追加接種として、上腕または大腿に皮下注射します。(当クリニックの推奨スケジュールはこちら。)
ヒブワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンと同時接種を行います。


Q. うちの子どもはプレベナー7を接種したんだけど、プレベナー13も打った方が良いの

 2013年10月までにプレベナー7で肺炎球菌の予防接種を終えた、現在6歳未満のお子さんが対象になります。 プレベナー7でカバーすることができなかった6つの血清型(1、3、5、6A、7F、19A)に対する免疫が獲得されます。肺炎球菌はこどもの中耳炎の病原菌でもあるため、13価のワクチンの追加接種は、肺炎、中耳炎の予防にもなります。詳しくはこちらをお読みください。

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麻疹風疹混合(MR混合)

●予防接種の内容

MR混合ワクチンは、はしか(麻疹)と風疹を予防する生ワクチン。MR1期は1歳から2歳の間が接種期間ですが、1歳になったら速やかに接種することが強く勧められています。MR2期は小学校入学前の1年間(5~6歳)に、麻疹、風疹の抗体価を高めるために行います。

●予防する病気

はしかは、麻疹ウイルスが原因でおこり、今でも発病すると障害が残ったり命を落とす危険がある病気です。感染力はとても強く、自然感染すると10日間~2週間で発病します。空気感染、飛沫感染、接触感染するために、同じ部屋にいるだけで免疫のない人は100%感染して、発病します。

麻疹は最初かぜ症状で始まり、一度解熱してから再度高熱
がぶり返し、急激に全身に発疹が広がります。せきがひどくなり、目も赤くなり、唇も乾燥し、中耳炎や気管支炎、肺炎、脳炎なども合併し、お子さまはひどく苦しみます。失明したり、脳炎になり、後遺症が残ったり、死亡することもある、決して侮れない、恐ろしい病気です。(→詳しくは麻疹

風疹は、風疹ウイルスが原因で起こる病気です。全身に細かい発疹が出て、発熱し、頸のリンパ節が腫れます。数千人に1人の割で、血小板減少性紫斑病や風疹脳炎を起こしたり、免疫を持たない女性が妊娠初期に感染すると「先天性風疹症候群」の赤ちゃんが生まれる可能性があります。風疹もたびたび流行を起こしており、2018-2019年も流行が続いています。(→詳しくは風疹

   2012年~2013年、東京都では風疹が大流行しました。そのため、品川区では、妊婦の夫、妊娠を希望される女性に、MRワクチンの接種費用の全額補助を行なっています。(くわしくはこちらの品川区のお知らせを参照してください。)

   2019年4月、成人男性の風疹感受性者を減らすために、風しん5期定期接種が始まりました。くわしい説明と当クリニックの見解は、こちらをお読みください。

●接種の方法

定期接種では、1歳を過ぎてから(1~2歳)、上腕に1回、皮下注射を行います(MR1期)。
小学校に入学する1年前(前年4月1日から入学前日の3月31日まで)の5~6歳の時点で、もう一度、上腕に皮下注射を行います(MR2期)。


Q. 自然感染したほうが、免疫力が強いって本当?

 はしかに限らず、どんな病気でも自然感染したほうが強い免疫力がつくに決まっています。もしも自然感染したのなら、もう予防接種は受ける意味がなくなってしまいます。

 もともと予防接種のある病気は、障害が残ったり、死亡することのある恐ろしい病気ばかりです。だからこそ、自然に感染しないで免疫がつくように予防接種が開発されてきたのです。ときどき「自然にかかったほうが本当の免疫がつくから、わざとかからせた。」などと平然と言う親がいるようです。病気に無知な愚かなふるまいで、お子さまがかわいそうです。

 自然にかかったほうが免疫力が強く残るのは、それだけお子さまが苦しく、つらい体験をした代償なのです。場合によっては肺炎、脳炎を起こしたり、SSPE(亜急性硬化性全脳炎。麻疹を発病した後、だんだん知能が障害されていき、最後は死亡する。治療法はない)のような怖ろしい後遺症を、後に発病することもあるのです(→麻疹)。

 「自然に感染する」ということは、最も毒性の強い、「副作用」もケタはずれの、危険な「天然ワクチン」を接種することなのです。予防接種は最も安全に、効果的にお子さまを守る行為なのです。

Q. 接種後、熱や発疹が出るって本当?

 MR混合ワクチンは、弱毒化した麻疹、風疹ウイルスに軽く感染させて抗体を作るもの。ですから10人に1人ぐらいの割合で、接種してから710日目ごろに微熱や発疹など軽いはしかや風疹の症状が出ることがあります。接種23日後に発熱したのなら、ワクチンの副反応ではなく、かぜなどの病気の紛れ込みを考えるべきです。かかりつけのクリニックを受診しましょう。

Q. 卵アレルギーがあると受けられない?

 現在のMR混合ワクチンのうち、弱毒生麻疹ウイルスはニワトリ肧培養細胞で、弱毒生風疹ウイルスはウズラ胚培養細胞かウサギ腎培養細胞で増やすため、これらの成分が極めて微量混入している可能性はありますが、高度に精製されているため、卵アレルギーがあっても、全く問題はありません。

 卵アレルギーのある人がワクチン接種を行う場合、配慮しなければならないのは、インフルエンザ不活化ワクチン接種のみです。

Q. 赤ちゃんが接種したら、風疹にかかったことのないママにうつる?

 MR混合ワクチン中の、毒性を弱めた弱毒風疹ウイルスが、接種した人からほかの人へうつることはありません。たとえ次の子を妊娠していたとしても、接種した赤ちゃんからうつることはありません。

 逆に、もしもお母さまやほかの家族がまだ風疹にかかっていないのなら、流行による自然感染のほうが圧倒的に心配です。お母さまが妊娠中でなければ、この機会に抗体を調べて、ほかの家族や赤ちゃんといっしょに、ご自分も予防接種を受けましょう。

Q. 1歳前の赤ちゃんにMRワクチンは接種できますか

 生後6か月から接種は可能です。1歳までは、任意接種となり、接種費用がかかります。麻疹流行時には個人予防、集団予防の点から、接種も検討するべきです。一度、かかりつけの先生と相談されるとよいでしょう。

 ただし、緊急接種は風疹については必要性が低いため、麻疹単抗原ワクチンを優先しますが、MRワクチンでもかまいません。また、乳児期に緊急接種を行った場合は、免疫の獲得が不十分な可能性もあり、定期接種は1歳過ぎに通常通りのスケジュールで行います。ただし、具体的な接種時期は必ずかかりつけの小児科の先生に相談してください。

Q. 男性も風疹ワクチン(MRワクチン)を接種した方が良いですか?また、男性も接種後、避妊したほうがよいですか?

 風疹は少ないながらも、脳炎や全身に出血斑の現れる血小板減少性紫斑病を起こすことがあります。何よりも、家族や周囲の妊娠している女性に風疹をまき散らしてしまう可能性があります。

 20~40台の男性は麻疹、風疹の抗体を持っていない人が多いため、次に流行が起これば真っ先に感染して発病し、流行の中心になる集団だといわれています。自らを守り、妻や家族を守り、将来の子どもたちを先天性風疹症候群から守るために、積極的に風しん第5期接種を行いましょう。また、品川区の先天性風疹対策事業もご利用されるとよいでしょう。(2022年3月31日で終了します。)

 また、風疹ワクチンウイルスが精子で確認されたことはなく、配偶者に感染させたという報告もないことから、避妊は必要ありません。

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水痘(水ぼうそう)

●予防接種の内容

水ぼうそうを防ぐ生ワクチン。定期接種として1歳(生後12月)から受けられます。1回接種では発病してしまう人が少なくないため(有効率50~80%ぐらい)、3ヵ月以上あけて、2回めの接種を行います。
当クリニックは、1歳時にMR、水痘、おたふくの同時接種、1歳半に水痘、4種混合ワクチンの同時接種をお勧めしています。(当クリニックの推奨スケジュールはこちら

●予防する病気

水ぼうそう(水痘)は、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染して、強いかゆみを伴う水疱が全身にできる病気です。 最初は小さな赤い発疹ですが、まもなく水疱になり、全身に広がり、かゆみを伴います。その後、かさぶたになります。
水痘の特徴は全身に均等かつまんべんなく広がり、発疹、水疱、かさぶたが混在することです。症状がなくなった後も、水痘・帯状疱疹ウイルスはヒトの神経節に潜んで持続感染を続け、体力が落ちた時、非常に痛い帯状疱疹として再発します。
 
  
水痘ワクチンは2016年(平成26年)3月から、50歳以上の高齢者に帯状疱疹予防ワクチンとして接種できることになりました。接種すると、50~69歳で約90%、70歳台で約85%に水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫の上昇が認められると報告されています。(国立感症研究所の帯状疱疹ワクチンの説明はこちら

●接種の方法

上腕に1回皮下注射を行います。3ヵ月以上あけて、1歳半に2回目の追加接種を行います。(当クリニックの推奨スケジュールはこちら。)

  水痘ワクチンは、2014年10月より、定期接種として、2回接種が行われることになりました。


Q. 予防接種をしてもかかることがあるって本当?

 本当です。もともと水ぼうそうのワクチンは、病気にかかると重症になりやすい白血病や免疫不全の子どもたちのために、日本で開発されたワクチンです。そのため効き目がゆるやかで、接種しても約20~50%は後に自然感染してしまいます。
 そのため、短期間で免疫を高めるために、定期接種となるときに、1回接種後、半年後に、もう1度接種を行うことが決められました。2回接種によって、95%水痘の発病が防げると報告されています。(水痘ワクチンの定期2回接種の有効性について

Q. いつごろ受ければいいの?

 水ぼうそうは感染力が強い病気なので、1歳を過ぎたらなるべく早く、MRワクチンとの同時接種を行いましょう。さらに半年後に四種混合ワクチンと同時に追加接種を行いましょう。(当クリニックの推奨スケジュールはこちら

Q. 感染している子と接触。急いで接種しても間に合わない?

 ウイルスと接触してから3日(72時間)以内なら、予防接種を急いで受ければ、発病を抑えられる可能性があります。発病を抑えられる確率は70~80%です。たとえ接種が間に合わずに発病したとしても、ワクチンを接種していれば軽く済むことが期待できます。

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日本脳炎

●予防接種の内容

日本脳炎を予防する不活化ワクチンで、生後6ヵ月から受けられる定期接種です。

●予防する病気

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを持った豚を刺したコガタアカイエカが人を刺してうつる病気。40度以上の高熱や嘔吐、頭痛、けいれん、意識障害を起こし、後遺症が残ったり、亡くなることもあります。

●接種の方法

初年に14週(6~28日)間隔で上腕に2回皮下注射を行います(1期初回)。その1年後に、1回追加接種として皮下注射を行います(1期追加)。さらに5年後にもう一度、追加接種として、皮下注射を行います(2期)。


Q. 流行していないと思うけれど、受けたほうがいいの?

 たしかに現在わが国では流行は見られませんが、毎年10人近くの患者が発生しており、豚においては広範に日本脳炎ウィルスに感染していることが明らかにされています。さらに東南アジア、中国、インドでは現在でも流行が続いています。

 かかると後遺症が残る、重い病気ですから、接種を強くお勧めしておきます。

  2015年8月、千葉県で0歳児が日本脳炎を発症しました(千葉県の発表はこちら)。日本脳炎はまだまだ過去の病気ではありません。(右図は2005年の日本脳炎ウイルスの豚への蔓延状況。国立感染症HPから転載)

Q. 何歳ごろ受ければいいの?

 定期接種で生後6ヵ月から受けられますが、流行の中心となる地域以外では、3歳から始める自治体が多いようです。3歳からが標準接種年齢とされていますが、この年齢設定に医学的根拠はありません。

 そのため、当クリニックは希望者には生後6か月から接種を行っています。ご希望の方は、一度来院して鈴木医師にご相談ください。

Q. 20歳まで無料で受けられると聞いたんだけど?

 2005年5月、それまで定期接種として行われていた日本脳炎ワクチンが、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)との関連が疑われるとして積極的な勧奨が中止され、それ以降は希望者のみが接種を受けるという変則的な状態が長く続きました。(詳しい経緯はこちら

 2010年4月より、日本脳炎ワクチンの接種勧奨は再開されていますが、この時期に接種できなかったお子さまが多数取り残されているため、特例処置として、平成10年(1998年)4月2日から平成19年(2007年)4月1日生まれの方は、20歳の前日までは必要な回数を全額公費で(自己負担なく)接種できます。

 また、平成19年(2007年)4月2日から平成21年(2009年)10月1日生まれの方で、日本脳炎1期の打ちそびれがある場合、9歳から13歳の誕生日の前日まで、1期の未接種分を全額公費で(自己負担なく)接種できます。

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B型肝炎(ビームゲン、ヘプタバックス)

●予防接種の内容

B型肝炎を予防するワクチン。
わが国では妊婦がHBs抗原陽性(B型肝炎ウイルスに感染している)の場合だけ、母親から新生児に移らないように、健康保険で赤ちゃんにB型肝炎ワクチンを接種するという、選択的接種(selective vaccination)が行われてきました。

しかし、B型肝炎は世界中で20億人が感染しており、毎年60万人がB型肝炎に関係した病気で亡くなっています。WHOの呼びかけで、多くの国ではB型肝炎ワクチンを定期接種として接種しています。

我が国のように母子感染予防のみに制限して接種を行っている国はほとんどありませんでした。特にB型肝炎の多いアジアにおいては、日本だけが定期接種をしていない唯一の国になっていたのです。実は、我が国でもB型肝炎の持続感染者は110~140万人と推定されており、年間5000人以上の人々が新たに感染していると推定されていました。

そのため、わが国でもB型肝炎ワクチンは、2012年5月の厚生科学審議会(第22回感染症分科会予防接種部会)などで「定期接種が好ましい7つのワクチン」の一つに挙げられ、2016年10月に定期接種になりました。

   B型肝炎ワクチンは、2016年10月1日から定期接種になりました。

●予防する病気

血液や体液を介してB型肝炎ウイルスに感染すると、感染した人が1歳未満の場合は90%の割合で、 1~4歳の場合は20~50%の割合で、 それ以上の年齢では1%以下の人が、一生ウイルスの感染が続く、持続感染状態(キャリア)になります。それ以外の人は、一時的な感染で治る、「一過性感染」で済みます。

持続感染状態(キャリア)になってしまった人の10~15%が慢性肝炎を発病し、全身のだるさ、食欲不振、黄疸などの症状が出るほか、さらに慢性肝炎患者の10~15%が劇症肝炎や肝硬変になり、最終的には肝臓がんに進行していきます。(現在では、インターフェロンやウイルスの増殖を抑える核酸アナログ製剤で治療を行います)

B型肝炎ワクチンは、このB型肝炎ウイルスの感染を防ぐワクチンです。よくHPVワクチンが、がんを防ぐ初めてのワクチンといわれますが、B型肝炎ワクチンこそ、がんを防ぐために開発された、最初のワクチンです。

●接種の方法

①妊婦がB型肝炎キャリアの場合は、生まれてすぐ12時間以内にB型肝炎用ガンマグロブリン(抗HBs 人免疫グロブリン)を筋肉注射します。同時に生直後、生後1ヵ月、6ヵ月に不活化ワクチン(B型肝炎ワクチン)を3回、上腕または大腿に皮下注射します。

②ママがB型肝炎キャリアではない、通常の接種スケジュールでは、生後2か月から1ヶ月間隔で2回(27日以上開けて2回目)、5ヵ月後(1回目から139日以上開けて3回目)に追加接種を上腕、または大腿に皮下注射します。(計3回接種を行います)
標準的な、接種の推奨期間は、2~8か月の間です。
(当クリニックの推奨スケジュールはこちら。)


Q.どうして生まれてすぐに接種するの?(母がキャリアの場合)

 ママがB型肝炎ウイルスのキャリアだと、出産で赤ちゃんが産道を通るときに感染する可能性があります。これを母子感染といい、病気を防ぐには出産直後から適切な処置を施すことが必要になるわけですね。それが、生まれて12時間以内のできるだけ早く行う、ガンマグロブリン筋肉注射(抗HBs 人免疫グロブリン)と1回目のB型肝炎ワクチン皮下注射です。生まれたばかりだと心配になりますが、ワクチンの安全性は高く、体に負担がかかったり副反応が出る心配はありません。

Q.ママ以外の家族がキャリアの場合は?(母がキャリアでない場合)

 家族にキャリアがいるからといって、必ずしも感染するわけではありません。とはいっても、感染する確率はキャリアがまったくいない家庭に比べて高くなるのは確かです。
 諸外国ではお母さんがキャリアか否かにかかわらず、全ての赤ちゃんにB型肝炎ワクチンを行っています。この場合は、定期接種として、B型肝炎ワクチンを確実に接種してください。

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ロタウイルス(ロタリックス)

●予防接種の内容

ロタウイルスは毎年1月から春先まで保育園、幼稚園などで流行を繰り返します。乳児冬季下痢症の半数を占めるといわれ、5歳以下の小児では毎年78.000人が入院し、800.000人が外来受診しているという研究報告もあります。40人に1人は重症化するといわれ、経口補水療法で改善しない例をたびたび経験します。まれにけいれんや脳炎を合併します。(→ロタウイルス胃腸炎

このロタウイルス胃腸炎を軽症化するのが、ロタウイルスワクチンです。現在諸外国で使用されているロタウイルスワクチンには、ロタテック(MSD=旧メルク万有)、ロタリックス(GSK)があります。

ロタリックスは、G1P[8]ヒトロタウイルスを弱毒化したワクチン(1価ヒトロタウイルス)です。ロタウイルスの重症化を防ぎます。

●予防する病気

ロタウイルスの発病を減らし、重症化を抑えます。ヨーロッパのロタリックスの治験では入院を96%抑制したと報告されました。また、ロタウイルスワクチンは下痢症状に対しては、いずれも74~85%の予防効果が認められています。生後3か月以前にロタウイルスワクチンの初回を服用した場合、腸重積の増加は認めませんでした。

●接種の方法

ロタリックスは2か月、3か月時に、1回1.5mlを計2回経口投与します。(間隔を1か月あけて。生後24週までに接種を済ませます。)

  ロタリックスについては、別項で詳しく解説しました。詳細はこちらをお読みください

  ロタリックス接種について、品川区では2016年7月より、1回接種につき7000円接種助成が、2回分行われていました。

  ロタウイルスワクチンは2020年10月から定期接種になりました。

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ロタウイルス(ロタテック)

●予防接種の内容

ロタウイルスは毎年1月から春先まで保育園、幼稚園などで流行を繰り返します。乳児冬季下痢症の半数を占めるといわれ、5歳以下の小児では毎年78.000人が入院し、800.000人が外来受診しているという研究報告もあります。40人に1人は重症化するといわれ、経口補水療法で改善しない例をたびたび経験します。まれにけいれんや脳炎を合併します。(→ロタウイルス胃腸炎

このロタウイルス胃腸炎を軽症化するのが、ロタウイルスワクチンです。現在諸外国で使用されているロタウイルスワクチンには、ロタテック(MSD=旧メルク万有)、ロタリックス(GSK)があります。ロタテックはウシロタウイルスにヒトロタウイルスのG1、G2、G3、G4、P[8]の遺伝子分節を導入したもので、5価組み換えウシロタウイルスワクチンと呼ばれます。ロタウイルスの重症化を防ぎます。


●予防する病気

ロタウイルスの発病を減らし、重症化を抑えます。アメリカの臨床試験(ロタテック)では重症ロタウイルス胃腸炎による入院を96%防いだと報告されました。また、ロタウイルスワクチンは下痢症状に対しては、いずれも74~85%の予防効果が認められています。生後3か月以前にロタウイルスワクチンの初回を服用した場合、腸重積の増加は認めませんでした。

●接種の方法

ロタテックは、2か月、3か月、4カ月時に、1回2mlを計3回経口投与します。 (間隔を1か月あけて。生後32週までに接種を済ませます。)

  ロタリックスについては、別項で詳しく解説しました。詳細はこちらをお読みください

  ロタリックス接種について、品川区では2016年7月より、1回接種につき7000円接種助成が、2回分行われていました。

  ロタウイルスワクチンは2020年10月から定期接種になりました。

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ヒトパピローマウイルス:HPVワクチン(サーバリックス)

●予防接種の内容

子宮頸がんを引き起こす、主要な発がんウイルスである、ヒトパピローマウイルス(HPV)16型、18型の感染を予防する2価の不活化ワクチンです。2013年4月より、定期接種になりました。

●予防する病気

子宮頸がんはわが国では年間10000人の女性が発病し、3000人の方が亡くなっている、女性のがんでは乳がんに次いで、2番目に多い病気です。
原因は発がん性のあるヒトパピローマウイルス(HPV)
16、18、31、33、45、52、58型などの感染であり、16型と18型がそのほとんどを占めています。このヒトパピローマウイルス(HPV)16型、18型の感染を防ぐワクチンです。

●接種の方法

10歳以上の女性が対象です。1回目の接種の後、1ヶ月後に第2回めの接種、さらに5ヵ月後に追加接種を上腕三角筋に筋肉注射します。(計3回接種します)

  サーバリックスは、2013年4月より定期接種になりましたが、2013年6月14日、慢性疼痛などの多様な症状がHPVワクチン接種に関連するか検討するという名目で、積極的勧奨からはずされてしまいました。そのため、現在品川区から予診票は送られてきません。

  しかし、
HPVワクチンは女性の健康と未来を守る大切なワクチンです。ぜひ、接種をお考えください。当クリニックはHPVワクチンを中学1年のお子さまに強くお勧めしています。当クリニックの見解は、
こちらをぜひお読みください。
 

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ヒトパピローマウイルス:HPVワクチン(ガ-ダシル)

●予防接種の内容

子宮頸がんの主要な発がんウイルスである、ヒトパピローマウイルス(HPV)16型、18型に(ここまではサーバリックスと同じ)、外性器にいぼができる「尖圭(せんけい)コンジローマ」などの性病の原因になるHPV6型、11型の4つのHPVの感染を予防する、4価の不活化ワクチンです。2013年4月より、定期接種になりました。

●予防する病気

子宮頸がんはわが国では年間10000人の女性が発病し、3000人の方が亡くなっている、女性のがんでは乳がんに次いで、2番目に多い病気です。原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で、HPV16、18、31、33、45、52、58型などが知られており、特にHPV16型と18型がそのほとんどを占めています。

尖圭コンジローマは性交で感染し、外性器、肛門周囲に1~3mmぐらいの球形~カリフラワー状のいぼ(乳頭腫)が次々とできる性感染症で、原因ウイルスは主にHPV6、11型です。HPV6,11型は尖圭コンジローマの原因にはなりますが、子宮頚がんを起こすことはなく、また尖圭コンジローマも生命に危険が及ぶことはありません。

ガーダシルは尖圭コンジローマ(性器いぼ)を99%予防したと報告されています。したがって、男性にも適応があります(残念ながら、今回日本では男性への接種は認められませんでした)。また、出生時に産道でHPVに感染して発病する、「再発性呼吸器乳頭腫症」という、子どもの喉にいぼができて呼吸困難を繰り返す、稀ですが極めて重い赤ちゃんの病気も防ぎます。

●接種の方法

10歳以上の女性が対象で、計3回、上腕三角筋に筋肉注射をします。1回目の注射の後、2ヶ月後に第2回めの注射、さらに4ヵ月後に第3回目の注射をします。 (最初から数えると、0、2ヵ月後、6ヵ月後になり、サーバリックスとは2回目の注射の時期が異なります。

  ガーダシルは2013年4月より定期接種になりました。
 しかし、
HPVワクチンは女性の健康と未来を守る大切なワクチンです。ぜひ、接種をお考えください。当クリニックはHPVワクチンを中学1年のお子さまに強くお勧めしています。当クリニックの見解は、
こちらをぜひお読みください。

  我が国はまだ定期接種は、ガーダシル(HPV 6,11,16,18の4種含有)が使われていますが、欧米ではすでにシルガード9(HPV6,11,16,18にさらに31,33,45,52,58の9種類が含有されており、子宮頸がんの発がんウイルスのほとんどを網羅しているワクチン。このワクチンを定期接種で使用しているオーストラリアは、2066年には子宮頸がんを制圧すると言われています。)が用いられています。我が国でも薬事承認が間近です。

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成人用肺炎球菌(PPV=ニューモバックス)

●予防接種の内容

現在、日本で使用されている肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は、米国内でよく分離される23種の肺炎球菌の細菌のカラの部分を精製した不活化ワクチンです。PPVと呼ばれます。2014年10月から高齢者に定期接種となりました。(お年寄りの定期接種で、子ども用ではありません)

●予防する病気

このワクチン(ニューモバックス)は肺炎球菌の感染の危険性が高く,感染した場合に重病になる可能性のある特殊な病気(鎌状赤血球症,無脾症)の患者さんに接種します。しかし、アメリカ製なので、日本でよくみられる肺炎球菌の70%しかカバーできていません。また、肺炎球菌による頻回の中耳炎には効果が認められません。さらに、このワクチンを接種しても、乳幼児の場合は肺炎球菌に対する抗体がうまく作られないため免疫が成立せず、(乳幼児には)効果がありません。

●接種の方法

現在日本で使用できる、23価の肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス、PPV)は、子どもには効果がなく、中耳炎にも無効で、お子さまに接種する価値のないワクチンです。

これに対し、現在、子どもによくみられる13種の肺炎球菌に限って、その細菌のカラ(殻)を精製した、13価の肺炎球菌ワクチン(PCV13、プレベナー13)が、現在小児用肺炎球菌ワクチンとして、子どもの定期接種に使用されています。


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